税務ニュース2025年06月27日 上院でも「899条」の報復課税は維持(2025年6月30日号・№1080) 米国新税制改正法案、日本企業・居住者に対する適用時期は変わらず
内国歳入法899条(本誌1077、1078号参照)の上院案にもUTPRやDST等を導入している国(違反国)の居住者に対する報復措置が盛り込まれたが、上乗せ税率は下院案(毎年5%ずつ引き上げ、法定税率から最大20%までを追加して課税)から変更され、引上げ幅は3年目以降も15%が上限とされた。ただし、この源泉税率引上げはポートフォリオ投資の利子には適用されないこととされた。また、源泉税率の引上げはUTPRに対する対抗措置であるため、UTPRを施行しておらず、DSTのみ施行している場合、条文上は源泉税率の引上げの対象とはならない旨の変更が行われている。
適用開始日について上院案では、違反国において、(A)本条の成立日から1年後、(B)当該国が違反国とみなされる原因となる不公正な外国税が成立した日から180日後、(C)当該国の不公正な外国税が初めて適用された日、のうち最も遅い日付の直後に始まる最初の暦年の初日とされた。下院案では(A)が「本条の成立日から90日後」だったが、これが「1年後」とされたことで、英独仏蘭や韓国など既にUTPRの適用を開始している国では税率引上げの適用開始が2026年1月から2027年1月に後倒しされる。一方、日本では、UTPRに対応して令和7年度税制改正で創設された「各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税」が2026年4月1日以降の事業年度に適用されるため、上院案における適用時期の変更の効果は及ばない。したがって、適用開始は、源泉税率の引上げは2027年1月1日以降、外国法人の所得等に係る税(PE/支店課税)やスーパーBEATは2027年4月1日以降(3月決算法人の場合)となる。
また、上院案では通常のBEATの税率が14%に引き上げられる一方、外国関連者に対する支払いが、受手側で米国法人税の最高税率の90%を上回る税率で課税されている場合、当該支払いは「Base Erosion Payment」には該当しないという高税率国免除規定を導入することが提案された。日本はこの高税率国免除規定を満たす可能性が高い一方、UTPR導入国として違反国に当たる場合には高税率国免除規定が無効となる旨が規定されている点、留意したい。
このほか、GILTIについて951A条の2つの小項を削除し、無形資産に関連する所得に基づく企業のGILTIの税負担を軽減する規定、および、海外の有形資産への投資を行う企業に対し一部相殺可能な控除を認める規定を廃止することが提案されている。
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