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解説記事2025年06月30日 税務マエストロ インボイスの取扱いに関するご質問(令和7年6月10日更新)(2025年6月30日号・№1080)

税務マエストロ
インボイスの取扱いに関するご質問(令和7年6月10日更新)
#309
 税理士 熊王征秀


略歴
学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税法講義録』等、著書多数。
東京税理士会会員相談室委員、東京地方税理士会税法研究所研究員、日本税務会計学会委員、大原大学院大学教授

マエストロの解説

 令和7年6月10日に国税庁の「インボイスの取扱いに関するご質問」が更新され、新たに問Ⅴ~問Ⅶが新問として公表された。今回はこの新問について、その内容を検証する。

問Ⅴ(適格請求書の交付に当たっての金銭的負担)

 当社は、適格請求書の交付に当たっては、当該適格請求書の記載事項を電子データにより提供することとしており、書面での適格請求書の交付を求められた場合には、印刷代などに係る実費相当分の手数料として110円(税込み)の負担を求めることとしています。このように、適格請求書の交付に当たって金銭的負担を求めることは問題ないでしょうか。

<ポイント>
1 印紙税の取扱い

 印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている「文書」である。よって、電磁的記録は文書ではないことから印紙税は課税されない。

参考 国税庁質疑応答事例(印紙税)

取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い

【照会要旨】
 当社は建設工事を請け負っていますが、取引先から受注するに当たり、請負契約の成立を証するものとして書面で注文請書を作成することに代えて、受注する旨や請負内容等の取引情報を記録した電磁的記録に当社の電子署名を付したものを取引先に電子メールで送信しています。この電磁的記録は、印紙税の課税対象となるのでしょうか。
【回答要旨】
 印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。
 したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。

2 電子データの取扱い
 事務作業と印紙税の負担軽減を目的に、電子データによる書類の提供が増えている。適格請求書発行事業者は、取引先からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じるわけであるが、適格請求書の交付に当たっては、電磁的記録(電子データ)を提供する方法により行うことも認められている。
3 印刷代などの実費相当分を手数料として請求することの是非
 受領する手数料等は、書面により適格請求書を交付するという取引(課税資産の譲渡等)の対価であるから、当該手数料等についても適格請求書の交付義務が生じることになる。

 なお、消費税法上の問題ではないが、取引先に金銭的負担を求めることとしても、その手数料等が書面の発行などの事務負担等に係る費用として社会通念上相当と認められるものであれば特段問題はない。
 ただし、取引上有利な立場になることを利用して著しく高額な手数料等の負担を求めることは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがあることに留意する必要がある。


参考 インボイス制度への対応に関するQ&Aについて(概要)
 財務省は、公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省との連名で、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を令和4年1月19日に公表(令和4年3月8日に改正)した。
 このなかで、免税事業者との取引で、仕入税額控除ができないことを理由に一方的に取引対価の引下げを要請する行為などは、独占禁止法上問題になることを指摘している((概要)のQ7)。

                         :

独占禁止法等において問題となる行為

Q7 仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討していますが、独占禁止法などの上ではどのような行為が問題となりますか?

1 取引対価の引下げ
 取引上優越した地位にある事業者(買手)が、免税事業者との取引において、仕入税額控除できないことを理由に取引価格の引下げを要請し、再交渉において、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではありません。
 しかし、再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合には、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となります。
2 商品・役務の成果物の受領拒否等
 取引上の地位が相手方に優越している事業者(買手)が、仕入先から商品を購入する契約をした後において、仕入先がインボイス発行事業者でないことを理由に商品の受領を拒否することは、優越的地位の濫用として問題となります。
3 協賛金等の負担の要請等
 取引上優越した地位にある事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対し、取引価格の据置きを受け入れる代わりに、取引の相手方に別途、協賛金、販売促進費等の名目で金銭の負担を要請することは、当該協賛金等の負担額及びその算出根拠等について、仕入先との間で明確になっておらず、仕入先にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合などには、優越的地位の濫用として問題となります。
4 購入・利用強制
 取引上優越した地位にある事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対し、取引価格の据置きを受け入れる代わりに、当該取引に係る商品・役務以外の商品・役務の購入を要請することは、仕入先が事業遂行上必要としない商品・役務であり、又はその購入を希望していないときであったとしても、優越的地位の濫用として問題となります。
5 取引の停止
 事業者がどの事業者と取引するかは基本的に自由ですが、取引上の地位が相手方に優越している事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対して、一方的に、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格など著しく低い取引価格を設定し、不当に不利益を与えることとなる場合であって、これに応じない相手方との取引を停止した場合には、独占禁止法上問題となるおそれがあります。
6 登録事業者となるような慫慂等
 課税事業者が、インボイスに対応するために、取引先の免税事業者に対し、課税事業者になるよう要請すること自体は、独占禁止法上問題となるものではありませんが、それにとどまらず、課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上又は下請法上、問題となるおそれがあります。
※上記において、独占禁止法上問題となるのは、行為者の地位が相手方に優越していること、また、免税事業者が今後の取引に与える影響等を懸念して、行為者による要請等を受け入れざるを得ないことが前提となります。

問Ⅵ(適格請求書の交付に当たっての期間制限)

 当社は、小売業を営んでおります。適格簡易請求書をレジにて代金を収受する際にレシートの形式で交付していますが、後日、レシートを亡失したとして、顧客から再交付を求められることがあります。当社のレジシステムでは90日間しかレシートの再発行ができないのですが、その期間を過ぎた場合にはどうしたらよいでしょうか。

<ポイント>
1 レシートなど(簡易インボイス)を再発行する義務

 適格請求書発行事業者は、取引の相手方である課税事業者からの求めに応じて適格請求書を交付する義務がある。ただし、代金受領の際にレシートなどを発行しているのであれば、レシートなどの紛失を理由によりインボイスの再発行を求められたとしても、法令上はこれに応ずる義務はない。
2 レジシステムの仕様等により一定期間しか発行できないレシートなどの取扱い
 レジシステムの仕様等により一定期間しかレシートを発行できないとしても、そのことをもってインボイスの交付義務が免除されることはない。したがって、(実務ではまずあり得ないと思われるが)レシートなどを顧客に一度も交付していない場合において、顧客が具体的な取引記録を提示した上で簡易インボイスの交付を求めてきた場合には、手書きのインボイスを発行するなどの方法により対応しなければならない。
 ただし、下記①と②の場合は簡易インボイスの交付は任意であることから、法令上は交付の義務はない。
① 代金受領の際に簡易インボイスをすでに発行している場合
② レシートなどを顧客が受け取らなかったため、物理的な「交付」ができなかったような場合
(注)上記②の場合でも、売上税額の積上計算を採用することができる(インボイスQ&A問120参照)。

問Ⅶ(プラットフォーム課税の対象となる取引に係る適格請求書等)

 当社では、プラットフォームを介して海外から消費者向け電気通信利用役務の提供に該当するアプリの配信を受けています。この仕入れについて仕入税額控除の適用を受ける場合、国外事業者であるアプリの配信者から適格請求書の交付を受ける(又は電磁的記録の提供を受ける)こととなるのでしょうか。

<ポイント>
 不特定多数を取引先とする消費者向け電気通信利用役務の提供については、特定プラットフォーム事業者を経由して配信を受けるものかどうかにより取扱いが異なっている。また、電子データによりインボイスの交付を受けることもできるが、この場合には、電帳法に準じた方法によるデータか、整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面による保存が必要とされている。

参考 プラットフォーム課税とは?
 プラットフォーム課税とは、国外事業者が日本の消費者に向けて行うデジタルサービス(電気通信利用役務の提供)に対する課税漏れを防ぐため、納税義務者となる国外事業者に代わり、サービスの仲介者(プラットフォーマー)に申告納税義務を負わせる制度である(消法15の2)。この規定は、令和7年4月1日以後の取引について適用されている(令和6年改正法附則13⑥)。
□課税方式
 国外事業者が行うデジタルサービスを「特定プラットフォーム事業者」が行った取引とみなし、届出書の提出や申告・納税義務を負わせるのがプラットフォーム課税の特徴である。
 この制度は、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行うデジタルサービスで、かつ、「特定プラットフォーム事業者」を介してその利用代金を収受するものについて適用される。
 したがって、次のような取引にはこの制度は適用されない。

・リバースチャージ方式が適用される取引
・国内事業者が行うデジタルサービス
・特定プラットフォーム事業者を介さずに行うデジタルサービス

□特定プラットフォーム事業者の指定
 デジタルプラットホームを介して行うデジタルサービスによる取引金額が50億円を超える場合には、国税庁長官は「特定プラットフォーム事業者」を指定することになっている(図の①)。
 また、デジタルサービスによる取引金額が50億円を超えることとなる事業者は、確定申告期限までに届出書の提出が義務付けられている(図の②)。
 国税庁長官は、特定プラットフォーム事業者を指定したときは、書面によりその旨を通知するとともに、デジタルプラットフォームの名称等についてインターネットを通じて速やかに公表する(図の③)。
 指定を受けたプラットフォーム事業者は、プラットフォーム課税の対象となる国外事業者に対してその旨と適用年月日を通知する(図の④)。

□仕入税額控除
 特定プラットフォーム事業者名簿には、アップストアやグーグルプレイ、ニンテンドーイーショップなどのデジタルプラットフォームの名称が公表されているので、これらの特定プラットフォーム事業者を経由して支払われるデジタルサービス料金については、特定プラットフォーム事業者から交付されるインボイスにより仕入税額控除ができることになる。


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