カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2020年04月17日 役務提供未了の認識、申述では認定せず(2020年4月20日号・№831) 審判所、事実の仮装はないと判断し重加算税を取消し

  • 当事者に役務の提供が実質的に完了していたとの認識があったと認められ、審判所が重加算税を取消し(令和元年7月2日裁決)。

 重加算税は、事実の仮装・隠蔽に基づき申告した場合に課されるが、原処分庁からの故意による仮装・隠蔽の認定に対し、納税者側が、処理の誤りは「故意ではなく単純ミス」と主張し、重加算税のみ取消しを求める審査請求は後を絶たない。
 本件では、請求人が相手方と通謀して、業務が未了であるのに完了したように見せかけた書類を作成し、業務に係る費用を損金算入したとして重加算税が賦課された。
 請求人X社が相手方Y社に発注した業務は、手書の図面をCADソフトで電子データ化するもの。Y社はX社に対し、原図をCAD化して出力したものを提出した後、紙ベースの製本ファイルを平成29年3月20日に提出した。X社の担当者Aは、この製本ファイルの提出をもって検収書の検収日欄に3月20日と記載したが、原処分庁は、同日以降にも修正作業等が行われていたことや、CADデータが格納された外部記録媒体が6月28日に提出されたことなどから、3月20日までに役務の提供が完了していないことは客観的に明らかであり、Aはそれを認識していながら、検収書に同日を検収日等として記載し、事実を仮装したと主張した。
 これに対し審判所は、X社等が発注した他の業務等でも“紙”の提出時を検収書上「検収日」とした例があること、製本ファイルの性質、A及びY社担当者Bの審判所への答述は事実関係と整合性があり信用できることから、Aは3月20日に役務提供が実質的に完了したとの認識の下、同日を検収日として記載したのであり、あたかも役務提供が完了したかのように故意に事実をわい曲したとは認められないと判断した。
 また、原処分庁は、A及びBによる「CADデータの作成年月日が6月28日以降となっているからその日以降に役務の提供が完了した」との申述を役務提供未了の認識があったことの根拠の一つとしたが、審判所は、「役務の提供が未了である旨の調査担当職員からの指摘を認めたことを示すものにすぎない」とこれを一蹴した。
 本件で審判所は、“故意”の有無を、客観的事実を丁寧に確認した上で判断している。本裁決は「〇〇と認識していた」といった申述自体ではなく、当事者の行為等の客観的な事実から故意の有無が推認できるかどうかが重要であり、合理的な説明ができない通常と異なる行為がある場合には故意が認定される可能性が高いことを示したといえそうだ。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索