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会社法ニュース2025年09月26日 MD&A業績予想もセーフハーバー対象(2025年9月29日号・№1092) ディスクロWG、課徴金はガイドラインでセーフハーバーの対象に

  • ディスクロWG、課徴金もセーフハーバーの対象。ガイドラインで規定。
  • MD&Aの業績予想はセーフハーバーの対象も、財務数値を活用した業績分析部分は過去情報のため対象外。
  • 確認書の記載事項に①開示手続を整備していること、②開示手続の実効性を確認したことを追加へ。

 ディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神作裕之学習院大学法学部教授)の第2回目の会合が9月19日に開催され、第1回目の会合(本誌1088号参照)に引き続き、セーフハーバー・ルールの導入に関する検討が行われている。
 このうち、セーフハーバー・ルールの効果については、民事責任の免責を基本とするが、民事訴訟では、課徴金納付命令が契機となって提起される例が多いことを踏まえ、課徴金も免責の対象とする方向だ。ただし、民事責任は金融商品取引法に規定するが、課徴金についてはガイドラインの改正により、セーフハーバー・ルールを整備するとしている。
 また、第1回目の会合では、セーフハーバー・ルールの適用範囲を非財務情報の将来情報等を対象とすることで合意がなされているが、さらなる明確化として、例えば、「将来情報」は、「有価証券報告書の作成時点からみて将来に関する情報であって、作成時点において金額、数量、事象の発生の有無等が確定していないもの」としたほか、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)等に含まれる将来の業績予想等はセーフハーバーの対象となるが、財務数値を活用した上で当期中の業績を分析する部分は過去情報であるため、対象外になるとした(参照)。「統制の及ばない第三者から入手した情報」については、「子会社や関連会社を除く第三者から取得した情報に基づき開示される情報」とし、「見積り情報」は、サステナビリティ情報のScope3GHG排出量を想定し、「不確実性のある数値について、入手可能な情報を基に合理的な数値を算出することとする」とした上で、一般に不確実性のあると考えられる情報をセーフハーバーの対象とするとの考え方から、過去情報であっても、見積り情報である限り対象にするとした。

【表】セーフハーバー・ルールの適用範囲
将来情報 ・有価証券報告書の作成時点からみて将来に関する情報であって、作成時点において金額、数量、事象の発生の有無等が確定していないものとする。
・有価証券報告書の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)等に含まれる将来の業績予想等についてはセーフハーバーの対象となるが、財務数値を活用した上で当期中の業績を分析する部分については過去情報であり、対象外となる。
統制の及ばない第三者から取得した情報 ・子会社や関連会社を除く第三者から取得した情報に基づき開示される情報とする。
・データプロバイダーから取得した情報についても、企業においてその情報の正確性を検証することは困難であり、企業にとって不確実性が高いと考えられるため、セーフハーバーの対象とする。
見積り情報 ・不確実性のある数値について、入手可能な情報を基に合理的な数値を算出することとする。
・一般に不確実性のあると考えられる情報をセーフハーバーの対象とするとの考え方から、過去情報であっても、見積り情報である限り対象とする。
・引当金の金額等、財務諸表に記載される情報が非財務情報の項目に記載されていた場合、財務諸表に密接に関連する情報として、セーフハーバーの対象外とする(「主要な経営指標の推移」等も同様)。

 また、適用要件として、非財務情報のうちの将来情報等については、「その合理性が確保されていると認められる場合」には、金商法上の民事責任の規定を適用しないことにする(下記参照)。同様の要件の下で、発行開示における責任や役員の責任についても、セーフハーバーの対象とする方向となっている。なお、挙証責任を企業(被告)から原告に課すことに転換するとの案については、将来的な課題となった。
 そのほか、代表者及び最高財務責任者が有価証券報告書の記載内容が適正であることを確認する確認書制度については、記載事項に①開示手続を整備していること、②開示手続の実効性を確認したことを追加することで概ね賛同を得られている。

「その合理性が確保されていると認められる場合」とは
 ディスクロージャーワーキング・グループでは、非財務情報のうちの将来情報等について、金商法上の民事責任の規定を適用しない場合の要件として、「その合理性が確保されていると認められる場合」が挙げられているが、情報開示に係る体制の整備が行われていることと言い換えることができる。
 例えば、SSBJ基準では、ガバナンス情報として、サステナビリティ関連のリスクと機会について、「その監督に責任を負うガバナンス機関の名称・その責任」「どのように、また、どの頻度で情報を入手しているか等」の開示が求められているほか、サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWGの議論において、有価証券報告書の記載事項として、「将来情報等を記載するに当たり前提とされた事実、仮定及び推論過程」「情報の入手経路を含む将来情報等の適切性を検討し、評価するための社内の手続」を追加することが提案されている。また、確認書では、記載事項に経営者が非財務情報を含む開示手続を整備している旨とその実効性を確認した旨を追加することとしている。
 これらの有価証券報告書と確認書の記載事項が真実であることを前提に、その開示をもってセーフハーバーが適用されるものとする考え方となっている。

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