会計ニュース2025年11月07日 金融資産減損に予想信用損失モデル導入(2025年11月10日号・№1098) 2030年4月1日以後開始する連結会計年度等の期首から適用も
企業会計基準委員会(ASBJ)は10月29日、企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等を公表した(令和8年2月6日まで意見募集)。日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、予想信用損失モデルに基づく金融資産の減損の取扱いを示すもの。IFRS第9号「金融商品」の定めを原則として取り入れている。
公開草案では、予想信用損失を「信用損失を確率加重したもの」といい、「信用損失とは、企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額を現在価値に割り引いたもの」と定義し、予想信用損失の算定に使用する見積期間は、原則として、貸手が信用リスクに晒される契約上の最長期間を用いることとしている。その上で、予想信用損失を①一定範囲の生じ得る結果を評価することによって算定される偏りがなく確率加重された金額、②貨幣の時間価値、③過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測に関して、期末において過大なコストや労力をかけずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を反映する方法により算定することとしている。加えてこの原則的な予想信用損失の算定方法に対して実務負担を懸念する声が聞かれたため、簡素化された算定方法も提案されている。
また、予想信用損失モデルの適用対象となる貸付金及び重要な金融要素を含む債権並びに満期保有目的の債券については、原則として実効金利法による償却原価法によることを提案している。
開示に関しては、①予想信用損失の分解情報、②信用リスク管理実務及び予想信用損失の算定プロセスに関する情報、③当期及び翌期以降の財務諸表への影響を理解するための情報の注記を求めている。
適用は公表から3年程度経過した4月1日以後開始する連結会計年度等の期首からとされている(早期適用も可)。再来年の3月末までに決定されれば、2030年4月1日から適用される。そのほか、経過措置として、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金及びその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することを可能としている。また、適用初年度の比較情報について、新たな表示方法に従い組替えを行うことを要しないこととしている。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















