税務ニュース2025年11月21日 政府税調、研究開発税制の効果に疑問(2025年11月24日号・№1100) 財務省、インセンティブとして機能していないと指摘
政府の税制調査会は11月12日、「第6回税制のEBPMに関する専門家会合」(座長・赤井伸郎大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)を開催し、研究開発税制の効果検証について検討を行った。研究開発税制をめぐっては、研究開発投資の全体額に適用可能な「一般型」の控除率の上乗せ措置などの適用期限が令和7年度末までとなっているところ、経産省が企業の研究開発投資を促すためのインセンティブ強化を目的として、令和10年度末までの延長を求めている。
令和7年6月に開催された第5回の会合では、委員から「研究開発税制がどれほど試験研究費の増加に寄与しているのか」との意見や「どのような企業に効果があったのかなど細かく分析する必要がある」などの意見があり、これらを踏まえて財務省は新たなデータを示した上で、研究開発税制の適用実態を明らかにした。
研究開発税制は試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる制度だが、控除率は試験研究費の過去3年間の増減で変わる仕組みになっており、企業の売上金額に対する試験研究費の割合を増やすほど控除額が大きくなる。財務省は、令和4年度に研究開発税制の適用を受けた企業を見ると、増減の割合が0%前後の企業が最も多く、控除率が上がる増減割合(当時は9.4%)の前後においても企業の数は増えていないと指摘。また、適用企業の試験研究費の増加は、近年の物価・賃金上昇と同程度であることから、インセンティブとして機能していないことが示唆されるとした。委員からは「試験研究費を減らすと控除率が下がるというペナルティがあるとすれば、それを回避することが作用している可能性も考えられる。想定外のインセンティブが働いているというような仕組みであれば、実態に合わせた仕組みにする必要がある」といった意見が挙がっている。
会合終了後の会見で、政府税調の事務局は、研究開発税制の減税額が約9,500億円(令和5年度時点)と1兆円に迫る中、より効果の高い仕組みにするために見直す必要があるとしており、同税制の適用期限の延長を求めている経産省と協議をした上で、与党の税制改正議論に繋げるとしている。
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