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解説記事2025年12月08日 SCOPE サステナビリティ開示、有報提出期限の延長承認を活用(2025年12月8日号・№1102)

SSBJ基準の適用を控え、内閣府令案が公表
サステナビリティ開示、有報提出期限の延長承認を活用


 金融庁は11月26日、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(案)等を公表した(12月26日17時まで意見募集)。7月17日に公表された金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」中間論点整理(本誌1084号21頁参照)及びその後の同WGの議論を踏まえたもの。サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を告示指定するほか、SSBJ基準の適用開始年度及びその翌年度については、二段階開示を可能とする措置などを規定する。
 なお、検討されていたサステナビリティ情報の保証の義務付け時における有価証券報告書の提出期限の延長については見送りの方向となったが(本誌1098号14頁参照)、金融庁は、企業の実務負担に対する懸念の声を踏まえ、有価証券報告書の提出期限の延長承認を柔軟に活用する方針だ。今後、企業内容等開示ガイドラインを改正するとしている。

二段階開示やSSBJ基準上の経過措置の適用状況等を開示

 金融庁は、SSBJ基準が令和8年4月1日から適用されることから、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(案)等を公表した。意見募集した後、来年1月中を目途に公布する予定だ。
 具体的には、サステナビリティ開示基準として、企業会計基準と同様、SSBJ基準を告示指定するほか、適用開始時期が確定している平均時価総額が1兆円以上のプライム市場上場企業を対象にSSBJ基準を義務付けることとする。平均時価総額については、有価証券報告書の対象事業年度の前事業年度の末日及びその前4事業年度の末日における時価総額の平均値により判定する。例えば、令和9年3月期の適用の有無の判断に用いる平均時価総額については、令和4年3月期から令和8年3月期の各末日の時価総額の平均値となる。ただし、前事業年度の末日までに上場後5事業年度が経過していない場合には、経過した事業年度の各末日における時価総額の平均値により判定する。例えば、令和5年5月に上場した会社における令和9年3月期の適用有無の判断に用いる平均時価総額は、令和6年3月期から令和8年3月期の各末日の時価総額の平均値となる。
 SSBJ基準の適用開始年度及びその翌年度については、SSBJ基準に従ってサステナビリティ関連記載事項を記載しないことができ、その場合には、それぞれの翌期の半期報告書の提出期限までに、当該事項を記載した訂正報告書を提出すること(二段階開示)を可能とする。
 開示については、SSBJ基準上開示が求められる事項の記載のほか、SSBJ基準に準拠している旨、二段階開示やSSBJ基準上の経過措置の適用状況について記載を求めることとするほか、将来情報やスコープ3温室効果ガス排出量に関する定量情報について、推論過程等に関する記載及びこれらの情報に係る社内の開示手続の記載を求める。加えて、前事業年度に係る有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」その他の項目において記載した見積りの方法により算定した数値について、確定値が判明し、見積りによる数値と確定値との間に差異がある場合には、半期報告書において記載することができることとする。
セーフハーバー・ルールをガイドラインに
 スコープ3温室効果ガス排出量の虚偽記載等に係るセーフハーバー・ルールも整備する。スコープ3温室効果ガス排出量に関する定量情報について、一般に合理的と考えられる範囲で差異が生じる要因や推論過程等、社内の開示手続等に関する記載がされている場合には、虚偽記載等の責任を負うものではないとする考え方を企業内容等開示ガイドラインに明示する。
 適用は、①令和8年3月31日を基準として算定した5事業年度末の平均時価総額が3兆円以上である会社については、令和9年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等、②令和8年3月31日を基準として算定した5事業年度末の平均時価総額が3兆円未満1兆円以上である会社については、令和10年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等からとしている。

金融庁、開示ガイドラインの改正方針を明らかに

 10月30日に開催された「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(以下、WG)では、保証義務付けの段階における有価証券報告書の提出期限の延長については実施しない方針であることが明らかとなった。
 7月17日公表の中間論点整理では、提出期限を事業年度経過後4月以内に延長することも考えられるとされていたが、早期の情報開示を望む意見や、当初2年間の保証の範囲をスコープ1・2、ガバナンス及びリスク管理に限定する方向であることなどを踏まえ、提出期限の延長は実施せず、現行どおり事業年度終了後3月以内とすることとされている。WGの議論では概ね賛同する意見が聞かれた一方で、一部の企業出身のメンバーからは、実務が定着していない中、企業の実務負担を軽減する観点から反対意見が聞かれていた。
 この点、金融庁は、企業側の懸念に対し、有価証券報告書の提出期限の延長承認を活用することで対応する方針だ。企業内容等開示ガイドラインでは、やむを得ない理由があれば、有価証券報告書の提出期限の延長が認められている。やむを得ない理由とは、過去に提出した有価証券報告書等のうちに重要な事項について虚偽記載が発見された場合や、監査法人等による監査により発行者の連結財務諸表等に重要な虚偽の表示が生じる可能性のある誤謬が識別されるなど、大きく5項目が列挙されている(同ガイドライン24−13)。
 このため、金融庁では、特にサステナビリティ開示基準の適用初年度や保証の義務付けの段階において、企業が柔軟に有価証券報告書の提出期限を延長することができるよう、やむを得ない理由を追加するなど、企業内容等開示ガイドラインを改正するとしている。

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