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税務ニュース2025年12月26日 帳簿を一旦提示も帳簿保存要件満たさず(2026年1月5日号・№1105) 審判所、提示要求に応じない状況の継続を「不提示」と評価

  • 調査初期に帳簿等の一部が提示された場合であっても、その後の提示要請に応じない状態が続けば消費税法30条7項の「帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当するとの裁決が下されていたことが判明。

 消費税法上の帳簿保存要件を満たすか否かが争われる場合に頻出する論点が「帳簿等の不提示」だ。平成16年12月16日最高裁判決は、「事業者が帳簿又は請求書等を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合」には「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当するとの判断を示したが、この最高裁判決後、帳簿等の不提示が論点となった事例は、審査請求だけでも100件以上あることが本誌の調査により確認されている。
 こうした中、国税不服審判所は令和7年7月22日、初回の臨場時に納税者側が帳簿等を提示したことが認定されたにもかかわらず、「帳簿書類等の一部を一旦は提示したものの、その後にその他の帳簿書類等の提示を求められたにもかかわらず、これに応じない状況が続いた」ことを理由に、帳簿保存要件を満たさず(消法30⑦の「帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当)、仕入税額控除は認められないとの裁決を下していたことが本誌取材により判明した。請求人(納税者)は、具体的にどのような帳簿等を提示すべきか要求されなかった以上、要求を待ってこれに応じようとしていたに過ぎないから、「適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった」とは言えないと主張したが、審判所は、調査担当職員が「帳簿、領収書及び請求書等を提示していただきたい」と要求していたから、請求人の主張には理由がないとした。
 上記最高裁判決は不提示が直ちに「保存しない場合」に当たるとはしておらず、また、過去には、税務職員が電話や文書で仕入税額控除に係る帳簿等の提示がない場合には仕入税額控除の適用ができない旨説明したのみで、納税者に直接接触して積極的に帳簿等の提示要求をしたとは認められないなどの事情の下、帳簿等を「保存しない場合」に該当するとはいえず、仕入税額控除が認められるとした裁決事例(平成10年6月19日関裁(諸)平9第114号)も存在する。こうした中、本件は、帳簿等の不提示に対して帳簿保存要件の充足を厳格に判断するという課税当局及び国税不服審判所の姿勢を改めて示したものとして注目されよう。

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