税務ニュース2025年12月26日 宗教法人の固定資産税、最高裁で弁論(2026年1月5日号・№1105) 非課税規定の適用可否巡り、裁判長が当事者双方に「専ら」要件を質問
本件は、宗教法人(被上告人)が第三者に賃貸している土地が、商業施設の敷地であるとともに、当該商業施設の空洞部分が参道として利用されていることから、当該土地が「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する……境内地」(地法348②三)に該当し非課税となるか否かが争われている事案である。
大阪高裁は、本件土地上には非課税用途(参道用)の空間と課税用途(商業施設用)の空間が混在しており、非課税用途部分にまで固定資産税を課すべきではないとして、原処分を一部取り消していた(本誌995号、1026号、1097号参照)。
これを不服とした大阪市が上告したところ、令和7年12月19日に最高裁で弁論が開かれた。弁論では、裁判長から当事者双方に対して2つの質問がなされた。
1つ目は、地方税法348条2項3号の適用の可否の判断にあたり、当該規定にある「専ら」をどのように捉えるかという質問である。大阪市は、租税法律主義に基づき拡張解釈は許されないのであるから、「専ら」とは文字どおり、それのみという意味であり、本件土地の上部は商業施設の用途に供されているから「専ら」にはあたらないと主張した。これに対し、宗教法人側は、「専ら」という文言を重視することに異議はないが、「専ら」の適用範囲については、平面上であれば家屋の用途に応じて区分しているのと同様に、区分して判定すべきと述べた。また、「専ら」を拡張解釈するものではないとも述べた。
2つ目の質問は、土地上に非課税用途と課税用途が共存する家屋が存在するケースと、本件は同様とみるべきか、あるいは異なるかというもの。この質問について、宗教法人側が同様とみるべきと述べたのに対し、大阪市は、本件のように一つの土地をその上部の空間の用途で分けるという考え方は、固定資産税の本来の課税客体である土地・建物とは異なるものであり、同じとみるべきではないと述べた。
専門家からは高裁判決には、「専ら」という文言に対する明確な当てはめを示していないとの指摘もあったところだが、最高裁の弁論の内容からは、最高裁が「専ら」という文言に対する何らかの判断を示すことが期待される。土地の上部の空間の用途が異なるという今までにないケースに対し、どのような判断が示されるのか、注目の判決言渡しは1月26日に予定されている。
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