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税務ニュース2026年02月06日 CFC税制、意図せざる税務コスト回避へ(2026年2月9日号・№1110) 清算中や設立直後の子会社への合算課税是正もGMTとの関係整理道半ば

  • 令和8年度税制改正におけるCFC税制の見直しにより、清算中や設立直後の外国子会社への合算課税という意図せざる税務コストの発生を回避。一方、グローバル・ミニマム課税の導入に伴う事務負担の増大や制度の重複感といった根本的な課題の解決は道半ば。

 現行CFC税制上、外国子会社が事業を終了し清算プロセスに入った場合には、資産の売却や従業員の解雇によって「経済活動基準」を満たさなくなり、租税回避リスクが高いとされる「ペーパーカンパニー」と判定され、合算課税の対象となるリスクがある。現地法令に則った手続により清算完了まで長期間を要するケースも少なくなく、企業からはこの点について見直しを強く求める声が上がっていたところだ。令和8年度税制改正では、解散した外国関係会社のうち、清算準備開始前に2事業年度連続して経済活動基準を充足していた外国関係会社については、解散後原則3年間(3事業年度)はペーパーカンパニー等の判定から除外し、引き続き実体のある子会社とみなしてCFC税制を適用する措置が講じられる。これにより、撤退局面において経済活動基準を満たさなくなったことに伴うCFC税制による課税や、撤退時の債務免除益への課税など、意図せざる税務コストの回避が期待される。
 また、ペーパーカンパニーの判定に係る資産割合要件の一部も見直される。現行CFC税制上、設立直後であることなどにより、貸借対照表上の総資産額が「零」である外国子会社は、形式的にはペーパーカンパニーに該当し得るという問題がある。そこで令和8年度税制改正では、外国関係会社の事業年度終了時における総資産額が零である場合には、ペーパーカンパニー該当性の判定における資産割合要件の判定を不要とする措置が講じられる。令和6年度税制改正では、収入割合要件について、収入等が存在しない場合には判定を不要とする見直しが行われたところだが、今回の改正は令和6年度税制改正と同様の趣旨に基づく合理化措置と言える。
 一方、租税回避防止の観点からの見直しも行われる。特定外国関係会社等の判定に用いる租税負担割合については、現地の税率が所得に応じて高くなる場合にはその最高税率を用いて計算できる特例があるが、令和8年度税制改正では、この特例について、「その最高税率が適用されることが通常見込まれないこと、その最高税率が適用される所得の額の区分が適用される所得の金額が極めて限定されていることその他の事情により本特例を適用することが著しく不適当であると認められる場合には、本特例を適用できないこととする」よう、見直しが行われる。本誌取材により、本件見直しは、ミクロネシア連邦によるいわゆる“ミクロネシアスキーム”への対応を意図したものであることが確認されている。通常の所得水準では適用されない極端に高い最高税率(GDPを超える所得に対して30%等)を設定し、形式的に租税負担割合を引き上げることでCFC税制の適用を回避しようとする同スキームを「国ぐるみで意図的な租税回避を支援するもの」と位置付け、その封じ込めを図る。なお、韓国やオランダ等、一般的な累進課税制度を採用している国に所在する外国関係会社については、これまで通り最高税率を用いた計算を可能とする方向だ。
 以上の通り令和8年度改正では、CFC税制において実務上長年指摘されてきた課題が解消する。しかし、CFC税制を巡っては、グローバル・ミニマム課税(第2の柱)の導入に伴う事務負担の増大や、制度の重複感といった根本的な課題が残されている。2025年6月に経済産業省が公表した「日本企業の海外展開動向を踏まえた国際課税制度のあり方に関する研究会 最終報告書」では、CFC税制の趣旨を改めて「日本の課税ベース浸食の防止」と定義し、より踏み込んだ見直しの方向性が提言されている。同報告書では、海外M&Aにおける買収前所得(買収完了前に子会社に生じていた含み益等が買収後に実現した場合の所得)について、日本の課税ベースを浸食したものではないため合算対象から除外すべきとの方向性が示されている。また、グローバル・ミニマム課税の最低税率が15%であることを踏まえ、CFC税制の適用免除基準(トリガー税率)を現行の20%(特定外国関係会社等は27%)から15%へ引き下げることや、第2の柱の実効税率(ETR)をCFC税制における適用免除基準の判定に活用して計算を共通化することなども提案されている。さらに、昭和53年の制度創設時からその骨格が変わっていない「経済活動基準」のうち「管理支配基準」について、グローバルなグループ経営が進展する中、現地法人が完全に独立して全ての意思決定を行うことは稀であることを踏まえ、親会社による一定の関与があっても合理性が認められる場合には基準を満たすよう、運用を明確化することなどを求めている。また、「実体基準」についても、リモートワークの普及等により固定施設の有無のみで実体を判定することの限界が指摘されており、柔軟な判断が可能となるよう見直しを求めている。
 令和8年度税制改正大綱では、CFC税制について「令和9年度以降の税制改正においても必要な見直しの検討を行う」ことが明記された。令和8年度改正は実務上の課題に対し手当てが行われたという点では評価できるものの、制度全体の再構築という点ではなお道半ばであり、特にグローバル・ミニマム課税(第2の柱)との関係をどう整理するのかが次期税制改正では焦点となろう。

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