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税務ニュース2026年02月13日 GMT、米国制度との共存へ国内法整備(2026年2月16号・№1111) 日本のIIR及びUTPRの適用を免除する特例を導入

  • 1月23日、グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた国内法制の見直し方針が閣議決定。独自のミニマム課税制度を有する国(米国)に最終親会社を持つ多国籍企業グループに対し、日本のIIR・UTPRの適用を免除する「Side-by-Sideセーフハーバー」及び「UPEセーフハーバー」を導入。

 特定多国籍企業グループ等の最終親会社等が所在する国・地域が、財務大臣の指定する「国際的に認められる国又は地域」である場合、当該グループに属する構成会社等に係る国際最低課税額を「零」とする措置(Side-by-Sideセーフハーバー)が講じられる。具体的には、財務大臣が指定する国・地域の税制が満たすべき要件として、以下の3点が示されている。これらの要件は、米国の現行税制(法人税、CAMT、GILTI)を念頭に置いたものであり、米国に最終親会社がある企業のみをグローバル・ミニマム課税(IIR及びUTPR)から除外する仕組みとなっている。
① 法人税率要件:その国・地域の法令(2029年1月1日前に制定されたもの)で、20%以上の税率により会社等の所得に租税を課すこととされていること。
② ミニマム課税要件:自国内最低課税額に係る税(QDMTT)を課すこと、または財務会計上の利益(当期純損益金額)を基礎とした所得に15%以上の税率により租税を課すこと。後者は米国のCAMTを想定していると考えられる。
③ CFC税制要件:外国子会社等がその本店所在地国で事業の管理・支配を自ら行っていない場合等において、その子会社の所得を親会社の収益とみなして合算課税する規定を有すること。米国のCFC税制等を想定していると考えられる。
 この改正は、令和8年1月1日以後に開始する対象会計年度から適用される。これにより、米国最終親会社の企業グループについては、日本のIIRによって課税されるリスクが排除される。なお、国内ミニマム課税(QDMTT)については今回の免除対象には含まれておらず、引き続き計算・納付が必要となる。
 また、国際最低課税残余額に対する法人税(UTPR)についても、適用免除基準が設けられる(UPEセーフハーバー)。最終親会社等が所在する国・地域が、令和8年1月1日時点で施行されている法令において「20%以上の法人税率」を有すること等の要件を満たすとして財務大臣が指定する場合、当該グループのUTPRの計算において、最終親会社等の所在地国に係る分を含めない。米国の連邦レベルでの法人税率は21%であり、このUPEセーフハーバーが導入されることで、米国最終親会社の企業グループは日本のUTPRの課税対象とされないことになる。
 事務負担軽減の観点から設けられている「国別報告事項(CbCR)を用いた移行期間の適用免除基準」(CbCRセーフハーバー)についても、適用期限が1年間延長され「令和9年12月31日まで」となる。なお、CbCRセーフハーバーの後継措置となる恒久的なセーフハーバーである簡素化ETRセーフハーバーに関する内容は令和8年度の改正項目に盛り込まれておらず、法制化は令和9年度以降となる予定だ。また、本誌取材により、一度セーフハーバーの簡易計算の適用を外れた国・地域は、将来にわたってCbCRセーフハーバーは再適用できないというルール(Once out, always out)は引き続き継続することが確認された。
 さらに、各国の投資優遇税制とグローバル・ミニマム課税との整合性を図るため、一定の要件を満たす税額控除等について、その適用を受ける金額のうち一定額を「調整後対象租税額」に加算することができる計算上の配慮を行う特例(Substance-based Tax Incentives:SBTI)が設けられる。これにより、税額控除によってETRが低下し、トップアップ課税が発生することを防ぐ効果がある。加算できる金額は、当該国における実体活動に基づく上限が設けられる。具体的には、原則として①一定の従業員の給与等の額の合計額 × 5.5%、②一定の有形資産に係る減価償却費の合計額 × 5.5%のいずれか多い金額が上限となる。
 また、この特例の対象となるのは、「支出の額を基礎として計算される税額控除制度又は所得控除制度」又は「所在地国における有形資産の生産量等を基礎として計算される税額控除制度」のいずれかとなる。この措置も米国に配慮したものと言える。OECDのグローバル・ミニマム課税の仕組みでは、一定の場合には、適格給付付き税額控除(Qualified Refundable Tax Credit:QRTC)という還付を伴う税額控除が認められており、シンガポールなどの一部の国では、この点を踏まえ、税額控除制度をグローバル・ミニマム課税に合わせた有利な仕組みに変える動きなどが見られた。他方、米国には還付を伴う税額控除の仕組みはないため、米国議会は、このような還付を伴う税額控除の仕組みは他国にのみ有利な仕組みだと批判してきた。今回、SBTIが措置されたことで、日本企業でも、米国において研究開発税制を利用している場合や、IRA(インフレ抑制法)による税額控除などを受けていることなどにより、米国における実効税率が15%を下回った場合についても、救済される余地が生じることとなる。
 今回の改正により、米国をはじめとする諸外国の税制と日本のグローバル・ミニマム課税制度との調整ルールが国内法上明確化された。Side-by-Sideセーフハーバーの導入は、米国に最終親会社がある企業グループにとって、実務上重要な意義を持つ。また、CbCRセーフハーバーの延長は日本企業にとっても朗報となろう。

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