税務ニュース2026年04月17日 OECD、「第1の柱」を再検討へ(2026年4月20日号・№1119) 利益Aの枠組みが米国議会を通過する見込みなし
2026年3月にブリュッセルで開催されたシンポジウムにおいて、米国財務省のレベッカ・バーチ国際税務担当次官補代理は、デジタル経済課税に関する建設的な対話は、第1の柱の基本原則(first principles)を再検討することから始めるべきとの考えを示した。具体的には、独立企業間原則(arm's-length principle)や物理的プレゼンス、価値創造といった概念が、今日の経済環境においても引き続き有効であるかを根本から問い直す必要があるとしている。従来の利益Aの枠組みは米国議会を通過する見込みがなく、多国間条約(MLC)の軽微な修正で対応できる段階にはないとみられている。そのため米国は、源泉地国課税と居住地国課税の見直しなど、各国の提案を俎上に載せたオープンな議論を求めている。
これを受け、OECDのマティアス・コーマン事務総長は、分断や有害な一方的措置を避けるため多国間での対話を再開する意向を表明。また、OECD租税政策・税務行政センターのジョン・ピーターソン氏も、10年以上前に提起された問題に立ち返り、これまでのプロセスが全ての解決策を十分に検討したか再評価するとしている。
一方でEU側は、防衛費等に充てる税収確保のため2026年中の合意は不可欠とした上で、仮にOECDでの議論が頓挫した場合、EUは欧州全域でデジタルサービス税(DST)を導入する構え。これに対して米国は、DSTが導入されれば報復関税などの対抗措置を辞さない姿勢を崩しておらず、また、米国の支持を得られない拙速な解決策に走らないようEUに警告を発している。多国間での対話が不調に終われば、国際税務の断片化と企業の二重課税リスクがさらに高まることが懸念される。
このような制度的枠組みの再検討においては、AIの影響も重要なテーマとなりそうだ。AIは、移転価格税制の根幹であるDEMPE原則(42頁参照)や、人間の活動とエンドユーザーの関係性を前提とした重要な経済的プレゼンス(significant economic presence)の考え方について再検討を迫る可能性がある。また、巨大テクノロジー企業がデータセンターなどのAIインフラに対して巨額投資を行っており、これが企業の課税対象利益を大幅に圧縮する可能性も指摘されている。第1の柱の再構築に向けた議論は、単なる既存ルールの修正にとどまらず、デジタルからAIへと変貌を遂げる経済の実態に合わせ、課税の根本原則を見直す大掛かりなものとなろう。
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