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解説記事2020年08月10日 SCOPE 取締役報酬の株式無償発行、注記事項が明らかに(2020年8月10日号・№845)

8月中にも公開草案を決定へ
取締役報酬の株式無償発行、注記事項が明らかに


 企業会計基準委員会(ASBJ)は現在、改正会社法で導入されることになった「取締役の報酬等としての株式の無償発行」の会計処理について検討を行っているが、注記すべき内容が明らかとなった。それによると、ストック・オプション会計基準等をベースに「実務対応報告の適用による財務諸表への影響額」や「取引の内容、規模及びその変動状況」などの注記を求めるとしている。適用は改正会社法の施行日以後からとされる。なお、同委員会では、早ければ8月中にも実務対応報告の公開草案を決定する予定だ。

ストック・オプション会計基準等をベースに個々の注記事項を定める

 企業会計基準委員会では、昨年12月11日に公布された改正会社法(施行は、原則として公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内)で導入されることになった取締役等の報酬等として株式を無償発行する場合の会計処理に関する実務対応報告の開発を行っており、既存のストック・オプション会計基準を準用する方向で検討が進められている。
 注記に関しても、ストック・オプション会計基準及び適用指針における注記を基礎とした上で、個々の注記項目を定めることとしている。現段階での取締役の報酬等としての株式の無償交付に関する注記事項はのとおりとなっている。

【表】取締役の報酬等としての株式の無償交付に関する注記事項(案)

 次の事項を注記する。
(1)本実務対応報告の適用による財務諸表への影響額
(2)事前交付型について、取引の内容、規模及びその変動状況
 ① 付与対象者の区分(取締役、執行役の別)及び人数
 ② 付与数、当該会計期間中に権利不確定によって没収された株式の数、当該会計期間中の権利確定
数、期首及び期末における権利未確定残数(当該企業が複数の種類の株式を発行している場合には、
株式の種類別に記載を行う)
 ③ 付与日
 ④ 権利確定条件(付されていない場合にはその旨)
 ⑤ 対象勤務期間(定めがない場合にはその旨)
 ⑥ 付与日における公正な評価単価
(3)事後交付型について、取引の内容、規模及びその変動状況
 ① 付与対象者の区分(取締役、執行役の別)及び人数
 ② 付与数、当該会計期間中の権利不確定による失効数、当該会計期間中の権利確定数、期首及び期末にお
ける権利未確定残数(当該企業が複数の種類の株式を発行している場合には、株式の種類別に記載を行う)
 ③ 付与日
 ④ 権利確定条件(付されていない場合にはその旨)
 ⑤ 対象勤務期間(定めがない場合にはその旨)
 ⑥ 付与日における公正な評価単価
(4)付与日における公正な評価単価の見積方法
(5)権利確定数の見積方法 (6)条件変更の状況

 なお、ストック・オプション適用指針では、注記事項の詳細や記載方法に関する定めを別途規定しているが、これらに関しては同適用指針を準用する形式を採用する方向だ。

事後交付型は「潜在株式」に該当

 また、事後交付型におけるすべての権利が確定した場合に交付されることになる株式は、企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」第9項の「潜在株式」として取り扱うとし、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定においては、ストック・オプションと同様に取り扱う方向だ(事前交付型は、事前に株式が交付されるため、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定の規定は置かないとしている)。
 「潜在株式」は、その保有者が普通株式を取得することができる権利もしくは普通株式への転換請求権又はこれらに準じる権利が付された証券又は契約と定義されており(1株当たり当期純利益会計基準第9項)、事後交付型の取締役の報酬等としての株式の無償交付は、権利確定条件の充足を条件として取締役等が株式を取得することができる権利が付された契約が締結されるものであるため、潜在株式の定義を満たすものとしている。
1株当たり純資産額の算定からは控除
 また、1株当たり純資産額は、普通株式に係る期末の純資産額を、期末の普通株式の発行済株式数から自己株式数を控除した株式数で除して算定するとされており(企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」第34項)、普通株式に係る期末の純資産額は、貸借対照表の純資産の部の合計額から「新株予約権」「非支配株主持分」などを控除して算定することになる(1株当たり当期純利益適用指針第35項)。
 この点、事後交付型においては、権利確定後の株式交付までの間は純資産の部の株主資本以外の項目が計上される。当該項目は「新株予約権」「非支配株主持分」などと同様に普通株主に関連しない項目であるため、普通株主に係る期末の純資産額の算定においては、純資産の部の合計額から控除することが適当であるとしている。
関連当事者取引の開示は求めず
 そのほか、関連当事者取引の開示の取扱いに関しては、ストック・オプションについて関連当事者取引の開示が明らかにされていないことから、今回の実務対応報告の本文に明記することは難しいとしている。
 ただし、企業会計基準委員会では、関連当事者取引として開示が求められる項目のうち、取引の内容や取引金額、取引条件に関する情報は、概ね取締役の報酬等としての株式の無償交付に関する注記事項(参照)として開示されることになるため、財務諸表利用者が取引内容や条件を判断するための一定の情報は提供されるものと考えられるとしている。

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