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民事2025年11月21日 生活保護、一部補償のみ 原告は上乗せ、政府方針 最高裁違法判決 提供:共同通信社

 政府は、2013~15年の生活保護費の引き下げを違法とした最高裁判決を巡り、補償は当時の減額分の一部とする方針を固めた。関係者が20日、明らかにした。当時の経済状況を基に、違法とされなかった手法などで全受給者分を改めて引き下げた上で、13年からの減額分との差額を支払う。原告には、長期間の訴訟負担などに配慮して別に上乗せ給付を行う。近く正式に決定する見通し。
 当時の受給者は約200万人で推移し、提訴した原告は千人超。原告側は減額分の全額補償を求めているほか、訴訟に参加したかどうかで支払額に差が生じるため批判が出るのは必至だ。
 厚生労働省の専門委員会で取りまとめた報告書や与野党の意見を踏まえ判断した。補償関連費用は約2千億円になる見込みで、うち当面の必要額を25年度補正予算案に計上する方針。
 今年6月の最高裁判決は、物価下落率(4・78%)を指標とした「デフレ調整」(約580億円削減)は専門家の審議を経ておらず違法と判断、減額処分を取り消した。一方で受給者間の均衡を図る「ゆがみ調整」(約90億円削減)は違法と認定しなかった。
 これを受け、政府は再実施することが妥当と判断。さらに、違法とされたデフレ調整の代わりに、当時の消費水準に合わせた2・49%の引き下げも適用することにした。4・78%の引き下げよりは小幅となるため、差額が一部補償となる。
 原告は、訴訟が長期間続いた負担などを考慮し、保護費とは別の名目で上乗せ給付する。13年の引き下げ前の水準には届かず、全額補償とはならない。
 厚労省の専門委は17日にまとめた報告書に、補償は一部とすることを容認する案に加え、裁判の争いを繰り返さないため原告には全額給付する案も併記した。政府は報告書を踏まえ、与野党の意見を聞くなど具体的な対応策の検討を進めていた。
(了)2025/11/21

「歴史的勝訴」落胆に 原告求めほど遠く

 生活保護費の引き下げを違法と断じた最高裁判決から約5カ月。「歴史的勝訴」と歓喜した原告らは、ようやく固まった政府の一部補償方針に落胆を隠せない。求めていた減額分の全額補償とはほど遠い内容のためだ。
 原告らは今年6月の最高裁判決直後から、全額補償と早期解決を訴えてきた。厚生労働省に赴いて7回にわたり粘り強く交渉したが、毎回ゼロ回答。補償方針を検討する専門委員会で、出席による意見陳述を許されたのは1度だけだった。「国は中身のない回答しかなく、不誠実な対応としか言えない」と振り返る。
 10月28日、東京都内での集会には、原告や支援者ら800人以上が集まった。「当事者の声を聴け」などのプラカードを掲げ、国は直接の謝罪や全額補償に早期に応じるべきだと声を上げた。登壇した北海道の原告鳴海真樹子(なるみ・まきこ)さんは、物価高騰で生活費は切迫しており「少しは安心した生活に戻れると思ったのに、いまだに削り取った保護費も返してくれない。こんなことが許されるのか」と憤った。
 訴訟弁護団によると、千人を超える原告のうち200人以上が既に亡くなった。政府は死亡した受給者は補償の対象外とする方針だ。
 野党幹部は「判決を受けた対応なのに、当事者である原告がほとんど関与しないまま決めてしまっていいのか」と指摘した。

生活保護

 最低生活費より収入が少ない人に不足分を支給する制度。最低生活費は、食費や光熱費といった日常生活の費用である「生活扶助」、家賃が中心の「住宅扶助」、医療サービス費用「医療扶助」などの合計額としている。金額は厚生労働相が定める生活保護基準を使って計算し、家族構成や地域で異なる。ここから年金などの収入を差し引いた額が生活保護費として支給される。8月時点で約165万世帯、約199万人が受給している。

(2025/11/21)

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