社会保険2026年05月14日 重い負担、放置許されず 低所得勤労層支援の出発点 提供:共同通信社

高市早苗首相は、減税と現金給付を組み合わせた新制度「給付付き税額控除」の導入に強い意欲を見せている。収入が少ない人は税や社会保険料の負担が諸外国に比べて重いことを浮き彫りにして、議論の「出発点」を示した日本総合研究所の翁百合シニアフェロー(66)に聞いた。
―収入と負担の関係性を分析した。
「児童手当や生活保護といった給付を差し引いた上で、税や社会保険料の負担が収入に占める割合を調べた。経済協力開発機構(OECD)の平均に比べ、共働きの子育て世帯は年収300万~400万円台で特に負担が重い。反対に、収入が平均を上回る世帯はそれほど重くないことも分かった。社会保険料の負担が主な要因だ」
―分析結果をどう見ているか。
「漠然とした負担感をデータで可視化できたことはよかったが、このまま放置してはいけないと思った。政府も関心を持ってくれた」
―給付付き控除は解決策になるか。
「一つの手段だ。今まで見落とされてきた低所得勤労層を支える初めての制度になる。収入に応じてなだらかに手取りが増える仕組みにすれば、働き控えを解消する効果も期待できる」
―制度設計を担う「社会保障国民会議」では有識者会議に委員として参加している。
「世帯ではなく個人単位で収入を把握し、対象を決めるべきだ。支援額や財源は今後議論が進むだろう。ただ、この仕組みだけで全てが解決するわけではない。税と社会保障の一体改革をさらに推進するというメッセージも大事だ」
―減税と給付の両立には実務上の課題を指摘する声もある。
「二つを組み合わせるのが教科書通りのやり方だが、手続きが複雑になり、すぐ日本に導入するのは難しい。減税相当分をまとめて給付する方が効率的であれば、それで問題ないと考える。国と地方が役割を分担し、オールジャパンで取り組むべきだ」
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おきな・ゆり 1960年、東京都生まれ。日銀などを経て日本総研理事長、2025年7月から現職。
(2026/05/14)
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