会計ニュース2002年12月20日 金融審議会・有価証券報告書の拡充の方針を固める リスク情報、MD&A、ガバナンス関連情報の開示へ
金融審議会金融分科会第一部会(部会長 神田秀樹東京大学法学部教授)は12月16日、「証券市場の改革促進」と題する報告書をとりまとめた。報告書では、有価証券報告書の記載事項拡充の方針を取り決めている。今回、新たに開示の対象となるのがリスク情報、ガバナンス関連情報、MD&A(経営者による財務・経営分析)の3つ。また、財務諸表の記載内容の適正性に関する代表取締役の確認も容認規定として加わる。2004年3月期から適用される。
経営者報酬、監査報酬の開示も
リスク情報としては、現行の有価証券届出書における「事業の概況等に関する特別記載事項」として例示されている事項(特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生など)が想定されている。公開会社としては、リスク情報をすべて吸い上げる内部統制を早急に構築することが迫られているといえる。
また、ガバナンス関連情報としては現行の「提出会社の状況」の箇所に一括して記載されることとなる。具体的には、会社の機関の内容、内部統制システム・リスク管理体制の整備の状況、役員報酬、監査報酬などに関する情報等が例示されている。ここで注目に値するのは、役員報酬と監査報酬の開示である。役員報酬については社内取締役と社外取締役とに分けて開示(各々総額のみ)されることとなる。個々の役員報酬の開示まで至らないものの一歩前進といえる。監査報酬については監査契約に基づく監査証明に係る報酬とそれ以外の報酬の区分となる。それ以外の報酬としては、各種コンサルティング報酬、デューデリジェンス・フィー、公開準備支援業務報酬、アニュアルリポートの作成報酬、SEC基準財務諸表作成報酬等が考えられる。もっとも、これらの業務のうち一部は二重責任の原則から監査法人が請け負うべきでない業務もある。そこで、金融審議会公認会計士制度部会では、被監査企業への非監査証明業務の同時提供の原則禁止の方針を打ち出している。今後は契約の見直しを迫られること必至と思われる。それを見越してすでに契約主体を関連税理士法人に移している監査法人も一部見受けられ、そのような回避行動に対しては果たして有効なディスクロージャー足りうるのか疑問視されているところだ。
MD&AはSEC基準(Regulation S-K 第303号)でも要求されているものであり、その具体例としては、経営成績に重要な影響を与える要因についての分析、資本及び流動性の源泉に係る情報等が考えられている。これにより、投資家にとってより精緻な企業分析が可能になると期待される。
なお、財務諸表の記載内容の適正性に関する代表取締役の確認については、容認規定となっているものの、現実的にはほとんどの公開会社において実施せざるを得ない状況と予測される。
経営者報酬、監査報酬の開示も
リスク情報としては、現行の有価証券届出書における「事業の概況等に関する特別記載事項」として例示されている事項(特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生など)が想定されている。公開会社としては、リスク情報をすべて吸い上げる内部統制を早急に構築することが迫られているといえる。
また、ガバナンス関連情報としては現行の「提出会社の状況」の箇所に一括して記載されることとなる。具体的には、会社の機関の内容、内部統制システム・リスク管理体制の整備の状況、役員報酬、監査報酬などに関する情報等が例示されている。ここで注目に値するのは、役員報酬と監査報酬の開示である。役員報酬については社内取締役と社外取締役とに分けて開示(各々総額のみ)されることとなる。個々の役員報酬の開示まで至らないものの一歩前進といえる。監査報酬については監査契約に基づく監査証明に係る報酬とそれ以外の報酬の区分となる。それ以外の報酬としては、各種コンサルティング報酬、デューデリジェンス・フィー、公開準備支援業務報酬、アニュアルリポートの作成報酬、SEC基準財務諸表作成報酬等が考えられる。もっとも、これらの業務のうち一部は二重責任の原則から監査法人が請け負うべきでない業務もある。そこで、金融審議会公認会計士制度部会では、被監査企業への非監査証明業務の同時提供の原則禁止の方針を打ち出している。今後は契約の見直しを迫られること必至と思われる。それを見越してすでに契約主体を関連税理士法人に移している監査法人も一部見受けられ、そのような回避行動に対しては果たして有効なディスクロージャー足りうるのか疑問視されているところだ。
MD&AはSEC基準(Regulation S-K 第303号)でも要求されているものであり、その具体例としては、経営成績に重要な影響を与える要因についての分析、資本及び流動性の源泉に係る情報等が考えられている。これにより、投資家にとってより精緻な企業分析が可能になると期待される。
なお、財務諸表の記載内容の適正性に関する代表取締役の確認については、容認規定となっているものの、現実的にはほとんどの公開会社において実施せざるを得ない状況と予測される。
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