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税務ニュース2003年11月24日 事前キャッチ!平成16年度「税制改正」早分かり(2003年11月24日号・№044) ニュース特集 今年はいったいどうなるんだろう? 誰が決めるのだろう?

ニュース特集

事前キャッチ!平成16年度「税制改正」早分かり

今年はいったいどうなるんだろう? 誰が決めるのだろう?


 平成16年度税制改正については、総選挙が行われた関係で、決定メカニズムが明らかになっていません。これまで税制改正の決定権限を事実上有していた自民党税調は、インナーと呼ばれる決定権を持つ会合のメンバーに、大幅な変更が余儀なくされます。一方で、11月末には政府税調の答申が、12月中旬には自民党税調・与党税調で平成16年度税制改正大綱が取りまとめられるスケジュールが明らかにされています。短期決戦での税制改正の方向性は不透明といわざるを得ませんが、有力な項目をおさらいしておきましょう。
表の見方:確実 :有望 :微妙 ×:先送り濃厚

1
個人所得課税(国税:所得税、地方税:個人住民税)

 個人所得課税については、政府税調が平成15年6月に取りまとめた「少子・高齢社会における税制のあり方」(以下「あり方」)で①年金課税等の見直し、②給与課税等の見直し、③人的控除の基本構造の見直し、④個人住民税のあり方、について課題としています。また、期限切れとなる住宅ローン減税への対応や定率減税の存廃が焦点となっています。

改正項目
改正内容
実現性
年金課税等の見直し 年金収入に対する公的年金等控除の圧縮、社会保険料控除の見直し、遺族年金等非課税給付の取扱いが検討課題となっていました。一方で年金受給制度・国庫負担の見直しが議論されており、年金の受給と課税の両面での整合性が求められています。平成16年度税制改正は短期決戦が強いられていますので、年金受給制度等も含めた包括的なプランを構築することは困難であると見ています。しかし、総選挙で年金改革が争点となったため、公的年金等控除の圧縮について、優先的に取り組む可能性もあります。
給与課税等の見直し給与所得控除の圧縮・明確化及び基礎控除の引上げが議論されてきました。給与所得控除の圧縮は、大衆増税となるので、本年度での改正は困難だと思われます。
×
人的控除の基本構造家族の就労に対して中立的な仕組みの確立(配偶者控除・扶養控除の見直し)の方向で議論してきました。来年度以降の検討項目だと思われます。
×
個人住民税個人住民税の均等割の引上げ(最大3,000円)、個人住民税の均等割について生計同一の妻に対する非課税措置の廃止が有力な検討課題に浮上してきています。
住宅ローン減税住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除する制度は、「平成15年12月31日までの間に居住した場合」に適用されることになっています。
現行制度の存続・縮小・拡大いずれの議論も出ていますが、方向性としては、減税規模の縮小と適用要件の緩和がセットされるのではないかと考えます。
定率減税所得税の定率減税(所得税額の20%相当額の減税。25万円を限度とする。)は、平成16年度税制改正での数少ない増税財源です。年金改革の財源として、議論されています。
 
2
法人課税(国税:法人税、地方税:法人住民税)

法人課税について、「あり方」では、税負担の水準や各種事業体課税のあり方を課題としていますが、各種事業体課税については、来年度以降の検討項目となります。金融3点セットのほか、日米租税条約対応が今年度の課題になっています。平成15年度税制改正に見られた研究開発税制の拡充などの大きなテーマは、政治的に検討、調整する時間が少ないことから打ち出されない模様です。
下記の改正項目のほか、「交際費等の損金不算入制度の見直し(廃止)」などが検討項目になります。


改正項目
改正内容
実現性
欠損金の繰越期間の延長
現行税制では、青色欠損金の繰越期間は、5年と規定されています。新規に発生した青色欠損金から繰越期間を7年(帳簿保存期間等を勘案)に延長する案が有力となっています。
繰戻し還付凍結措置の解除 欠損金(赤字)が生じた場合に、過去に納付した法人税を還付する「欠損金の繰戻しによる還付制度」は、厳しい財政状況のため、平成4年度から適用停止措置が設けられています。
1年(経済産業省)あるいは、16年(金融庁)の繰戻し還付制度の復活が要望されていますが、財政への影響が大きいため、財務省の「凍結維持」のガードは固いものと思われます。
×
貸倒引当金の損金計上要件の緩和貸倒引当金の損金計上の要件緩和が検討されています。貸倒引当金の損金計上の要件を満たすことができないために、不良債権を抱える金融機関では、有税償却が余儀なくされていました。執行当局(通達等の改正)での対応が具体的に検討されているようです。
連結付加税の廃止平成14年度から法人税に連結納税制度が導入されました。導入時において、法人税の減収対策として、2年間連結付加税を課すことになりました。法律どおりの2年間の適用ということで、連結付加税は廃止されそうです。

償却可能限度額の引上

減価償却資産の残存価額の引下げと、償却可能限度額の引上げが要望されています。現行制度は、無形固定資産等を除き、原則として残存価額は、取得価額の10%であり、償却可能限度額は、取得価額の95%となっています。
償却可能限度額については、設備の廃棄についてもコストを要する時代となっていることから、備忘価額(1円)までの償却が実現するかもしれません。 
試験研究費の見直しこれまで、減税の対象となる試験研究費の範囲に、兼務の研究員の人件費は認められていませんでした。中小企業では、専任の研究員を設けることが困難と考えられます。兼務の研究員の人件費を試験研究費に含めることの制度化が要望されています。
日米租税条約の改正に伴う関連整備日米新租税条約が締結されました。投資交流の促進(投資所得に関する源泉地国課税の大幅軽減など)と条約の濫用防止規定が盛り込まれています。日米租税条約の改正に伴う国内法上の整備が行われます。
 
3
消費税

 消費税については、「あり方」で将来の二桁税率に言及した記載もありますが、小泉首相が在任中は消費税率の引上げをしないことを言明しています。軽減税率の採用も含めて、来年度以降の検討項目になると思われます。

改正項目
改正内容
実現性

税率引上

来年度以降の検討項目と思われます。
×
軽減税率の採用来年度以降の検討項目と思われます。
×
インボイス方式の
採用
仕入税額控除にインボイス方式を採用することが、複数税率(軽減税率)を採用する場合に検討されることになります。
×
 
4
相続税・贈与税

 相続税については、「あり方」で課税ベースの拡大に触れています。経済産業省(中小企業庁)から自社株特例の拡充、厚生労働省から出資額限度法人制度の出資額評価が要望項目に挙がっています。

改正項目
改正内容
実現性
基礎控除額の引下げ
課税ベースの拡大が「あり方」にありますが、年度改正項目に取り上げられるかについては、動きが読めません。
自社株特例の拡充自社株特例の軽減率を10%から50%に引上げることを要望しています。中小企業関連として、一定の拡充措置が見込めるかもしれません。
出資額限度法人の
制度化
社団医療法人の出資の評価について、脱退・解散時の払戻し金額に出資払込額を限度とする制度を設け、出資額限度額法人については、相続・贈与時に出資額評価を認めることを要望する案が検討されています。厚生労働省は、「医業経営の非営利性等に関する検討会」を設けて、積極的に働きかけています。
 
5
土地・住宅税制

 「あり方」には、特段の記載はありませんが、固定資産税の負担水準の引下げは、前年度からの懸案として残されています。買換え・優良賃貸住宅等建設促進税制の延長等の要望も見受けられています。

改正項目
改正内容
実現性
大都市の商業地等の固定資産税等の軽減
地価が下落する一方で、大都市の商業地等の固定資産税等の実効税率が過去最高水準となっており、負担水準の軽減が要望されています。平成15年度からの積み残しの議論ですが、地方財政上の制約から、総務省も慎重に対応しています。
10年超所有資産の買換え 特例の延長個人又は法人が長期保有(10年超)する事業用資産(土地、建物等)を譲渡し、新たに事業用資産(土地、建物等)を取得した場合において、譲渡所得(利益)の80%の課税を繰延べる規定が、平成15年12月31日までの譲渡に限り適用されることになっています。廃止の方向で検討されていますが、延長することも考えられます。
特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越期間の延長 「特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越制度」を現行の3年間から延長する改正が要望されています。
 
6
金融・証券税制

金融・証券税制について、「あり方」では、「簡素かつ公平で安定的な制度の構築を念頭に、金融商品間の中立性を確保し、金融資産性所得を出来る限り一体化する方向を目指すべきである。」としています。金融資産性所得の一体化は、平成16年6月を目途に取りまとめられる予定で議論されてきました。

改正項目
改正内容
実現性
金融課税の一元化平成16年度税制改正では、「譲渡損益と配当所得間の損益通算」が要望されています。具体的な施策として「譲渡損益と配当所得間の損益通算」については不透明な状況です。
個人株主投資促進税制の創設年間一定限度額までは、特別な口座を通じた株式投資について、そこから生じた株式譲渡益等を非課税とする制度の創設が要望されています。イギリスの類似の制度から日本版PEP口座の創設ともいわれています。すでに導入された特定口座制度との関係から、慎重な姿勢で検討されていることだと思います。
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