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解説記事2004年08月03日 【税務通達等解説】 法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)の解説について(下)(2004年8月3日号・№077)

実 務 解 説
法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)の解説について(下)
高橋正朗

第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

1 第42条の11((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))関係

【新設】(事業年度の中途において特定事業者等に該当しなくなった場合の適用)
42の11-1
 法人が事業年度の指定期間(措置法第42条の11第1項に規定する指定期間をいう。以下同じ。)内の中途において措置法令第27条の11第1項に規定する特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるものの取得若しくは製作(以下「取得等」という。)をして事業の用に供したとき又は賃借をして事業の用に供したとき(事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供しているときに限る。)には、措置法第42条の11第1項、第2項、第3項若しくは第6項又は第7項若しくは第9項の規定の適用があることに留意する。
(1)措置法第42条の11第1項に規定するソフトウエア(以下「ソフトウエア」という。)
  その特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等又は賃借をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額又はリース費用の総額の合計額が措置法令第27条の11第1項、第2項若しくは第5項に規定する特定事業者等のソフトウエアに係る金額(70万円)又は同条第10項若しくは第13項に規定する特定事業者等のソフトウエアに係る金額(100万円)以上である場合の当該ソフトウエア
(2)措置法第42条の11第1項に規定する情報通信機器等(ソフトウエアを除く。以下「ソフトウエア以外の情報通信機器等」という。) その特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等又は賃借をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額又はリース費用の総額の合計額が措置法令第27条の11第1項、第2項若しくは第5項に規定する特定事業者等のソフトウエア以外の情報通信機器等に係る金額(140万円)又は同条第10項若しくは第13項に規定する特定事業者等のソフトウエア以外の情報通信機器等に係る金額(200万円)以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等
(注)法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が、措置法令第27条の11第1項、第2項又は第5項に規定する特定事業者等以外の法人のソフトウエアに係る金額(600万円)以上である場合の当該ソフトウエアについては、そのソフトウエアのすべてが対象となる。
  法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等についても、同様とする。

  
解説
1 情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度は、適用対象資産について規模基準を採用しており、次の情報通信機器等を取得等に係るものと賃借に係るものとに区分し、それぞれ次のものが適用対象となる(措法42の11、措令27の11、措規20の5の2)。


【情報通信機器等】
i 電子計算機及び附属設備
ii デジタル複写機及び附属設備
iii ファクシミリ及び附属設備
iv ICカード利用設備及び附属設備
v デジタル放送受信設備
vi インターネット電話設備及び附属設備
vii ルーター又はスイッチ及び附属設備
viii デジタル回線接続装置
ix ソフトウエア
(注) 法人税法施行令第133条((少額の減価償却資産の取得価額の損金算入))若しくは第133条の2((一括償却資産の損金算入))又は租税特別措置法第67条の8((中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例))の規定の適用を受けるものを除く

(1)取得等に係る特定情報通信機器等
  本制度のうち取得等に係る措置の適用対象となる特定情報通信機器等とは、その製作の後事業の用に供されたことのない情報通信機器等で、法人の資本の金額又は出資金額等の区分に応じ、それぞれ次に掲げる取得価額基準を満たすものをいう(措法42の11①②③⑥、措令27の11①②⑤、措規20の5の2①②)。
区   分
取 得 価 額 基 準
当該事業年度の指定期間内に取得等をしたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額
当該事業年度の指定期間内に取得等をしたソフトウエアの取得価額の合計額
(イ) 資本の金額又は出資金額が3億円超の法人(農業協同組合等を除く。)
600万円以上
600万円以上
(ロ) 上記(イ)に掲げる法人以外の法人(以下「特定事業者等」という。)
140万円以上
70万円以上


(2)賃借に係るリース情報通信機器等
  この制度のうち賃借に係る措置の適用対象となるリース情報通信機器等とは、その製作の後事業の用に供されたことのない情報通信機器等で、次の情報通信機器等の区分に応じ、それぞれ次に掲げるリース費用の総額の合計額となるものをいう(措法42の11⑦⑨、措令27の11⑩⑬、措規20の5の2①③)。

情報通信機器等の区分
リース費用の総額の合計額
当該事業年度の指定期間内に賃借をしたソフトウエア以外の情報通信機器等
そのリース費用の総額の合計額が200万円以上のもの
当該事業年度の指定期間内に賃借をしたソフトウエア
そのリース費用の総額の合計額が100万円以上のもの
(注) 賃借に係る措置は、特定事業者等が賃借する場合に限られる。

2 本制度の適用対象資産に該当するかどうかは、上記のように特定事業者等であるかどうかにより異なることとなることから、仮に、法人が事業年度の中途において増資を行ったこと等により特定事業者等に該当しないこととなった場合に、どのように取り扱われるかが問題となる。
  この判定に当たっては、一つに、事業年度の一時点を捉えて資本金3億円超の法人であるかどうかを決めるという手法もあり得るが、その場合、設備投資減税が設備の取得に着目した特例措置であるにもかかわらず、その取得の時点に連動しないという問題が生じる上、その事業年度に取得した設備の取得価額の合計額が取得価額基準に満たない場合に、ある一時点だけ減資して低い方の取得価額基準を選択することが可能になるなどの弊害が生じ得る。
  そこで、これまでの設備投資に係る中小企業者等の要件判定と同様に、法人が事業年度の中途において増資を行ったこと等により特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得等又は賃借をして事業の用に供したものについては、特定事業者等が取得等又は賃借をしたものとして本制度の適用を認めることが本通達において明らかにされている。
3 具体的には、法人が事業年度の中途において特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、次に掲げる区分に応じて、それぞれ次に定めるものの取得等をして事業の用に供したとき又は賃借をして事業の用に供したとき(事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供しているときに限る。)には、本制度の適用があることとされている。
(1)ソフトウエア
イ 取得等に係る措置
  特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上である場合の当該ソフトウエア。ただし、法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が600万円以上である場合の当該ソフトウエアについては、そのソフトウエアのすべてが対象となる。
ロ 賃借に係る措置
  特定事業者等に該当していた指定期間内に賃借をして事業の用に供していたソフトウエアのリース費用の総額の合計額が100万円以上である場合の当該ソフトウエア。
(2)ソフトウエア以外の情報通信機器等
イ 取得等に係る措置
  特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額が140万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等。ただし、法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額が600万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等については、そのソフトウエア以外の情報通信機器等のすべてが対象となる。
ロ 賃借に係る措置
  特定事業者等に該当していた指定期間内に賃借をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等のリース費用の総額の合計額が200万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等。
4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-1)が新たに定められている。

【新設】(取得価額の判定単位と適用対象となる「特定情報通信機器等」)
42の11-2
 ソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額又はソフトウエアの取得価額の合計額が措置法令第27条の11第1項に規定する600万円以上若しくは140万円以上又は600万円以上若しくは70万円以上であるかどうかについては、措置法規則第20条の5の2第1項各号に掲げるもの(令第133条若しくは第133条の2の規定の適用を受けるもの又は措置法第67条の8の規定の適用を受けるものを除く。)を措置法規則第20条の5の2第1項第1号から第8号までの情報通信機器等と同項第9号の情報通信機器等とに区分し、それぞれの取得価額の合計額により判定する。この場合、その取得価額基準を満たす情報通信機器等については、その区分ごとに、措置法第42条の11第1項又は第6項のいずれかの規定を適用することに留意する。
 措置法令第27条の11第2項、第5項、第10項又は第13項に規定する合計額の判定においても、同様とする。
(注)上記のそれぞれの区分ごとにその区分に属する特定情報通信機器等(措置法第42条の11第1項に規定する特定情報通信機器等をいう。)又はリース情報通信機器等(同条第7項に規定するリース情報通信機器等をいう。)の一部について同条第1項若しくは第6項又は第7項の規定の適用を受けた場合には、各区分に属するそれ以外のものについて措置法第53条各号に掲げるその他の規定を適用することはできないことに留意する。


解説
1 情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度において、情報通信機器等が適用対象となる特定情報通信機器等に該当するかどうかの判定は、一事業年度の指定期間内において取得等をしたすべての情報通信機器等(法人税法施行令第133条 ((少額の減価償却資産の取得価額の損金算入))若しくは第133条の2 ((一括償却資産の損金算入))又は租税特別措置法第67条の8 ((中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例))の規定の適用を受けるものを除く。)について、
① ソフトウエア以外の情報通信機器等(いわゆるハードウエア)
② ソフトウエア
 との2つに区分した上で、それぞれの区分ごとに情報通信機器等を一括りにしてその取得価額の合計額を求め、その取得価額の合計額が、その法人の資本の金額又は出資金額等の区分に応じたそれぞれの取得価額基準を満たすかどうかにより行い、これを満たすものの「集合体」が本制度の適用対象となる特定情報通信機器等に該当することとされている(措法42の11①、措令27の11①、措規20の5の2①)。
  したがって、取得価額基準に満たない①のソフトウエア以外の情報通信機器等を②のソフトウエアと、又は、取得価額基準に満たない②のソフトウエアを①のソフトウエア以外の情報通信機器等と、それぞれ一括りにグルーピングすることはできない。
2 また、取得価額基準を満たす「集合体である特定情報通信機器等」について、特別償却制度と法人税額の特別控除制度とのいずれかの制度を選択して適用することはできるが、その集合体である特定情報通信機器等を任意に細分化して、その細分化後の区分ごとにいずれかの制度を選択して適用することはできない。
  なお、ソフトウエア以外の情報通信機器等には特別償却制度を、ソフトウエアには法人税額の特別控除制度を適用すること、あるいはそれぞれその逆の制度を適用することは可能である。
3 ところで、一の資産が2以上の特別償却等の規定の適用を受けることができる場合には、そのうちいずれか一の規定のみを適用するという特別償却等の重複排除の規定(措法53、措令32)が置かれている。本制度の取得価額基準を満たす「集合体である特定情報通信機器等」については、それを一の資産とみるわけであるから、その一部について本制度の特別償却制度と法人税額の特別控除制度とのいずれかの制度の適用を受けた場合には、その集合体である特定情報通信機器等に属するそれ以外のものについて租税特別措置法第53条 ((特別償却等に関する複数の規定の不適用))各号に掲げるその他の特別償却制度や法人税額の特別控除制度等の規定の適用を受ける余地は残されていない。
  本通達において、これらのことが明らかにされている。
4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-2)が新たに定められている。


【新設】(貸付けの用に供したものに該当しない資産の貸与)
42の11-4
 措置法第42条の11第1項に規定する法人が、その取得等又は賃借をした情報通信機器等を自己の下請業者に貸与した場合において、当該情報通信機器等が専ら当該法人のためにする製品の加工等の用に供されるものであるときは、当該情報通信機器等は当該法人の営む事業の用に供したものとして取り扱う。
(注)物品賃貸業を営む法人は、貸付けの用に供した情報通信機器等につき措置法第42条の11第1項から第3項まで又は第6項、第7項若しくは第9項の規定の適用を受けることができないことに留意する。


解説
 法人が、その取得等又は賃借をした情報通信機器等について、租税特別措置法第42条の11の規定による特別償却等又はリース税額控除の適用を受けるためには、当該情報通信機器等を自己の事業の用に供することを要し、他の者に貸し付けるような場合には、その適用はないこととされている(措法42の11①等)。
 しかしながら、一口に貸付けといっても、その貸付けをするに至った事情や貸付けの態様には様々なものがあり、これを一律に本制度の適用対象外とすることには、やや問題があると考えられる。
 そこで、本通達において、形式的には情報通信機器等の貸与であっても、実質的には自ら事業の用に供した場合と同視し得るとき、すなわち、その取得等又は賃借をした情報通信機器等を自己の下請業者に貸与した場合において、その情報通信機器等が、専らその法人のためにする製品の加工等の用に供されるときは、その情報通信機器等はその法人の営む事業の用に供したものとして取り扱い、本制度の適用を認めることが明らかにされている。
 なお、リース業者などの物品賃貸業を営む法人は、広く一般のユーザー(賃借人)に対して物品を貸し付けることから、このような法人が貸付けの用に供する情報通信機器等については、上記のような取扱いの適用はなく、本制度の適用はないことになる。
 本通達の(注)において、このことについて留意的に明らかにされている。
 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-4)が新たに定められている。
 
 
【新設】(ソフトウエアの改良費用)
42の11-5
 法人が、その有するソフトウエアにつき新たな機能の追加、機能の向上等に該当するプログラムの修正、改良等のための費用を支出した場合において、その付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものと認められるときは、当該費用の額をソフトウエアの取得価額として措置法第42条の11第1項、第2項又は第6項の規定の適用があるものとする。

解説
1 本制度においては、従来の特別償却制度とは異なり、電子計算機等のハードウエアのほかソフトウエアについても、その製作の後事業の用に供されたことのないものを取得又は製作(以下この項において「取得等」という。)して事業の用に供した場合に特別償却等の対象とすることとされている。
2 通常、法人が既存の情報通信機器等について同種の上位機種等への切換えをする場合において、電子計算機等のハードウエアであれば同種の上位機種への物理的な買換えを行うところ、ソフトウエアについては既存のプログラムに改良等を加えるバージョンアップという手段により同種の上位製品に切り換えることが多い。このように行われるバージョンアップの中には、例えば、ワープロソフトの対応フォントを追加するものなどのように既存の機能を強化・拡充する程度のバージョンアップもあれば、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を既存のものに追加するなど、実質的に新たにソフトウエアを購入したことと同視し得るバージョンアップもある。
3 ところで、法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、その修正等が、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当し(基通7―8―6の2)、法人税法上は量的支出ではなく質的支出があったものとして既存のソフトウエアの取得価額に加算することとされている。
  この資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用については、そのバージョンアップ等により上記2のような実質的に新製品を購入したことと同様の状況にあるときであっても、法人税法上、既存のソフトウエアの取得価額に加算するものであることから、新たなソフトウエアの取得等には該当せず、本制度の適用対象にはならないのではないかとの疑問が生じる。
4 この点、有形減価償却資産である建物等の場合には、増築、拡張、延長などのように既存の資産に物理的に付加される部分に係る量的支出については資本的支出ではなく新たな資産の取得そのものとして取り扱われるところ(基通7-8-1(注))、無形減価償却資産であるソフトウエアの場合にも、実質的に新たな資産の取得と同視し得るバージョンアップ等については、それが既存のプログラムの改良等に係る支出であっても、新たな資産の取得として取り扱う余地がある。
  さらに、本制度は、広く我が国の企業全体の事業効率化、付加価値向上のためIT投資を促進するという観点から、ハードウエアのみならずソフトウエアを含むIT投資全体を制度の対象とすることとされているものであるという制度創設の趣旨及びソフトウエアについては新規製品に切り換える場合に既存の製品のバージョンアップという手段をとることが一般的であるという状況を踏まえると、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用であっても、実質的に新たなソフトウエアを取得したものと同視し得るものについては、本制度の適用の場面においては、新たなソフトウエアの取得等として取り扱うことが相当である。
  そこで、本通達において、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用のうち、その新たに付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものに係る費用については、本制度の適用対象となることが明らかにされている。
5 なお、経済産業省においては、ソフトウエアのバージョンアップ等が行われた場合において、それが本制度の適用対象となる新たなソフトウエアの取得に当たるかどうかの判断に関し、その判断基準や具体的事例を、ホームページにおいて公表している。
 (http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/it_invest.5.htm
6 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-5)が新たに定められている。


【新設】(情報通信機器等の対価につき値引きがあった場合の税額控除限度額の計算)
42の11-7
 法人が措置法第42条の11第1項(同法第68条の15第1項を含む。)に規定する特定情報通信機器等を事業の用に供した日を含む事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度。以下42の11-7において「供用年度」という。)後の事業年度において当該特定情報通信機器等の対価の額につき値引きがあった場合には、供用年度にさかのぼって当該値引きのあった特定情報通信機器等に係る措置法第42条の11第6項(同法第68条の15第6項を含む。)に規定する税額控除限度額の修正を行うものとする。

解説
 法人が租税特別措置法第42条の11第1項に規定する特定情報通信機器等の取得等をして、事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」という。)の法人税額から当該特定情報通信機器等の取得価額の10%相当額(ただし、法人税額の20%相当額を限度とする。)を控除することとされている(措法42の11⑥)。
 本通達においては、法人が特定情報通信機器等の取得等をして、これに本制度による法人税額の特別控除の適用を受けた場合において、その後の事業年度において、当該特定情報通信機器等の対価の額について値引きがあったときには、供用年度にさかのぼって特別税額控除額の修正を行うべきことが明らかにされている。
 この取扱いの趣旨は、本制度における特別税額控除限度額の算定が特定情報通信機器等の取得価額を基礎としていることから、これを奇貨として行われる不正取引(通謀による価額の水増し)を排除することにある。
 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-7)が新たに定められている。 
 
【新設】(リース費用の均等支払の判定)
42の11-10
 情報通信機器等に係るリース契約の締結に当たってその契約の履行を担保するための保証金等を支払うこととされている場合において、その金額がリース契約の締結に当たって通常授受される程度のものであるときは、当該保証金等がリース契約期間終了直前の一定期間のリース料等に充当することとされているときであっても、当該リース契約が措置法令第27条の11第9項第3号の要件に該当するかどうかは、その保証金等の支払がないものとして判定したところによることができるものとする。

解説
 情報通信機器等を賃借した場合のリース税額控除は、リース契約においてリース費用の総額がリース契約期間内に均等額により定期的に支払われることとされていることが適用要件の一つとなっている(措令27の11⑨三)。
 ところで、リース業界においては、リース契約の締結に当たってその契約の履行を担保するために、ユーザーからリース料の2~3カ月分程度に相当する金額の保証金を徴し、これをリース契約期間終了直前の2~3カ月分のリース料に充当することが少なくないようである。しかしながら、仮にこのような保証金が徴されているとしても、それはリース契約期間の終了直前に至るまではあくまでも保証金としての性格を失うものではないし、また、このような慣行が一般的であるとすれば、その支払があったことをもってリース料の均等支払の要件を欠くとしてリース税額控除の適用を認めないこととするのも本制度創設の趣旨に沿わないことになると考えられる。
 そこで、本通達においては、このような保証金等の授受をすることとされている場合においても、その金額がリース契約の締結に当たって通常授受される程度のものであるときは、その保証金等の支払がないものとして、リース料が均等かつ定期的に支払われることになっているかどうかを判定することとされている。すなわち、その保証金等を除いたところでリース料の支払が均等かつ定期的に行われることとされているかどうかを判定し、本制度の適用の有無を判断すればよい、ということとされている。
 なお、ここで「通常授受される程度のもの」とは、業界の一般的な慣行として授受されている程度のものということであり、具体的にはリース料のおおむね2~3カ月分程度のものということである。
 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-10)が新たに定められている。
 
 
【新設】(リース費用に含まれない費用)
42の11-11
 法人が賃借するソフトウエア以外の情報通信機器等に係る措置法令第27条の11第10項に規定する「政令で定める費用の総額」の判定に当たっては、当該情報通信機器等に係るソフトウエアの費用(当該情報通信機器等に組み込まれているいわゆる基本ソフトウエアに係るものを除く。)、リース契約に基づく賃借料とは別に支払う当該情報通信機器等の引取運賃等はその総額に含まれないことに留意する。

解説
 情報通信機器等に係るリース税額控除制度の特別税額控除限度額は、当該情報通信機器等のリース費用の総額の60%相当額に10%を乗じた金額とされており(措法42の11⑦)、この場合のリース費用の総額とは、リース契約期間内において支払われるべき費用の額から「情報通信機器等の賃借に係る費用の額に該当しない費用の額」を控除した残額をいうものとされている(措令27の11⑩)。
 そこで、本通達において、リース費用の総額に含まれない「情報通信機器等の賃借に係る費用の額に該当しない費用」が例示されている。
すなわち、ソフトウエア以外の情報通信機器等のリース契約にあっては、例えば、その賃借をした情報通信機器等に係るソフトウエアのリース料、リース契約に基づく賃借料とは別に支払う引取運賃等は、リース税額控除限度額の計算の基礎となるリース費用には含まれないことが明らかにされている。
 ただし、法人が賃借するソフトウエア以外の情報通信機器等に当初から組み込まれているいわゆる基本ソフトウエアのようなものはハードウエア本体と一体のものとして取り扱われる。これは、その情報通信機器等に固定的に組み込まれていて、最低限そのソフトウエアがなければその情報通信機器等そのものが作動しないというような基本的なソフトウエアは、情報通信機器等そのものであるとみて差し支えないという考え方によるものである。
 なお、基本ソフトウエアを除いたオプション的なソフトウエアのリース費用については、ソフトウエア以外の情報通信機器等の本体のリース費用の額とは区分して、その総額につき本制度のリース税額控除の適用対象となるかどうかの判定を行うことになる。
 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15 ((情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))についても、同様の通達(連措通68の15-11)が新たに定められている。
 
2 第44条の3開発研究用設備の特別償却関係

【新設】(開発研究の意義)
44の3-1
 措置法第44条の3第1項に規定する「開発研究」(以下「開発研究」という。)とは、次に掲げる試験研究をいう。
(1)新規原理の発見又は新規製品の発明のための研究
(2)新規製品の製造、製造工程の創設又は未利用資源の活用方法の研究
(3)(1)又は(2)の研究を基礎とし、これらの研究の成果を企業化するためのデータの収集
(4)現に企業化されている製造方法その他の生産技術の著しい改善のための研究


解説
1 平成15年度の税制改正により、開発研究用設備の特別償却制度が創設された。本制度は、青色申告法人で開発研究を行うものが、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、開発研究用設備の取得等をして、これを国内にある当該法人の開発研究の用に供した場合には、その開発研究の用に供した事業年度(平成15年4月1日以後に終了する事業年度に限る。)において、その開発研究用設備の特別償却を認めるというものである(措法44の3①)。
2 本制度の対象となる開発研究用設備は、上記のとおり法人の開発研究の用に供さなければならないが、この場合の「開発研究」とはいかなるものなのかが問題となるところ、法令上は、租税特別措置法施行令第28条の6第1項において、「開発研究」とは、「新たな製品の製造」若しくは「新たな技術の発明」又は「現に企業化されている技術の著しい改善」を目的として「特別に行われる試験研究」をいう旨が定められている。
  この「新たな製品」や「新たな技術」は今まで世の中に全くなかった製品・技術という意味であり、その法人における従来の製品・技術とは構造、性能、原理、方法等が全く異なるものをいうとともに、「現に企業化されている技術の著しい改善」は自社が開発した製造方法等の生産技術の著しい改善という意味である。このことから、現在生産している製品の改良のためのいわゆる通常研究や他社が開発した製造工程等の研究は、本制度でいう「開発研究」に含まれないこととなる。
3 そこで、本通達においては、この「開発研究」に該当する試験研究の範囲を具体的に明らかにするため、個別に列挙したものとなっている。
  なお、本通達は、耐用年数省令第2条第4号に規定する「開発研究の用に供されている減価償却資産」に係る「開発研究」の意義を明らかにした耐用年数通達2-24-1と同趣旨によるものとなっている。
  また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の20の2 ((開発研究用設備の特別償却))についても、同様の通達(連措通68の20の2-1)が新たに定められている。
  
  
【新設】(専ら開発研究の用に供されるもの)
44の3-2
 措置法令第28条の6第2項に規定する専ら開発研究の用に供される機械及び装置並びに器具及び備品とは、専ら開発研究の用に供されるものをいうのであるから、開発研究を行う施設において供用されるものであっても、他の目的のために使用されている減価償却資産で必要に応じ開発研究の用に供されるものは、これに該当しないことに留意する。

解説
 本制度の適用対象となる開発研究用設備は、「専ら同項(措法44の3①)に規定する開発研究の用に供される機械及び装置並びに器具及び備品」という要件を満たす必要があり(措令28の6②)、この特定の用途に供される減価償却資産について特別償却を認めるというのが本制度の趣旨である。したがって、通常は他の用途に供されているが、臨時的に「開発研究の用」に供される減価償却資産は本制度の対象とならない。本通達においては、このことが念のため明らかにされている。
 これに対して、通常は「開発研究」に専用されている機械及び装置については、臨時的に他の目的のために使用されることがあっても、本制度の対象となる開発研究用設備に該当することとなる。
 なお、本通達は、耐用年数省令別表第八に係る「開発研究用減価償却資産」の意義を明らかにした耐用年数通達2-24-2と同趣旨によるものである。
 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の20の2 ((開発研究用設備の特別償却))についても、同様の通達(連措通68の20の2-2)が新たに定められている。
 

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