カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2002年12月09日 医療法人の出資持分評価で最高裁判決に注目集まる 判決内容に関わらず出資持分の「時価評価」は動かず?

医療法人の出資持分評価で最高裁判決に注目集まる
判決内容に関わらず出資持分の「時価評価」は動かず?


 財産評価基本通達上、医療法人の出資持分の評価は「取引相場のない株式」の評価に準じて評価されることになっている(財基通194-2)。しかし、東京のある医療法人を巡る持分払戻請求訴訟では、「相続人への払戻額は、被相続人が実際に払込んだ出資額でよい」とする最高裁判決が下される可能性が高まっており、財基通に与える影響に注目が集まっている。

高裁では「出資額」による払戻しを認める 
この裁判の争点は、出資者の一人が死亡したことに伴ってその出資者の相続人が医療法人に対して行った「出資持分払戻請求」に関し、払戻し額が「出資の時価相当額」なのか、あるいは「被相続人が実際に出資した額」なのかという点である。
 原告である相続人は「純資産価額に被相続人の出資割合を乗じて計算した37億4,900万円が払戻請求権の額である」と主張。その一方、医療法人側は「被相続人の出資額の1,087万円余りが払戻額である」と主張した。
 医療法人側がこのように主張する背景には、当該相続が発生する1週間前に、「時価により出資持分の払戻請求がされたら医療法人の存続が脅かされる」という理由から、持分の払戻額を「払込みの出資額」とする旨の定款変更を行っていたことがある。この点について東京高裁では、定款変更は「病院の継続を図るという正当な目的のものである」としてその有効性を認め、相続人への払戻額を「被相続人が払込んだ出資額」である1,087万円余りとした。つまり、医療法人側の主張を認めている。

残存する出資者には贈与税課税の可能性も
 本件は現在最高裁で審理が行なわれているが、仮に最高裁で原審どおり確定したとしても、医療法人の出資持分の評価は、現行通り、「取引相場のない株式」の評価に準じて行うことになりそうだ。財基通194-2は、あくまで「出資」の評価を定めたものにすぎず、「持分払戻請求権」の評価を定めたものではないからだ。「出資」とは、出資者が生存している場合及び相続人が出資者の地位を承継した場合に用いる概念であるため、194-2は、出資者が生前に当該出資を贈与した場合や、相続人が出資者としての地位を承継した場合は網羅することができる。
 しかし、出資者が死亡して相続人が払戻請求権を行使した場合には、出資は「払戻請求権」に転化しているため、194-2により評価できない。現行財基通には、払戻請求権を評価する規定はないので、その評価は総則第5項で対応することになる。
 なお、出資額による払戻しを行った場合には、残存する出資者について贈与税の課税関係が生じる可能性がある。これは、出資の時価と実際の払戻額との差額に相当する価値が医療法人に残ることとなり、残存する出資者の持分の価値を増加させることになるからである。これは、相続税法上、経済的利益の移転に他ならないと考えられている(相続税法9条)。




当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索