税務ニュース2004年03月29日 東京地裁民事3部はポリシーを崩さず(2004年3月29日号・№060) ストック・オプション訴訟、久々の納税者側勝訴!
東京地裁民事3部はポリシーを崩さず
ストック・オプション訴訟、久々の納税者側勝訴!
東京地裁民事3部(鶴岡稔彦裁判長)は3月16日、「本件ストック・オプションの権利行使利益は一時所得として課税されるべき」と判示し、同じ民事3部の藤山雅行裁判長が一昨年11月に下した同種の訴訟での判決内容を維持し、納税者を勝訴とする判決を言渡した。
「課税庁側の主張内容は“擬制に基づく課税”」と言及
鶴岡裁判長は、「“ストック・オプション”という権利そのものと、権利行使利益は、別個のものであり、前者(“ストック・オプション”という権利そのもの)を給与所得ということはできても、後者(権利行使利益)を給与所得ということはできない。また、権利行使利益を取得する局面においては、原告と米国親会社との間には使用者と従業員という関係は見られず、コールオプション取引をした一般当事者と同様の関係しかない。そして、以上のように考えると、課税庁が主張する内容は、結局のところ、ストック・オプションの付与時又は権利行使可能時に給与所得課税することができないから、権利行使時に権利行使益に対する給与所得課税を行う“擬制に基づく課税”であり、このような見解は、法律上の手当てなしには採用することができない。」と判示した。このような判決文の内容は、一昨年11月の民事3部の判決を基本的には踏襲しながらも、「法律上の手当てなしには…」の部分を、「付言」から「まとめ」に昇格させて強調したものとの印象を与えている。
東京地裁民事3部の行政側に厳しい判断は健在
ストック・オプションの権利行使利益の所得区分を巡る裁判では、今年1月21日の横浜地裁から、国側を勝たせる判決が相次いで言渡されていた。東京地裁の控訴審を担当する東京高裁においても、第8民事部(村上敬一裁判長)・第12民事部(相良朋紀裁判長)がストック・オプションの権利行使利益の所得区分を給与所得とする国側勝訴の判決を言渡している。このうち、高裁第12民事部判決は、地裁民事3部判決を取り消して、国側を勝たせたものである。このような上級審の判断を受けて、行政側に厳しい判断を下すことで評判の「東京地裁民事3部」が注目されていたが、上記のとおり、東京地裁民事3部は、行政側に厳しい判断を変えていない。
今回の判決の裁判長裁判官は、鶴岡稔彦判事であり、鶴岡判事は、平成14年11月26日の民事3部納税者勝訴判決についても、藤山雅行裁判長裁判官の下、合議体に参加していた。今回の判決には、藤山判事は合議体に加わっていないが、裁判長(合議体)は変わっても、東京地裁民事3部は、行政側に厳しい姿勢を崩さなかった。
ストック・オプション訴訟、久々の納税者側勝訴!
東京地裁民事3部(鶴岡稔彦裁判長)は3月16日、「本件ストック・オプションの権利行使利益は一時所得として課税されるべき」と判示し、同じ民事3部の藤山雅行裁判長が一昨年11月に下した同種の訴訟での判決内容を維持し、納税者を勝訴とする判決を言渡した。
「課税庁側の主張内容は“擬制に基づく課税”」と言及
鶴岡裁判長は、「“ストック・オプション”という権利そのものと、権利行使利益は、別個のものであり、前者(“ストック・オプション”という権利そのもの)を給与所得ということはできても、後者(権利行使利益)を給与所得ということはできない。また、権利行使利益を取得する局面においては、原告と米国親会社との間には使用者と従業員という関係は見られず、コールオプション取引をした一般当事者と同様の関係しかない。そして、以上のように考えると、課税庁が主張する内容は、結局のところ、ストック・オプションの付与時又は権利行使可能時に給与所得課税することができないから、権利行使時に権利行使益に対する給与所得課税を行う“擬制に基づく課税”であり、このような見解は、法律上の手当てなしには採用することができない。」と判示した。このような判決文の内容は、一昨年11月の民事3部の判決を基本的には踏襲しながらも、「法律上の手当てなしには…」の部分を、「付言」から「まとめ」に昇格させて強調したものとの印象を与えている。
東京地裁民事3部の行政側に厳しい判断は健在
ストック・オプションの権利行使利益の所得区分を巡る裁判では、今年1月21日の横浜地裁から、国側を勝たせる判決が相次いで言渡されていた。東京地裁の控訴審を担当する東京高裁においても、第8民事部(村上敬一裁判長)・第12民事部(相良朋紀裁判長)がストック・オプションの権利行使利益の所得区分を給与所得とする国側勝訴の判決を言渡している。このうち、高裁第12民事部判決は、地裁民事3部判決を取り消して、国側を勝たせたものである。このような上級審の判断を受けて、行政側に厳しい判断を下すことで評判の「東京地裁民事3部」が注目されていたが、上記のとおり、東京地裁民事3部は、行政側に厳しい判断を変えていない。
今回の判決の裁判長裁判官は、鶴岡稔彦判事であり、鶴岡判事は、平成14年11月26日の民事3部納税者勝訴判決についても、藤山雅行裁判長裁判官の下、合議体に参加していた。今回の判決には、藤山判事は合議体に加わっていないが、裁判長(合議体)は変わっても、東京地裁民事3部は、行政側に厳しい姿勢を崩さなかった。
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