カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

資料2006年01月31日 【裁決事例】 譲渡担保財産が将来債権である場合、当該債権が譲渡担保財産となった時期は、譲渡担保契約の締結時ではなく、当該債権が現実に発生した時であるとした事例(A社の滞納国税に係る譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分/棄却)

(平17.6.1裁決、裁決事例集No.69 458頁)

《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
 本件は、譲渡担保権者である審査請求人(以下「請求人」という。)に対し、国税徴収法(以下「徴収法」という。)第24条《譲渡担保権者の物的納税責任》第2項の規定に基づいて行われた告知処分について、その一部が違法であるとして取消しが求められた事案であり、争点は次のとおりである。
争点 譲渡担保契約に係る譲渡対象財産が将来発生する債権(以下「将来債権」という。)である場合、当該債権が徴収法第24条第6項でいう譲渡担保財産となった時期は、譲渡担保契約の締結日か、若しくは債権が現実に発生した日のいずれか。
(2)審査請求に至る経緯
イ 原処分庁は、A社(以下「滞納法人」という。)に係る別表記載の滞納国税(以下「本件滞納国税」という。)を徴収するため、滞納法人がB社に対して有する平成16年7月分及び同年8月分の売掛金(以下「本件売掛債権」という。)のうち600万円が、徴収法第24条第1項でいう譲渡担保財産に当たるとして、請求人に対し、平成16年8月31日付で、同条第2項に規定する譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分(以下「本件告知処分」という。)をした。
ロ 請求人は、これを不服として、平成16年10月28日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成17年1月6日付で棄却の異議決定をした。
ハ 請求人は、異議決定を経た後の原処分になお不服があるとして、平成17年2月4日に審査請求をした。
(3)関係法令等
イ 徴収法第24条第1項は、納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっている譲渡担保財産があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる旨規定している。
ロ 徴収法第24条第2項は、同条第1項の規定により徴収しようとするときは、譲渡担保権者に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない旨規定している。
ハ 徴収法第24条第6項は、同条第1項の規定は、譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を、その財産の売却決定の前日までに証明した場合には、適用しない旨規定している。
ニ 国税徴収法基本通達第24条関係譲渡担保権者の物的納税責任30《譲渡担保財産が集合物である場合》(以下「本件通達」という。)は、「集合物が譲渡担保財産である場合において、その担保権設定後その集合物に財産を加えたときにおける徴収法第24条第6項の規定の適用に当たっては、その加えられた財産が集合物として同一性がある限り、当初の譲渡担保設定のための譲渡の時期をもって、その財産の譲渡担保財産となった時として取り扱う」旨、更に、その注書において、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となり得る(昭和54.2.15最高判)」旨、また、「譲渡担保設定後その集合物に新たに財産が加えられたため、その譲渡担保財産の価額が、当初の譲渡担保財産の価額を超える場合には、その超えている部分に相当する財産については、譲渡担保を新たに設定したものとして取り扱う」旨それぞれ定めている。
(4)基礎事実
 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、滞納法人が請求人に対し現に負担し並びに将来負担する商品代金等の一切の債務を担保するため、平成15年4月○日に滞納法人との間で、次の内容の債権を譲渡する旨の譲渡担保契約(以下「本件譲渡担保契約」という。)を締結したこと。
(イ)債権者 A社
(ロ)債務者 B社
(ハ)債権 債権者と債務者間の継続取引から発生する商品の売買代金等で、本件譲渡担保契約の締結時現に存し、また、同契約締結日から平成20年4月□日までの5年間に発生する債権のうちの600万円
ロ 請求人は、本件譲渡担保契約の趣旨を明確にするため、滞納法人及びB社との間で覚書を取り交わし、公証人役場において当該覚書に平成15年4月△日付の認証(確定日付第○○号)を得たことにより、本件譲渡担保契約は、指名債権譲渡の第三者対抗要件を具備したこと。
ハ 本件売掛債権は、平成16年7月1日以後の取引により発生したものであること。
ニ 本件告知処分時において、滞納法人の財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められる状況にあったこと。

2 主張
 請求人及び原処分庁の主張は、別紙のとおりである。

3 判断
 本件審査請求の争点は、本件売掛債権が、徴収法第24条第6項でいう譲渡担保財産となった時期にあるので、審理したところ次のとおりである。
(1)将来債権を譲渡する契約とその債権の移転時期について
イ 請求人は、譲渡担保契約において、譲渡の対象となる債権をその契約の時点で譲渡することを定めた場合(基本契約型)、それが将来債権であっても、譲渡担保契約の締結時に譲受人に移転する旨主張する。
 しかしながら、将来債権は、これを譲渡する契約を締結したとしても、その時点において債権が現実に存在しないことは明らかであり、譲渡契約と同時に債権が移転することは不可能である。したがって、同契約は、原処分庁が主張するように、将来、その債権が発生した時に、その権利を直ちに取得できるという一種の期待権を譲受人に取得せしめることを目的とするものにすぎないと解するのが相当である。
 そうすると、請求人の主張をもって、直ちに将来債権の移転時期が譲渡担保契約の締結時であるとはいえない。
ロ また、請求人は、平成13年判決において、「既に生じ、又は将来生ずべき債権は、甲(譲渡人をいう。以下同じ。)から乙(譲受人をいう。以下同じ。)に確定的に譲渡されている」と判示したことをもって、将来債権は譲渡担保契約を締結した時に譲受人に移転される旨主張する。
 確かに、平成13年判決は、「既に生じ、又は将来生ずべき債権は、甲から乙に確定的に譲渡されており、ただ、甲、乙間において、乙に帰属した債権の一部について、甲に取立権限を付与し、取り立てた金銭の乙への引渡しを要しないとの合意が付加されているものと解すべきである。」旨判示し、「確定的に譲渡されて」いる旨の文言を用いている。
 しかしながら、この判示は、争点となっていた債権譲渡の債務者に対する通知に第三者対抗力を認めるか否かという点についての判断理由の一つとして、当該通知が、確定した譲渡の事実に係る通知である旨を述べて、当該通知の効力を肯定したものであって、将来債権の譲渡時期について明示したものではない。
 そうすると、平成13年判決の「確定的に譲渡されて」との判示をもって、直ちに将来債権を譲渡した場合の譲受人への権利移転時期が譲渡契約締結時ということはできないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
ハ さらに、請求人は、徴収法第24条第6項の譲渡担保財産となった時期を、原処分庁が主張するように債権が発生した時と解すると、譲渡担保設定時に知り得ない租税債権が担保権に優先することとなり、譲渡担保権者が不測の損害を受け取引の安全が害される旨主張する。
 確かに、徴収法第24条第6項は、租税債権と譲渡担保の被担保債権との優先劣後について、国税の法定納期限等と譲渡担保財産となった時との先後により判定することで国税と譲渡担保権との調整を図った規定であるところ、かかる規定は、いわゆる予測可能性の理論、すなわち担保権を設定するときに、国税があることを知りながら設定したときは国税に劣後することが妥当ということを出発点とし、現実に知っているということではなく知り得る状態にあるときで国税との優先劣後を判定するという考え方に基づいて設けられたものと解される。
 しかしながら、本件譲渡担保契約は、いわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約といわれるものの一つと解されるところ、集合債権に含まれる将来債権については、当該債権が現実に発生する前に租税債権が発生し、当該債権が国税の徴収の対象となる可能性があり、集合債権に譲渡担保権を設定する者はそれを設定するときにそのことを知り得るのであるから、国税の法定納期限等の後に発生した債権について譲渡担保権より国税を優先させて国税の徴収の対象としても、譲渡担保権者が不測の損害を被ったとはいえない。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
ニ ところで、将来債権の譲渡契約について争われた判例として、大審院昭和9年12月28日(昭和9年(オ)第653号)判決は、将来債権を譲渡する契約の肯定とその効果について、「将来ノ債権ニ付テモ譲渡契約ハ有効ニ之ヲ為シ得ヘク此ノ場合ニハ後日債権カ譲渡人ニ付成立シタルトキ何等ノ行為ヲ要セスシテ譲受人ニ移転スルモノトス」と判示している。
 この判示は、将来債権が譲渡された場合には、当該債権が発生した時に何らの行為を要することなく債権者から譲受人に移転することを明示したものであり、このことからすれば、原処分庁が主張するように、将来債権の移転時期は、それが現実に発生した時と解するのが相当である。
(2)集合動産譲渡担保の取扱いとの整合性について
 請求人は、本件通達は取引の安全を図る趣旨のものであるから、本件譲渡担保契約の対象となる債権についても、本件通達に定める集合物が譲渡担保財産である場合と同様に取り扱うべきである旨主張する。
 しかしながら、本件通達は、集合物が動産である譲渡担保契約を締結した場合の取扱いについて定めたものであって、その規定の趣旨は、原処分庁も主張するように、動産の特殊性や集合物に新たに動産を加えた場合の時期と法定納期限等との前後の区別が困難であるといった問題などを考慮し、これらの解決を図る政策的見地から国税に優先する余地を認めたものであるから、債権のように、法定納期限等との前後の区別が、対抗要件の性質上極めて容易であるものについてまで本件通達と同様の取扱いをしなければならない理由は存しないというべきである。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(3)結論
 本件売掛債権は、本件譲渡担保契約の対象となる将来債権であることから、上記(1)のニのとおり、その移転時期は債権が現実に発生した時であり、このことは、上記(1)のハのとおり、予測可能性に反する不相当なものとも認められない。
 そうすると、本件売掛債権が徴収法第24条第6項に規定する譲渡担保財産となった時期は、債権が現実に発生した時と解するのが相当であるから、上記1の(4)のハのとおり将来債権が発生した平成16年7月1日以後となる。
 また、上記(2)のとおり、将来債権が譲渡担保財産となった時期を、集合物が譲渡担保財産である場合と同様に取り扱うべき理由もない。
 したがって、以上の判断に照らせば、請求人は、徴収法第24条第6項所定の証明をしたとはいえないから、本件告知処分は適法である。
4 その他
 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。



別紙 当事者双方の主張
請求人
 本件告知処分は、次の理由により違法であるから、法定納期限等が平成15年4月△日以降の滞納国税に係る部分を取り消すべきである。
(1)将来債権を譲渡する契約と債権の移転時期について
 集合債権を譲渡担保契約の時点ですべて譲渡する場合(基本契約型)、将来債権についてもその時点で譲受人へ譲渡されているので、具体的に将来において債権が発生した場合は、債権発生と同時に当然に譲受人はその債権を取得することになると考えられる。
 本件と類似の事案について、最高裁平成13年11月22日第一小法廷判決(以下「平成13年判決」という。)は、「既に生じ、又は将来生ずべき債権は、(譲渡担保契約時に)確定的に譲渡されており、ただ、甲(譲渡人)、乙(譲受人)間において、乙に帰属した債権の一部について、甲に取立権限を付与し、取り立てた金銭の乙への引渡しを要しないとの合意が付加されているものと解すべきである」旨判示し、将来集合債権を譲渡した場合、当該譲渡の目的たる債権は、譲渡担保契約時に担保権者に譲渡されており、具体的に将来において債権が発生した場合、譲受人は債権発生と同時に当然にその債権を取得することになると考えられることを明らかにしている。
 この平成13年判決の考え方からすれば、本件売掛債権は、平成15年4月○日をもって、債権者から請求人に譲渡されたと解すべきである。そして、同債権譲渡の対抗要件が同月△日に具備されたのであるから、本件売掛債権が譲渡担保財産となったのは本件滞納国税の一部の法定納期限等よりも前であることは明らかである。
 そして、そもそも将来債権の譲渡は、譲渡契約締結時においていまだ存在しないものであっても、既に債権発生の原因が確定し、その発生を確実に予測し得るものであることを条件として、判例上、未発生時における譲渡の有効性が認められてきたものであり、将来、その債権が発生した時に、その権利を直ちに取得できるという一種の期待権を譲受人に取得させることを目的としているとは考えられていないから、原処分庁が、将来債権の譲渡契約は、将来その債権が発生した時にその権利を直ちに取得できるという一種の期待権を譲受人に取得させるものであるとするのは、上記のような将来債権の譲渡に関する一連の考え方に反するものであり、理由がないものといわざるを得ない。
(2)集合動産譲渡担保の取扱いについて
  本件通達は、集合「物」が譲渡担保財産である場合についての規定であり、必ずしも集合「債権」について定めたものではないが、次のとおり、集合物と集合債権を別個に解する理由はなく、本件についても、本件通達の定めと同様に処理されるべきである。
イ 徴収法第15条第1項及び同法第16条は、抵当権や質権(以下「抵当権等」という。)が設定されている債権と租税債権の優劣関係を調整し、私法上の取引の安全を図る趣旨から定められているものである。この規定により、私債権者としては、抵当権等の設定の時点において、債務者に法定納期限等の到来した租税がないかどうかを調査すればよいこととなり、それは納税証明書を確認することなどによって容易に知ることができることから、もって取引の安全が守られることとなる(以上、金子宏『租税法(第九版)』706頁参照)。
 そして、徴収法第24条第6項が、譲渡担保に供された債権と租税との優劣を譲渡担保設定と租税の法定納期限等との前後で決すると定めたのは、判例法の発展によって認められてきた譲渡担保も債権担保の手段であることから、これを抵当権等と同一に解すべきとの考慮に基づくものである。
 したがって、徴収法第24条第6項や同条に関する通達についても、譲渡担保権者の取引の安全を図りつつ私債権と租税との優劣関係を調整するとの趣旨に基づいて解釈されなければならない。
ロ 本件通達が定められているのは、上記イの徴収法第24条の趣旨に照らして検討すると、担保権者は、担保権設定時に、将来その集合物に加えられる財産をも担保財産として把握しているので、将来その集合物に加えられた財産について、担保権設定後に法定納期限等が到来する租税との関係においても優先することとしないと、取引の安全が害されることとなるからであると解される。
 そして、本件通達がそのような趣旨に基づくものである以上、それを「集合物」と「集合債権」とで別個に解する理由は全くないといえる。
 したがって、このことをもってすれば、原処分庁が、本件通達は、法定納期限等後に加えられた動産とそうでない動産とを区別することが事実上困難であることから、譲渡担保権者が設定時に把握していた価値の限度において国税に優先する余地を認めたものである旨の主張は、そもそも根拠に欠けるものである。
 また、原処分庁は、動産の場合は、集合物から離脱したときは滞納者に帰属する財産として滞納処分を行うことが可能である点が債権の場合とは異なる旨主張する。同主張の意味内容は必ずしも明確ではないが、そもそも集合物から離脱した動産は、離脱した時点で担保の対象ではなくなるのであり、その動産が滞納者に帰属するのであれば、滞納処分を行うことができ、滞納者の所有から離れた時点で滞納処分の対象ではなくなるのは当然のことである。
 そのことが、集合動産譲渡担保と集合債権譲渡担保とを別個に解すべき理由とはならない。
原処分庁
 本件告知処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
(1)将来債権を譲渡する契約と債権の移転時期について
 将来債権を譲渡した場合において、当該債権が譲受人に移転するのは、その債権が発生した時点であり、しかも将来債権が発生した時には、何らの行為を要することなく譲受人に移転すると解されている。すなわち、将来債権は、その譲渡契約締結時において現実に存在しないことが明らかであり、同契約が結ばれたとしてもそれと同時に移転することは不可能であるから、将来債権を譲渡する契約とは、将来その債権が発生した時に、その権利を直ちに取得できるという一種の期待権を譲受人に取得させることを目的とするものであるといえる。
 また、将来債権を集合体として譲渡担保契約を設定した場合、個々の債権の譲渡によることなく包括的な譲渡が可能であり、かつ、1回の通知、承諾により第三者対抗要件を具備することはできるが、譲渡担保権者が具体的に把握する担保の価値は、債権が発生しない限り、担保権を実行できる状態にはなく、将来債権について権利行使可能となるのは、あくまでもその債権の発生を前提としているというべきである。つまり、譲渡担保権者は、現実に債権が発生して初めて具体的な担保としての価値を把握することができるのであり、そして、譲渡担保権者が把握する担保の価値は、個々に発生し、かつ、弁済により消滅していく債権のうち、担保権実行の時点で現実に存在している債権の残額であるといえる。
 したがって、将来債権を集合体として譲渡担保を設定した場合、その債権が譲渡担保財産となるのは、その債権が現実に発生し、譲受人に移転した時点となる。
 これを本件についてみると、本件売掛債権は、平成16年7月分及び同年8月分(発生は平成16年7月1日以後)の売掛金のうちの600万円であり、本件滞納国税の法定納期限等(平成11年5月28日から平成16年5月28日)の後であることは明らかであるから、徴収法第24条第6項の規定は適用されず、したがって、本件告知処分は適法に行われたものである。
(2)集合動産譲渡担保の取扱いについて
 請求人は、本件譲渡担保契約についても、本件通達に定める集合物が譲渡担保財産である場合と同様に取り扱うべきであると主張するが、本件通達は、請求人も認めるとおり、集合物が動産である譲渡担保設定契約を締結した場合の取扱いを定めたものである。
 これは、集合物が動産である場合は、国税を徴収する税務官庁にとって、〔1〕法定納期限等後に加えられた動産とそうでない動産とを区別することは事実上困難であること、〔2〕譲渡担保財産となった時期を当初の譲渡担保設定時とみなしても、その動産が集合物に加えられる前に、あるいは、集合物から離脱したときには、滞納者に帰属する財産として滞納処分を行うことが可能であることなど動産の特性等を考慮して、譲渡担保権者が設定時に把握していた価値の限度において、国税に優先する余地を認めたものである。
 このように、動産の場合には、本件通達のとおり、種類、所在場所及び量的範囲により目的物の範囲が特定できるものの、法定納期限等との前後の区別が困難であるのに対し、債権の場合には、対抗要件の性質上その区別は極めて容易であること、また、一度譲渡された場合には、事実上徴収方法を失ってしまうことなどから、集合債権譲渡担保契約について本件通達と同様に取り扱うべきものではない。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索