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税務ニュース2004年04月12日 “国敗れて3部あり”藤山雅行裁判長が異動(2004年4月12日号・№062) 東京地裁民事34部、医療集中部で常識を覆せ

“国敗れて3部あり”藤山雅行裁判長が異動
東京地裁民事34部、医療集中部で常識を覆せ


 東京地裁民事3部、藤山雅行裁判長が4月1日付けで異動になった。「行政敗訴」を連発した名物判事の異動だけに様々な憶測を呼んでいる。今後は、2000年4月から4年間勤め上げた行政訴訟専門部を離れ、医療集中部(東京地裁民事34部)で裁判長を務める。

藤山裁判長のポリシー
 藤山裁判長が民事3部で下した行政側敗訴の判決は、圏央道未買収地の強制収用停止訴訟、小田急線高架化訴訟や東京都の銀行税訴訟、ストック・オプション課税処分取り消し訴訟など。今年3月にも、学生時代に障害を負った障害者に年金を支給せず放置したのは厚生労働省の過失とする判決を下し話題を呼んだ。次々に国や自治体敗訴の判決を出し、所属する民事3部の名称を取って“国破れて3部あり”とも言われた。
 昨年11月に東京税理士会館で開催された日本税務会計学会合同研究会(特別企画)では、現職の判事としては異例の講師を務め、「行政訴訟の現状と問題点」と題する講演を行った。この中で藤山裁判長は、「行政訴訟事件は“企業が租税訴訟を用いて正面から経済的利益を求める”方向に動き始めており、課税庁と納税者が司法の場で決着をつけるというのはきわめて合理的である」とする中里論文(ジュリスト1242号)に賛意を表し、通達による類型的な一律の取扱いに疑問を投げかかけるとともに、情報収集のあり方の重要性を示している。藤山裁判長は、「正確な情報の入手による個別事例としての検討、その際の私法的な解釈が重要であり、どちらにでも解釈できる取引である場合、納税者側の解釈が優先される」との持論を持っている。

今後の活躍に期待
 しかし、藤山裁判長の判決が東京高裁で覆ることも多かった。今年1月末の高裁判決(旺文社からテレ朝株の現物出資を受けた海外子会社が、第三者割当増資により同株の巨額の含み益の大半を事実上、増資引受会社に移転したケースで、国税当局が親会社の旺文社に追徴課税した処分が適正かが争われた事件)では、第一審の藤山判決について、「関係当事者の意思及びその結果生じた事実を全体として見ず、一部を恣意的に切り取って結論を導いた誹りを免れず、争点について判断し、紛争を解決に導くべき裁判所の責任を疎かにするものと評せざるを得ない」と異例の言及を加えている。小田急訴訟や圏央道訴訟でも二審で住民側逆転敗訴となっている。
 今回の異動を左遷と見るむきもあるが、裁判官の常識を変え、司法が行政の裁量権に踏み込めることを示した功績は大きい。医療集中部でも、大きな権威と戦ってくれることを期待したい。
 

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