コラム2006年06月26日 【ML耳より情報】 あれこれ悩む会社法下の会社設立(2006年6月26日号・№168)
あれこれ悩む会社法下の会社設立
設立の依頼は漠然と
会社法が施行され、最低資本金の壁がなくなったことから、会社設立の問い合わせが目立ちます。ところが、実際に依頼者の話を聞いてみると、非常に漠然としています。
選択肢が増加した分、白紙の状態で依頼があると検討すべき事項が多岐にわたります。節税目的の設立の場合は、主宰者税法との絡みで、節税効果が薄くなったことも説明すべきです。
会社の種類と機関設計
選択すべき会社の種類ですが、合同会社は設立費用を含め役員の任期がないなどローコストを追求する場合には適しています。一方で、零細なイメージや、出資者への払い戻し請求権により、会社の存続に支障をきたす欠点があります。単純に節税目的ではなく、しっかりとビジネスを行うのであれば、結果として、株式会社を選択するのが順当です。
株式会社を設立する場合は、とりあえず、すべての株式について譲渡制限を付すべきです。その結果、公開会社でない株式会社となり、会社運営の自由度が格段に高くなります。
通常は、取締役会を設置しない有限会社的な機関設計が望ましいでしょう。ただし、取締役会を設置しない場合、株主の権限が強化されます。他人株主が加わる前提なら、取締役会を設置しておいた方がベターでしょう。
定款の記載について
不正目的でなければ類似商号の問題は生じません。通達によれば目的は「商取引」でもよいとのことです。具体的な内容が決まっていない場合には広めに規定しておくべきです。
資本金については、配当との絡みから300万円が一つの目安です。0円では、信用上の問題が生じます。また、1,000万円なら初年度から消費税の課税事業者となってしまいます。
他人株主を加える可能性がある場合は、一部を取得条項付株式とするアイディアがあります。一定の条件の下、株式を会社が買い取れることができる種類株式です。
相続があった場合に、会社が相続人に対して株式を売り渡すように請求できる旨の定款の規定を置くか否かについても検討すべきです。ただし、大株主に相続があった際に、少数株主に会社を乗っ取られるリスクが生じるので、細心の注意が必要です。
役員の任期は、最長10年まで伸長可能です。2年ごとの役員変更登記が面倒であれば伸長すべきです。ただし、他人を取締役にする場合には注意が必要です。任期途中での解任について、残存期間の役員報酬につき、損害賠償請求が行われる危険があるからです。
実務的には、資本金については出資できる金額で、機関設計については役員の員数の関係で所与の条件となり選択の余地がないケースも考えられます。一方で、従業員など他人を株主として加える予定があるか、近いうちに相続が発生する可能性があるかなどについて、ヒアリングしておく必要があるでしょう。あれこれと選択肢がある分、慎重に検討したいものです。
taxMLグループ 税理士 飯田聡一郎
設立の依頼は漠然と
会社法が施行され、最低資本金の壁がなくなったことから、会社設立の問い合わせが目立ちます。ところが、実際に依頼者の話を聞いてみると、非常に漠然としています。
選択肢が増加した分、白紙の状態で依頼があると検討すべき事項が多岐にわたります。節税目的の設立の場合は、主宰者税法との絡みで、節税効果が薄くなったことも説明すべきです。
会社の種類と機関設計
選択すべき会社の種類ですが、合同会社は設立費用を含め役員の任期がないなどローコストを追求する場合には適しています。一方で、零細なイメージや、出資者への払い戻し請求権により、会社の存続に支障をきたす欠点があります。単純に節税目的ではなく、しっかりとビジネスを行うのであれば、結果として、株式会社を選択するのが順当です。
株式会社を設立する場合は、とりあえず、すべての株式について譲渡制限を付すべきです。その結果、公開会社でない株式会社となり、会社運営の自由度が格段に高くなります。
通常は、取締役会を設置しない有限会社的な機関設計が望ましいでしょう。ただし、取締役会を設置しない場合、株主の権限が強化されます。他人株主が加わる前提なら、取締役会を設置しておいた方がベターでしょう。
定款の記載について
不正目的でなければ類似商号の問題は生じません。通達によれば目的は「商取引」でもよいとのことです。具体的な内容が決まっていない場合には広めに規定しておくべきです。
資本金については、配当との絡みから300万円が一つの目安です。0円では、信用上の問題が生じます。また、1,000万円なら初年度から消費税の課税事業者となってしまいます。
他人株主を加える可能性がある場合は、一部を取得条項付株式とするアイディアがあります。一定の条件の下、株式を会社が買い取れることができる種類株式です。
相続があった場合に、会社が相続人に対して株式を売り渡すように請求できる旨の定款の規定を置くか否かについても検討すべきです。ただし、大株主に相続があった際に、少数株主に会社を乗っ取られるリスクが生じるので、細心の注意が必要です。
役員の任期は、最長10年まで伸長可能です。2年ごとの役員変更登記が面倒であれば伸長すべきです。ただし、他人を取締役にする場合には注意が必要です。任期途中での解任について、残存期間の役員報酬につき、損害賠償請求が行われる危険があるからです。
実務的には、資本金については出資できる金額で、機関設計については役員の員数の関係で所与の条件となり選択の余地がないケースも考えられます。一方で、従業員など他人を株主として加える予定があるか、近いうちに相続が発生する可能性があるかなどについて、ヒアリングしておく必要があるでしょう。あれこれと選択肢がある分、慎重に検討したいものです。
taxMLグループ 税理士 飯田聡一郎
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -