会社法ニュース2004年05月24日 会社法部会・株式交換等による原告適格の是非を検討(2004年5月24日号・№067) 株主代表訴訟で100%減資により株主の地位を失う判決
会社法部会・株式交換等による原告適格の是非を検討
株主代表訴訟で100%減資により株主の地位を失う判決
法制審議会の会社法(現代化関係)部会は現在、「会社法制の現代化に関する要綱試案」について検討中だが、株主代表訴訟制度については、株主代表訴訟の原告適格や株式交換・株式移転による原告適格の見直しなどについて議論が行われている。5月13日にあった東京地裁での株主代表訴訟(民事再生法に基づく破綻処理を行ったジャパン石油開発の旧経営陣らを相手に海外石油開発が損害賠償を求めたもの)では、民事再生手続きに伴う100%減資の結果、原告は株主の地位を失ったとして、原告の訴えを却下する判決が下されており、今後、減資により株主の地位を失ったケースでも議論が巻き起こりそうだ。
現行では株式交換等により原告適格を喪失
要綱試案では、株主代表訴訟の原告適格について、①訴訟の原因となった行為の時点での株主に限定する、②判例上、株式交換・株式移転による持株会社の創設によって原告適格を喪失するとされていることについて、原告適格が喪失しないとの立法上の手当てを行うといった点が提案されている。
②については、現在、判例上では、株式交換・株式移転によって持株会社が創設された場合は、株主代表訴訟の原告適格を喪失するとされているが、会社法部会では、完全親会社の株主に、完全子会社の取締役等の当該完全子会社に対する責任を追及する代表訴訟の提訴権を認めるとする立法上の手当てを行うことは、賛成意見がある一方、親子関係の実体的な法制が整備されない状況では無理があるのではないかといった反対意見も出されている。
また、株式交換・株式移転が行われ、完全親会社の株主になった場合、完全子会社の取締役に対する株主代表訴訟の原告適格を喪失しないこととする立法上の手当てについては、こちらも肯定的な意見の一方で、代表訴訟以外の訴訟についてどこまでの範囲で認めるのかなどの疑問が出されている。
株主代表訴訟見直しに影響も
ところで、今回のジャパン石油開発に対する株主代表訴訟についても、株式交換・株式移転ではないものの、減資により株主としての地位を失ったことにより、株主代表訴訟による訴えを却下された事例だ。今後、このようなケースについても議論が行われる可能性が大きいといえよう。
行為時株主原則には賛成意見及び反対意見
なお、前述①について、会社法部会では、行為時株主原則を導入しても現行法と決定的な違いはないとする肯定的な意見や経済界が主張する濫訴防止にはならず、より争点が増えて訴訟の遅延に繋がるといった否定的な意見などが出された模様。最終的な方向性については決まっていない状況だ。
株主代表訴訟で100%減資により株主の地位を失う判決
法制審議会の会社法(現代化関係)部会は現在、「会社法制の現代化に関する要綱試案」について検討中だが、株主代表訴訟制度については、株主代表訴訟の原告適格や株式交換・株式移転による原告適格の見直しなどについて議論が行われている。5月13日にあった東京地裁での株主代表訴訟(民事再生法に基づく破綻処理を行ったジャパン石油開発の旧経営陣らを相手に海外石油開発が損害賠償を求めたもの)では、民事再生手続きに伴う100%減資の結果、原告は株主の地位を失ったとして、原告の訴えを却下する判決が下されており、今後、減資により株主の地位を失ったケースでも議論が巻き起こりそうだ。
現行では株式交換等により原告適格を喪失
要綱試案では、株主代表訴訟の原告適格について、①訴訟の原因となった行為の時点での株主に限定する、②判例上、株式交換・株式移転による持株会社の創設によって原告適格を喪失するとされていることについて、原告適格が喪失しないとの立法上の手当てを行うといった点が提案されている。
②については、現在、判例上では、株式交換・株式移転によって持株会社が創設された場合は、株主代表訴訟の原告適格を喪失するとされているが、会社法部会では、完全親会社の株主に、完全子会社の取締役等の当該完全子会社に対する責任を追及する代表訴訟の提訴権を認めるとする立法上の手当てを行うことは、賛成意見がある一方、親子関係の実体的な法制が整備されない状況では無理があるのではないかといった反対意見も出されている。
また、株式交換・株式移転が行われ、完全親会社の株主になった場合、完全子会社の取締役に対する株主代表訴訟の原告適格を喪失しないこととする立法上の手当てについては、こちらも肯定的な意見の一方で、代表訴訟以外の訴訟についてどこまでの範囲で認めるのかなどの疑問が出されている。
株主代表訴訟見直しに影響も
ところで、今回のジャパン石油開発に対する株主代表訴訟についても、株式交換・株式移転ではないものの、減資により株主としての地位を失ったことにより、株主代表訴訟による訴えを却下された事例だ。今後、このようなケースについても議論が行われる可能性が大きいといえよう。
行為時株主原則には賛成意見及び反対意見
なお、前述①について、会社法部会では、行為時株主原則を導入しても現行法と決定的な違いはないとする肯定的な意見や経済界が主張する濫訴防止にはならず、より争点が増えて訴訟の遅延に繋がるといった否定的な意見などが出された模様。最終的な方向性については決まっていない状況だ。
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