税務ニュース2004年06月18日 (納税者)番号制は選択制でおずおず入る 政府税調、金融所得課税の一体化についての報告書をまとめる

 政府税制調査会(会長:石弘光一橋大学学長)は、6月15日、金融小委員会・基礎問題小委員会・総会を開催し、金融小委員会の報告(「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」下記リンク参照)を受けた。損益通算についての考え方を明らかにする(金融所得の間で損益通算の範囲を拡大し、損失の控除をより広く可能とする)とともに、①株式譲渡損益と公社債の譲渡損益との損益通算、②株式譲渡損失と配当所得との損益通算(一定の制限付き⇒損益通算し切れなかった株式譲渡損失の繰越期間の制限など)、③株式譲渡損失と利子所得との損益通算を可能とするための諸課題の解決に向けた検討、を具体的検討項目として列挙するなど、金融所得課税の一体化についての方向性(基本的な考え方)をまとめたものとなっている。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/160615a.pdf

保険から生じる収益も金融所得(20%の分離課税)
 報告書では,金融商品に対する中立的な課税を促進する観点から、外貨預金の為替差益についても20%の税率での分離課税の対象とすること・金融商品的な性格をも有する保険について、(生存)満期保険金又は解約返戻金等の収益の運用成果とみられるものについて、金融商品として20%の税率での分離課税の対象とすることを、検討すべきとしている。
 注目の『番号制度』については、「損益通算を行うためには、何らかの番号制度を利用することが必要」としている。報告書には『選択性』が言及されている。石税調会長は番号制について、「選択性という形で、やや入り口を、おずおず入ろうかというような感じの意味合い」と発言し、納税者番号制度に対する強いアレルギーに対して「慎重な導入⇒発展的な解決(本格的な導入)」という図式を描いているようだ。
税調委員からは、「住基コード」などを利用することを求める声も挙がったが、具体案は今後に検討されることになる。石会長も記者会見で、「導入の具体的な検討は、秋以降の議論になる。」との見通しを示した。

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