コラム2008年09月15日 【SCOPE】 金融庁「監督方針」・証券監視委「検査基本方針」にみる課題(2008年9月15日号・№274)
平成20事務年度の監督・検査上の重点事項
金融庁「監督方針」・証券監視委「検査基本方針」にみる課題
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という)による「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画」の公表(7月25日付)に続き、金融庁からは9月5日、「平成20事務年度金融商品取引業者等向け監督方針」等の監督方針が示されている。
金融商品取引業者に市場仲介者として公共的役割求める 金融庁では、銀行等の監督を担当する職員向けに、監督上の評価項目、事務処理上の留意点等に関する体系的な手引書として「主要行等向けの総合的な監督指針」等を策定している。評価項目として「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」上の視点が詳細に述べられているなどの点から、「金融検査マニュアル」等と相俟って金融機関はもとより事業会社においても参考とされるものである。
「監督指針」に基づき、監督上の重点事項の明確化のため、事務年度ごとに「監督方針」が策定・公表される。平成20事務年度(平成20年7月1日~平成21年6月末日)について示されたのは、表1のとおり。④の基となる「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」は、証券取引法の金融商品取引法への改組(平成19年9月30日施行)に伴い、業態ごとに策定されていた監督指針・ガイドラインを包括的・横断的に整備したものだ。
監督方針に構成上の変化も 今般の監督方針は、①~④のいずれにおいても冒頭でサブプライムローン問題、景気の弱含み、原油価格の動向等によるさらなる下振れリスクの所在等に言及するものとなった。また④では、金融・資本市場競争力強化プランに沿って競争力強化等に取り組む必要があるとし、金融商品取引業者等に対して(a)投資者の安心・利便の向上、(b)信頼できる市場インフラの構築、(c)業務の多角化・高度化・国際化と適切な内部管理態勢の構築に係る取組みの確認を行うとしている。
平成19事務年度版と比較すると、従前は監督対象者ごとに監督上の重点項目が掲げられていたところ、今般の監督方針は上記テーマごとに掲げられている点で、より業態横断的な記述となっているものとみられる。
一方の証券監視委「検査基本方針」は、「証券検査に関する基本指針」(以下「基本指針」という)に基づき毎事務年度の当初に策定・公表されるもの。基本指針では、金融商品取引所・自主規制法人等も幅広く対象とする(表2参照)。
検査基本方針においては例年、「基本的考え方」と「検査実施方針」が示されている。
反社会的勢力、疑わしい取引届出への対応など 金融庁の上記(b)の観点からの方針は表3上段に、証券監視委の「検査実施方針」中、重点検証分野は表3下段に掲げた。
上段(2)・下段①は、金融商品取引業者等が「市場の担い手」「ゲートキーパー」として、市場を濫用する者の参加を未然防止するなど公共的役割を適切に果たしているか、ふさわしい法令等遵守・内部管理態勢が整備されているかなどを確認・検証するとするもの。反社会的勢力について取引を未然防止する態勢整備に努めているか、犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引の届出について社内基準作成等の態勢整備に努めているか、本人確認が適切に行われているかも重点事項である。
また、証券取引所等の自主規制について「会員への調査や指導・勧告等の機能が、一層効果的に発揮されることを期待」(上段(3))するとともに、自主規制機能の適切な発揮、そのための態勢整備について検証(下段⑥)を行う。上場審査・管理に係る検証では、反社会的勢力介入防止のための取組状況も明記された。
株券電子化の実施を控えた的確・適切な対応も謳われている(上段(1)・下段①)。上段(1)ではより具体的に、業務手順の整備、当該手順の役職員への周知、各種テスト等の適切な実施が検証対象である。
金融庁「監督方針」・証券監視委「検査基本方針」にみる課題
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という)による「平成20事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画」の公表(7月25日付)に続き、金融庁からは9月5日、「平成20事務年度金融商品取引業者等向け監督方針」等の監督方針が示されている。
金融商品取引業者に市場仲介者として公共的役割求める 金融庁では、銀行等の監督を担当する職員向けに、監督上の評価項目、事務処理上の留意点等に関する体系的な手引書として「主要行等向けの総合的な監督指針」等を策定している。評価項目として「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」上の視点が詳細に述べられているなどの点から、「金融検査マニュアル」等と相俟って金融機関はもとより事業会社においても参考とされるものである。
「監督指針」に基づき、監督上の重点事項の明確化のため、事務年度ごとに「監督方針」が策定・公表される。平成20事務年度(平成20年7月1日~平成21年6月末日)について示されたのは、表1のとおり。④の基となる「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」は、証券取引法の金融商品取引法への改組(平成19年9月30日施行)に伴い、業態ごとに策定されていた監督指針・ガイドラインを包括的・横断的に整備したものだ。

監督方針に構成上の変化も 今般の監督方針は、①~④のいずれにおいても冒頭でサブプライムローン問題、景気の弱含み、原油価格の動向等によるさらなる下振れリスクの所在等に言及するものとなった。また④では、金融・資本市場競争力強化プランに沿って競争力強化等に取り組む必要があるとし、金融商品取引業者等に対して(a)投資者の安心・利便の向上、(b)信頼できる市場インフラの構築、(c)業務の多角化・高度化・国際化と適切な内部管理態勢の構築に係る取組みの確認を行うとしている。
平成19事務年度版と比較すると、従前は監督対象者ごとに監督上の重点項目が掲げられていたところ、今般の監督方針は上記テーマごとに掲げられている点で、より業態横断的な記述となっているものとみられる。
一方の証券監視委「検査基本方針」は、「証券検査に関する基本指針」(以下「基本指針」という)に基づき毎事務年度の当初に策定・公表されるもの。基本指針では、金融商品取引所・自主規制法人等も幅広く対象とする(表2参照)。

検査基本方針においては例年、「基本的考え方」と「検査実施方針」が示されている。
反社会的勢力、疑わしい取引届出への対応など 金融庁の上記(b)の観点からの方針は表3上段に、証券監視委の「検査実施方針」中、重点検証分野は表3下段に掲げた。

上段(2)・下段①は、金融商品取引業者等が「市場の担い手」「ゲートキーパー」として、市場を濫用する者の参加を未然防止するなど公共的役割を適切に果たしているか、ふさわしい法令等遵守・内部管理態勢が整備されているかなどを確認・検証するとするもの。反社会的勢力について取引を未然防止する態勢整備に努めているか、犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引の届出について社内基準作成等の態勢整備に努めているか、本人確認が適切に行われているかも重点事項である。
また、証券取引所等の自主規制について「会員への調査や指導・勧告等の機能が、一層効果的に発揮されることを期待」(上段(3))するとともに、自主規制機能の適切な発揮、そのための態勢整備について検証(下段⑥)を行う。上場審査・管理に係る検証では、反社会的勢力介入防止のための取組状況も明記された。
株券電子化の実施を控えた的確・適切な対応も謳われている(上段(1)・下段①)。上段(1)ではより具体的に、業務手順の整備、当該手順の役職員への周知、各種テスト等の適切な実施が検証対象である。
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