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解説記事2009年05月25日 【ニュース特集】 GC注記で中間監査基準および四半期レビュー基準が改訂へ(2009年5月25日号・№307)

平成21年6月30日以後終了四半期会計期間から適用
GC注記で中間監査基準および四半期レビュー基準が改訂へ

 金融庁は5月19日、「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂について」(公開草案)を公表した。公開草案は企業会計審議会の監査部会が取りまとめたもの。監査基準において継続企業の前提に関する注記の判断基準が改正されたことに伴う見直しである。公開草案については、6月17日まで意見募集した後、正式決定する。平成21年6月30日以後に終了する中間会計期間および四半期会計期間から適用される。

1 中間監査・四半期レビューも改訂監査基準を踏襲  継続企業の前提に関する注記の判断基準を緩和した監査基準が4月9日に改訂され、平成21年3月期決算法人の監査から適用になった。これは、昨今の世界的な経済不況のなか、平成21年3月期では、「継続的な営業損失の発生等」「財務制限条項(コベナンツ)への接触」「債務の返済の困難性」など、多くの企業に「継続企業の前提に関する注記」をしなければならない状況等が多くなるのではないかとの懸念があるほか、そもそも、国際的な監査基準では、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在するだけで注記が求められるわけではなく、経営者の対応策を検討したうえで判断することとされていることに対応したものである。
 監査基準の改訂を受け、企業会計審議会の監査部会では、中間監査基準および四半期レビュー基準を改訂することとしたものである。基本的には改訂監査基準を踏襲したものとなっている。
対応策を検討したうえで検討  今回の改訂案によれば、中間監査基準の場合、監査人は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在すると判断した場合には、当該事象または状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価および対応策について検討したうえで、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならないこととし、経営者が行った継続企業の前提に関する評価の手順を監査人においても検討するものとしている(図1参照)。

 具体的には、前事業年度の決算日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合には、当該事象または状況の変化ならびにこれらに係る経営者の評価および対応策の変更を検討するものとしている。
 一方、前事業年度の決算日において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなかったが、当中間会計期間において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在すると判断した場合には、当該事象または状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価および対応策について検討したうえで、なお重要な不確実性が認められるか否かを検討する。
1年間の対応策がなくても可  なお、中間監査において監査人が経営者が行った評価および対応策を検討する合理的な期間については、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況に、①特段の変化がなければ、少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間における評価や対応策の提示を求め検討する、②大きな変化がある場合については、少なくとも当事業年度の下半期から翌事業年度の上半期までの期間における経営者の評価および経営者の講じる対応策の提示を求め、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討することとなる。
 この経営者の講じる対応策については、当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間を超えて、必ずしも翌事業年度の上半期の末日までの期間に対するものである必要はないことに留意が必要である。
 1年間の経営計画のようなものがなくてもよいという趣旨である。
重要な不確実性が認められる旨などを注記  また、金融庁は中間監査基準の改訂に合わせて、中間財務諸表等規則等の改正案を5月18日に公表した(今号14頁参照)。継続企業の前提に関する注記については、次のとおりとされている。ただし、中間貸借対照表日後において、重要な不確実性が認められなくなった場合は、注記不要となる。

2 四半期レビュー基準では「前事業年度」から「前会計期間」の決算日に改訂へ  監査人は、前会計期間(直前の事業年度、直前の中間会計期間または直前の四半期会計期間)の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合には、当四半期会計期間末までの当該事象または状況に係る経営者の評価および対応策の変更を質問により確かめ、特段の変化がなければ、前会計期間の開示を踏まえた同様の開示が行われているかどうかを検討することになる(図2参照)。

 一方、前会計期間の決算日において継続企業の前提に重要な不確実性が認められなかったが、当該四半期会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況を認めた場合(前会計期間の決算日から継続して存在する場合を含む)には、経営者に継続企業の前提に関する開示の要否について質問をしなければならないとされている。
 なお、現行の四半期レビュー基準では、「前事業年度の決算日」とされているが、改訂案では、「前会計期間の決算日」に変更されている。たとえば、第3四半期の場合であれば、第2四半期の決算日になる。
四半期会計期間末から1年間の対応がなくても可  質問の結果、前会計期間の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況に大きな変化がある場合、あるいは、前会計期間の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在していなかったが、当該四半期会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況を認めた場合、当該事象または状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価および対応策について検討したうえで、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると監査人が判断したときには、「当該事象又は状況が存在する旨」「当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由」等の継続企業の前提に関する事項について、四半期財務諸表において、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、適正に表示されていないと信じさせる事項が認められないかどうかに関し、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続を実施して、検討することになる。
 この場合の合理的な期間については、当該四半期会計期間末から1年間における経営者の評価や翌四半期会計期間の末日までの経営者の対応策についての検討を行うが、このうち、経営者の対応策については、たとえば、1年間の経営計画のようなものが必ずしも存在していることが求められていないこと、また、たとえば、当該四半期会計期間の末日後1年間に返済期限が来る債務の返済に対する資金的な手当てが具体的に決定していることが必ずしも求められていないことに留意が必要であるとしている。
「結論の不表明」はレアケース  現行の四半期レビュー基準でも、今回の改訂案においても、監査基準や中間監査基準における継続企業の前提の項に規定されている「意見の不表明」に相当する規定は置かれていない。
 これは、国際レビュー業務基準の継続企業の前提の規定にも不表明の規定がないことや、四半期レビューにおける監査人の結論は質問および分析的手続等を基本とする限定されたレビュー手続に基づく消極的形式による結論の表明であることなどがその理由となっている。理論的には、今回の改訂案によっても、経営者が評価および対応策を示さないときには、監査人は、重要な四半期レビュー手続を実施できなかったとして無限定の結論の表明ができない場合があり得ることになる。
 しかし、今回の改訂案では、このようなケースは非常に限定されたものになると考えられるとする旨を明記している。
不確実性が認められなくなれば注記は不要  なお、金融庁が5月18日に公表した四半期財務諸表等規則等の改正案(今号14頁参照)では、継続企業の前提に関する注記について、下掲のとおりとされている。ただし、四半期貸借対照表日後において、重要な不確実性が認められなくなった場合は、注記することを要しない。

COLUMN
ASBJは四半期財務諸表会計基準案を5月下旬に公表へ
 企業会計基準委員会(ASBJ)は5月下旬にも四半期財務諸表会計基準案を公表する予定だ(本誌306号13頁参照)。
 具体的には、四半期会計期間の末日に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在する場合であって、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、四半期財務諸表にその旨およびその内容等を注記しなければならないとしている。
 ただし、四半期会計期間の末日後において、当該重要な不確実性が認められなくなった場合は、注記することを要しないとした。

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