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コラム2009年10月12日 【未公開 裁決事例紹介】 中古車両の減価償却費算定で法定耐用年数を適用(2009年10月12日号・№325)

未公開裁決事例紹介
中古車両の減価償却費算定で法定耐用年数を適用
審判所、所得税の更正処分を一部取消し

○審査請求人(以下「請求人」という)が取得した中古車両の耐用年数について見積法・簡便法を選択していないことから、法定耐用年数6年を適用した減価償却費の必要経費算入を認めた事例(仙裁(所)平20第22号)

基礎事実
 請求人は、平成18年3月1日に「○○○」の屋号で、空調設備工事業を開始した。
 請求人は、平成20年8月4日に減価償却費等について必要経費の計上漏れがあるとして更正の請求(以下「本件更正の請求」という)を行った。これに対して、原処分庁は、平成20年10月16日に請求額の一部を認める所得税の更正処分(以下「本件更正処分」という)を行った。請求人は、中古車両の減価償却費についても中古車受注の明細票により、支払いが確認できるのであるから本件更正の請求に係る必要経費を認めるべきなどとして、審査請求を行った。
 なお、請求人は、平成15年12月に取得した初年度登録が平成8年11月の普通乗用車(以下「本件車両」という)を、平成18年3月1日から業務の用として使用を開始しており、その業務への使用割合は90パーセントである。
 請求人は、事業所得の計算において、事業を開始した平成18年分以降、本件車両に係る減価償却費を計上していない。

争点および主張  主な争点は、本件車両の減価償却費について、請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否か。
 この争点における請求人および原処分庁の主張は、表1のとおり。

審判所の判断─法令解釈等
減価償却費について
(イ)耐用年数省令の別表第1は、普通乗用車の法定耐用年数を6年と規定しており、耐用年数省令3条1項は、中古資産の耐用年数は見積法または簡便法による耐用年数によることができる旨規定している。
(ロ)耐用年数の適用等に関する取扱通達(昭和45年5月25日付直法4-25ほか国税庁長官通達)1-5-1《中古資産の耐用年数の見積法および簡便法》は、中古資産について見積法または簡便法による耐用年数の算定は納税者が中古資産をその事業の用に供した最初の年分に選択した場合に限りできる旨定めており、この取扱いは、耐用年数の選択の手続要件として妥当な内容を持つものであり、当審判所においても相当と認められる。

審判所の判断─本件車両の減価償却費について  原処分庁は、本件車両は請求人が業務を開始する前に取得したもので、かつ、平成15年の取得時に既に法定耐用年数を経過した中古車両であり、耐用年数は取得から2年と認められることから、平成19年中に業務の用に供していたとしても、すでに減価償却可能期間を経過しているので、請求人の平成19年分の事業所得の必要経費として認められない旨を主張する。
 しかしながら、本件車両は、平成8年11月に初年度登録され、請求人が、平成15年12月に1,380,000円で購入したことが明らかであるうえ、請求人が、「○○○」の屋号で業務を開始した平成18年3月1日の時点で本件車両を業務の用に供しているところ、耐用年数省令3条1項の見積法または簡便法の規定は、中古資産を業務の用に供した年分に適用した場合に限り適用できるとされている。
 そうすると、請求人は、本件車両を業務の用に供した平成18年分から減価償却の対象としていないことから、業務の用に供した最初の年分に見積法または簡便法についての規定を適用していないと認められるので、耐用年数省令1条1項により、本件車両の耐用年数は業務の用に供した時から法定耐用年数の6年を適用して減価償却費を計算することになる。
 したがって、平成19年分の本件車両の減価償却費は表2(2)のとおりとなり、そのうち業務の用に供した割合に基づく185,554円を請求人の事業所得の必要経費と認めるのが相当である。

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