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コラム2010年07月26日 【SCOPE】 アパマンショップHD代表訴訟、最高裁では株主側の逆転敗訴に(2010年7月26日号・№364)

事業再編計画策定の判断に著しい不合理なし
アパマンショップHD代表訴訟、最高裁では株主側の逆転敗訴に

 最高裁判所第一小法廷(白木勇裁判長)は7月15日、アパマンショップホールディングス(以下「ASH」という)が平成18年に行ったアパマンショップマンスリー(以下「ASM」という)の完全子会社化の際のASM株式買取りを巡り、ASHが1株5万円で買い取る旨の決定をしたことに同社取締役らの善管注意義務違反があるとし、ASHの個人株主ら3名が取締役ら3名に対して提起した株主代表訴訟の上告審で、取締役らに同社への損害賠償を命じた高裁判決を破棄、株主側敗訴の判決を言い渡した。

再編効果による企業価値増加も期待でき「5万円」不合理とはいえず  本事件の経過は表1のとおり。地裁判決は取締役らの意思決定過程等を検討し、株主側の請求を棄却したが、高裁判決では、ASHが株式交換に備えて2社から得た評価額等が1株当たり①9,709円、②6,561円~1万9,090円であったことなどから「1万円」を相当とし、差額相当分の支払いを命じた(詳細は本誌282号15頁参照)。
【表1】事件の経過
裁判所名等 判決年月日 判決の概要等
東京地裁民事第8部
(金澤秀樹裁判官)
平成19年12月4日 1億3,004万0,320円の支払いを求めた株主側の請求を棄却。株主側、控訴
東京高裁第12民事部
(柳田幸三裁判長)
平成20年10月29日 株主側の請求を一部認容、取締役らに1億2,640万円の支払いを命じる判決。取締役ら、上告
 最高裁第一小法廷
(白木勇裁判長)
平成22年7月15日 ①高裁判決中、取締役ら敗訴部分を破棄
②取締役ら敗訴部分について株主側の請求を棄却した地裁判決は正当、同部分に係る株主側の控訴を棄却
 このため、取締役ら(現取締役2名・元取締役1名)が経営判断原則の解釈の誤りなどを主張して上告(7月15日付ASH発表参照。ここでは株主側につき「上告審時は1名」とある)。なお、ASHは当初から補助参加している。
本件買取りの趣旨・経緯  本件はASHが機動的なグループ経営を図り、グループ競争力の強化を実現するため、同社を持株会社とする事業再編計画の一環としてASHの重要な完全子会社である訴外AにASMを合併する前提とし、当該合併前にASMをASHの完全子会社とすることが企図されたものである。
 ASHはASMの発行済株式総数の約66.7%・6,630株を保有していたが、不動産賃貸斡旋のフランチャイズ事業加盟店等も保有しており、(a)その手法として、円滑な事業遂行を図る観点から株式交換ではなく、可能な限り任意の合意による買取りを実施し、(b)買取価格を5万円とすることが適当とされた。
 助言を求められた弁護士は、①基本的に経営判断の問題であり法的な問題はないこととともに、②任意の買取りにおける価格設定は必要性とバランスの問題で合計金額もさほど高額ではなく、ASMの株主である重要な加盟店等との関係を良好に保つ必要性があるのであれば許容範囲である旨を述べている。
 ASHは平成18年6月9日ころから29日までの間、ASM株式3,160株を1株当たり5万円、総額1億5,800万円で買取り。その後、ASH・ASM間で締結された株式交換契約では、ASM株式1株につきASH株式0.192株を割当交付するものとされた。
最高裁の判断  白木裁判長は、①「事業再編計画の策定は……経営上の専門的判断にゆだねられて」おり、②「株式取得の方法や価格についても、取締役において……総合考慮して決定することができ」るとしたうえで、③「その決定の過程、内容に著しく不合理な点がない限り」善管注意義務に違反するものではない旨を指摘。本件では株式取得の方法・価格、決定過程を検討し、「取締役の判断として著しく不合理なものということはできない」と述べ、株主側の主張を斥けている(表2参照)。

 【表2】高裁および最高裁の判断(最高裁判決より抜粋)






(1)「本件買取価格は、ASMの株式1株当たりの払込金額が5万円であったことから、これと同額に設定されたものであり、それより低い額では買取りが円滑に進まないといえるか否かについて十分な調査、検討等がされていないこと、」
 (2)「既にASMの発行済株式の総数の3分の2以上の株式を保有していた参加人において、当時の状態を維持した場合と比較してASMを完全子会社とすることが経営上どの程度有益な効果を生むかという観点から検討が十分にされていないこと、」
 (3)「本件買取価格の設定当時のASMの株式の1株当たりの価値は株式交換のために算定された評価額等から1万円であったと認めるのが相当であること」
「(編注・上記(1)~(3))等からすれば、本件買取価格の設定には合理的な根拠又は理由を見出すことはできず、上告人らは、取締役としての善管注意義務に違反して、その任務を怠ったものである。」










「前記事実関係によれば、本件取引は、ASMを訴外A(編注・ASHの完全子会社)に合併して不動産賃貸管理等の事業を担わせるという参加人のグループの事業再編計画の一環として、ASMを参加人の完全子会社とする目的で行われたものであるところ、このような事業再編計画の策定は、完全子会社とすることのメリットの評価を含め、将来予測にわたる経営上の専門的判断にゆだねられていると解される。」
「そして、この場合における株式取得の方法や価格についても、取締役において、株式の評価額のほか、取得の必要性、参加人の財務上の負担、株式の取得を円滑に進める必要性の程度等をも総合考慮して決定することができ、その決定の過程、内容に著しく不合理な点がない限り、取締役としての善管注意義務に違反するものではないと解すべきである。」







(1)【株式取得の方法に係る判断】「参加人がASMの株式を任意の合意に基づいて買い取ることは、円滑に株式取得を進める方法として合理性があるというべきであるし、」
 (2)【株式取得の価格に係る判断】「その買取価格についても、ASMの設立から5年が経過しているにすぎないことからすれば、払込金額である5万円を基準とすることには、一般的にみて相応の合理性がないわけではなく、参加人以外のASMの株主には参加人が事業の遂行上重要であると考えていた加盟店等が含まれており、買取りを円満に進めてそれらの加盟店等との友好関係を維持することが今後における参加人及びその傘下のグループ企業各社の事業遂行のために有益であったことや、非上場株式であるASMの株式の評価額には相当の幅があり、事業再編の効果によるASMの企業価値の増加も期待できたことからすれば、株式交換に備えて算定されたASMの株式の評価額や実際の交換比率が前記のようなものであったとしても、買取価格を1株当たり5万円と決定したことが著しく不合理であるとはいい難い。」
 (3)【決定の過程に係る判断】「そして、本件決定に至る過程においては、参加人及びその傘下のグループ企業各社の全般的な経営方針等を協議する機関である経営会議において検討され、弁護士の意見も聴取されるなどの手続が履践されているのであって、その決定過程にも、何ら不合理な点は見当たらない。」
「以上によれば、本件決定についての上告人らの判断は、参加人の取締役の判断として著しく不合理なものということはできないから、上告人らが、参加人の取締役としての善管注意義務に違反したということはできない。」

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