コラム2010年08月23日 【税実務Q&A】 解散した場合の繰戻還付(2010年8月23日号・№367)
税実務Q&A
No.035 法人税>還付>欠損金の繰戻しによる還付
解散した場合の繰戻還付
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 当社の子会社について、当期(平成22年3月期)の決算で、大幅な赤字を計上することが予想され、翌年以降回復の目途が立たないため、当期の決算日をもって解散することになりました。
そこで、その子会社が前期に納付した法人税額について、当期の確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求を検討しておりますが、次に掲げる子会社の適用の可否を教えてください。
なお、いずれの子会社(資本金:2億円)も青色申告書である確定申告書を提出しています。
① A社:通常の解散をした法人
② B社:適格合併により解散をした法人
答
(1)欠損金の繰戻し還付制度の現状 欠損金の繰戻還付とは、欠損金の繰越控除(法法57)と並ぶものとして、事業年度という人為的に設けた期間を超えて、租税負担能力に応じた適正な課税を実現するための制度です(法法80)。
この制度は、本来すべての法人に適用されるべきものですが、国家の財政難等の理由から、平成4年4月1日から平成24年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、経過的に、この規定の適用は停止されています(措法66の13)。
(2)各社の適用の可否 ① A社の適用の可否
内国法人につき解散等の事実が生じた場合には、その後の事業年度において欠損金額の繰越控除が困難になることへの対応として、繰戻還付の適用停止措置の対象から除かれています(措法66の13後段)。
よって、B社の解散事業年度において生じた欠損金額については、繰戻還付の適用を受けることができます。
② B社の適用の可否
適格合併の場合、被合併法人で生じた欠損金額は、原則として合併法人に引継がれます(法法57②)。
よって、合併法人において、その欠損金額の利用が可能であるため、通常の解散による場合と異なり、適格合併による解散については、B社の最後事業年度に係る繰戻還付の適用を受けることはできません。
〈参考〉 ① 平成22年度税制改正により、完全支配関係のある法人の残余財産が確定した場合の欠損金額の引継ぎ制度が創設されましたが、上記取扱いに変更はないため、通常の解散と適格合併による解散で、その取扱いを異にすることになります。
② また、景気後退等の影響を特に受けやすい中小企業を税制面でも支援する観点から、普通法人のうち、事業年度終了時の資本金の額が1億円以下であるものその他一定の法人については、繰戻還付の適用停止措置が廃止されています(措法66の13①一)。
No.035 法人税>還付>欠損金の繰戻しによる還付
解散した場合の繰戻還付
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 当社の子会社について、当期(平成22年3月期)の決算で、大幅な赤字を計上することが予想され、翌年以降回復の目途が立たないため、当期の決算日をもって解散することになりました。
そこで、その子会社が前期に納付した法人税額について、当期の確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求を検討しておりますが、次に掲げる子会社の適用の可否を教えてください。
なお、いずれの子会社(資本金:2億円)も青色申告書である確定申告書を提出しています。
① A社:通常の解散をした法人
② B社:適格合併により解散をした法人
答
(1)欠損金の繰戻し還付制度の現状 欠損金の繰戻還付とは、欠損金の繰越控除(法法57)と並ぶものとして、事業年度という人為的に設けた期間を超えて、租税負担能力に応じた適正な課税を実現するための制度です(法法80)。
この制度は、本来すべての法人に適用されるべきものですが、国家の財政難等の理由から、平成4年4月1日から平成24年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、経過的に、この規定の適用は停止されています(措法66の13)。
(2)各社の適用の可否 ① A社の適用の可否
内国法人につき解散等の事実が生じた場合には、その後の事業年度において欠損金額の繰越控除が困難になることへの対応として、繰戻還付の適用停止措置の対象から除かれています(措法66の13後段)。
よって、B社の解散事業年度において生じた欠損金額については、繰戻還付の適用を受けることができます。
② B社の適用の可否
適格合併の場合、被合併法人で生じた欠損金額は、原則として合併法人に引継がれます(法法57②)。
よって、合併法人において、その欠損金額の利用が可能であるため、通常の解散による場合と異なり、適格合併による解散については、B社の最後事業年度に係る繰戻還付の適用を受けることはできません。
〈参考〉 ① 平成22年度税制改正により、完全支配関係のある法人の残余財産が確定した場合の欠損金額の引継ぎ制度が創設されましたが、上記取扱いに変更はないため、通常の解散と適格合併による解散で、その取扱いを異にすることになります。
② また、景気後退等の影響を特に受けやすい中小企業を税制面でも支援する観点から、普通法人のうち、事業年度終了時の資本金の額が1億円以下であるものその他一定の法人については、繰戻還付の適用停止措置が廃止されています(措法66の13①一)。
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