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会社法ニュース2004年09月27日 新会社法・要綱案(三次案)に向け追加論点が検討される(2004年9月27日号・№084) 自己新株予約権や払込期間制度が新設

新会社法・要綱案(三次案)に向け追加論点が検討される
自己新株予約権や払込期間制度が新設


 9月15日に法制審議会会社法(現代化関係)部会が開催され、「追加論点について」が検討された。これは、事務局が要綱案(第二次案)をベースに具体的に検討していった際に追加的に浮上してきた論点について、部会に諮るための資料である。自己新株予約権や払込期間の規定の新設や一度確定した計算書類の修正手続等興味深い論点が盛り込まれている。今回承認された提案は、次回の部会(10月13日)で公表される要綱案(第三次案)に反映される予定だ。

「新株式払込金」科目が復活! 
 部会では、「株式会社の設立に際して出資すべき額」(42頁のことばのコンビニ参照)について、確定額で定めても、下限を定めることも可能とする提案がされ、了承された。
 また、取締役の任期については、「就任」時ではなく、「選任」時から起算する旨の提案も了承された。「選任」されてから「就任」までしばらく期間があくケースでは、役員の任期の起算点が問題となるが、「選任」時から起算する旨明文されることとなった。
 なお、新株発行・自己株式の処分について、払込期日に代えて、払込期間を定めることができるとする提案も了承された。この結果、本誌前号11頁でお伝えした、10月以降は姿を消すはずの「新株式払込金」科目は、平成18年4月1日から復活することとなる。


自己新株予約権の規定が明文化
 株式の消却については、自己株式のみについての制度とされる方針。すなわち、自己株式以外の株式を消却する際には、当該株式を取得した上で、その自己株式を消却することとなる。
 また、合名・合資・合同会社についても社債の発行が可能となる。これは、要綱案(第二次案)では抜けていた論点だ。また、社債券不発行制度が設けられるという提案も了承された。これにより、社債発行コストが低減することになる。もっとも、すでに社債等の振替に関する法律のもとでは債券は発行されないし、少人数私募債の場合は実務上社債券が発行されないのが通常であるから、実務上のインパクトは小さいといえる。
 その他、新株予約権の消却が、その取得及び自己新株予約権(42頁のことばのコンビニ参照)の消却として整理されることに。自己新株予約権のB/S表示についても会計上問題となりそうだ。また、自己新株予約権の行使も禁じられることになる。なお、(株)インボイスで話題となった「株主に対する新株予約権の引受権の付与」という制度は廃止される方針。

承認されない論点も
 「追加論点について」において提案されている論点がすべて承認されたわけではない。株主割当てについては、株主に対する株式の無償割当てとして整理し、通常の新株発行とは別の制度として整理するものとするという案も提案されていた。これは、新株予約権と新株引受権を同一の制度として整理するものであるが、部会では異論が噴出しペンディングとなっている。
 また、株式分割=株主に対する株式の無償割当てとして整理するという提案は了承されたものの、同時に提案されていた「会社自身への株式の割当てを認めない」(株式分割の効果は自己株式には及ばない)とする提案は経済界から強い反対意見が寄せられ、不採用となっている。これは、株式分割をするたびに自己株式の価値が薄まるのであるから反対も当然といえよう。
 また、新株予約権等を発行している譲渡制限会社以外の会社において授権株式数を増加する場合、増加後の授権株式数から新株予約権等の発行により留保すべき株式数を控除していた数が発行済株式数の4倍を超えてはならないものという提案もペンディングとなった。これは、たとえば授権株式数が100株、発行済株式数が60株、新株予約権の発行により留保すべき株式数を40株とすると、株式譲渡制限会社以外の会社においては、発行余力の40株を消化せずに1回の定款変更により授権株式数を増加させようとした場合、増加後の授権株式数は、現行法では240株(60株×4倍)が限度だが、本提案により280株(60株×4倍+40株)が限度となることとなる。新株予約権の発行により留保すべき株式数分だけ枠が広がる計算だ。次回の部会での議論が注目される。
 また、定時総会で決議したB/S等に誤りがある場合における計算書類の修正手続の明文化を図る旨の提案も、修正に伴い責任が発生するのかどうかを巡り、ペンディングとなった。この改正が実現すると、確定決算主義を前提とした法人税の申告手続になんらかの修正が迫られる可能性がある。なお、本手続はIPO前の確定決算の修正(税務基準から会計基準への修正)としての使用も考えられるが、実務上臨時総会で修正するケースが多い。もし、明文上「定時総会」という縛りがつくのであれば、機動性が落ちるものと思われる。

合同会社より協同会社?
 新制度として注目されている合同会社(仮称)であるが、15日に開催された部会では合同会社という呼称よりも「協同会社」という呼称の方が望ましいとする提案もあった。なお、合同会社のうち大会社に相当する規模の会社について、会計監査人の監査を必要とするか否かについては次回の部会で検討される予定。また、罰則については刑事局との調整及び法人無限責任社員(合名・合資)や法人業務執行社員(合同会社)の登場による罰則規定の複雑化の観点から要綱案には盛り込まれない方針だ。
 
 

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