解説記事2011年03月28日 【実務解説】 外国子会社合算税制における実務上の留意点 第5回 コミッショネア取引における適用除外基準の取扱い(2011年3月28日号・№396)
実務解説
外国子会社合算税制における実務上の留意点
第5回
コミッショネア取引における適用除外基準の取扱い
税理士・日本税制研究所 主任研究員 今井正輝
Ⅰ 適用除外基準
外国子会社合算税制においては、内国法人に係る外国関係会社が特定外国子会社等に該当することとなった場合に直ちにその特定外国子会社等が稼得した所得を内国法人の所得に合算するということとはされておらず、所定の要件を満たす場合には、その適用はないものとされています。軽課税国に所在する子会社等であっても、そこに所在することに十分な経済合理性があれば課税対象とはしないこととされており、「この『十分な経済合理性』を業種に即して具体化したものが適用除外の規定であり、本税制の一大特徴をなしている」(脚注1)とされています。
すなわち、特定外国子会社等の所得に関しては、以下の4つの基準に求められる要件をすべて満たし、所定の申告要件等を満たした場合には、原則として、外国子会社合算税制による合算課税を受けないこととなります(措法66の6③・⑦)。
① 事業基準(特定外国子会社等の主たる事業が株式等の保有、債券の保有、工業所有権等の提供、船舶又は航空機の貸付けを主たる事業とするものではないこと)
② 実体基準(特定外国子会社等の本店所在地国においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有していること)
③ 管理支配基準(特定外国子会社等がその本店所在地国において、その主たる事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること)
④ 非関連者基準(特定外国子会社等が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業又は航空運送業をその事業年度の主たる事業としている場合において、その事業を主としてその特定外国子会社等に係る関連者以外の者との間で行っていること)又は所在地国基準(非関連者基準の対象事業以外の事業をその事業年度の主たる事業として営む特定外国子会社等が、その事業を主として本店所在地国において行っていること)
本稿では、上記④のうちの非関連者基準について、その判定方法等の確認を行い、その後、コミッショネア取引におけるプリンシパルとコミッショネア(注)に係る販売取扱金額の取扱いを検討することとします。
(注)「コミッショネア取引」とは、通常、自己の名前でプリンシパル(本人)のために活動する者が行う取引を指すものとされています。コミッショネア(問屋)は、プリンシパルのために、自己の名前で商品を販売し、プリンシパルは、その商品が販売されるまでの間、その所有権を保持し、コミッショネアが顧客から注文を取得すると、その商品の所有権はプリンシパルから顧客に移転し、販売代金をプリンシパルが取得することとなり、コミッショネアは、プリンシパルから販売手数料を業務の対価として収受することとなります。
Ⅱ 卸売業における非関連者基準による判定
非関連者基準による判定を行う事業は上記Ⅰ④括弧中に列挙した事業となりますが、特定外国子会社等が営む事業が上記Ⅰ④括弧中に列挙した事業に該当するか否かは、原則として日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定することとされています(措通66の6-17)。特定外国子会社等が2以上の事業を営んでいるときは、そのいずれの事業が主たる事業であるかという判定については、それぞれの事業に属する収入金額又は所得金額の状況、使用人の数、固定施設の状況等を総合的に勘案して判定するということになります(措通66の6-17注書き、66の6-8)。
また、特定外国子会社等が主としてその関連者以外の者(以下、「非関連者」といいます。)との間でその事業を行っているかどうかという判定も必要となるわけですが、これに関しては、その事業の種類ごとに具体的な定めが設けられています(措令39の17⑧)。コミッショネア取引に関しては、卸売業における判定をどのように行うのかということが問題となるわけですが、特定外国子会社等が卸売業を主たる事業として営んでいるという場合には、下記のイ又はロのいずれかに該当すれば、主として非関連者との間で事業を行っていると判断されることとなります(措令39の17⑧一)。
下記イの「販売取扱金額」とは、棚卸資産の販売に係る収入金額をいいますが、棚卸資産の売買の代理又は媒介に関して受け取る手数料がある場合にはその手数料を受け取る基因となった売買の取引金額を含むものとされています(措令39の17⑧一括弧書き)。
また、下記ロの「仕入取扱金額」とは、取得した棚卸資産の取得価額をいいますが、棚卸資産の売買の代理又は媒介に関して受け取る手数料がある場合にはその手数料を受け取る基因となった売買の取引金額を含むものとされています(同前)。
これらの手数料に係る取扱いについては、「商社のような場合にあっては、商品の売買益のほか、商品の取次、媒介等によるコミッション収入もかなりのウェイトを占めるため、そのコミッションのベースとなる取引金額も売上高又は仕入高に含めることとした」(脚注2)ことによるものとされています。
Ⅲ 特定外国子会社等のコミッショネア取引における販売取扱金額の取扱い
1.問題の所在 特定外国子会社等がコミッショネアとなっている場合には、例えば、下記の図のように取引を行うこととなります。
この図を念頭に置き、非関連者基準による判定をどのように行うこととなるのかということを検討してみることとしますが、基本的には、次のⅰの確認とⅱの検討が必要となると考えられます。
ⅰ 特定外国子会社等Bは、この図の取引のみに従事している場合、卸売業として非関連者基準による判定を行うことでよいか
ⅱ 特定外国子会社等Bの主たる事業が卸売業となる場合、非関連者基準による判定における「販売取扱金額」をどのような金額とするのか
2.検 討
(1)上記1ⅰについて コミッショネアは、我が国の商法551条に規定されている問屋に相当するものとされています。商法551条においては、問屋とは自己の名を以って他人のために物品の販売又は買入をすることを業とする者とされています。問屋は、売買取引の相手方との関係では、他人のために行う販売又は買入によって取引の相手方に対して自ら権利を取得し、義務を負うものとされており(商法552①)、自己の名で行った売買取引の当事者として権利義務の主体となります。他方、委託者たる本人との関係では、商法の規定のほか、民法上の委任及び代理に関する規定が準用されることとなっており(商法552②)、問屋が売買取引の相手方との間で行った売買取引の経済的効果は、委託者たる本人に帰属するものと解されています。
厳密に言えば、コミッショネアと商法上の問屋とが同一であるのか否かということに関しては議論の余地があり得ると考えます。
しかし、外国子会社合算税制における非関連者基準による判定においては、次の理由により、コミッショネアの行う取引は「卸売業」とすることになると考えられます。
すなわち、上記Ⅱで述べたとおり、租税特別措置法関係通達66-17においては、日本標準産業分類の分類基準に従って上記Ⅰ④括弧書き中の「卸売業」に該当するのか否かを判定するとされているわけですが、日本標準産業分類においては、大分類I-卸売・小売業における卸売業について、「卸売業とは、主として次の業務を行う事業所をいう」とされており、その中の業務の(1)においては「小売業又は他の卸売業に商品を販売するもの」と、(5)においては「他の事業所のために商品の売買の代理行為を行い、又は仲立人として商品の売買のあっせんをするもの」とされています。他方、コミッショネアである上記1の図の特定外国子会社等Bは、上記Ⅰの注記のとおり、プリンシパルである図の特定外国子会社等Aのために、自己の名前で商品を販売するわけですから、上記の日本標準産業分類の(5)に該当することとなると考えられます。
このため、上記1ⅰに関しては、特定外国子会社等Bは卸売業として非関連者基準による判定を行う、ということとなります。
(2)上記1ⅱについて 上記1の図のコミッショネアである特定外国子会社等Bの非関連者基準における取扱いの検討の前に、図のプリンシパルである特定外国子会社等Aの非関連者基準における取扱いを確認しておきましょう。便宜上、この特定外国子会社等Aの事業は卸売業であるものとします。
特定外国子会社等Aの事業が卸売業であるとすれば、この特定外国子会社等Aに関しても、非関連者基準による判定を行うこととなりますが、この特定外国子会社等Aは、プリンシパル(本人)として第三者に商品を販売していますので、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」にこの第三者との間の棚卸資産の販売に係る収入金額を含めることとなります。
このため、特定外国子会社等Aが上記1の図の取引のみを行っているということであれば、この特定外国子会社等Aは、上記Ⅱイに該当することとなり、非関連者基準により、外国子会社合算税制の適用から除外されることとなります。
次に、特定外国子会社等Bがどうなるのかということになりますが、上記(1)で述べたとおり、この特定外国子会社等Bは、外国子会社合算税制における非関連者基準による判定においては卸売業を行っているということになると考えられます。
この特定外国子会社等Bの事業が卸売業であるとすれば、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」をどのような金額とするのかということが問題となります。
この点に関しては、上記Ⅱにおいて述べたとおり、「商社のような場合にあっては、……コミッションのベースとなる取引金額も売上高又は仕入高に含める」(脚注3)こととして、租税特別措置法施行令39条の17第8項1号括弧書きにおいて、「棚卸資産の売買の代理又は媒介に関し受け取る手数料がある場合には、その手数料を受け取る基因となつた売買の取引金額を含む」(注)とされていますので、商社の取引以上に本人の取引に近いと考えられるコミッショネア取引においては、コミッショネアの非関連者基準による判定における上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」をプリンシパルの「販売取扱金額」とすることになると考えられます。
(注)この「含む」は、「手数料」と「その手数料を受け取る基因となつた売買の取引金額」との双方を重複して「販売取扱金額」に含めるということではなく、手数料を受け取る取引の売買の取引金額をその他の取引の売買の取引金額に含めるという趣旨の規定であると解されます。
すなわち、特定外国子会社等Bにおいても、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」は、特定外国子会社等Aにおける「販売取扱金額」と同じ金額となることになり、この特定外国子会社等Bが上記1の図の取引のみを行っているということであれば、特定外国子会社等Aと同様に、非関連者基準により、外国子会社合算税制の適用から除外されることとなります。
このように、1つの「販売取扱金額」を2つの判定の場面で用いるということに関しては、違和感を持たれる向きもあるものと考えられますが、コミッショネア取引は、実質的には1つの商品の売買取引について、形式上、販売機能を分離して行うという性格を有していると解されることからすると、経済実態に即した判定方法となっていると考えることができます。
脚注
1 高橋元監修『タックス・ヘイブン対策税制の解説』(清文社、昭和54年)95頁。
2 前掲脚注1書134・135頁。
3 前掲脚注2の引用を参照のこと。
外国子会社合算税制における実務上の留意点
第5回
コミッショネア取引における適用除外基準の取扱い
税理士・日本税制研究所 主任研究員 今井正輝
Ⅰ 適用除外基準
外国子会社合算税制においては、内国法人に係る外国関係会社が特定外国子会社等に該当することとなった場合に直ちにその特定外国子会社等が稼得した所得を内国法人の所得に合算するということとはされておらず、所定の要件を満たす場合には、その適用はないものとされています。軽課税国に所在する子会社等であっても、そこに所在することに十分な経済合理性があれば課税対象とはしないこととされており、「この『十分な経済合理性』を業種に即して具体化したものが適用除外の規定であり、本税制の一大特徴をなしている」(脚注1)とされています。
すなわち、特定外国子会社等の所得に関しては、以下の4つの基準に求められる要件をすべて満たし、所定の申告要件等を満たした場合には、原則として、外国子会社合算税制による合算課税を受けないこととなります(措法66の6③・⑦)。
① 事業基準(特定外国子会社等の主たる事業が株式等の保有、債券の保有、工業所有権等の提供、船舶又は航空機の貸付けを主たる事業とするものではないこと)
② 実体基準(特定外国子会社等の本店所在地国においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有していること)
③ 管理支配基準(特定外国子会社等がその本店所在地国において、その主たる事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること)
④ 非関連者基準(特定外国子会社等が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業又は航空運送業をその事業年度の主たる事業としている場合において、その事業を主としてその特定外国子会社等に係る関連者以外の者との間で行っていること)又は所在地国基準(非関連者基準の対象事業以外の事業をその事業年度の主たる事業として営む特定外国子会社等が、その事業を主として本店所在地国において行っていること)
本稿では、上記④のうちの非関連者基準について、その判定方法等の確認を行い、その後、コミッショネア取引におけるプリンシパルとコミッショネア(注)に係る販売取扱金額の取扱いを検討することとします。
(注)「コミッショネア取引」とは、通常、自己の名前でプリンシパル(本人)のために活動する者が行う取引を指すものとされています。コミッショネア(問屋)は、プリンシパルのために、自己の名前で商品を販売し、プリンシパルは、その商品が販売されるまでの間、その所有権を保持し、コミッショネアが顧客から注文を取得すると、その商品の所有権はプリンシパルから顧客に移転し、販売代金をプリンシパルが取得することとなり、コミッショネアは、プリンシパルから販売手数料を業務の対価として収受することとなります。
Ⅱ 卸売業における非関連者基準による判定
非関連者基準による判定を行う事業は上記Ⅰ④括弧中に列挙した事業となりますが、特定外国子会社等が営む事業が上記Ⅰ④括弧中に列挙した事業に該当するか否かは、原則として日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定することとされています(措通66の6-17)。特定外国子会社等が2以上の事業を営んでいるときは、そのいずれの事業が主たる事業であるかという判定については、それぞれの事業に属する収入金額又は所得金額の状況、使用人の数、固定施設の状況等を総合的に勘案して判定するということになります(措通66の6-17注書き、66の6-8)。
また、特定外国子会社等が主としてその関連者以外の者(以下、「非関連者」といいます。)との間でその事業を行っているかどうかという判定も必要となるわけですが、これに関しては、その事業の種類ごとに具体的な定めが設けられています(措令39の17⑧)。コミッショネア取引に関しては、卸売業における判定をどのように行うのかということが問題となるわけですが、特定外国子会社等が卸売業を主たる事業として営んでいるという場合には、下記のイ又はロのいずれかに該当すれば、主として非関連者との間で事業を行っていると判断されることとなります(措令39の17⑧一)。
下記イの「販売取扱金額」とは、棚卸資産の販売に係る収入金額をいいますが、棚卸資産の売買の代理又は媒介に関して受け取る手数料がある場合にはその手数料を受け取る基因となった売買の取引金額を含むものとされています(措令39の17⑧一括弧書き)。
また、下記ロの「仕入取扱金額」とは、取得した棚卸資産の取得価額をいいますが、棚卸資産の売買の代理又は媒介に関して受け取る手数料がある場合にはその手数料を受け取る基因となった売買の取引金額を含むものとされています(同前)。
これらの手数料に係る取扱いについては、「商社のような場合にあっては、商品の売買益のほか、商品の取次、媒介等によるコミッション収入もかなりのウェイトを占めるため、そのコミッションのベースとなる取引金額も売上高又は仕入高に含めることとした」(脚注2)ことによるものとされています。
Ⅲ 特定外国子会社等のコミッショネア取引における販売取扱金額の取扱い
1.問題の所在 特定外国子会社等がコミッショネアとなっている場合には、例えば、下記の図のように取引を行うこととなります。
この図を念頭に置き、非関連者基準による判定をどのように行うこととなるのかということを検討してみることとしますが、基本的には、次のⅰの確認とⅱの検討が必要となると考えられます。
ⅰ 特定外国子会社等Bは、この図の取引のみに従事している場合、卸売業として非関連者基準による判定を行うことでよいか
ⅱ 特定外国子会社等Bの主たる事業が卸売業となる場合、非関連者基準による判定における「販売取扱金額」をどのような金額とするのか
2.検 討
(1)上記1ⅰについて コミッショネアは、我が国の商法551条に規定されている問屋に相当するものとされています。商法551条においては、問屋とは自己の名を以って他人のために物品の販売又は買入をすることを業とする者とされています。問屋は、売買取引の相手方との関係では、他人のために行う販売又は買入によって取引の相手方に対して自ら権利を取得し、義務を負うものとされており(商法552①)、自己の名で行った売買取引の当事者として権利義務の主体となります。他方、委託者たる本人との関係では、商法の規定のほか、民法上の委任及び代理に関する規定が準用されることとなっており(商法552②)、問屋が売買取引の相手方との間で行った売買取引の経済的効果は、委託者たる本人に帰属するものと解されています。
厳密に言えば、コミッショネアと商法上の問屋とが同一であるのか否かということに関しては議論の余地があり得ると考えます。
しかし、外国子会社合算税制における非関連者基準による判定においては、次の理由により、コミッショネアの行う取引は「卸売業」とすることになると考えられます。
すなわち、上記Ⅱで述べたとおり、租税特別措置法関係通達66-17においては、日本標準産業分類の分類基準に従って上記Ⅰ④括弧書き中の「卸売業」に該当するのか否かを判定するとされているわけですが、日本標準産業分類においては、大分類I-卸売・小売業における卸売業について、「卸売業とは、主として次の業務を行う事業所をいう」とされており、その中の業務の(1)においては「小売業又は他の卸売業に商品を販売するもの」と、(5)においては「他の事業所のために商品の売買の代理行為を行い、又は仲立人として商品の売買のあっせんをするもの」とされています。他方、コミッショネアである上記1の図の特定外国子会社等Bは、上記Ⅰの注記のとおり、プリンシパルである図の特定外国子会社等Aのために、自己の名前で商品を販売するわけですから、上記の日本標準産業分類の(5)に該当することとなると考えられます。
このため、上記1ⅰに関しては、特定外国子会社等Bは卸売業として非関連者基準による判定を行う、ということとなります。
(2)上記1ⅱについて 上記1の図のコミッショネアである特定外国子会社等Bの非関連者基準における取扱いの検討の前に、図のプリンシパルである特定外国子会社等Aの非関連者基準における取扱いを確認しておきましょう。便宜上、この特定外国子会社等Aの事業は卸売業であるものとします。
特定外国子会社等Aの事業が卸売業であるとすれば、この特定外国子会社等Aに関しても、非関連者基準による判定を行うこととなりますが、この特定外国子会社等Aは、プリンシパル(本人)として第三者に商品を販売していますので、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」にこの第三者との間の棚卸資産の販売に係る収入金額を含めることとなります。
このため、特定外国子会社等Aが上記1の図の取引のみを行っているということであれば、この特定外国子会社等Aは、上記Ⅱイに該当することとなり、非関連者基準により、外国子会社合算税制の適用から除外されることとなります。
次に、特定外国子会社等Bがどうなるのかということになりますが、上記(1)で述べたとおり、この特定外国子会社等Bは、外国子会社合算税制における非関連者基準による判定においては卸売業を行っているということになると考えられます。
この特定外国子会社等Bの事業が卸売業であるとすれば、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」をどのような金額とするのかということが問題となります。
この点に関しては、上記Ⅱにおいて述べたとおり、「商社のような場合にあっては、……コミッションのベースとなる取引金額も売上高又は仕入高に含める」(脚注3)こととして、租税特別措置法施行令39条の17第8項1号括弧書きにおいて、「棚卸資産の売買の代理又は媒介に関し受け取る手数料がある場合には、その手数料を受け取る基因となつた売買の取引金額を含む」(注)とされていますので、商社の取引以上に本人の取引に近いと考えられるコミッショネア取引においては、コミッショネアの非関連者基準による判定における上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」をプリンシパルの「販売取扱金額」とすることになると考えられます。
(注)この「含む」は、「手数料」と「その手数料を受け取る基因となつた売買の取引金額」との双方を重複して「販売取扱金額」に含めるということではなく、手数料を受け取る取引の売買の取引金額をその他の取引の売買の取引金額に含めるという趣旨の規定であると解されます。
すなわち、特定外国子会社等Bにおいても、上記Ⅱイの計算式の「販売取扱金額」は、特定外国子会社等Aにおける「販売取扱金額」と同じ金額となることになり、この特定外国子会社等Bが上記1の図の取引のみを行っているということであれば、特定外国子会社等Aと同様に、非関連者基準により、外国子会社合算税制の適用から除外されることとなります。
このように、1つの「販売取扱金額」を2つの判定の場面で用いるということに関しては、違和感を持たれる向きもあるものと考えられますが、コミッショネア取引は、実質的には1つの商品の売買取引について、形式上、販売機能を分離して行うという性格を有していると解されることからすると、経済実態に即した判定方法となっていると考えることができます。
脚注
1 高橋元監修『タックス・ヘイブン対策税制の解説』(清文社、昭和54年)95頁。
2 前掲脚注1書134・135頁。
3 前掲脚注2の引用を参照のこと。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















