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解説記事2011年10月31日 【ニュース特集】 税務調査で顕在化 定期同額給与の問題点(2011年10月31日号・№425)

平成18年度の役員給与大改正から5年経過
税務調査で顕在化 定期同額給与の問題点

 平成18年度税制改正における役員給与の大改正から5年が経過した。定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与に該当しないものの額を損金不算入とした役員給与の改正に関しては、平成18年当時から実務面での疑問点が多く、課税当局はQ&A等の公表で対応してきた。現状においては、法令改正・通達等により、実務上の問題は一応解消されたようにみえる。 
 しかし、ここにきて課税当局内で、役員給与に係る様々な疑義が顕在化してきているようだ。また、平成18年改正後で初となる定期同額給与の裁決事例公表も記憶に新しい(本誌422号9頁参照)。
 今回の特集では、定期同額給与の損金算入否認リスク回避の参考として、税務調査等で浮上したと思われる当局で検討されている事例を紹介する。

ケース1 臨時改定事由に該当しない増額改定の場合の翌事業年度の取扱い  Z社(年1回3月決算)は、取締役Aに対し、月額40万円の役員給与を支給することとしていたが、X1年5月25日開催の定時株主総会において、6月支給分の給与から20万円増額して、月額60万円を支給することを決議した。
 その後、取締役Aの統括する部署の業績が好調であることから、X1年9月1日に臨時株主総会を開催し、同月支給分の給与からさらに10万円増額し、月額70万円とすることを決議した。
 そのうえで、X2年5月25日に開催した定時株主総会において、Aに対する定期給与の額を6月支給分から月額60万円に戻した(図1参照)。この場合、X2年4月、5月分の給与が定期同額給与となるか。
編集部メモ
法法34条1項1号・法令69条1項1号では、通常改定、臨時改定事由による改定、業績悪化改定事由による改定がされた場合における当該事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日または当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるものについて、定期同額給与として損金算入を認めている。X1年9月の増額改定は臨時改定事由に該当しないことから、定期同額部分(60万円)への上乗せ部分70万円(10万×9月~翌年3月)については損金不算入。上乗せ分と事業年度の関係をどう見るか。

ケース2 未払いとなっていた増額改定差額部分を追加的に支払った場合  X社(3月決算)は、毎月1回定額(月額100万円)の役員給与を支給していたが、平成22年6月の株主総会において、同年7月分の給与から5名の役員全員について、一律月額40万円を増額して支給する旨の決議が承認された。
 その後、同年9月に役員5名のうち1名については、増額する前の役員給与額を支払っていたことが判明。そこで、9月の支給日に、遡及分を含めて図2のとおり、追加的に一括支給し損金経理をした場合、その給与は定期同額給与として損金算入されるか。

 X社は、7月・8月の支給に際して増額前の給与額100万円のみ損金経理し、増額後の支給額140万円との差額各40万円について未払計上はしておらず、事前確定届出給与に係る届出の提出は行っていない。
編集部メモ
上記と事実関係は異なるが、以下の質疑応答事例が公表されている(要約)。
○照会要旨:6月末の定時株主総会での増額改定に当たって、期首の4月にそ及して増額し、4月分から6月分までの給与の増額分は7月に一括支給することとしている場合、7月に一括支給する増額分を含めて損金の額に算入することができるか。
○回答要旨:7月に一括支給する増額分は、定期同額給与に該当しないため、損金の額に算入されない。既に終了した職務に対して、「事後」に給与の額を増額して支給したものは、損金算入される給与のいずれにも該当しない。

ケース3 一時的な報酬カットを行った場合の取扱い  X社は、定時総会終了後において、業績不振、従業員の横領が発覚したことを事由とする役員給与の減額(一時的な報酬カット、図3の2~4および6の部分)を数回行ったが、定期同額給与として認められるのは、図3の1・5・7のどの部分までとなるのか。

編集部メモ
定期同額給与の増額・減額改定(臨時改定事由・業績悪化事由)については、次の通達等がある。法基通9−2−13は、業績悪化改定事由とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいい、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないと定めている。法基通9−2−12の3の趣旨説明では、会社やその役員が不祥事等を起こした場合の役員給与額の一定期間減額が、社会通念上相当と認められる範囲のものであるときは、その減額改定および増額改定についても臨時改定事由によるものに該当する旨が記載されている。

ケース4 決算期変更に伴い行った給与支払日の変更に伴う役員給与の増額  X法人は、税務調査の最終年度において、4月20日決算から3月31日決算へ決算期を変更した。これに伴い、役員および従業員の給与の支払日も、20日支払から月末支払に変更した。そのため、役員および従業員に対する給与が、変更した月において10日分多く支給することとなったが(図4参照)、当該支給分(20万円)については、定期同額給与に該当せず、損金不算入となるか。



ケース5 期末における未払役員給与の計上がされている場合の定期同額性  X法人(3月決算)は従業員給与の支払いに関して、長年の習慣により「月末締めの翌月10日払い」とし、期中は現金主義により経理処理を行い、期末のみ発生主義による経理処理を行っている。
 X法人は、役員給与に関しても、従業員給与と同じ日に支給し、また、経理処理も同様に処理している。
 このような場合、定期同額給与として損金算入できるか。
編集部メモ
法基通9−1−12は、定期同額給与に係る定期給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復または継続して支給されるものをいうとしているがどうか。

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