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解説記事2011年12月12日 【実務解説】 実務家のための個人立幼稚園等の教育用財産に対する相続税の非課税事務に関するQ&A(2011年12月12日号・№430)

実務家のための個人立幼稚園等の教育用財産に対する相続税の非課税事務に関するQ&A
 編集部

 本稿は、税理士等の実務家のため、個人立幼稚園等の教育用財産に対する相続税の非課税事務について、課税当局の資料等を元にQ&A形式で紹介するものです。

教育用財産について
[Q1] 教育用財産とは、具体的にどのようなものをいうのですか。

[A]  主に、次の財産が教育用財産に該当することになります。
・土地(園舎敷地、運動場)
・建物(園舎、事務所)
・構築物(舗装路面、塀など)
・車両(スクールバスなど)
・幼稚園名義の預貯金
・遊具類、教材類(絵本、紙芝居など)
・事務用什器備品

【解説】  教育用財産とは、幼稚園における教育の用に供するものとして相当と認められるものに専ら供するもの(相規附3)と規定されており、具体的なものについての規定は特に設けられていません。
 ところで、学校教育法22条では、幼稚園の設置目的として、「幼稚園は、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」と規定されており、同法23条にはその目的を実現するために、①健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること、②集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律および協同の精神ならびに規範意識の芽生えを養うこと、③身近な社会生活、生命および自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度および思考力の芽生えを養うこと、④日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと、⑤音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと、が目標として掲げられています。
 したがって、前述の目標を達成するために、必要不可欠な資産および通常使用される資産が教育用財産としてふさわしいこととなります。
 なお、相続税法施行令附則4項により相法12条1項(以下「幼稚園の非課税特例」という)の適用があるものとされる財産については、専ら教育の用に供されるものであることが前提であることから、幼稚園の経営者やその親族らの個人的な用に供されるものについては教育用財産には当たらないこととなります。
 ちなみに、学校教育法3条による委任を受けて定められた、幼稚園設置基準(昭和31年文部省令第32号)は、その8条から12条に幼稚園事業において必要とされる施設等の基準を定めており、教育用財産に該当するかどうかについて判断の基準となります。

教育用財産を取得した場合の税務署長への届出について
[Q2] 教育用財産を新たに取得した場合、いつまでに税務署長に届出をしなければなりませんか。

[A]  その財産を取得した日から4か月以内に教育用財産の届出をしなければなりません。
 なお、取得した年の12月31日現在の教育用財産の現況について記載した届出書を所得税の確定申告書(申告期限内に提出する場合に限る)に添付することにより提出することもできます。

【解説】  幼稚園の非課税特例の適用がある財産は、相続税法施行規則附則4項に定める教育財産の届出がされたものに限られています(相規附3)。
 そして、教育用財産を取得し、教育の用に供した場合には、その財産を教育の用に供した日から4か月以内に税務署長にその旨の届出書を提出しなければならないこととされており(相規附4)、当該届出書には、次の事項を記載することとされています。
① 届出書を提出する者の氏名および住所
② 当該学校の名称および所在地ならびに当該学校の種類
③ 当該教育の用に供した教育用財産(当該届出書が最初に提出されるものである場合には、当該提出の日において当該学校における教育の用に供されている教育用財産)の明細、その用途および所在地または所在場所
④ その他参考となるべき事項
 なお、教育用財産の届出は、当該幼稚園の事業を行う個人が、その年以後の各年分の所得税の確定申告書(その提出期限内に提出されるものに限る)に、次の事項を記載した書類を添付して提出することができることとされています(相規附6)。
① 当該幼稚園の名称および所在地
② その年の12月31日(その者が年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)において事業者の行う幼稚園の事業の用に供されている教育用財産の明細、その財産の用途および所在地または所在場所
③ その他参考となるべき事項
 また、教育用財産を廃棄等し、事業の用に供さなくなった場合にも、上記と同様に届出を行うこととされています(相規附5)。

教育用財産に抵当権が設定されている場合について
[Q3] 教育用財産として届け出ている幼稚園の園舎およびその敷地に、園舎の建替え費用として銀行から借入れをした際に抵当権を設定していますが、幼稚園の非課税特例を適用することはできますか。

[A]  幼稚園の事業に係る借入れに際し設定された抵当権等であれば幼稚園の非課税特例の適用上問題とはなりません。
 なお、事業経営者およびその者と特別関係がある者の個人的な借入れに係る抵当権等が設定されている場合には、幼稚園の非課税特例を適用することはできません。

【解説】  相続税法施行規則附則7項7号には、「事業経営者は、当該事業に係る施設について、第1号に規定する5年前の年以後の各年において、当該事業以外の事業並びに当該事業に係る事業経営者及びその者と特別関係がある者の用に供されておらず、かつ、当該事業のための担保以外の担保に供していないこと」と規定されており、相続開始の年の5年前の年以後幼稚園事業に係る債務以外の債務のために幼稚園の施設等を担保提供していた場合には、当該資産に関して相続税の非課税の規定は適用できないこととなります。
 したがって、幼稚園事業に係る債務(たとえば、園舎の建替えのほか修繕費用等、遊具・備品等の購入など)のために、事業用資産を担保に供した場合には、教育用財産に供されているものとして幼稚園の非課税特例の対象とすることができます。
 なお、事業経営者が自宅の購入資金を金融機関等から借入れをし、その債権者等に対して教育用財産を担保として提供していた場合のように、相続開始の年の5年前の年以後において、幼稚園の事業以外の資金の担保となっていたものは、幼稚園の非課税特例の対象とすることはできません。

家事充当金の認定申請について
[Q4] 家事充当金について税務署長の承認を受けるためには、いつまでに申請しなければなりませんか。

[A]  認定を受けようとする年の3月15日までに申請しなければなりません。

【解説】  家事充当金とは、幼稚園事業に係る事業経営者が、幼稚園事業会計から支払いを受ける金銭で、事業経営者自身の家事のために充てるものの金額を意味します。
 この家事充当金の額については、相続税法施行規則附則7項1号に、「施行令附則第4項に規定する財務省令で定める者に該当する同項に規定する事業を行う個人及び当該個人に係る附則第3項に規定する当該事業を行っていた被相続人(当該被相続人の被相続人で当該事業を行っていたものを含むものとし、以下「事業経営者」と総称する。)が当該被相続人に係る相続の開始の年の5年前の年以後の各年において当該事業に係る資産のうちその者の家事のために充てるものの金額は、当該事業の規模及び当該事業の使用人に対する給与の支給の状況並びに当該事業に係る幼稚園と同種、同規模の幼稚園を設置する私立学校法(中略)に規定する学校法人の代表者に対する報酬の支給の状況等に照らし、その者が当該事業から受ける報酬の額として相当であると認められる金額として次項から第11項までに定めるところにより当該事業に係るその者の所得税の納税地の所轄税務署長の認定を受けた金額(中略)を超えていないこと」と規定されています。
 そして、上記の認定を受けようとする場合は、その認定を受けようとする年の3月15日までに、一定の事項を記載した申請書を、当該個人の所得税の納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています(相規附8)。
 なお、上記の申請書の提出を受けた税務署長は、その申請内容を確認のうえ、当該申請に係る家事充当金の限度額が、幼稚園の事業から受ける報酬の額として相当である金額であるとして認定をするか、もしくは相当ではないとして却下するかを、申請者に対して書面により通知することとされています(相規附9、10)が、当該申請に対して、その認定を受けようとする年の12月31日までに認定または却下の処分がなかったときは、その日において認定があったものとみなされます(相規附11)。

相続開始前に相続人が事業経営者となっていた場合について
[Q5] 相続人Aは幼稚園の園長をし、設置者としての届出もしています。
   幼稚園の園舎とその敷地は被相続人であるBが所有していましたが、当該幼稚園の園長および設置者として届出がされているのは、同人の子のAとなっています。
 この場合、Bの相続開始によりAが当該園舎およびその敷地を相続した場合、幼稚園の非課税特例の適用はありますか。

[A]  一定の要件を満たしていれば、幼稚園の非課税特例の適用はあります。

【解説】  相続税法12条1項3号は、「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者(中略)が相続又は遺贈により取得した財産」について相続税を課さないこととされているとおり、公益を目的とする事業に供される財産を当該事業を行う者が相続等により取得した場合に幼稚園の非課税特例の適用があることを原則とし、その相続により財産を取得した後に公益事業を行う者をこれに該当するものとして取り扱うこととしているものです(相基通12-5、相令附則4)。
 したがって、本件における幼稚園の園舎とその敷地については、上記「事業を行う者が相続又は遺贈により取得した財産」であることから、「相続により財産を取得した後に事業を行う者」におけると同様に、要件を充足すれば、幼稚園の非課税特例の適用があることとなります。
 なお、幼稚園に係る事業経営者とは、幼稚園を設置し運営する事業を行う個人をいうことになります(相規附2)から、これに該当する個人が相続税法施行規則附則4項以下に規定される届出等を行っていなければならず、同人が相続により取得した財産でなければならない点に留意する必要があります。

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