資料2012年05月21日 【重要資料】 ─平成23年6月の消費税法の一部改正関係─「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A〔Ⅰ〕【基本的な考え方編】(1)(2012年5月21日号・№451)

重要資料
下記資料は今号から分割して掲載するものです。(編集部)

─平成23年6月の消費税法の一部改正関係─
「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A〔Ⅰ〕【基本的な考え方編】(1)

 平成24年3月
 国税庁消費税室

 このQ&Aは、平成23年6月の消費税法の一部改正において、仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の適用要件の見直し(平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用)が行われたことを踏まえて、従来からの仕入控除税額の計算方法等に関する基本的な考え方や留意点等について、体系的に整理したものである。

【仕入税額控除制度(仕入控除税額の計算に関する部分)】
(問1)  消費税の仕入税額控除制度(仕入控除税額の計算に関する部分)について教えてください。
(答)
1 仕入税額控除制度の基本的な考え方
 消費税は、原則として全ての財貨・サービスの国内における販売、提供などを課税対象とし、生産、流通、販売などの各段階において、他の事業者や消費者に財貨・サービスの販売、提供などを行う事業者(法人及び個人事業者)を納税義務者とし、その売上げ(課税資産の譲渡等)に対して課税されます。
 消費税においては、こうした仕組みを採る関係上、各取引段階において二重、三重に消費税が課されないよう、税の累積を排除するために、事業者の納付税額の計算に当たっては、その前段階で課された消費税額を控除する制度(以下「仕入税額控除制度」といいます。)が設けられています(法30)。
 各事業者が申告・納付する消費税額は、原則として、その課税期間中の課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除(以下「仕入税額控除」といいます。)して計算することになります。また、課税仕入れ等に係る消費税額が課税売上げに係る消費税額を上回る場合には、控除不足額が還付されます。
 仕入税額控除制度は、上記のように税の累積を排除する観点から設けられた制度ですので、課税仕入れ等に係る消費税額については、あくまで課税売上げに対応するもののみが仕入税額控除の対象になるというのが原則です。このため、非課税売上げである取引を行う事業者であっても、その取引を行うために財貨・サービスの課税仕入れ等が一般的に行われますが、本来、当該非課税売上げに対応する課税仕入れ等に係る消費税額は仕入税額控除の対象とはなりません。
2 課税売上割合による仕入控除税額の計算  しかしながら、例えば、預金利子などの非課税売上げは、その営む事業の内容如何にかかわらず、ほとんどの事業者において生じるものと考えられますが、他方でこれに伴う課税仕入れ等はほとんど生じないのが通常です。こうしたことから、事業者の事務負担等に配慮し、事業全体の売上高に基づく課税売上割合(非課税売上げも含めた売上高全体に占める課税売上高の割合をいいます。問3参照。)を基に、仕入税額控除の対象となる消費税額(以下「仕入控除税額」といいます。)の計算をすることができるという簡便法が設けられています。具体的には、専ら課税売上げを行う場合として、課税売上割合が95%以上である場合には、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額が課税売上げに対応するものか否かの厳密な区分を行うことを要せず、全額を仕入税額控除の対象とすることができることとされています(以下「95%ルール」といいます。)。
(注)平成24年4月1日以後に開始する課税期間からは、その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者は、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかで仕入控除税額を計算する必要があります(問2参照)。
 他方、課税売上割合が95%未満の場合及び上記2(注)に該当する場合の仕入控除税額の計算は、次のように行います(法30②)。
① 個別対応方式

② 一括比例配分方式


【95%ルールの適用要件の見直しの概要】
(問2)  仕入税額控除制度における「95%ルール」の適用要件の見直しの概要について教えてください。
(答)
1 改正概要
 改正前の95%ルールは、事業者の事務負担等に配慮する観点から導入された制度であるにもかかわらず、その課税期間における課税売上割合が95%以上である全ての事業者に一律に認められていましたが、制度の本来の趣旨を踏まえ、対象者を、引き続き事務負担に配慮する必要があると考えられる一定規模以下の事業者に限定して適用することとされました(法30②)。
 具体的には、95%ルールの適用対象者をその課税期間における課税売上高が5億円以下の事業者に限ることとし、他方で当該課税売上高が5億円を超える事業者については、課税売上割合が95%以上であっても、仕入控除税額の計算に当たっては、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で計算する必要があることとされました。
 この場合の「課税期間における課税売上高」とは、その課税期間中における消費税が課税される取引の売上金額(税抜き)と、輸出取引などの免税売上金額の合計額をいい、売上返品、売上値引や売上割戻し等に係る金額がある場合には、これらの合計額(税抜き)を控除した残額(法第28条第1項に規定する対価の額)をいいます(法30⑥)。
2 課税売上高5億円の判定期間  「その課税期間における課税売上高が5億円を超える」か否かは1年間の課税売上高によって判定することとなりますので、例えば、事業年度が6か月である場合や課税期間の特例(法19①三~四の二)の適用を受けている場合など、その課税期間が1年に満たない場合には、その1年に満たない課税期間における課税売上高を1年間の課税売上高に年換算した金額(当該課税期間の月数で除し、これに12を乗じて計算した金額)とすることとされています。これは、仮決算による中間申告書を提出する場合も同様です。
 なお、事業者免税点制度等の中小事業者向け特例措置のように「基準期間における課税売上高」により判定するのではなく、課税売上割合が95%以上か未満かの判定をする場合と同様に、あくまで仕入控除税額を計算する対象期間となる課税期間における課税売上高により判定するものであることに留意が必要です。
 上記の改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます(改正法附則22③)。

【課税売上割合の計算】
(問3)  課税売上割合の計算はどのようにして行うのでしょうか。
(答)  課税売上割合とは、その課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額に占める課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額の割合をいいます(法30⑥)。

 この場合の資産の譲渡等の対価の額及び課税資産の譲渡等の対価の額については、それぞれ売上げに係る対価の返還等の金額(輸出取引に係る返還等の金額を含みます。いずれも税抜きです。)を控除した残額によることとなります(令48①)。
 課税売上割合を計算する場合における国内において行った資産の譲渡等の対価の額又は課税資産の譲渡等の対価の額には、輸出取引に係る対価の額は含まれ、国外取引に係る対価の額は含まれません。また、非課税資産の輸出額(有価証券、支払手段、金銭債権の輸出額を除きます。令51①)及び資産の海外支店等への転送輸出に係る輸出額に相当する額も、課税売上割合を計算する場合の資産の譲渡等の対価の額及び課税資産の譲渡等の対価の額に含まれることとされています(法31、令51②③)。
 なお、課税売上割合の分母となる(資産の譲渡等の対価の額の合計額)の計算については、次の1から3の特例が設けられています(令48)。
 また、課税売上割合を計算する上での注意点は、下記4を参照してください。
1 資産の譲渡等の対価の額の全額を分母に算入しないもの(令48②) (1)通貨、小切手等の支払手段の譲渡については、売上げの二重計上を排除するため、これらに係る対価の額は、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額に含めないこととされています。
(2)資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権(いわゆる売掛債権等)の譲渡については、売上げの二重計上を排除するため、その譲渡等の対価の額は、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額に含めないこととされています。
(3)国債、地方債及び社債並びに譲渡性預金証書等(現先取引債券等)を予め約定した期日に予め約定した価格等で買い戻すことを約して譲渡し、かつ、その約定に基づきその現先取引債券等を買い戻す場合におけるその現先取引債券等の譲渡については、資金の借入れと同じ効果を持つものですから、これに係る対価の額は、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額に含めないこととされています。
2 資産の譲渡等の対価の額の一部の金額を分母に算入するもの(令48③~⑤) (1)現先取引債券等を予め約定した期日に予め約定した価格で売り戻すことを約して購入し、かつ、その約定に基づき売り戻す場合における対価の額は、その現先取引が利子を得る目的で行う金銭の貸付けと類似することから、課税売上割合の計算における資産の譲渡等の対価の額となるのは、売戻しに係る対価の額から購入に係る対価の額を控除した残額とされています。
(2)貸付金その他の金銭債権の譲受け等をした場合の対価の額は、利子(償還差益、譲り受けた金銭債権の弁済を受けた金額とその取得価額との差額その他経済的な性質が利子に準ずるものを含みます。)の金額とされています。
(3)消費税が非課税となる有価証券等を譲渡した場合(現先取引に該当するものを除く。)には、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額に算入する対価の額は、その有価証券等の譲渡の対価の額の5%に相当する金額とされています。
3 分母から控除するもの(令48⑥)  国債等について償還差損が生ずる場合には、課税売上割合の計算上、その償還差損は資産の譲渡等の対価の額から控除することとされています。
4 課税売上割合を計算する上での注意点 (1)課税売上割合は、事業者がその課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額に占める課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額の割合とされていますから、課税売上割合の計算を事業所単位又は事業部単位等で行うことは認められません(基通11-5-1)。
(2)消費税が不課税となる見舞金、祝金、寄附金、保険金、配当金又は補助金等は、課税売上割合の計算上、分母及び分子のいずれにも算入しません。
(3)いわゆる信用取引による有価証券の譲渡は、それが現物を伴う取引であることについては通常の現物取引と異なるものではありませんから、その有価証券の譲渡の対価の額の5%に相当する金額を分母に算入することとなります(令48⑤)。
(4)金銭の貸付けは非課税取引ですが、非居住者に対する金銭の貸付けのように輸出取引等に該当するもの(令17③)で、その証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等として取り扱うこととされています(法31①)。したがって、課税売上割合の計算上、非居住者に対する金銭の貸付け等である旨の証明がされるものに係る貸付金の利子については、課税資産の譲渡等の対価として、分子にも算入します(令51②)。
(5)有価証券、支払手段、金銭債権の輸出は、課税資産の譲渡等に係る輸出取引とみなすものには含まれませんから、課税売上割合の計算上、分子には算入しないこととなります(法31①、令51①)。
(6)相続、合併、分割等があったことにより、課税期間の中途で課税事業者となった場合の相続人、合併法人、新設分割子法人又は分割承継法人の課税売上割合の計算は、それぞれ課税事業者となった後の資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を基礎として計算することとなります(基通11-5-3)。
(7)課税売上割合を計算する場合における国内において行った資産の譲渡等の対価の額又は課税資産の譲渡等の対価の額には、輸出取引に係る対価の額は含まれますが、国外取引に係る対価の額は含まれません(基通11-5-4)。
(8)輸出取引に係る対価の返還等を行った場合には、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額及び課税資産の譲渡等の対価の額から、それぞれ輸出取引に係る対価の返還等の金額を控除することとなります(基通11-5-5)。
(9)課税売上割合については、原則として、端数処理は行いませんが、事業者がその生じた端数を切り捨てているときは認められます(基通11-5-6)。

【個別対応方式】
(問4)  個別対応方式について教えてください。
(答)  課税売上割合が95%未満である事業者又は課税売上割合が95%以上であってもその課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者(平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用)については、仕入控除税額の計算は、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で行うこととされています(法30②)。
 個別対応方式は、その課税期間における個々の課税仕入れ等の全てについて、次の3つの区分が明らかにされている場合に適用できる計算方法です(法30②一)。
① 課税売上対応分
② 非課税売上対応分
③ 共通対応分
 個別対応方式を適用する場合の仕入控除税額の計算方法は次のとおりとなります。
【個別対応方式による計算方法】
(注)1 個別対応方式を適用する事業者は、税務署長の承認を受けることにより課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合により仕入控除税額の計算をすることができます(法30③)。
   2 個別対応方式を適用するか一括比例配分方式を適用するかの判断は、各事業者の選択に委ねられていますが、一括比例配分方式(問5参照。)を適用した場合には、一括比例配分方式を適用した課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間につき継続して適用することが要件とされています(法30⑤)。

【一括比例配分方式】
(問5)  一括比例配分方式について教えてください。
(答)  課税売上割合が95%未満である事業者又は課税売上割合が95%以上であってもその課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者(平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用)については、仕入控除税額の計算は、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で行うこととされています(法30②)。
 一括比例配分方式は、個別対応方式を適用しない場合、つまり、その課税期間における課税仕入れ等を課税売上対応分、非課税売上対応分及び共通対応分にその区分が明らかにされていない場合に適用する、又は区分が明らかにされている場合であっても適用できる計算方法です(法30②二)。
 一括比例配分方式を適用する場合の仕入控除税額の計算方法は次のとおりです。
【一括比例配分方式による計算方法】
(注)1 一括比例配分方式を適用した場合には、一括比例配分方式を適用した課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間につき継続して適用することが要件とされています(法30⑤)。
   2 一括比例配分方式を適用した事業者は、その課税期間において課税売上割合に準ずる割合の適用はできません(法30③)。

【個別対応方式と一括比例配分方式の適用関係(一括比例配分方式の継続適用)】
(問6)  前課税期間の確定申告における仕入控除税額の計算は一括比例配分方式により行い、当課税期間の確定申告については個別対応方式により行いたいのですが可能ですか。
(答)  一括比例配分方式を適用した事業者は、この計算方法を適用した課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間において、継続してこの一括比例配分方式を適用しなければならないこととされています(法30⑤、基通11-2-21)。
 一括比例配分方式を2年間以上継続して適用(各課税期間が1年で前々課税期間にも一括比例配分方式を適用)している場合は、当課税期間の確定申告を個別対応方式により行うことは可能です。

【個別対応方式と一括比例配分方式の適用関係(仮決算による一括比例配分方式の適用)】
(問7)  個別対応方式により仕入控除税額を計算している事業者ですが、中間申告を仮決算で行うことになりました。中間申告については、一括比例配分方式により仕入控除税額を計算したいのですが認められますか。
(答)  認められます。
 中間申告による納付税額は、確定申告によって清算されるものであることから、仮決算による中間申告において一括比例配分方式を適用した場合でも、最終的な確定申告において個別対応方式を適用することは認められます。また、法第30条第5項の規定により一括比例配分方式を継続適用しなければならない課税期間であっても、仮決算に基づく中間申告においては、個別対応方式によることも認められます(基通15-2-7)。
(注)修正申告において適用できる仕入控除税額の計算方法は、その確定申告において適用した方法となります(基通15-2-7注書き)。

【個別対応方式と一括比例配分方式の適用関係(計算方法の事後的な変更)】
(問8)  一括比例配分方式により仕入控除税額を計算し確定申告した後において、個別対応方式による方が納付すべき税額が少なくなることに気付いたことから、仕入控除税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することを理由に更正の請求を行いたいのですが認められますか。
(答)  認められません。
 法第30条第2項第2号《一括比例配分方式》の規定に従って確定申告を行っていますので、国税通則法第23条第1項第1号に規定する当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しません。
 したがって、更正の請求は認められません。

【課税売上対応分の意義】
(問9)  個別対応方式における課税売上対応分について教えてください。
(答)  課税売上対応分とは、課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、次に掲げる課税仕入れ等がこれに該当します(基通11-2-12)。
 ① そのまま他に譲渡される課税資産
 ② 課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料、容器、包紙、機械及び装置、工具、器具、備品等
 ③ 課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等
 なお、課税資産の譲渡等にのみ要した000ものではありませんから、当該課税仕入れ等を行った課税期間において当該課税仕入れ等に対応する課税資産の譲渡等があったかどうかは問いません。
(参考)
1 国外取引に係る課税仕入れ等
 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合についても、当該課税仕入れ等について法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されることになります。
 この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税売上対応分として区分することとなります(基通11-2-13)。
2 試供品、試作品等に係る課税仕入れ等  課税資産の譲渡等に係る販売促進等のために得意先等に配布される試供品、試作品等に係る課税仕入れ等は、課税売上対応分として区分することとなります(基通11-2-14)。

【非課税売上対応分の意義】
(問10)  個別対応方式における非課税売上対応分について教えてください。
(答)  非課税売上対応分とは、非課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、次に掲げる課税仕入れ等がこれに該当します(基通11-2-15)。
 ① 販売用の土地の造成費用
 ② 販売用の土地の取得に係る仲介手数料
 ③ 土地だけの譲渡に係る仲介手数料
 ④ 賃貸用住宅の建築費用
 ⑤ 住宅の賃貸に係る仲介手数料
 ⑥ 有価証券の売却時・購入時の売買手数料
 なお、非課税資産の譲渡等にのみ要したものではありませんから、当該課税仕入れ等を行った課税期間において当該課税仕入れ等に対応する非課税資産の譲渡等があったかどうかは問いません。

【共通対応分の意義】
(問11)  個別対応方式における共通対応分について教えてください。
(答)  共通対応分とは、原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等がこれに該当します。
 例えば、課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等がある場合に、それらに共通して使用される資産の取得費用や、消耗品費、電話料金、電気料金、ガス料金、水道料金等の課税仕入れ等がこれに該当します。
 また、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、共通対応分として区分することとなります(基通11-2-16)。
(参考)
1 交際費に該当する課税仕入れ等
 交際費に該当する課税仕入れ等は、原則として共通対応分として区分することとなります。
 なお、交際費としての支出の目的や相手方に応じて用途区分を判定することは認められますので、例えば、課税資産の譲渡等のみを行っている相手方に対する歳暮や中元に係る課税仕入れ等であることが特定できるものについては、課税売上対応分として区分することとなります。
2 寄附目的の課税仕入れ等  寄附する目的で購入した物品に係る課税仕入れ等は、寄附として行う物品の贈与が、対価を得て行われる資産の譲渡等には該当しませんから、そのための課税仕入れ等については、原則として共通対応分として区分することとなります(基通11-2-17)。

【個別対応方式における用途区分(用途区分の方法)】
(問12)
 個別対応方式は、その課税期間における個々の課税仕入れ等の全てについて、課税売上対応分、非課税売上対応分及び共通対応分に区分(以下「用途区分」といいます。)し、その区分が明らかにされている場合に適用できる計算方法ですが、その用途区分を明らかにする方法について教えてください。
(答)  事業者の行う課税仕入れ等について、課税売上対応分、非課税売上対応分又は共通対応分であることが明らかとなるように、例えば、課税仕入れ等に係る帳簿にその用途区分を記載する、又は、会計ソフトにその用途区分を入力するなど、申告後においても客観的に判断できるように用途区分されていればよく、その区分方法は問いません。

【個別対応方式における用途区分(課税仕入れ等ごとの用途区分)】
(問13)
 課税仕入れ等の用途区分は取引ごとに行う必要があるのですか。
(答)  個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合には、その課税期間中において行った個々の課税仕入れ等について、必ず、課税売上対応分、非課税売上対応分及び共通対応分に区分しなければなりなせん。
 この用途区分は、個々の課税仕入れ等ごと(取引ごと)に行う必要があります。
 なお、課税仕入れ等の中から課税売上対応分のみを抽出して残りを全て共通対応分として区分することは認められません(法30②一、基通11-2-18)。

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