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解説記事2012年07月23日 【税制改正解説】 平成23年12月・24年度所得税関係の改正について(2・了)(2012年7月23日号・№460)

税制改正解説
平成23年12月・24年度所得税関係の改正について(2・了)
 早坂達也

平成23年12月税制改正関係(承前)

Ⅲ.東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法関係

1.納税義務者
① 所得税の納税義務者は、基準所得税額につき、復興特別所得税を納める義務がある(復興財確法8①)。
② 所得税の源泉徴収義務者は、その源泉徴収に係る所得税の額につき、復興特別所得税を徴収し、納付する義務がある(復興財確法8②)。

2.課税の対象  居住者又は非居住者の平成25年から平成49年までの各年分に課される所得税に係る基準所得税額が課税の対象になる(復興財確法9①)。

3.基準所得税額  基準所得税額は、次に掲げる納税義務者の区分に応じそれぞれ次に定める所得税の額になる。ただし、外国税額控除を適用しない場合の所得税の額とされ、附帯税の額は除く。(復興財確法10)
① 非永住者以外の居住者 全ての所得に対する所得税の額
② 非永住者 国内源泉所得及び国外源泉所得のうち国内払のもの又は国内に送金されたものに対する所得税の額
③ 非居住者 国内源泉所得に対する所得税の額
④ 内国法人 利子等及び配当等などに対する所得税の額
⑤ 外国法人 国内源泉所得のうち利子等及び配当等などに対する所得税の額

4.個人に係る復興特別所得税の課税標準  個人に対し課する復興特別所得税の課税標準は、その個人の基準所得税額になる(復興財確法12)。

5.個人に係る復興特別税の額の計算 ① 個人に対して課する復興特別所得税の額は、その個人のその年分の基準所得税額に100分の2.1の税率を乗じて計算した金額になる(復興財確法13)。
② 居住者が納付する各年の控除対象外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合には、その超える金額を、その年の国外所得に対応する復興特別所得税の額を限度として、その年の復興特別所得税の額から控除する(復興財確法14)。
③ 復興特別所得税申告書を提出する義務がない者に対して課する復興特別所得税の額は、予納特別税額及び源泉徴収特別税額の合計額になる(復興財確法15)。

6.申告、納付及び還付等 ① 所得税の予定納税をする者は、予定納税額に係る復興特別所得税を当該予定納税額と併せて国に納付することになる(復興財確法16)。
② 所得税の確定申告書を提出する者は、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した復興特別所得税申告書をその確定申告書と併せて提出することになる(復興財確法17)。
 イ その年分の確定申告書に係る基準所得税額
 ロ イに掲げる基準所得税額につき計算した復興特別所得税の額
 ハ 源泉徴収特別税額がある場合には、ロに掲げる復興特別所得税の額からその源泉徴収特別税額を控除した金額
 ニ ハに掲げる金額の計算上控除しきれなかった源泉徴収特別税額がある場合には、その控除しきれなかった金額
 ホ 予納特別税額がある場合には、ロに掲げる復興特別所得税の額(源泉徴収特別税額がある場合には、ハに掲げる金額)から当該予納特別税額を控除した金額
 ヘ ホに掲げる金額の計算上控除しきれなかった予納特別税額がある場合には、その控除しきれなかった金額
③ 復興特別所得税申告書を提出した者は、その申告書の提出期限までに、その申告書に記載した納付すべき復興特別所得税を所得税と併せて国に納付することになる(復興財確法18)。
④ 復興特別所得税申告書を提出した者について、復興特別所得税額の計算上控除しきれない予定特別税額及び源泉徴収特別税額があるときは、その復興特別所得税を還付することになる(復興財確法19)。

7.法人に係る復興特別所得税の課税標準  法人に対し課する復興特別所得税の課税標準は、その法人の基準所得税額になる(復興財確法26)。

8.法人に係る復興特別税の額の計算  法人に対して課する復興特別所得税の額は、その法人の基準所得税額に100分の2.1の税率を乗じて計算した金額になる(復興財確法27)。

9.源泉徴収等 ① 所得税の源泉徴収をする者は、源泉徴収税額に係る復興特別所得税を併せて徴収し、その所得税の法定納期限までに、これをその源泉徴収税額と併せて国に納付することになる(復興財確法28)。
② 所得税の年末調整をする者は、その年末調整と併せて復興特別所得税についても年末調整を行う(復興財確法30)。

10.当該職員の質問検査権及び罰則  当該職員の質問検査権及び罰則について必要な規定が定められている(復興財確法32、34~39)。

11.その他  当該職員の質問検査権、罰則等について所得税の規定に準じて所要の規定が設けられたほか、復興特別所得税に係る法人税法その他の法律の適用につき必要な事項が定められた(復興財確法7、11、20~25、29、31、33)。
(注)前記の制度は平成25年1月1日から施行される(復興財確法附則1二)。

平成24年度税制改正関係

Ⅰ.給与所得・退職所得に関する改正

1.給与所得控除の上限設定
① その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられた(所法28③六)。
② この給与所得控除の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表及び年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表について、所要の整備が行われている(別表第2~5)。
(注)前記①の改正は、平成25年分以後の所得税について適用され(改正法附則51)、前記②の改正は、25年1月1日以後に支払うべき給与等について適用される(改正法附則53、平成24年財務省告示112号)。

2.特定支出控除制度の拡充 ① その年中の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合は、給与所得の金額の計算上、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することとされた(所法57の2①)。
 イ その年中の給与等の収入金額が1,500万円以下である場合 その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
 ロ その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合 125万円
② 特定支出の範囲に次に掲げる支出が追加された(所法57の2②四・六)。
 イ 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
 ロ 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明がされたもの
 (イ)書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出
 (ロ)交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
(注)前記の改正は、平成25年分以後の所得税について適用される(改正法附則52)。

3.退職所得課税の見直し ① 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額とし、いわゆる2分の1課税の適用がなくなった(所法30②④)。
  なお、特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等勤続年数が5年以下である次に掲げる者が、退職手当等の支払をする者からその役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。
 イ 法人税法に規定する役員
 ロ 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
 ハ 国家公務員及び地方公務員
② 退職所得課税の見直しに伴い、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法及び退職所得の受給に関する申告書の記載事項について、所要の整備が行われた(所法201、所令319の3、所規77)。
(注)前記①の改正は、平成25年分以後の所得税について適用され(改正法附則51)、前記②の改正は、平成25年1月1日以後に支払うべき退職手当等又は同日以後に提出する退職受給申告書について適用される(改正法附則54)。

Ⅱ.住宅・土地税制の改正

1.認定低炭素住宅に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設
 都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、認定低炭素住宅(住宅の用に供する同法に規定する低炭素建築物に該当する家屋で一定のものをいう。以下同じ。)の新築又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をして、平成24年又は平成25年に居住の用に供した場合における住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率が、次のとおりとされた(措法41⑤、措令26⑳)。


(注)前記の改正は、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日から施行される(改正法附則1十二)。

2.認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の改正  税額控除の上限額を50万円(改正前:100万円)に引き下げた上、その適用期限が平成25年12月31日まで延長された(措法41の19の4①)。
(注)前記の改正は、居住者が平成24年1月1日以後に認定長期優良住宅をその者の居住の用に供する場合について適用し、居住者が同日前に認定長期優良住宅をその者の居住の用に供した場合については従前どおりとされる(改正法附則17)。

3.特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正  譲渡資産の譲渡に係る対価の額の要件を1億5,000万円以下(改正前:2億円以下)に引き下げた上、その適用期限が平成25年12月31日まで延長された(措法36の2)。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に行う譲渡資産の譲渡について適用され、同日前に行った譲渡資産の譲渡については、従前どおりとされる(改正法附則12③)。

4.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の改正  適用期限が平成25年12月31日まで延長された(措法41の5⑦一)。

5.特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の改正  適用期限が平成25年12月31日まで延長された(措法41の5の2⑦一)。

6.優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正  特例の適用対象となるマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡が、良好な居住環境の確保に資するマンション建替事業としての要件を満たす施行再建マンションを建設するマンション建替事業の用に供される土地等の譲渡とされた(措法31の2②九、措令22の8⑨、平成24年国土交通省告示395号)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年4月1日以後に行う優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡について適用し、個人が同日前に行った優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡については従前どおりとされる(改正法附則12①)。

7.特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除の改正  特例の適用対象となる特定の民間住宅地造成事業等のための土地等の譲渡について、その対象から一団の住宅建設事業に係る土地等の譲渡を除外した上で、一団の宅地造成事業に係る土地等の譲渡に係る措置の適用期限を平成26年12月31日まで延長された(措法34の2②三)。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に行う土地等の譲渡について適用され、同日前に行った土地等の譲渡については、従前どおりとされる(改正法附則12②)。

8.収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の改正  収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、社会福祉法人等の設置に係る児童福祉法第43条に規定する児童発達支援センターが追加された(措規14⑤三)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年4月1日以後に行う資産の譲渡について適用し、同日前に行った資産の譲渡については、従前どおりとされる(改正措規附則7①)。

9.特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の改正  国内にある長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、買換資産の土地等の範囲が、次のいずれかに掲げるもので、その面積が300㎡以上のものに限定された上、その適用期限が平成26年12月31日まで延長された(措法37①九、措令25⑬、措規18の5①、平成24年国土交通省告示507号)。
イ 事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものを除く。)(以下「特定施設」という。)の敷地の用に供されるもの(その特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む。)
ロ 駐車場の用に供されるもので、建物又は構築物の敷地の用に供されていないことにつき、開発行為の許可の手続などの一定の手続その他の行為が進行中であるというやむを得ない事情があり、その事情があることが一定の書類により明らかにされたもの
(注)前記の改正は、個人が平成24年1月1日以後に譲渡資産(租税特別措置法第37条第1項第9号の上欄に掲げる資産をいう。)の譲渡をし、かつ、当該個人が同日以後に買換資産(同号の下欄に掲げる資産をいう。)の取得をする場合における当該譲渡について適用し、個人が同日前に譲渡資産の譲渡をした場合及び個人が同日以後に譲渡資産の譲渡をし、かつ、当該個人が同日前に買換資産の取得をした場合におけるこれらの譲渡については、従前どおりとされる(改正法附則12④)。

10.特定駐留軍用地内の土地を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例の創設  沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法第14条第1項に規定する特定駐留軍用地内の土地を有する個人が、同法第16条第1項の土地の買取りの協議に基づき、当該土地の買取りの協議を行う同条第2項に規定する地方公共団体等に当該土地の譲渡をしたときは、収用交換等の場合の5,000万円特別控除の適用を認めることとされた(沖特令34の3①)。
(注)この特例は、平成24年4月1日に施行される(改正沖特令附則)。

Ⅲ.金融・証券税制の改正

1.特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等の改正
 金融商品取引業者等に開設されていた特定口座で、その年中に取引のなかった特定口座については、その金融商品取引業者等は、その特定口座に係る特定口座年間取引報告書をその特定口座を開設した居住者等に対して交付することを要しないこととされた。ただし、その居住者等の請求があるときは、特定口座年間取引報告書をその居住者等に交付しなければならないこととされた(措法37の11の3⑧)。
(注)前記の改正は、平成24年以後の各年において金融商品取引業者等に開設されていた特定口座に係る特定口座年間取引報告書について適用し、平成23年以前の各年において金融商品取引業者等に開設されていた特定口座に係る特定口座年間取引報告書については従前どおりとされる(改正法附則13、79)。

2.上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除等の改正  特例の対象となる上場株式等の譲渡の範囲に、信託会社(信託業務を営む金融機関を含む。)の国内にある営業所に信託されている上場株式等の譲渡で、その営業所を通じて、外国証券業者への売委託により行うもの又は外国証券業者に対して行うものが追加された(措法37の12の2②九、十)。
(注)前記の改正は、居住者等が平成24年4月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用される(改正法附則14)。

3.特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例の改正  地域再生法の一部改正に伴い、特例の適用対象となる特定株式の範囲に、同法に規定する認定地域再生計画に記載されている一定の特定地域再生事業を行う株式会社(平成26年3月31日までに同法の確認を受けたものに限る。)であって中小企業者に該当するものにより発行される株式で、その確認を受けた日から同日以後3年を経過する日までの間に発行されるものが追加された(措法37の13①四)。
(注)前記の改正は、地域再生法の一部を改正する法律(平成24年法律第   号)の施行の日から施行される(改正法附則1十一)。(編注:7月18日現在、国会審議中)。

4.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税の改正  非課税口座年間取引報告書の記載事項について、繰越取得対価の額の記載を不要とするとともに、株式分割等により取得した非課税口座内上場株式等に関する事項が追加された(措規18の15の9②五、別表第七(三)備考1(5))。
(注)前記の改正は、平成26年1月1日から施行される(改正措規附則1六)。

5.所得税法及び租税特別措置法等の本人確認書類の範囲の改正  所得税法、租税特別措置法及び国外送金等調書提出法における本人確認の際に提示すべき書類の範囲について、次の改正が行われた(所規7②五・七、81の6①一ニホト、二イ、措規18の12②一ニホト、二イ、19の5④一ニホト、二イ、国外送金等調書規4①一ニホチ)。
イ 運転経歴証明書(道路交通法施行規則別記様式第19の3の10の様式によるものに限る。)及び療育手帳が追加された。
ロ 外国人登録制度の廃止及び新たな在留管理制度の創設に伴い、外国人登録証明書に代わり、在留カード及び特別永住者証明書が追加された。
(注)前記イの改正は、平成24年4月1日から施行され(改正所規附則1、改正措規附則1、改正国外送金等調書規附則①一)、前記ロの改正は、入管法等改正法の施行の日(平成24年7月9日)以後に告知等をする際に提示する本人確認書類について適用し、同日前に告知等をする際に提示した本人確認書類については従前どおりとされる(改正所規附則2①、4①、改正措規附則8①、10①、改正国外送金等調書規附則②)。

Ⅳ.事業所得等に係る税制の改正

1.試験研究を行った場合の所得税額の特別控除制度の改正
 試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費の額に係る税額控除を選択適用できる措置の適用期限が平成26年まで延長された(措法10⑥)。

2.エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 イ 対象となる太陽光又は風力の利用に資する機械その他の減価償却資産のうち電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定発電設備に該当するもので一定の規模以上のものについて、平成24年7月1日から平成25年3月31日までの期間内に取得等をして、その取得等をした日から1年以内に一定の事業の用に供した場合には、その用に供した日の属する年分において、その減価償却資産の即時償却ができる措置が講じられた(措法10の2の2①)。
ロ 上記イの改正に伴い、対象となる新エネルギー利用設備等から太陽光発電設備及び風力発電設備が除外された(措法10の2の2①一ロ、措令5の4②)。
(注)前記の改正は、平成24年5月29日以後に取得等をするエネルギー環境負荷低減推進設備等について適用し、同日前に取得等をしたエネルギー環境負荷低減推進設備等については従前どおりとされる(改正法附則5①)。

3.中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正  次の措置を講じた上、その適用期限が平成26年3月31日まで延長された(措法10の3①)。
イ 対象資産に測定工具及び検査工具並びに試験又は測定機器が追加された(措法10の3①一、措令5の5③、措規5の8①一・四、⑤)。
ロ 対象となるデジタル複合機の範囲から指定期間内の各年において取得又は製作をして指定事業の用に供したものの取得価額の合計額が120万円以上のものが除外された(措規5の8⑤)。
(注)前記イの改正は、個人が平成24年4月1日以後に取得又は製作をする特定機械装置等について適用し(改正法附則6)、前記ロの改正は、個人が平成24年4月1日以後に取得又は製作をするデジタル複合機について適用し、個人が同日前に取得又は製作をしたデジタル複合機については従前どおりとされる(改正措規附則5②)。

4.沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の廃止  適用期限(平成24年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法10の4、旧措令5の7、旧措規5の10)。
(注)承認経営革新計画に係る承認を平成24年4月1日前に受けた特定中小企業者である個人が、平成25年3月31日以前に取得等をする特定経営革新設備等については、廃止前の制度を適用できることとする経過措置が設けられている(改正法附則7、改正措令附則4①、改正措規附則6)。

5.雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除制度の改正  制度の適用要件である比較給与支給額及び基準雇用者割合に関して所要の整備が行われた(措法10の5①二、措令5の6⑦⑧)。
(注)この制度は、平成24年分の所得税から適用される(措法10の5①)。

6.特定設備等の特別償却制度の改正  公害防止用設備の特別償却制度について、対象設備からPCB汚染物等無害化処理用設備及び石綿含有廃棄物等無害化処理用設備が除外された上、その適用期限が2年延長された(措法11①表一、旧措令5の10②、旧措規5の13、平成24年財務省告示114号)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年4月1日以後に取得等をする減価償却資産について適用し、個人が同日前に取得等をした減価償却資産については従前どおりとされる(改正法附則9①、平成24年財務省告示114号前文)。

7.特定地域における工業用機械等の特別償却制度の改正 ① 沖縄の産業高度化地域に係る措置について、青色申告書を提出する個人で沖縄振興特別措置法の認定事業者が、産業高度化・事業革新促進地域を定めた産業高度化・事業革新促進計画につき沖縄県知事の主務大臣に対する提出のあった日から平成29年3月31日までの期間内に、その産業高度化・事業革新促進地域として定められている地区において製造の事業等の用に供する一定の設備の新増設をする場合において、その新増設に係る工業用機械等の取得等をしたときは、その取得価額の34%(建物等については20%)の特別償却ができる措置に改組された(措法12①表二、措令6の3①二、②二、⑧⑨、措規5の11④)。
② 沖縄の自由貿易地域及び特別自由貿易地域に係る措置について、青色申告書を提出する個人が、国際物流拠点産業集積地域に係る指定の日から平成29年3月31日までの期間内に、その国際物流拠点産業集積地域として指定された地区において製造の事業等の用に供する一定の設備の新増設をする場合において、その新増設に係る工業用機械等の取得等をしたときは、その取得価額の50%(建物等については25%)の特別償却ができる措置に改組された(措法12①表三、措令6の3①三、②三、⑩⑪)。
③ 沖縄の離島の地域に係る措置について、その適用期限が5年延長された(措令6の3①四)。
(注)前記①及び②の改正は、個人が平成24年4月1日以後に取得等をする工業用機械等について適用し、個人が同日前に取得等をした工業用機械等については従前どおりとされる(改正法附則9②)。

8.経営基盤強化計画を実施する指定中小企業者の機械等の割増償却制度の廃止  適用期限(平成24年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法13の3、旧措令6の8)。なお、平成24年4月1日前に経営基盤強化計画の承認を受けた指定中小企業者である個人の有する機械設備等については、所要の経過措置が講じられている(改正法附則9④~⑥、改正措令附則6②)。

9.特定再開発建築物等の割増償却制度の改正  都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、対象となる計画に同法の規定により公表された整備計画を含めることとされた(措法14の2②二)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年4月1日以後に取得又は新築をする特定再開発建築物等について適用される(改正法附則9⑦)。

10.金属鉱業等鉱害防止準備金制度の改正  その適用期限が2年延長された(措法20①)。

11.特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金制度の改正  その適用期限が2年延長された(措法20の3①)。

12.社会保険診療報酬の所得計算の特例の改正  制度の対象となる社会保険診療の範囲について、介護保険法及び児童福祉法の改正に伴い、所要の整備が行われた(措法26②二・四、措令18②)。
(注)前記の改正は、平成24年4月1日以後に行われる社会保険診療について適用し、同日前に行われた社会保険診療については従前どおりとされる(改正法附則10、改正措令附則7)。

13.中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度の改正  その適用期限が2年延長された(措法28の2①)。

14.山林所得に係る森林計画特別控除の改正  次の措置を講じた上、その適用期限が平成27年まで延長された(措法30の2①)。
① 森林法の改正に伴い、特例の対象者を同法に規定する森林経営計画の認定を受けた者に変更された。
② 山林の伐採又は譲渡に係る収入金額(当該伐採又は譲渡に関し、伐採費、運搬費、仲介手数料などの費用を要したときは、当該費用を控除した金額)が3,000万円を超える者の3,000万円を超える部分の控除率が10%(改正前:一律20%)に引き下げられた。
(注)前記①の改正は、個人が平成24年4月1日以後に行う森林経営計画に基づく山林の伐採又は譲渡について適用し、個人が同日前に行った森林施業計画に基づく山林の伐採又は譲渡については従前どおりとされる(改正法附則11①)。また、個人が平成24年4月1日以後に行う森林法改正法による改正前に認定を受けた森林施業計画(森林法改正法附則8条)に基づく山林の伐採又は譲渡については、森林経営計画に基づく山林の伐採又は譲渡とみなして、本特例を適用することができることとする経過措置が設けられている(改正法附則11②)。
 前記②の改正は、平成24年分以後の所得税について適用し、平成23年分以前の所得税については従前どおりとされる(改正法附則2)。

15.国庫補助金等の総収入金額不算入制度の改正  対象となる補助金の範囲に公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づく新関西国際空港株式会社の補助金が追加された(所令89四)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年7月1日以後に交付を受ける補助金について適用される(改正所令附則2)。

Ⅴ.その他の改正

1.源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例の改正
 「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等から徴収した源泉所得税の納期限が、翌年1月20日とされた(所法216)。
 これに伴い、「納期の特例」適用者に係る「納期限の特例」の制度は廃止された(旧措法41の6)。
(注)前記の改正は、平成24年7月1日以後に支払うべき給与等について適用し、同日前に支払うべき給与等については従前どおりとされる(改正法附則16、55)。

2.外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書の創設  外国法人がその発行済株式等の50%以上を保有する内国法人の役員若しくは使用人である居住者又は外国法人の国内にある営業所等において勤務するその外国法人の役員若しくは使用人である居住者が、これらの外国法人(以下「外国親会社等」という。)から付与された権利に基づきその外国親会社等から経済的利益の供与等を受けた場合には、その内国法人又は営業所等の長は、外国親会社等の経済的利益の供与等に関する調書を提出しなければならないこととされた(所法228の3の2)。
(注)前記の制度は、平成25年1月1日以後に提出すべき調書について適用される(改正法附則56)。

3.適格退職年金制度の廃止に伴う改正  加入者等の給与所得に係る収入金額に含まれないこととされる事業主が支出した確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の範囲から、適格退職年金契約を解除することにより事業主に返還される資産で資産管理機関に移換する資産を除外することとされた(所令64①四)。
(注)前記の改正は、平成24年4月1日から施行される(改正所令附則1一)。

4.医療費控除の改正  医療費控除の対象範囲に、介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等及び認定特定行為業務従事者(一定の研修を受けた介護職員等)による特定行為に係る費用の自己負担分が加えられた(所令207七)。
(注)前記の改正は、平成24年4月1日以後に支払う医療費について適用される(改正所令附則3①)。

5.源泉徴収関係書類の保存・提出に関する規定の改正  源泉徴収義務者等が給与所得者等から提出を受けた申告書等については、源泉徴収義務者等において保存することが法令に規定された(所規76の3、77③、77の3③、措規2の4③、3の6④⑩、3の16④⑤、18の23④)。
 なお、税務署長から提出を求められた場合には、提出する必要がある。
(注)前記の改正は、源泉徴収義務者等が平成25年1月1日以後に受理する源泉徴収関係書類について適用される(改正所規附則3、改正措規附則2~4、9)。

6.国に対して重要文化財に準ずる文化財を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例の改正  次の措置を講じた上、その適用期限が平成26年12月31日まで延長された(措法40の2、措令25の18)。
① 適用対象が文化財保護法の規定により重要有形民俗文化財として指定された資産に限定された。
② 対象譲渡先の範囲に地方公共団体(改正前:国)が追加された。
(注)前記の改正は、個人が平成24年1月1日以後に行う重要有形民俗文化財の譲渡について適用し、個人が同日前に行った重要文化財に準ずる文化財の譲渡については従前どおりとされる(改正法附則15)。

Ⅵ. 東日本大震災の特例(所得税関係)の改正

1.福島復興再生特別措置法の特例による復興産業集積区域に係る措置
 次に掲げる制度の適用対象となる個人の範囲に、復興推進計画について福島復興再生特別措置法の特例により東日本大震災復興特別区域法の認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村の指定を受けた個人が追加された。また、①の制度のうち、即時償却できる制度については、平成28年3月31日まで適用を受けることができることとされた(震災税特法10の2、10の3、10の5)。
① 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除
② 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除
③ 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等
(注)前記の改正は、平成24年4月1日から施行され(改正法附則1)、改正後の各規定に従い、福島復興再生特別措置法の規定により福島県の地方公共団体が策定し、認定を受けた課税の特例を含む復興推進計画に基づくものについて適用される。

2.避難解除区域に係る措置
(1)避難解除区域において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除の創設
 福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事の確認を受けた個人が、避難解除区域に係る避難等指示が解除された日から同日以後5年を経過する日までの間に減価償却資産の取得等をしてその避難解除区域内において個人の事業の用に供した場合には、その供用年においてその減価償却資産の取得価額から普通償却限度額を控除した金額(建物等については、取得価額の25%相当額)の特別償却(即時償却)と取得価額の15%(建物等については、取得価額の8%)相当額の税額控除(その年分の事業所得に係る所得税額の20%相当額を限度とし、控除できなかった金額については、4年間の繰越しが可能)との選択適用ができることとされた(震災税特法10の2の2)。
(2)避難解除区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除の創設  避難解除区域に係る避難等指示が解除された日から同日以後3年を経過する日までの間に福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事の確認を受けた個人が、その確認を受けた日から同日以後5年を経過する日までの期間(適用期間)内の日の属する各年の適用期間内において、その避難解除区域内に所在する事業所に勤務する避難対象雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額の20%相当額の税額控除(その年分の事業所得に係る所得税額の20%相当額が限度)を行うことができることとされた(震災税特法10の3の2)。
(注)前記(1)の制度は、個人が避難解除区域に係る避難等指示が解除された日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等について適用することとされ(改正法附則61①)、前記(2)の制度は、平成24年4月1日から施行される(改正法附則1十四)。

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