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資料2012年09月10日 【重要資料】 特定役員退職手当等Q&A(2012年9月10日号・№466)

重要資料
特定役員退職手当等Q&A

 平成24年8月
 国 税 庁

租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成24年法律第16号)により、特定の役員に対する退職手当等(特定役員退職手当等)に係る退職所得の金額の計算が改正され、平成25年1月1日から施行されることから、特定役員退職手当等に関する事項を取りまとめましたので、参考としてください。
(注)この資料は、平成24年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。

 《 凡 例 》
このQ&Aで使用する用語について解説します。
【特定役員退職手当等】  役員等勤続年数が5年以下である人が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます。
【役員等勤続期間】  所得税法施行令第69条第1項第1号の規定に基づき算出した退職手当等に係る勤続期間(調整後勤続期間)のうち、役員等として勤務した期間をいいます。
【役員等勤続年数】  役員等勤続期間の年数(1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。
《参考》
◎ 所得税基本通達(抄)
(勤続年数の計算の基礎となる期間の計算)
30-13 勤続期間、令第69条第1項第1号イ若しくはロの規定により加算する期間又は同号ハただし書の規定により含まれるものとされる期間は、それぞれ暦に従って計算し、1月に満たない期間は日をもって数え、これらの年数、月数及び日数をそれぞれ合計し、日数は30日をもって1月とし、月数は12月をもって1年とする。
  同項第2号に規定する組合員等であった期間についても同様とする。
【特定役員】  役員等勤続年数が5年以下である人をいいます。
【役員等】  次に掲げる人をいいます。
① 法人税法第2条第15号に規定する役員
② 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
③ 国家公務員及び地方公務員
《参考》
◎ 法人税法(抄)
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十五 役員 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。
◎ 法人税法施行令(抄)
(役員の範囲)
第七条 法第二条第十五号(役員の意義)に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。
 一 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。次号において同じ。)以外の者でその法人の経営に従事しているもの
 二 同族会社の使用人のうち、第七十一条第一項第五号イからハまで(使用人兼務役員とされない役員)の規定中「役員」とあるのを「使用人」と読み替えた場合に同号イからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている者で、その会社の経営に従事しているもの
(使用人兼務役員とされない役員)
第七十一条 法第三十四条第五項(使用人としての職務を有する役員の意義)に規定する政令で定める役員は、次に掲げる役員とする。
 一~四 省略
 五 前各号に掲げるもののほか、同族会社の役員のうち次に掲げる要件のすべてを満たしている者
  イ 当該会社の株主グループにつきその所有割合が最も大きいものから順次その順位を付し、その第一順位の株主グループ(同順位の株主グループが二以上ある場合には、そのすべての株主グループ。以下この号イにおいて同じ。)の所有割合を算定し、又はこれに順次第二順位及び第三順位の株主グループの所有割合を加算した場合において、当該役員が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。
  (1)第一順位の株主グループの所有割合が百分の五十を超える場合における当該株主グループ
  (2)第一順位及び第二順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ
  (3)第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ
  ロ 当該役員の属する株主グループの当該会社に係る所有割合が百分の十を超えていること。
  ハ 当該役員(その配偶者及びこれらの者の所有割合が百分の五十を超える場合における他の会社を含む。)の当該会社に係る所有割合が百分の五を超えていること。
2~4 省略
【特定役員等勤続期間】  特定役員退職手当等につき所得税法施行令第69条第1項第1号及び第3号の規定により計算した期間をいいます。
【特定役員等勤続年数】  特定役員等勤続期間の年数(1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。
【一般退職手当等】  特定役員退職手当等以外の退職手当等をいいます。
【一般勤続期間】  一般退職手当等につき所得税法施行令第69条第1項各号の規定により計算した期間をいいます。
【重複勤続年数】  特定役員等勤続期間と一般勤続期間とが重複している期間の年数(1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。

 《退職所得金額の計算方法の概要》
 ここでは、支給を受けた退職手当等に係る退職所得金額の基本的な計算方法について解説します。
1 その年中に一般退職手当等又は特定役員退職手当等のいずれかが支給される場合 ① 一般退職手当等に係る退職所得金額の計算
(一般退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額(※1)) × 1/2
② 特定役員退職手当等に係る退職所得金額の計算
特定役員退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額(※1)
2 その年中に一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方が支給され、かつ、それぞれの勤続期間に重複する期間がない場合(具体例はQ&A編の[Q8]参照)   次の①と②の合計がその年の退職所得金額となります。
① 一般退職手当等に係る退職所得金額の計算
[一般退職手当等の収入金額 -(退職所得控除額(※1)-特定役員退職所得控除額(※2))]×1/2
② 特定役員退職手当等に係る退職所得金額の計算
特定役員退職手当等の収入金額 - 特定役員退職所得控除額(※2)
3 その年中に一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方が支給され、かつ、それぞれの勤続期間に重複する期間がある場合(具体例はQ&A編の[Q9]及び[Q10]参照) ① 一般退職手当等に係る退職所得金額の計算
[一般退職手当等の収入金額 -(退職所得控除額(※1)- 特定役員退職所得控除額(※3))]×1/2
② 特定役員退職手当等に係る退職所得金額の計算
特定役員退職手当等の収入金額 - 特定役員退職所得控除額(※3)
※1 退職所得控除額の計算
 退職手当等の支払を受ける人が、退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間の年数(勤続年数)を次の退職所得控除額の計算式に当てはめて算出します。

(注)特殊な場合の勤続年数の計算についてはQ&A編の[Q6]をご確認ください。
※2 重複する期間がない場合の特定役員退職所得控除額
 退職手当等の支払を受ける人が、退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間の年数のうちの特定役員等勤続年数を上記※1の退職所得控除額の計算式に当てはめて算出します。
※3 重複する期間がある場合の特定役員退職所得控除額
40万円 ×(特定役員等勤続年数-重複勤続年数)+ 20万円 × 重複勤続年数

 【Q&A編】
[Q1]役員等に支払う退職手当等について、どのような改正が行われたのですか。
[A]
(1)改正前の制度(平成24年以前の各年分)
 退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていました。
(2)改正後の制度(平成25年以後の各年分)  平成24年度の税制改正により、特定役員退職手当等については、この残額の2分の1とする措置が廃止され、特定役員退職手当等の退職所得の金額は、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされました。
(3)適用時期  この改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます。

[Q2]平成24年12月31日以前に退職した役員に対して、平成25年1月1日以後に退職手当等が支払われる場合にも、改正後の法令の適用を受けるのでしょうか。
[A]  この改正は、平成25年分以後の所得税について適用することとされており、退職手当等については、その退職手当等の収入すべきことが確定した日の属する年分の所得となりますので、その「収入すべきことが確定した日」が平成25年1月1日以後であれば、改正後の法令が適用されることとなります。
 この「収入すべきことが確定した日」は、原則、退職手当等の支給の基因となった退職の日ですが、役員に支給される退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日となります。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日となります(所基通36-10)。
 したがって、お尋ねの場合のように、平成24年12月31日以前に退職した役員に対して支払う退職手当等については、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものである場合(注)、その決議があった日が平成25年1月1日以後であれば、改正後の法令の適用を受けることとなります。
(注)その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日が平成25年1月1日以後であれば、改正後の法令の適用を受けることとなります。
《参考》
◎ 所得税基本通達(抄)
(退職所得の収入金額の収入すべき時期)
36-10 退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1)役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日
(2)退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(3)法第31条((退職手当等とみなす一時金))に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約により定められた給付事由が生じた日
(4)引き続き勤務する者に支払われる給与で30-2により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日
  イ 30-2の(1)に掲げる給与 その支給を受けた日
  ロ 30-2の(2)に掲げる給与 使用人から役員になった日。ただし、30-2の(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日
  ハ 30-2の(4)に掲げる給与 その定年に達した日
  ニ 30-2の(5)に掲げる給与 旧定年に達した日
  ホ 30-2の(6)に掲げる給与 法人の解散の日
(5)年金に代えて支払われる一時金で30-4及び31-1により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日
(注)令第77条((退職所得の収入の時期))の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。

[Q3]役員等勤続年数が5年以下かどうかはどのように判定するのですか。
[A]  役員等勤続年数は、所得税法施行令第69条第1項第1号の規定に基づき算出した退職手当等に係る勤続期間(調整後勤続期間)のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数(役員等として勤務した期間に1年未満の端数がある場合は、これを1年に切り上げ)とされています。
 したがって、原則として(注)、退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数が5年以下かどうかにより判定します(下記「参考図」参照)。
(注)退職手当等の支払者の下において一時勤務しなかった期間があるなど特殊な場合の勤続期間の計算方法については、[Q6]をご覧ください。


[Q4]同一年中に、異なる会社からそれぞれ退職手当等の支給を受ける場合、特定役員退職手当等の判定はどのように行うのでしょうか。
[A]  同一年中に、異なる会社からそれぞれ退職手当等の支給を受ける場合は、それぞれの退職手当等ごとに、役員等勤続年数が5年以下かどうかにより特定役員退職手当等に該当するかどうかを判定します。
 判定の結果、同一年中に、一般退職手当等と特定役員退職手当等の支給を受けることとなった場合の具体的な計算方法については[Q10]を参考にしてください。

[Q5]役員として3年間勤務した者に役員退職金を支給する予定ですが、その支給金額は勤務期間を6年(実際の勤務期間の200%)として算出することとしています。
   この役員退職金は特定役員退職手当等に該当しないと考えてよろしいですか。

[A]  役員等勤続年数は、所得税法施行令第69条第1項第1号に規定する期間を基礎として計算することとされていますが、この勤続年数は、退職手当等の支給金額の計算の基礎となった期間により計算するのではなく、あくまでも、実際の勤続期間により計算することとなります(所基通30-6)。
 したがって、お尋ねの役員退職金は、役員として実際に勤務した3年間が役員等勤続期間であり、役員等勤続年数は5年以下となるため、特定役員退職手当等に該当することとなります。
《参考》
◎ 所得税基本通達(抄)
(退職手当等の支払金額の計算の基礎となった期間と勤続年数との関係)
30-6 令第69条第1項第1号本文((退職所得控除額に係る勤続年数の計算))の勤続年数は、当該退職手当等の支払者(その者が相続人である場合にはその被相続人を含み、その者が合併後存続する法人又は合併により設立された法人である場合には合併により消滅した法人を含み、その者が法人の分割により資産及び負債の移転を受けた法人である場合にはその分割により資産及び負債の移転を行った法人を含む。)の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間により計算するのであるから、退職手当等の支払金額の計算の基礎となった期間がその引き続き勤務した期間の一部である場合又はその期間に一定の率を乗ずるなどにより換算をしたものである場合であっても、同号本文の勤続年数は、その引き続き勤務した実際の期間により計算することに留意する。

[Q6]一時勤務しなかった期間がある場合の勤続期間の計算方法について教えてください。

[A]

[Q7]退職所得控除額の計算方法は、一般退職手当等と特定役員退職手当等とで異なるのでしょうか。
[A]  支払を受ける退職手当等が、一般退職手当等であっても特定役員退職手当等であっても、退職所得控除額の計算方法は同じです。
(退職所得控除額)
勤続年数が20年以下の場合:40万円 × 勤続年数
勤続年数が20年超の場合:800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年)
 ただし、同一の年中に一般退職手当等と特定役員退職手当等の支払を受ける場合で、それぞれの勤続期間のうちに重複する期間がある場合には、退職所得控除額を次のとおり特定役員退職所得控除額と一般退職所得控除額とに区分して退職所得の金額を求める必要があります。具体的な計算例は[Q9]及び[Q10]を参考にしてください。
一般退職所得控除額 = 退職所得控除額 - 特定役員退職所得控除額
特定役員退職所得控除額 = 40万円 ×(特定役員等勤続年数-重複勤続年数)+ 20万円 ×重複勤続年数
退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 - 特定役員退職所得控除額)+(一般退職手当等の収入金額 - 一般退職所得控除額)× 1/2

[Q8]一の勤務先が、同じ年に、使用人としての退職金と役員退職金を支給する場合の源泉徴収税額はどのように計算すればよいのでしょうか。
[A]

(ポイント) ・ 役員として勤務した期間は平22.4.1から平25.3.31までの3年間であるため、役員等勤続年数は5年以下となります。したがって、この期間に対応する役員退職金(1,000万円)は特定役員退職手当等に該当します。
・ 使用人退職金(2,500万円)は一般退職手当等です。
(源泉徴収税額の計算)
① 特定役員退職所得控除額の計算
(解説)40万円に特定役員等勤続年数3年を乗じた120万円が特定役員退職所得控除額となります。
② 一般退職所得控除額の計算
(解説)1 退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間は平2.4.1~平25.3.31ですから、勤続年数は23年となります。
   2 勤続年数23年に対応する退職所得控除額(勤続年数20年以下の部分は年40万円、20年を超える部分は年70万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(120万円)を差し引いた残額が、一般退職所得控除額となります。
③ 退職所得の金額の計算 (解説)特定役員退職手当等(1,000万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(120万円)を差し引いた残額には1/2を乗じないよう注意してください。
④ 源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税)の計算 (注)1 平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収します。
 2 平成25年分の退職所得に係る源泉徴収税額の速算表は次のとおりです。以下[Q11]まで、この速算表に基づき源泉徴収税額を計算しています。

[Q9]一の勤務先が、同じ年に、使用人としての退職金と役員退職金を支給する場合で、使用人としての勤続期間と役員としての勤続期間に重複する期間がある場合の源泉徴収税額はどのように計算すればよいのでしょうか。
[A]
(ポイント) ・ 役員として勤務した期間は平21.4.1から平25.3.31までの4年間であるため、役員等勤続年数は5年以下となります。したがって、この期間に対応する役員退職金(1,000万円)は特定役員退職手当等に該当します。
・ 平21.4.1に使用人兼務役員に就任しましたが、平23.3.31に使用人としての地位を喪失し、平23.4.1から専任の役員となっていますので、特定役員等勤続期間(平21.4.1~平25.3.31)と一般勤続期間(平元.4.1~平23.3.31)とが重複している期間は、使用人兼務役員期間であった平21.4.1から平23.3.31までの期間となり、重複勤続年数は2年となります。
・ 使用人退職金(2,500万円)は一般退職手当等です。
(源泉徴収税額の計算)
① 特定役員退職所得控除額の計算

(解説)特定役員退職所得控除額は、40万円に特定役員等勤続年数から重複勤続年数を差し引いた年数を乗じた金額と、20万円に重複勤続年数を乗じた金額の合計額となります。
② 一般退職所得控除額の計算
(解説)1 退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間は平元.4.1~平25.3.31ですから、勤続年数は24年となります。
   2 勤続年数24年に対応する退職所得控除額(勤続年数20年以下の部分は年40万円、20年を超える部分は年70万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(120万円)を差し引いた残額が、一般退職所得控除額となります。
③ 退職所得の金額の計算
(解説)特定役員退職手当等(1,000万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(120万円)を差し引いた残額には1/2を乗じないよう注意してください。
④ 源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税)の計算
(16,500,000円×33%-1,536,000円)×102.1%=3,991,089円

[Q10]A社から使用人としての退職金と役員退職金の支給を受けた者が、同じ年に、B社からも役員退職金の支給を受ける場合、B社における源泉徴収税額はどのように計算すればよいのでしょうか。
[A] (ポイント) ・ A社から退職金の支給を受ける際の源泉徴収税額は4,109,014円です([Q8]参照)。
・ B社から支給を受ける役員退職金の役員等勤続年数は5年超であるため、この役員退職金2,000万円は一般退職手当等に該当します(A社から支給を受ける使用人退職金(2,500万円)と合わせて4,500万円が一般退職手当等となります。)。
・ 一般勤続期間は、A社における使用人として勤務した期間とB社における勤続期間のうち、最も長い期間により計算しますが、この最も長い期間と重複していない期間は、この最も長い期間に加算します。したがって、最も長い期間であるA社における使用人として勤務した期間(平2.4.1~平22.3.31)に、この期間と重複していない平22.4.1から平25.7.31までの期間を加算すると一般勤続期間は平2.4.1から平25.7.31までとなります。
・ 特定役員等勤続期間は平22.4.1から平25.3.31までですので、一般勤続期間(平2.4.1~平25.7.31)と重複している期間は平22.4.1から平25.3.31までとなり、重複勤続年数は3年となります。
・ 退職所得控除額の計算の基となる勤続年数は24年(平2.4.1~平25.7.31⇒23年4ヶ月⇒24年)です。
(源泉徴収税額の計算)
① 特定役員退職所得控除額の計算

(解説)特定役員退職所得控除額は、40万円に特定役員等勤続年数から重複勤続年数を差し引いた年数を乗じた金額と、20万円に重複勤続年数を乗じた金額の合計額となります。本件では、A社において役員として勤務した期間の全てがB社の勤務期間と重複していますので、20万円にA社において役員として勤務した年数(3年)を乗じた金額(60万円)が特定役員退職所得控除額となります。
② 一般退職所得控除額の計算
(解説)勤続年数24年に対応する退職所得控除額(勤続年数20年以下の部分は年40万円、20年を超える部分は年70万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(60万円)を差し引いた残額が、一般退職所得控除額となります。
③ 退職所得の金額の計算
(解説)特定役員退職手当等(1,000万円)から上記①で算出した特定役員退職所得控除額(60万円)を差し引いた残額には1/2を乗じないよう注意してください。
④ 源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税)の計算
(解説)A社から退職金の支給を受ける際の源泉徴収税額4,109,014円を差し引きます。

[Q11]取締役を4年間勤めた後、引き続き、監査役として2年間勤めた者が退職することとなったことから、役員退職金を支給します。
   この役員退職金は、役員期間(6年間)に対するものですから、特定役員退職手当等に該当しないと考えますがよろしいでしょうか。
[A]  この役員退職金は、役員として勤務した6年間(取締役4年と監査役2年)に対応するものですから、特定役員退職手当等ではなく、一般退職手当等に該当します。

【参考】
(源泉徴収税額の計算)
① 退職所得控除額の計算
40万円 × 6年(勤続年数) = 240万円 ② 退職所得の金額の計算
(2,500万円 - 240万円) × 1/2 = 1,130万円 ③ 源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税)の計算
(11,300,000円 × 33% - 1,536,000円) × 102.1% = 2,239,053円

(編注:参考法令は省略)

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