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解説記事2012年09月17日 【ニュース特集】 新たに「利用番号」を導入など、法案修正のうえ次期国会で成立へ(2012年9月17日号・№467)

本誌取材で判明! マイナンバー法はこう修正される
新たに「利用番号」を導入など、法案修正のうえ次期国会で成立へ

 税務執行への影響などから実務家の注目を集めてきたマイナンバー法だが、今国会(9月8日で閉会)での成立が見送られた。一部の実務家の間では「廃案」を望む声があるほど、マイナンバー法への警戒感は強いが、本誌取材により、マイナンバー法は内容を修正の上、次期国会で成立する見込みであることが判明した。
 修正案では、当初のマイナンバー法案にはない「利用番号」という新たな番号が導入されるほか、「個人番号の利用拡大」も検討事項となる。
(448号4ページ、450号9ページに関連記事)

レンタルビデオ店での本人確認に個人番号カードも  消費税率引上げを盛り込んだ社会保障・税一体改革関連法が成立したことで、今国会での成立の可能性があったマイナンバー法だが、一転見送りとなった(継続審議)。税務執行への利用のされ方や個人情報保護の観点から、「廃案」を望む声も聞かれるところだが、本誌取材によると、次期国会において、最大野党である自民党案による修正を反映した上で、成立する公算だ。
 マイナンバー法の成立見送りが決まった際には、自民党から「給付付き税額控除をやらないのだから、その前提のマイナンバー法についても合意する必要はない」との発言も出ていたものの、これはあくまで政局の中でのものであり、発言の裏では修正の準備を進めていたことになる。今国会での成立が不可能となった後に修正案が出てきたのは、今後の国会において、成立に向けて迅速に動く体制を整えるためとみられる。
 法案の修正内容は、6ページの表に示した通りとなっている。「民間事業者における活用」を打ち出している点が大きな特徴と言えるだろう(中の1参照)。その文脈の中で、現在のマイナンバー法案にはない「利用番号」という新たな番号が追加されている点も注目される(表中の3、4(2)参照)。
 利用番号とは、「個人番号及び住民票コード以外の番号」を指す(中の3(1)カッコ書き参照)。「個人番号及び住民票コード以外の番号」であれば何でもよいのであるから、例えばレンタルビデオ店の会員カードに記されている番号もこの「利用番号」に該当し得ることになる。この場合、レンタルビデオ店は「利用番号等利用事務実施者」に該当することになり(表中の3(1)カッコ書き参照)、個人番号カードを利用したり(中の3(1)参照)、個人番号の提供を受けるときに個人番号カード又は通知カード(個人番号カードの仮カード)等の提示を受けて、本人確認をすることができる(中の4(2))、上参照)。

【表】マイナンバー法の修正項目
1 番号制度の基本理念の追加
 番号制度は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、行政運営の効率化、国民の利便性の向上、国民の負担軽減が期待される国及び地方公共団体の行政分野における利用を広く促進するとともに、「民間事業者における活用」を視野に入れて構築されなければならない。
2 通知カードの送付
 個人番号等が記載された「通知カード」を送付し、個人番号の通知を行う。個人番号の通知を受けた者は、一定期間内に個人番号カードの交付を受けるように努め、市長村長は、その円滑化のために必要な措置を講じる。
3 利用番号等利用事務実施者による個人番号カードの利用
(1)「利用番号等利用事務実施者(利用番号等(=個人番号及び住民票コード以外の番号等)を利用して事務を行う者)」は、個人情報保護に支障がないよう、個人番号カードを利用することができることとする。
(2)利用番号等利用事務実施者は、その事務を行うために必要があるときは、個人または他の利用番号等利用事務実施者に対し、利用番号等の提供を求めることができることとする。
4 本人確認
(1)個人番号利用事務等実施者は、個人番号の提供を受けるときは、個人番号カード又は通知カード等の提示を受けて、本人確認をしなければならないこととする。
(2)利用番号等利用事務実施者は、個人番号の提供を受けるときは、個人番号カード又は通知カード等の提示を受けて、本人確認をすることができる。
5 個人番号を含まない個人情報に関する情報提供ネットワークシステム
 総務大臣は、個人番号を含まない個人情報についても、情報照会者がその事務を処理するために必要な限度で、情報提供ネットワークシステムを使用して特定個人情報が情報提供者から提供されるよう、情報提供ネットワークシステムの有効かつ適切な利用を図る。
6 情報提供ネットワークシステムの安全性の確保
 総務大臣、情報提供者及び情報照会者は、情報提供ネットワークシステム及びこれに接続するパソコンの安全性及び信頼性の確保を図るために必要な措置を講じる。
7 個人番号情報保護委員会の所掌事務の追加
 個人番号情報保護委員会の所掌事務に、「情報提供ネットワークシステム及びこれに関連する情報システムの構築及び維持管理に関する監視」を加え、当該事務に関し、必要な指導及び助言ができるようにする。
〇 検討事項(下記に関する規定を設ける)
・個人番号の利用の拡大
・「マイ・ポータル」の設置及び活用
・本人確認措置に係る新たな認証技術導入の検討
・国の情報システムの整備に関する統括管理者の設置


 これにより、マイナンバー法施行後は、例えばレンタルビデオ店で会員カードを作る際に、免許証や保険証ではなく、「個人番号カード」を提示して本人確認を受けるというように、個人番号カードが一枚あれば、(レンタルビデオ店に限らず)様々な局面で求められる本人確認に対応できることになるわけだ。

税分野での大きな修正はない見込み  また、検討事項に挙げられている「個人番号の利用拡大」も気になるところだ。特に個人番号の税務執行への利用を懸念する実務家等にあっては、これが「税分野」での利用拡大を意味するのかどうか、関心があろう。
 現在のマイナンバー法は、例えば預金や土地など「調書」を伴わない資産の把握には役に立たないと言われており(下記コラム参照)、これを改善すべく税分野での利用の見直しが入っても不思議ではない。
 しかし本誌取材によると、「個人番号の利用拡大」とは、現在のマイナンバー法の利用範囲である「税」「社会保障」以外にも、利用分野を広げることを念頭に置いているようであり、現時点では税分野での利用範囲拡大を意図するものではないとみられる。

マイナンバー法の欠点を指摘する消費税増税法
 民主、自民、公明の三党合意により修正された「消費税法の一部を改正する法律」では、修正前法案第7条に盛り込まれていた「番号法の本格稼働及び定着を前提に、給付付き税額控除を導入する」旨の記述(同条一イ)が、「所得の把握、資産の把握の問題等を含め様々な角度から総合的に検討」へと変更されている。ここでいう「所得の把握、資産の把握の問題等」とは、預金利子という主要な所得や調書が伴わない資産を把握できないマイナンバー制度の欠点を指摘し、このようなマイナンバー制度を前提に給付付き税額控除を導入することについて疑問を投げかけているものであり、複数税率を推す自民党の意向が反映されたものとなっている。

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