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解説記事2012年11月12日 【第2特集】 Q&Aで読み解く会社法制の見直し要綱(親子会社規律編②)(2012年11月12日号・№474)

詐害的な会社分割や監査役登記など
Q&Aで読み解く会社法制の見直し要綱(親子会社規律編②)

 法制審議会が9月7日に取りまとめた「会社法制の見直しに関する要綱」の内容について、重要ポイントを解説する本特集も今回で最終回となる。3回目は引き続き、「親子会社に関する規律」と「その他」(なお、該当部分の資料は今号25頁参照)をピックアップする。

Q1
買取口座の創設
振替株式の発行者は会社法116条1項各号の行為、株式の併合、事業譲渡または組織再編をしようとする場合には、振替機関等に対して株式買取請求に係る振替株式の振替を行うための口座(買取口座)の開設の申出をしなければならないとされていますが、どのような理由からそうなったのでしょうか。
A  現行、株式買取請求をした反対株主は、買取請求の相手方である消滅株式会社等(会社法782条1項)または存続株式会社等(会社法794条1項)の承諾を得た場合に限って、その株式買取請求を撤回することができるものとされています。しかし、反対株主は、株式買取請求に係る株式を市場で売却することにより、事実上、会社の承諾を得ずに株式買取請求を撤回できることが可能になっているのです。
 このため、今回の要綱では、反対株主が株式買取請求を行うと同時に、当該請求に係る振替株式について、買取口座を振替先口座とする振替の申請をしなければならないとされました。これにより、株式買取請求権行使後の株主による買取対象株式の任意の転売を防ぐことが可能になります。

(反対株主の株式買取請求)
第百十六条
 次の各号に掲げる場合には、反対株主は、株式会社に対し、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一 その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 全部の株式
二 ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 第百十一条第二項各号に規定する株式
三 次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式(第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがあるものに限る。)を有する種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき 当該種類の株式
 イ 株式の併合又は株式の分割
 ロ 第百八十五条に規定する株式無償割当て
 ハ 単元株式数についての定款の変更
 ニ 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
 ホ 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
 ヘ 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て

Q2
株式等の買取りの効力が生ずる時
事業譲渡等をする株式会社等に対する株式買取請求についての効力発生日は、消滅会社等と同様、「行為を行った時」になるのですか。
A  消滅会社等に加えて、①会社法116条1項各号の行為をする株式会社、②事業譲渡等をする株式会社、③存続株式会社等、④吸収分割株式会社または新設分割会社に対する株式買取請求についても、当該請求に係る株式の買取りは、これらの行為がその効力を生ずる日に、その効力を生ずるものとされます。
 現行、これらの株式会社等に対する株式買取請求については、「当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる」とされています(会社法117条5項等)。しかし、株式買取請求を行った反対株主が、価格決定手続きが長引いた場合に、株式買取請求に係る株式の法定利息と剰余金配当請求権の両方を受け取りかねないケースがあるため、これを見直したものです。

Q3
株式買取請求に係る株式等に係る価格決定前の支払制度
株式買取請求等を申し立てた株主に対して、利息を支払うことが免除されることになるのですか。
A  ①会社法116条1項各号の行為をする株式会社、②全部取得条項付種類株式を取得する株式会社、③株式売渡請求をする特別支配株主、④株式の併合をする株式会社、⑤事業譲渡等をする株式会社、⑥消滅株式会社等または存続株式会社等については、株式買取請求または価格決定の申立てをした株主に対して、株式の価格の決定がなされる前に、公正な価格と認める額を支払うことができるものとされます。
 現行、株式買取請求に係る株式等について、裁判所に価格決定の申立てがされた場合には、消滅株式会社等または存続株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する組織再編の効力発生日から60日の期間の満了の日後の年6分の利率により算定した利息を支払われなければならないものとされています(会社法786条4項等)。
 ただし、年6分による利率による利息が付くことが株式買取請求の濫用を招く原因となっているとの指摘があり、今回、株式の価格の決定がされる前に一定額を支払うことを可能にすることにより、会社の利息の負担を軽減することになったわけです。

Q4
簡易組織再編、略式組織再編等における株式買取請求(1)
簡易組織再編の場合には、反対株主は株式買取請求ができないことになるのですか。
A  存続株式会社等において簡易組織再編の要件を満たす場合および譲受会社において簡易事業譲渡の要件を満たす場合には、反対株主は、株式買取請求権を有しないものとされます。
 現行、株式買取請求権が認められていますが(会社法797条2項2号、469条2項2号)、簡易組織再編や簡易事業譲渡について株主総会の決議を要しないものとされているものについては、会社や株主に及ぼす影響が軽微であることから、反対株主は株式買取請求権を有しないものとすべきであるなどの指摘を踏まえ、今回の見直しが行われることになったわけです。

Q5
簡易組織再編、略式組織再編等における株式買取請求(2)
略式組織再編等の場合については、特別支配会社は株式買取請求権を有しないものとされるのですか。
A  現行、株式買取請求をすることのできる株主は原則として株主総会において組織再編に反対した株主に限っています(会社法785条2項1号等)。その理由は、組織再編に賛成の議決権行使をしながら株式買取請求をするのは権利濫用的であるからとされているためです。
 また、略式組織再編において株主総会の決議を要しないとされているのは、特別支配会社が当該組織再編の相手方である場合、仮に株主総会を開催したとしても、特別支配会社による賛成の議決権行使により承認されることが明らかであるからです。
 このため、略式組織再編または略式事業譲渡の要件を満たす場合には、特別支配会社は株式買取請求権を有しないものとし、株式買取請求に関する通知(会社法785条第3項、797条3項)の対象である株主から除外することとされています。

Q6
組織再編の条件の公告後に株式を取得した反対株主
法務省が平成23年12月に公表した「会社法制の見直しに関する中間試案」では、株式会社が組織再編をする場合において、組織再編の条件について公告したときは、その公告後に株式を取得した反対株主は、株式買取請求権を有しないものとするかどうか検討するとされていました。最終的には見直しが行われることになったのでしょうか。
A  法制審議会会社法制部会の議論では、組織再編の具体的な条件を知ったうえであえて株式を取得した者についてまで株式買取請求権による保護を与える必要はないとの指摘があったようですが、最終的には見直しは行われないこととなっています。
 今回の要綱では、株式買取請求に係る株式等に係る買取決定前の支払制度の導入が盛り込まれており、同制度により、濫用的な株式買取請求権の行使はある程度防ぐことができそうです。

Q7
組織再編等の差止請求
株主は、法令または定款に違反する組織再編について、株式会社に対して差止請求をすることができるようになるようですが、どのような影響がありますか。
A  現行、略式組織再編については、当該略式組織再編が①法令または定款に違反する場合、②対価が会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当である場合といったケースで、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、当該略式組織再編の差止請求をすることができることとされています(会社法784条2項、796条2項)。
 その一方、略式組織再編以外の組織再編については、株主による差止請求に係る明文規定はありません。このため、会社法上のアンバランスを解消するとの観点から、略式組織再編に加えてこれ以外の組織再編(株主に及ぼす影響が軽微である簡易組織再編を除く)についても、事前の救済手段として、株主による組織再編の差止請求を認めることになります。全部取得条項付種類株式の取得、株式の併合についても同様に差止請求が認められることになります。
 会社にとっては、大きな影響がありそうですが、略式組織再編以外の組織再編で株主が差止請求を行うことができるのは、前述の①の法令または定款に違反する場合に限られることになります。これまでと同じく善管注意義務や忠実義務違反などは差止請求の対象になりません。
 したがって、株主総会の手続違反など、会社が株主から差止請求を受けるケースはかなり限定的なものになるといえそうです。

Q8
詐害的な会社分割等における債権者の保護
債務超過の会社が新設分割を行うことにより、一部の優良資産や事業、債務を承継させた後、分割会社を清算する会社の再建手法が採られることがありますが、なかには、残存債権者を害するような詐害的な会社分割が行われ、裁判などでも争われているケースがあります。先日、最高裁での判決が出ましたが、今後、会社法ではどのような対応が採られるのでしょうか。
A  たとえば、新設分割が行われ、新設会社に優良資産や事業、債務が移転された場合、新設会社に承継された債務の債権者については、会社法上、分割会社に対して債務の履行をすることができなくなるため、分割会社に対して異議を述べることができます(会社法810条1項2号)。その一方、分割会社の債権者については、分割会社に債務の履行を請求することが可能であるため、債権者保護の対象外となっています。しかし、分割会社には新設会社の株式が交付されますが、特に上場していない会社の場合、移転した資産の価値と同様の株式の評価を得ることができるかどうかが不明にもかかわらず、債権者保護手続に大きな差が生じていることに問題があるとの指摘が従来からされていました。
 このため、要綱では、民法上の詐害行為取消権に加えて、会社法において、残存債権者が詐害的な会社分割に係る行為を取り消すことなく、新設会社等(承継会社)に対しても、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求することができることになります。
 ただし、詐害的な会社分割をしたことを知った時から2年以内に請求等をしない場合や会社分割の効力が生じた時から20年経過したときはその権利が消滅することになります。

Q9
分割会社に知れていない債権者の保護
会社分割に異議を述べることができる分割会社の債権者である場合において、各別の催告(会社法789条2項等)を受けなければ、債務の履行の請求はできないことになるのでしょうか。
A  たとえば、吸収分割契約または新設分割計画において会社分割後に分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、分割会社に対して、分割会社が会社分割の効力が生じた日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができるようになります。

Q10
組織再編等の場合の従業員意見の開示
法務省が平成23年12月に公表した「会社法制の見直しに関する中間試案」では、株式会社が合併等の組織再編や事業譲渡をする場合、従業員から意見を聴取し、その意見を開示すべきかどうかが検討項目として挙がっていましたが、最終的にはどうなりましたか。
A  「会社法制の見直しに関する中間試案」では、株式会社が、合併等の組織再編や事業譲渡をする場合における株主の意思決定に際しての判断材料とするため、当該組織再編等の後の事業計画を従業員に通知したうえで、従業員から意見を聴取し、当該意見を株主の閲覧に供する手続を設けることが望ましいとの日本労働組合総連合の意見を踏まえ、検討事項として盛り込まれていました。
 しかし、中間試案に対しては、①迅速な組織再編等の実現を困難にするおそれがある、②会社を取り巻く様々な利害関係人のうち従業員についてのみ、その意見等を開示する手続きを設ける根拠が十分ではないなどの反対意見が多く寄せられたため、今回の要綱において制度の導入は見送られた形となっています。

Q11
株主名簿等の閲覧等の請求の拒絶事由
敵対的買収の際に、競争関係にある株主からの株主名簿の閲覧の請求があった場合、これを拒絶することはできなくなるのですか。
A  現行、株主名簿および新株予約権原簿の閲覧等の請求の拒絶事由の1つとして、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」が規定されています(会社法125条3項3号、252条3項3号)。会社法で定められた理由としては、株主名簿等から株式会社の資本政策等に係る情報が把握され得るためであることが挙げられます。
 しかし、この拒絶事由については、請求者が株式会社と実質的に競争関係にあるとの理由のみで閲覧等請求の拒絶を認める合理的理由はないとの指摘がされています。たとえば、不動産業の原弘産が日本ハウズイングに対する買収提案に関連し、委任状勧誘を株主に行う準備として、同社に株主名簿の閲覧および謄写の請求を行った際、東京地裁は競業株主であることを理由に原弘産の申立てを却下しましたが、東京高裁は、原弘産の閲覧謄写請求を認める決定を行っています(東京高裁平成20年6月12日決定)。
 このため、要綱では、前述の会社法125条3項3号、252条3項3号を削除することとしています。なお、それ以外の拒絶理由については特に見直しは行われません。

Q12
金融商品取引法上の規制に違反した者による議決権行使の差止請求
金融商品取引法に違反した場合、株主総会で議決権の行使ができなくなるのですか。
A  金融商品取引法上の規制に違反したとしても、すぐに議決権の行使ができなくなるわけではありません。
しかし、今回の要綱では、株主は金融商品取引法上の規制に違反した者がいた場合、その違反する事実が重大であるときは、当該株式会社の株主総会における議決権の行使をやめることを請求することができることとする旨が盛り込まれています。この点、会社法以外の法令違反により、会社法上の基本的権利の1つである議決権の行使を禁止するという初めてのものとなります。
 現行、公開買付規制等に違反したとしても、違反者に対して株主総会において議決権行使を認めないとする規定はなく、金融庁などから対応を求められていたものです。
 具体的には、①公開買付けを強制する規制(金融商品取引法27条の2第1項)、②公開買付者に全部買付義務を課す規制(金融商品取引法27条の13第4項)、③公開買付者に強制的全部勧誘義務を課す規制(金融商品取引法27条の2第5項、金融商品取引法施行令8条5項3号)が対象となります。
 株主が請求を行う場合は、前述の違反が生じた日から1年以内にその理由を明らかにすることとし、併せて、株式会社に対してその旨およびその理由を通知しなければならないとされています。
 これにより、違反した株主は議決権を行使することができなくなりますが、株式会社は、株主からの通知が行われた日から2週間以内に行われる株主総会については、その違反した株主の議決権を認めることができることとしています。
 これは、株式会社側が差止請求の理由の存否等を確認する時間的余裕がないからです。また、議決権の行使を任意に認めることにより、株主総会の決議の有効性に疑義が生ずることを避ける意味合いがあります。
 なお、種類株主総会における議決権の行使についても、同様の差止請求が認められることになります。

Q13
募集株主が譲渡制限株式である場合等の総数引受契約
募集株式が譲渡制限株式である場合、当該募集株式を引き受けようとする者が総数引受契約を締結する際、現在は株主総会の特別決議は求められていませんが、今後は必要になってくるのでしょうか。
A  今後、募集株式が譲渡制限株式であるときは、定款で別段の定めをしない限り、株式会社は株主総会の特別決議(取締役会設置会社の場合は取締役会の決議)によって、当該契約の承認を受けなければならないものとされます。
 募集株式が譲渡制限株式の場合、募集株式の割当てを受ける者およびその者に割り当てる募集株式の数の決定では、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の決議を要することとされている(会社法204条2項)ことを踏まえての見直しとなります。

Q14
監査役の監査の範囲に関する登記
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがある株式会社については、当該定款の定めを登記事項とするとのことですが、見直しの背景と影響などについて教えてください。
A  「監査役設置会社」については、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は含まれないものとされています(会社法2条9号)。
一方、登記上、監査役設置会社については、その旨および監査役の氏名が登記事項とされており、この場合、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含むものとされています(会社法911条3項17号)。登記の観点からみると、定款の定めの有無で区別はされていないことになります。
 このため、登記上は同じでも会社法上の規律が異なるケースが生じることがあります。たとえば、監査役設置会社が株主代表訴訟の請求(会社法847条1項)を受ける場合には、監査役が当該株式会社を代表することになります(会社法386条2項1号)。
 ただし、会社法2条9号の監査役設置会社に該当しない株式会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるもの)が株主代表訴訟の請求を受ける場合には、代表取締役が当該株式会社を代表することになってしまいます(会社法349条4項)。
 このような問題点を受け、要綱では、会社法上の取扱いが異なるものがある以上、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある場合には、その旨を登記上も明確にすることが必要と判断し、当該定款の定めを登記事項に追加することとしています。
 ただし、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は中小企業が多く、登録免許税など会社法改正後はこれらの企業への負担は増すことになります。この点、中小企業に与える影響が大きいと想定されるため適用までには一定の経過措置が設けられる方向のようです。

Q15
いわゆる人的分割における準備金の計上
いわゆる人的分割において準備金を計上しなくてもよいことになるとのことですが、その理由を教えてください。
A  分割会社が会社分割の対価として交付を受けた承継会社の株式または持分のみを配当財産として剰余金の配当をする人的分割に際しては、会社法445条4項の規定による準備金の計上は要しないこととされます。
 現行、会社法445条4項が剰余金の配当に際して一定の金額の準備金を計上することを義務付けている趣旨としては、一定の金額の利益を留保させることにより損失に備えることにあるとされています。
 このため、分配可能額の有無にかかわらず剰余金の配当が行われる人的分割において、準備金の計上を義務付ける必要はなく、また、財産規制等の規定の適用を除外しながら準備金の計上のみを義務付ける理由もないからです。

Q16
発行可能株式総数に関する規律
公開会社になる場合についても、いわゆる4倍規制(発行可能株式総数の4分の1を下回ることができない)が適用されることになるのですか。
A  現行、公開会社の設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができないものとされています(会社法37条3項)。4倍規制といわれるものですが、これは既存株主の持株比率の低下の限界を画することにあるとされています。
 一方、4倍規制は、新設合併等における設立株式会社の設立については適用されず、また、公開会社でない株式会社が定款の変更により公開会社となる場合については、4倍規制を定める規定はありません。
 このため、要綱では設立株式会社の設立の場合および公開会社でない株式会社が公開会社になる場合についても、4倍規制の趣旨が該当するとし、新たに適用対象とすることとしています。

Q17
特別口座の移管
会社法制の見直しに関する要綱では、特別口座に記載された振替株式について、振替株式の発行者は、一括して特別口座を開設した振替機関等以外の振替機関等に当該特別口座の加入者のために開設された当該振替株式の振替を行うための口座(移管先特別口座)を振替先口座とする振替の申請をすることができるとされていますが、その理由を教えてください。
A  特別口座については、たとえば、上場会社間で組織再編が行われた場合、同一の銘柄の振替株式について複数の振替機関等に特別口座が開設されることとなったときに、これらの特別口座を1つの振替機関等に集約するための根拠規定が「社債、株式等の振替に関する法律」(振替法)に存在しないとの問題点が指摘されていました。
 また、特別口座は、実務上、発行者の株主名簿管理人である振替機関等に開設されることが一般的ですが、発行者が株主名簿管理人を変更した場合に、変更後の株主名簿管理人に特別口座を移管するための根拠規定が振替法に存在しないとの問題点も指摘されていました。
 特別口座とは、振替口座を有していない株主等のために発行会社の申出によって特別に開設される口座のことですが、そのような特別口座の加入者は、特別口座がどの振替機関等において開設されるかについて特段の利害関係を有しないと考えられることから今回の見直しに至ったようです。
 ただし、この場合発行者は、特別口座の加入者に対し、移管先特別口座を開設した振替機関等の氏名または名称および住所を通知することになっています。

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