コラム2012年11月19日 【未公開裁決事例紹介】 外国船舶内での物品販売、輸出免税等の対象とならず(2012年11月19日号・№475)
未公開裁決事例紹介
外国船舶内での物品販売、輸出免税等の対象とならず
輸出許可書等の保存による証明なし
○日本国内の港に停泊中の外国船舶内で、その乗組員に対して行った土産品等販売は、輸出免税等の対象にならないとされた事例。
基礎事実 請求人は、日本国内の港に停泊中の外国船舶の乗組員に対し、その船内および船外(船舶に近接する陸上)において、日本国内で仕入れた土産品や電化製品等を販売(以下「本件譲渡」という)している。
なお、請求人は、事務所および倉庫を有しているものの、販売のための店舗は常設していない。
請求人は、平成22年3月31日に、平成21年1月1日から同年12月31日までの課税期間に係る消費税等の確定申告書を提出。その後、平成22年8月9日に、同課税期間に係る消費税等の還付を求める更正の請求書を提出した。なお、更正の請求の理由として、本件譲渡は全て輸出免税等であるにも関わらず、誤って船外での商品の譲渡に係る課税資産の譲渡等を課税標準額に含め計上した旨記載されている。
課税当局は、外国船舶内での商品の譲渡に係る課税資産の譲渡等は、輸出免税等には当たらないなどとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分とともに、更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分をした。
争点および主張 争点は、本件譲渡は輸出免税等の対象となるか否か。当事者双方の主張は、表のとおり。
【表】当事者の主張
審判所の判断
(1)法令解釈
イ 消費税法7条1項は、事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、輸出免税の対象となるものを規定しているところ、同条2項は、同条1項の規定(輸出免税等)の適用を受けるためには、課税資産の譲渡等が、輸出免税等の対象となるものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明する必要があることを明らかにしている。そして、これを受け、施行規則5条1項は、証明の方法について、消費税法7条1項1号に掲げる輸出取引である場合には、当該輸出取引に係る輸出許可書等を、所定の期間、所定の方法で保存すべき旨規定している。
したがって、輸出免税等の適用を受けるためには、上記のとおり、施行規則所定の証明の方法により証明がされることが手続要件として必要であり、輸出取引(消法7条1項1号)の場合であれば、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当することについて、当該資産の輸出に係る輸出許可書等を保存することにより証明がされることが必要となる。
ロ 一般的に法律の施行地とは、場所的、空間的に区画し得る一定範囲の地域を意味するところ、原則としては、少なくとも包括的、全体的に日本の統治権が及ぶ領土・領海・領空などの区域はこれに当たるものと解するのが相当であり、消費税法2条1項1号でいう「国内」についても同様である。
(2)認定事実
イ 本件譲渡について等 請求人は、本件譲渡に関し、本件譲渡のために訪れる港湾を管轄する税関長の指示に基づき、保税地域への持込品目や販売品目および数量を記載した船内販売品目録を作成し、所轄税関長に提出していたが、所轄税関長から輸出許可書等の交付は受けておらず、これを保存していなかった。また、請求人は、消費税法8条6項の規定による輸出物品販売場に係る許可および関税法42条1項の規定による保税蔵置場の許可を受けたことはなかった。
請求人は、外国船舶の船内での売上げについては、「船内販売品目録」に当日売り上げた商品名、数量および金額を記載し、その裏面を利用して当日売上げの合計額を計算していた。そして、請求人は総勘定元帳を備え付け、「船内販売品目録」に基づいて、資産の譲渡等の対価の額を記録し、これを保存していた。
ロ 当審判所からの照会に対する×××の回答要旨 船内販売品目録は、本件譲渡の対象とされる資産の商品名、数量及び価格等が関税法やその他の関係法令(輸出貿易管理令等)に規定する「外国船舶に乗組員が携帯して輸出することが可能な貨物の範囲を超えていないか」を確認することを目的として、外国船内に持ち込む前に請求人から提出させているものであって、譲渡された資産を輸出する者は、請求人をはじめとする土産品販売業者から資産を購入した外国船舶の乗組員であることなどから、船内販売品目録は、土産品販売業者が本件譲渡に係る資産を輸出したことを証明する輸出許可書等として取り扱っていない。
土産品販売業者に対して、船内販売品目録の提出を求めているが、本件譲渡は、税関が管理する輸出統計に反映していない。これは、外国貿易等に関する統計基本通達に基づき、全国共通した取扱いである。
(3)判断
イ 本件譲渡が輸出免税等の対象となるか否かについて (イ)請求人は、本件譲渡が輸出取引に該当するとして、輸出免税等の対象となると主張しているものと理解されるところ、輸出免税等の適用を受けるためには、上記(1)イで説示したとおり、手続要件として、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当することについて、当該資産の輸出に係る輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要である。
これを本件についてみると、手続要件として、請求人において、本件譲渡が輸出取引に該当することについて、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要となるが、請求人が主張する船内販売品目録は、税関長において輸出許可書等として取り扱われておらず、その体裁および内容等に照らしても、これが輸出許可書等に該当するものと認めることはできないうえ、請求人は、本件譲渡に関し、所轄税関長から輸出許可書等の交付は受けておらず、これを保存していなかったというのであるから、本件譲渡については、輸出取引に該当することについて上記輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要という手続要件を欠くことになる。
したがって、本件譲渡が輸出取引に該当し得るものかどうかはおくとしても、上記のとおり、輸出免税等の適用を受けるための手続要件を欠いているのであるから、輸出免税等の適用を認めることはできない。また、請求人は、輸出物品販売場または保税蔵置場の許可を受けたことはなく、消費税法8条の規定の適用が認められる余地もない。
(ロ)なお、本件譲渡は、日本国内の港に停泊した外国船舶の乗組員に土産品等を販売するものであるが、上記(1)ロの法令解釈によれば、日本の港湾内に停泊している外国船舶の船内も、消費税法2条に規定する「国内」に該当するというべきである。
ロ 請求人の主張について
(イ)請求人の主張欄1について 輸出免税等の適用を受けるためには、上記イの(イ)で説示とおり、本件譲渡が輸出取引に該当することについて、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明されるという手続要件を満たすことが必要であり、本件譲渡については、これを欠いている以上、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(ロ)請求人の主張欄2について 船内販売品目録が輸出許可書等に該当しないことは、上記イの(イ)で説示したとおりであり、また、請求人の行っている本件譲渡は、日本国内で仕入れた土産品等を販売するものであり、外国貨物を輸入し、外国貨物のまま本邦から輸出として行う資産の譲渡とはその取引の内容、態様等を異にするものであるから、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
(ハ)請求人の主張欄3について 請求人は、本件譲渡に関し、関税法23条2項に規定する積込承認書を含め輸出許可書等の交付を受けておらず、これを保存していないのであり、船内販売品目録を手続の承認書等と同視することもできないから、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
(ニ)請求人の主張欄4について 基本通達7-2-21は、当該課税資産を当該保税蔵置場の許可を受けた者が輸出するものとして消費税法7条1項の規定を適用すると定めたものにすぎず、請求人は、保税蔵置場の許可を受けたことがないのであるから、同通達を適用される余地はない。また、仮に同通達が適用されるとしても輸出免税等の適用を受けるためには、施行規則所定の証明の方法により証明されることが手続要件として必要になるのであり、本件においては、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明がされるという手続要件を欠いている以上、いずれにせよ、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(ホ)請求人の主張欄5について 本件譲渡は請求人の主張するような取引とはその態様を異にするものであって、輸出免税等の適用を受けるためには、当該取引が輸出取引に該当することについて、当該取引に係る輸出許可書等を保存することにより証明されるという手続要件を満たすことが必要であり、本件譲渡については、当該手続要件を欠いている以上、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(へ)請求人の主張欄7について 本件譲渡が税関の輸出統計に含まれている事実は認められず、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
外国船舶内での物品販売、輸出免税等の対象とならず
輸出許可書等の保存による証明なし
○日本国内の港に停泊中の外国船舶内で、その乗組員に対して行った土産品等販売は、輸出免税等の対象にならないとされた事例。
基礎事実 請求人は、日本国内の港に停泊中の外国船舶の乗組員に対し、その船内および船外(船舶に近接する陸上)において、日本国内で仕入れた土産品や電化製品等を販売(以下「本件譲渡」という)している。
なお、請求人は、事務所および倉庫を有しているものの、販売のための店舗は常設していない。
請求人は、平成22年3月31日に、平成21年1月1日から同年12月31日までの課税期間に係る消費税等の確定申告書を提出。その後、平成22年8月9日に、同課税期間に係る消費税等の還付を求める更正の請求書を提出した。なお、更正の請求の理由として、本件譲渡は全て輸出免税等であるにも関わらず、誤って船外での商品の譲渡に係る課税資産の譲渡等を課税標準額に含め計上した旨記載されている。
課税当局は、外国船舶内での商品の譲渡に係る課税資産の譲渡等は、輸出免税等には当たらないなどとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分とともに、更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分をした。
争点および主張 争点は、本件譲渡は輸出免税等の対象となるか否か。当事者双方の主張は、表のとおり。
【表】当事者の主張
請 求 人 | 原 処 分 庁 |
本件譲渡は、次の理由により、輸出免税等の対象となるから、原処分は違法である。 1 輸出免税等の対象とされるか否かは、譲渡の対象となる資産が外国で消費される目的で取引されたかどうかによって判断されるべきであるところ、本件譲渡の対象となる資産は、その全てが外国で消費される目的で取引されたものであるから、本件譲渡は、輸出免税等が適用される取引である。 2 船内販売品目録は、本件譲渡を行うに当たっての単なる便宜上の書類ではなく、施行規則5条1項に規定する輸出許可書等に該当する。 仮にそうでないとしても、例えば、外国貨物を輸入し、外国貨物のまま本邦から輸出として行う資産の譲渡について、輸出許可書等はないが輸出免税等の適用の対象とされるのと同様、本件譲渡の対象となる資産は、その全てが施行規則5条1項4号の輸出の許可を受ける必要のない貨物に該当するため、輸出免税等の適用を受ける。ゆえに、本件譲渡に関し、輸出許可書等の保存を求めるのは妥当ではない。 3 請求人は、輸出物品販売場の許可を受けていないが、税関長が発行する積込承認書等により輸出が証明された場合には、輸出物品販売場の許可を受けていなくても輸出免税等の対象とされており、本件譲渡は、それに類似する。 4 本件譲渡は、国際空港の国際線の航空機に搭乗する直前の乗客が利用する、いわゆる「サテライトショップ」における資産の譲渡等に類似するため、基本通達7−2−21の適用を受ける。 5 本件譲渡は、事業者が、客が注文した商品をその客の依頼により国外の指定した場所宛てに発送する場合に類似する取引であるため、請求人による輸出として輸出免税等の対象となる。 6 本件譲渡を行う外国船舶の船内は、北方四島と同様に、我が国の管轄権が及ばない区域であるため、消費税法2条1項にいう「国内」には該当しない。 7 本件譲渡は、その全てが税関の輸出統計に含まれるものであるため、輸出免税等の対象となる。 | 本件譲渡は、次に理由により、全て国内における課税資産の譲渡等であり、輸出免税等の対象とならないから、原処分は適法である。 1 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付け(以下「輸出取引」という)をした場合の輸出免税等の適用に当たっては、輸出許可書等を事業者の納税地等において保存することがその手続要件とされているところ、請求人は、輸出許可書等を保存しておらず、本件譲渡は、輸出免税等の適用のための要件を充足していないから、本件譲渡の輸出取引該当性について判断するまでもなく、請求人の主張には理由がない。 2 船内販売品目録は、関税法所定の書類ではなく、外国船舶の乗組員が物品を国外へ持ち出すための手続を簡素化する目的で、税関が請求人のような販売業者に対し、便宜上提出を求めるものであって、輸出許可書等には該当しない。施行規則5条1項4号は、事業者が消費税法7条1項1号のうち船舶および航空機の貸付け、2号、4号、5号に掲げる譲渡等を行う場合における輸出免税等の手続要件を定めたものであるところ、本件譲渡は、これらのいずれにも該当しないから、仮に、請求人が施行規則5条1項4号に規定する書類を保存していたとしても、本件譲渡について輸出免税等の適用はない。 3 請求人は、本件譲渡に関し、税関長が発行する積込承認書等により輸出取引であることの証明を受けていないのであるから、請求人の主張は、その前提を誤ったものである。 4 本件譲渡は、基本通達7−2−21が定める要件を充足していないから、仮に、本件譲渡にサテライトショップにおける物品の販売形態と類似点があるとしても、同通達を適用する余地はない。 5 事業者が、客が注文した商品をその客の依頼により国外の指定した場所宛に発送する場合には、施行規則5条1項に規定する輸出証明がされている限り輸出免税等の適用を受けるとされているところ、本件譲渡は輸出免税等を受けるための手続要件を充足していないから、この取扱いを適用する余地はない。 6 日本国の領土(陸上)および領海内に停泊する外国船の船内は、消費税法上の国内であると解され、本件譲渡は全て国内における課税資産の譲渡等に該当する。 7 本件譲渡は全て税関の輸出統計に含まれるから輸出免税等の取引に該当する旨の請求人の主張には、法的根拠がない。 |
審判所の判断
(1)法令解釈
イ 消費税法7条1項は、事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、輸出免税の対象となるものを規定しているところ、同条2項は、同条1項の規定(輸出免税等)の適用を受けるためには、課税資産の譲渡等が、輸出免税等の対象となるものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明する必要があることを明らかにしている。そして、これを受け、施行規則5条1項は、証明の方法について、消費税法7条1項1号に掲げる輸出取引である場合には、当該輸出取引に係る輸出許可書等を、所定の期間、所定の方法で保存すべき旨規定している。
したがって、輸出免税等の適用を受けるためには、上記のとおり、施行規則所定の証明の方法により証明がされることが手続要件として必要であり、輸出取引(消法7条1項1号)の場合であれば、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当することについて、当該資産の輸出に係る輸出許可書等を保存することにより証明がされることが必要となる。
ロ 一般的に法律の施行地とは、場所的、空間的に区画し得る一定範囲の地域を意味するところ、原則としては、少なくとも包括的、全体的に日本の統治権が及ぶ領土・領海・領空などの区域はこれに当たるものと解するのが相当であり、消費税法2条1項1号でいう「国内」についても同様である。
(2)認定事実
イ 本件譲渡について等 請求人は、本件譲渡に関し、本件譲渡のために訪れる港湾を管轄する税関長の指示に基づき、保税地域への持込品目や販売品目および数量を記載した船内販売品目録を作成し、所轄税関長に提出していたが、所轄税関長から輸出許可書等の交付は受けておらず、これを保存していなかった。また、請求人は、消費税法8条6項の規定による輸出物品販売場に係る許可および関税法42条1項の規定による保税蔵置場の許可を受けたことはなかった。
請求人は、外国船舶の船内での売上げについては、「船内販売品目録」に当日売り上げた商品名、数量および金額を記載し、その裏面を利用して当日売上げの合計額を計算していた。そして、請求人は総勘定元帳を備え付け、「船内販売品目録」に基づいて、資産の譲渡等の対価の額を記録し、これを保存していた。
ロ 当審判所からの照会に対する×××の回答要旨 船内販売品目録は、本件譲渡の対象とされる資産の商品名、数量及び価格等が関税法やその他の関係法令(輸出貿易管理令等)に規定する「外国船舶に乗組員が携帯して輸出することが可能な貨物の範囲を超えていないか」を確認することを目的として、外国船内に持ち込む前に請求人から提出させているものであって、譲渡された資産を輸出する者は、請求人をはじめとする土産品販売業者から資産を購入した外国船舶の乗組員であることなどから、船内販売品目録は、土産品販売業者が本件譲渡に係る資産を輸出したことを証明する輸出許可書等として取り扱っていない。
土産品販売業者に対して、船内販売品目録の提出を求めているが、本件譲渡は、税関が管理する輸出統計に反映していない。これは、外国貿易等に関する統計基本通達に基づき、全国共通した取扱いである。
(3)判断
イ 本件譲渡が輸出免税等の対象となるか否かについて (イ)請求人は、本件譲渡が輸出取引に該当するとして、輸出免税等の対象となると主張しているものと理解されるところ、輸出免税等の適用を受けるためには、上記(1)イで説示したとおり、手続要件として、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当することについて、当該資産の輸出に係る輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要である。
これを本件についてみると、手続要件として、請求人において、本件譲渡が輸出取引に該当することについて、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要となるが、請求人が主張する船内販売品目録は、税関長において輸出許可書等として取り扱われておらず、その体裁および内容等に照らしても、これが輸出許可書等に該当するものと認めることはできないうえ、請求人は、本件譲渡に関し、所轄税関長から輸出許可書等の交付は受けておらず、これを保存していなかったというのであるから、本件譲渡については、輸出取引に該当することについて上記輸出許可書等を保存することにより証明されることが必要という手続要件を欠くことになる。
したがって、本件譲渡が輸出取引に該当し得るものかどうかはおくとしても、上記のとおり、輸出免税等の適用を受けるための手続要件を欠いているのであるから、輸出免税等の適用を認めることはできない。また、請求人は、輸出物品販売場または保税蔵置場の許可を受けたことはなく、消費税法8条の規定の適用が認められる余地もない。
(ロ)なお、本件譲渡は、日本国内の港に停泊した外国船舶の乗組員に土産品等を販売するものであるが、上記(1)ロの法令解釈によれば、日本の港湾内に停泊している外国船舶の船内も、消費税法2条に規定する「国内」に該当するというべきである。
ロ 請求人の主張について
(イ)請求人の主張欄1について 輸出免税等の適用を受けるためには、上記イの(イ)で説示とおり、本件譲渡が輸出取引に該当することについて、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明されるという手続要件を満たすことが必要であり、本件譲渡については、これを欠いている以上、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(ロ)請求人の主張欄2について 船内販売品目録が輸出許可書等に該当しないことは、上記イの(イ)で説示したとおりであり、また、請求人の行っている本件譲渡は、日本国内で仕入れた土産品等を販売するものであり、外国貨物を輸入し、外国貨物のまま本邦から輸出として行う資産の譲渡とはその取引の内容、態様等を異にするものであるから、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
(ハ)請求人の主張欄3について 請求人は、本件譲渡に関し、関税法23条2項に規定する積込承認書を含め輸出許可書等の交付を受けておらず、これを保存していないのであり、船内販売品目録を手続の承認書等と同視することもできないから、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
(ニ)請求人の主張欄4について 基本通達7-2-21は、当該課税資産を当該保税蔵置場の許可を受けた者が輸出するものとして消費税法7条1項の規定を適用すると定めたものにすぎず、請求人は、保税蔵置場の許可を受けたことがないのであるから、同通達を適用される余地はない。また、仮に同通達が適用されるとしても輸出免税等の適用を受けるためには、施行規則所定の証明の方法により証明されることが手続要件として必要になるのであり、本件においては、本件譲渡に係る輸出許可書等を保存することにより証明がされるという手続要件を欠いている以上、いずれにせよ、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(ホ)請求人の主張欄5について 本件譲渡は請求人の主張するような取引とはその態様を異にするものであって、輸出免税等の適用を受けるためには、当該取引が輸出取引に該当することについて、当該取引に係る輸出許可書等を保存することにより証明されるという手続要件を満たすことが必要であり、本件譲渡については、当該手続要件を欠いている以上、輸出免税等の適用を受けることはできない。
(へ)請求人の主張欄7について 本件譲渡が税関の輸出統計に含まれている事実は認められず、請求人の主張は、その前提を欠くものである。
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