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解説記事2012年12月10日 【第2特集】 がん保険の入院給付金、コンドミニアム評価etc(2012年12月10日号・№478)

相続税、贈与税、財産評価に関するQ&A
がん保険の入院給付金、コンドミニアム評価etc

 社会保障・税一体改革では、相続税増税など資産課税も議論の対象とされており、改正の動向も気になるところだが、資産課税に関しては実務上の疑問点も多々あるようだ。また、平成24年度税制改正で創設された「国外財産調書制度」では、国外財産の評価が重要となる。今回の特集では、がん保険に係る入院給付金の課税関係、法事の際の納骨費用の取扱い、相続時精算課税に係る「推定相続人となった時前」の意義、米国ハワイ州所在のコンドミニアムの評価等についてQ&Aで紹介する。

Q1
がん保険に係る入院給付金の課税関係について
 Aは、被保険者・保険料負担者をAとするがん保険に加入していましたが、がんを患い平成24年5月に死亡しました。
 Aの死亡後、がん保険に係る入院給付金の受取人である配偶者Bは、保険会社からそのがん保険に係る入院給付金(1,000万円)の支払を受けましたが、このがん保険に係る入院給付金の課税関係はどのようになりますか。
A
入院給付金については相続税の課税関係は生じません。
 みなし財産となる保険金については、相続税法3条1項1号に規定されていますが、その規定による保険金は、被相続人の死亡を保険事故として支払われるいわゆる死亡保険金に限られています。被相続人の障害(死亡の直接の基因となった障害を除く)、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として支払われる保険金または給付金は含まれません(相基通3-7)。
 したがって、がん保険に係る入院給付金については、被相続人の疾病を保険事故として支払われる給付金なので、相続税法3条1項1号に規定されている保険金には該当しませんので、相続税の課税関係は生じないことになります。
 ただし、入院給付金の受取人が被相続人で、入院給付金が被相続人の死亡後に支払われたため、被相続人の相続人等が受け取っている場合です。このケースでは、入院給付金に係る請求権を被相続人から相続人等が相続または遺贈によって承継的に取得したことになるため、本来の相続財産として相続税の課税対象となります(相基通3-7(注))。
 なお、入院給付金が本来の相続財産として相続税の課税対象となる場合には、その入院給付金は、相続税法3条1項1号に規定する死亡保険金でないことから、相続税法12条1項5号に規定する死亡保険金の非課税の適用がないこととなります。
 所得税の課税関係をみると、被保険者および保険料負担者が被相続人Aであり、入院給付金の受取人が配偶者Bの場合には、所得税法9条1項17号に規定する非課税所得として課税関係は生じません(所令30、所基通9-20・9-21)。なお、入院給付金の受取人が「配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族」でない場合には、所得税法9条1項17号に規定する非課税所得には該当せず、所得税が課税されることになります。

Q2
 初七日の法会(法事)の際に行った納骨に係る費用を葬式費用として相続税の課税価格から債務控除することの可否
 Aは、平成24年1月に死亡しましたが、Aの葬式において納骨は行わず、初七日の法会(法事)の時に納骨を行うこととしました。
 この場合、納骨にかかった費用を相続税法13条1項2号に規定する葬式費用として相続税の課税価格から債務控除することはできますか。
A 初七日の法会(法事)の時に納骨を行った場合でも、納骨に要した費用と初七日の法会に要した費用が明確に区分できる場合には、納骨に要した費用を葬式費用として債務控除することができます。  被相続人に係る葬式費用については、その負担した相続人等が居住無制限納税義務者または非居住無制限納税義務者である場合には、相続税法13条1項2号の規定によって、相続税の課税価格から控除することができます。この規定は、被相続人に係る葬式費用が相続開始時に現存する被相続人の債務ではないものの、被相続人の死亡に伴って必然的に生ずる費用であり、社会通念上も、相続財産そのものが担っている負担となることを考慮して、相続税の課税価格から控除することができるとしたものです。
 問題となるのは、「葬式費用」がどのようなものであるかですが、この葬式費用については、相基通13-4(1)において、「葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)」と定められています。
 したがって、葬式若しくは葬送に際して、またはこれらの前において納骨を行えば、その費用は、葬式費用として相続税の課税価格から控除することができると考えられる一方、初七日の法会に際して納骨を行った場合には、その費用を葬式費用として相続税の課税価格から控除することができないとも考えられます。
 しかしながら、一般的に葬式は、葬儀、葬礼、お弔いなどの死者を葬る儀式をいうものとされていて、納骨もその一部と考えられることから、納骨に要した費用については、たとえ初七日の法会の際に行われる場合であっても、相基通13-4に定める葬式費用に含まれるとするのが相当です。
 なお、相基通13-5では、初七日、四十九日、1周忌、3回忌などの法会に係る費用は、葬式費用には該当しないものとしていますが、これは、法会が死者を葬る儀式とは異なり、死者の追善供養のために営まれるものであることから、法会に要する費用は、葬式費用には含まれないとしているものです。
 よって、仮に、納骨が初七日などの法会とともに行われる場合は、法会に要した費用は相続税の課税価格から控除することはできないので、納骨に要した費用を相続税の課税価格から控除する場合は、納骨に要した費用と法会に要した費用が明確に区分されている必要があります。

Q3
 相続税法21条の9《相続時精算課税の選択》第4項に規定する「推定相続人となった時前」の意義について
 A(70歳)は、B(Aの子)を被保険者、C(Aの孫・25歳)を受取人とする生命保険契約を締結し、保険料を支払っていましたが、被保険者であるBが死亡したことにより、Cが死亡保険金を受け取りました。
 このとき、Cは、相続税法5条《贈与により取得したものとみなす場合》の規定により、Aから生命保険金の贈与があったとみなされて贈与税が課税されることとなりますが、CはBの死亡により代襲相続人としてAの推定相続人となることから、その生命保険金の贈与について、相続時精算課税の適用を受けることができますか。
A
Cは、Aからの生命保険金の贈与について、相続時精算課税の適用を受けることができます。
 贈与により財産を取得した場合、その贈与者の推定相続人(その贈与をした者の直系尊属である者のうち、その年の1月1日において20歳以上である者に限る)であり、かつ、その贈与者が同日において65歳以上の者である場合には、その贈与に係る財産について、相続時精算課税を適用することができます(相法21の9①)。しかし、年の中途において贈与者の推定相続人となったとき(配偶者となったときを除く)には、推定相続人となった時前にその贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税を適用することはできないこととされています(相法21の9④)。
 ご質問の場合、生命保険契約の被保険者であるBの死亡により、CはAの推定相続人となっているものの、CがAの推定相続人となった時と死亡保険金を受け取る権利(生命保険金請求権)を取得した時が同時であることから、Cが取得する死亡保険金は、推定相続人となった時前に取得した財産として、相続時精算課税を適用できるかどうか疑問が生じるところです。
 しかし、法律用語において、「時」はある具体的な時点を指し、「以」は起算点になる数量、日時等を含むことを意味することから、ある時点から遡る場合において、起算点を含む場合は「以前」(参考:以下)、起算点を含まない場合は「時前」(参考:満たない、未満)という表現を用いています。
 したがって、相続税法21条の9第4項は、推定相続人となった時前に贈与により取得した財産には、相続時精算課税の適用はできない旨を規定していることから、ご質問の場合のように、推定相続人となった時に贈与により取得したとみなされた財産については、相続時精算課税の適用を受けることができます。

Q4
 国外財産の評価(不動産の場合)について
 被相続人は、米国ハワイ州ホノルル所在のコンドミニアムを所有していましたが、このコンドミニアムの評価はどのようにするのですか。
A
土地については、原則として、売買実例価額、地価公示価格および鑑定評価額等を参酌して評価します。家屋については、原則として、売買実例価額、鑑定評価額等を参酌して評価します。
 国外に所在する土地の評価については、上記のとおりですが、課税上弊害がない限り、取得価額または譲渡価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができます。この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。
 また、国外に所在する家屋の評価では、その国の固定資産税評価額が財産評価基本通達89に規定する固定資産税評価額と類似している場合には、その金額によって評価しても差し支えないとされます。
 なお、国外にある不動産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関が公表する課税時期における最終の為替相場、いわゆる対顧客直物電信買相場(TTB)により換算します。

Q5
 産業廃棄物が存する土地の評価について
 相続により取得した土地について、相続税納付のため不動産業者に売却したところ、その土地中に産業廃棄物が埋設されていることが判明しました。
 そこで、不動産業者からの要求により、除去費用3,000万円を負担しましたが、この除去費用を土地の評価額から減額できるでしょうか。
A
ご質問の土地については、課税時期において、産業廃棄物が地中に埋設されているのは明らかです。したがって、ご質問の土地の評価額は、産業廃棄物が埋設されていないものとした場合の評価額から産業廃棄物除去費用に相当する金額を控除して評価するのが相当となります。
 産業廃棄物が埋設されている土地は、地中に物が埋まっていることにより利用制限が生じており、この利用制限をなくすには一定の除去措置が必要です。
 したがって、ご質問の土地の評価額は、産業廃棄物がないものとした場合の評価額から産業廃棄物の除去費用に相当する金額を控除して求めることになりますが、宅地等の相続税評価額は公示価格水準の80%としていることから、その除去費用に相当する金額は、実際の支出額の80%(3,000万円×80%=2,400万円)とします。
 なお、「産業廃棄物が埋設されている土地」とは、課税時期において、産業廃棄物が埋設されていることが判明している土地であり、埋もれている可能性があるなどの潜在的な段階では、個別に斟酌することはできません。
 また、産業廃棄物の除去費用に相当する金額については、実際に除去を行い、その費用を負担している場合には、その除去費用に基づき算定して差し支えないのですが、見積書等によったものについては、その内容について吟味されるとともに、近隣の産廃業者等から聴取等が行われるなど、適正に算定されているのか検討が行われるようです。

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