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解説記事2013年05月27日 【第2特集】 消費税経過措置の取扱いQ&Aのポイント(後編)(2013年5月27日号・№500)

売買取引のリースであっても経過措置が
消費税経過措置の取扱いQ&Aのポイント(後編)

 今回の特集では、本誌498号に引き続き、国税庁が4月25日に公表した「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」のポイントについて、「資産の貸付の税率等に関する経過措置」などを中心に紹介する。内容としては前回の消費税率5%の引上げ時と同様の取扱いとなっているが、所有権移転外ファイナンス・リースについては売買取引となったため、経過措置の対象外となっている。前回時と大きく異なっている点だ。

所有権移転外ファイナンス・リースは経過措置の対象外に
 資産の貸付けに関する経過措置については、平成8年10月1日から平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、平成26年4月1日(施行日)前から引き続き行われている資産の貸付けで、その契約の内容が次の①および②、または①および③に掲げる要件に該当する場合が対象になる。ただし、指定日以後にその資産の貸付けの対価の額が変更された場合には、その変更後におけるその資産の貸付けについては対象外となる。
① 契約に係る資産の貸付けの期間およびその期間中の対価の額が定められていること
② 事業者が事情の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
③ 契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと、その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること
 以上の要件を満たすものについては、いわゆる賃貸借契約のほか、オペレーティング・リースが該当する。前回の平成9年の消費税率5%引上げ時では、ファイナンス・リースのうち、賃貸借処理を行う所有権移転外ファイナンス・リースについては経過措置の対象とされていた。しかし、その後の会計基準の改正に伴う税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リースについては、売買(資産の譲渡)として取り扱うこととなった。このため、経過措置の対象となる「資産の貸付け」には該当しないことになり、経過措置の対象外となっている(経過措置Q&A問36参照)。
 なお、売買として取り扱われるリース取引であっても、平成26年4月1日(施行日)前にリース延払基準の方法により経理した場合の長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合などについては、施行日以後に資産の譲渡等を行ったものとみなされるリース譲渡延払収益額に係る部分の課税資産の譲渡等に係る消費税については経過措置の対象とされ、現行税率の5%が適用できるとされている(改正消令附則6条等)。

自動継続条項の契約、解約申出期限は指定日がポイント
 賃貸借契約については、国税庁が3月27日に公表した経過措置通達に盛り込まれていない内容も多く記されている。
 たとえば、平成25年10月1日(指定日)前に締結した賃貸借契約の自動継続条項について、当初の貸付期間が2年間で、その後2年ごとに自動継続する場合の取扱いについては、最初の2年間うち、平成26年4月1日(施行日)以後に行われる資産の貸付けが経過措置の対象になるとしている。
 ただし、自動継続条項のある賃貸借契約で、解約する場合には貸付期間満了の○日前に申し出ることとされている場合は要注意だ。この場合、解約申出期限を経過した際に新たな契約があったものと考えられるため、指定日前に解約申出期限が到来していれば経過措置の対象となるが、指定日後となってしまった場合には経過措置の対象とはならないことになる(経過措置Q&A問37、図1参照)。
定額料金に上乗せはNG  資産の貸付けの経過措置の対象となるためには、前述のとおり「対価の額が定められていること」が必要になるが、具体的には、契約において、当該契約期間中の対価の額が具体的な金額により定められている場合または総額が計算できる具体的な方法が定められている場合とされ、①契約期間中の賃貸料の総額を定めているもの、②賃貸料の年額、月額等を、たとえば「年(月)額○○円」と定めており、これに契約期間の年数、月数等を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの、③貸付けに係る資産の数量及び賃貸料の月額単価を、たとえば「○台貸付け、1台当たり月額○○円とする。」と定めており、これに資産の数量および契約期間の月数を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるものが該当する。
 ただし、建物の賃料について、「定額料金○○円に売上金額の○%相当額を加算した額とする。」や「その年の固定資産税の○倍とする。」と定めているものについては該当しない旨が明らかにされている(経過措置Q&A問39参照)。
物価変動は正当な理由に該当せず  貸付けに係る契約において対価の額について変更することができない旨の定めがない場合であり、経過措置の対象となる取引であっても、何らかの事情により対価の額が変更された場合には、事実上、新たな貸付契約が締結されたとみなされ、変更後の貸付けに係る対価の額の全額は新税率が適用されることになるので注意したい。この点、賃貸人が修繕義務を履行しない場合は、対価の額が変更されたとしても正当な理由に基づくものとして経過措置の対象となるが、「物価変動」「租税公課等の増減」を理由とする対価の額の変更は、正当な理由に基づくものには該当しないとしている(経過措置Q&A問43参照)。
デパートの積立会員制度は対象外  役務の提供に関する経過措置については、平成8年10月1日から平成25年9月30日(指定日)の前までの間に締結した役務の提供に係る契約で、その契約の性質上役務の提供の時期をあらかじめ定めることができない指定役務の提供が対象となる。具体的には、冠婚葬祭互助会が行う結婚式やお葬式を行うための契約の積立金が該当する。
 冠婚葬祭互助会とは、割賦販売法の適用を受け「前払式特定取引業」として、経済産業大臣の許可を受けた事業のこと。毎月、一定金額を掛け金として積み立て、結婚式や葬儀の費用に充てることになる。
 しかし、これら以外については役務の提供に関する経過措置の対象にはならない。たとえば、デパートなどの積立金制度などは経過措置の対象外となる(経過措置Q&A問45、図2参照)。
予約販売は週刊誌や月刊誌が対象  予約販売に係る書籍等に関する経過措置については、①不特定多数の者に定期的に継続して供給することを約する契約、②当該契約は指定日(平成25年10月1日)前に締結されたものであること、③当該契約の目的物は、書籍等の物品であること、④当該契約に基づく物品の譲渡対価の全部または一部を施行日(平成26年4月1日)前に受領していることの要件をすべて満たす必要がある。
 「定期的に継続して供給する」とは、週、年その他の一定の周期を単位としておおむね規則的に継続して発刊されている書籍等が対象となる(経過措置Q&A問47参照)。具体的には、週刊誌、月刊誌などのほか、旬刊や季刊誌も経過措置の対象となる。また、順次発刊される百科事典や文学全集なども対象となる。
友の会などは経過措置の対象に  通信販売に関する経過措置では、通信販売の方法により商品を販売する事業者が、平成25年10月1日(指定日)前に条件を提示し、または提示する準備を完了した場合において、事業者が平成26年4月1日(施行日)前に申込みを受けて当該提示した条件に従って施行日以後に商品を販売する場合は、当該商品の販売に係る消費税については経過措置の対象となり、旧税率のままとなる。
 不特定かつ多数の者に販売条件を提示することになるが、一般的に新聞、テレビ、チラシ、カタログ、インターネット等の媒体を通じて購読者等に対して販売条件を提示することになる。この点、たとえば、○○頒布会、○○友の会など、相当数の会員で構成され、会員数が固定的でないような会が会員等を対象とする場合は「不特定かつ多数の者」に該当することとされるが、訪問販売などは対象外としている(経過措置Q&A問49参照)。
 そのほか、「商品の販売」については、物品の販売だけではなく、通信教育等の役務の提供も含まれる旨が明らかにされている(経過措置Q&A問52参照)。

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