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解説記事2013年07月01日 【実務解説】 定款変更のトレンドを読む(2013年4月1日~5月31日の適時開示情報の調査結果)(2013年7月1日号・№505)

実務解説
定款変更のトレンドを読む(2013年4月1日~5月31日の適時開示情報の調査結果)
  三井住友信託銀行証券代行コンサルティング部法務チーム 倉持 直


1 はじめに
 2013年4月1日から同年5月31日までに公表された全国金融商品取引所に上場する会社の適時開示情報を調べたところ、定款変更を行う会社は前年比153社増の709社、定款変更の項目合計では前年比422社増の1,221社となった。定款変更を必要とする法令改正がない現況下、定款変更が増加しているのはかつてみられない動きであるといえる。本件集計結果は後掲の「定款変更の適時開示事例」のとおりであるが、以下にその主な傾向を述べることとする。
 なお、文中意見にわたる箇所は筆者の私見であることをお断りする。


2 商号、本店、公告、決算期の変更  商号変更を行う会社は前年比12社減の27社、本店所在地の変更を行う会社は同2社減の30社、公告方法を電子公告とする会社は同4社増の23社、決算期を変更する会社は同9社減の7社であり、数のうえでは大きな変化は見られない。
 商号変更は、事業のグローバル化やブランドの統一のほか、会社分割による持株会社への移行を主とした組織再編に伴うもの、本店所在地の変更は、業務効率化や固定費削減を掲げるものが中心であり、従来同様の傾向である。決算期変更は、月中決算を月末決算に変更するもの、3月決算に変更するもののほか、国際会計基準(IFRS)の適用を見据えていることを明示して12月決算に変更するものは国産電機、日華化学の2社であり、前年も花王、東洋ゴム工業の2社であった。

3 事業目的の変更  事業目的を変更(追加・削除を含む)する会社は前年比100社増の346社である。主な増加要因は発電および売電に関する事業の追加であり、前年の49社から176社と、約3.6倍までに急増している。このうち、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等)を明示した会社は58社である。
 これは、2012年7月に施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(固定価格買取制度)により、国が定めた単価で一定期間電力会社が電気を買取ることを義務づけたことが背景にある。固定価格での買取が約束されているため収益の見込めるビジネスとして捉えられていることが一因であるが、事業開始が後になるほど買取価格が低下していくとされていることが早期参入に拍車をかけていると思われる。幅広い業種が参入しているが、特に、建設業やガラスのほか、規模の大きな施設を擁する陸運、倉庫、小売業、卸売業などの会社で参入が目立っている。
 また、政府の成長戦略において、高齢化の進展や医薬品のインターネット販売解禁により成長が期待されるものとして議論されてきた医療分野については、森精機製作所、アドバンテスト等の機械・電気機器の会社が医療機器関係を新たに事業目的に追加しており、ディー・エヌ・エー、AOKIホールディングス等のサービス・小売業の会社や、ヤフーが医薬品関係を新たに事業目的に追加している。
 このほか、三洋堂ホールディングスやユニーグループ・ホールディングスなどの小売業の会社で電気自動車の充電サービスを事業目的に追加している例がみられる。

4 株式関連の変更  定款の絶対的記載事項である発行可能株式総数を変更する会社は199社で、前年の68社から3倍近く増加している。
 これは、全国金融商品取引所が2007年11月27日に公表した「売買単位の集約に向けた行動計画」に基づき、単元株式数が1000株である会社を除き、単元株式数が100株以外の上場会社は来年4月1日までに単元株式数を100株へ移行することが求められていることから、単元株式数の設定・増加と併せて、株式分割と発行可能株式総数の増加を行う会社が多いことによるものである。
 単元株式数を設定していない会社が100株を単元株式数として設定するもの、または単元株式数が100株未満である会社が単元株式数を100株に増加するものは合わせて131社であり、単元株式数が100株超である会社が単元株式数を100株に減少するものは18社である。
 発行可能株式総数の変更および単元株式数の設定・増加は、原則として株主総会の特別決議を要するが、例えば、単元株式数を100株に設定するとともに1株を100株に分割し発行可能株式総数を100倍にする等、同時に実施する株式分割の分割割合の範囲内での発行可能株式総数の増加や単元株式数の設定・増加であれば、取締役会決議により定款変更が可能である(会社法184条2項、191条)。今回かかる株式分割と同時に発行可能株式総数の増加および単元株式数の設定・増加を行っている会社は120社であるが、このうち43社(35.8%)はあえて株主総会に付議している。これは、株主総会の特別決議を要する単元未満株主の権利制限に関する規定(会社法189条2項)や単元未満株主の買増請求に関する規定(同法194条1項)を定款に新設することとしているため、発行可能株式総数の増加や単元株式数の設定・増加についても株主総会に付議することとしたものと考えられる。なお、単元未満株主の権利制限に関する規定を設ける会社は前年比91社増の122社、単元未満株式の買増請求に関する規定を設ける会社は前年比35社増の49社と大きく増加している。
 また、単元株式数を設定・増加する会社131社のうち、例えば、単元株式数を100株に設定するとともに、1株を1000株に分割する等、単元株式数の増加割合を超える分割割合で株式分割を行う会社は22社(16.8%)、単元株式数の増加割合と同じ割合で株式分割を行う会社は99社(75.6%)、それ以外の会社は10社(7.6%)である。他方、単元株式数を減少する会社18社のうち、株式併合を行う会社は11社(61.1%)である。
 単元株式数の設定・変更を行う場合でも、実質的な投資単位を維持するために単元株式数の増加割合・減少割合と同じ分割割合・併合割合で株式分割や株式併合の実施を選択する場合が多い。しかしながら、市場での取引価格が5万円以上から50万円未満に収まることが望ましい水準であると示されていることもあり、単元株式数の増加割合・減少割合とは異なる分割割合・併合割合の株式分割や株式併合を決定する会社もある。

5 社外取締役に関する責任限定契約規定の追加  社外取締役に関する責任限定契約に関する規定を設ける会社は92社で、前年の63社から5割近く増加している。会社があらかじめ社外取締役との間で将来生じ得る責任を一定額に限定する責任限定契約は、社外取締役にとってメリットがあり、会社が社外取締役を招聘するうえで有用なものとして、当該定款規定を採用していると考えられる。
 法制審議会総会において2012年9月7日に採択された「会社法制の見直しに関する要綱」では、社外取締役の選任義務化は見送られたものの、社外取締役が存しない場合、事業報告において社外取締役を置くことが相当でない理由の開示が求められており、またその附帯決議では、金融商品取引所の規則において上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要があるとされている。
 また、議決権行使助言会社であるISSの2013年日本向け議決権行使助言基準では、本年株主総会より、取締役選任議案に関して、社外取締役が一人もいない場合、経営トップである取締役について原則として反対を推奨するとしている。このため、株主構成上、機関投資家の割合が高い会社において、社外取締役を選任する動きがあることも背景にあると考えられる。
 
6 その他  これまで述べた以外の主な項目としては、会社法の施行によって導入された、Web開示規定の新設(会社法施行規則94条1項、133条3項、会社計算規則133条4項、134条4項)、取締役会の書面決議(会社法370条)および取締役会の決議により配当等を行う分配特則規定(同法459条1項、会社計算規則155条)の新設と、取締役の任期短縮や取締役の員数減少が挙げられるが、いずれも一部の会社に留まっている。これらについては既に多くの会社が規定済ないしは検討済であると考えられる。

7 おわりに  今回の調査では、金融商品取引所の規則改正や社外取締役の採用を求める動きに合わせ、単元株式制度の採用や社外取締役の責任限定契約に関する規定の導入が進んでいることが窺えた。
 さらに特徴としては、規制緩和の動きに合わせて事業目的の追加を行う会社が多く見られたことが挙げられる。経済成長を掲げる政府の主導によって、今後市場開放等の内容がより具体化することにより、事業目的を追加する会社は増えていくものと思われる。

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