カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2013年10月21日 【第2特集】 新事業承継税制への移行手続に関するQ&A(2013年10月21日号・№520)

平成26年1月から移行手続が開始
新事業承継税制への移行手続に関するQ&A

 平成25年度税制改正により、事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)については、要件の大幅な緩和が行われる。認定件数が低迷するなか、要件を緩和することによる利用者の増大を図るのが目的だ。
 今回の見直しでは、雇用要件について5年間の平均で8割以上確保すればよいこととされたほか、贈与の場合の先代役員の役員退任要件(代表者を退任すれば、贈与後に引き続き役員であっても適用可能)などが緩和される。新制度の恩恵を受けられるのは、平成27年1月1日以後の相続・贈与からとなる。
 ただし、すでに事業承継税制を適用している納税者であっても一定の届出を行うことにより新制度を適用することが可能となっている。本特集では新制度への移行手続についてQ&A形式で解説する。

Q1
新制度への移行手続
 税制改正により大幅に事業承継税制の適用要件が緩和されています。私は旧制度の適用を受けていますが、経過措置により新制度に移行することができると聞きました。どのような手続をすればよいのでしょうか。
A  税制改正後の新事業承継税制は平成27年1月1日以後の相続・贈与に係る経済産業大臣の認定を受けた場合から適用されます。したがって、平成26年12月31日までの相続・贈与に係る経済産業大臣の認定を受けた場合には、原則として改正前の旧制度が適用されることになります。
 しかし、納税者の希望により新制度に移行することも可能になっています。具体的には、①旧法認定会社の名称、②当該旧法認定会社の主たる事業所の所在地、③当該旧法認定会社の経営承継受贈者又は経営承継相続人の氏名、④新制度の適用を希望する旨、⑤当該旧法認定会社の経営承継受贈者又は経営承継相続人が所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)附則第86条第4項、第8項又は第12項に規定する者である旨を記載した書面を各経済産業局に提出するとともに、納税地の所轄の税務署にも移行手続を行うことになります。各経済産業局への書面の提出受付けは平成26年1月からとされています。なお、書面のひな型は中小企業庁のHPで見ることができます。

Q2
認定会社における書面の提出期限
 経過措置の適用期限、つまり新制度へ移行するための書面はいつまでに提出すればよいのでしょうか。
A  すでに旧制度の認定を受けている場合(平成25年12月31日までに認定を受けている場合)には、平成26年1月1日から平成27年1月1日以後最初に到来する年次報告の提出期限までに書面を提出する必要があります。

 たとえば、平成23年中に贈与があり認定を受けた場合は、平成27年1月1日以後最初に到来する贈与報告基準日(平成27年3月15日)の翌日から3か月を経過する日である平成27年6月15日が提出期限となります(図1参照)。
 また、平成23年4月1日に相続が発生し認定を受けた場合、平成27年1月1日以後最初に到来する相続報告基準日(平成27年2月1日)の翌日から3か月を経過する日である平成27年5月1日が提出期限となります(図2参照)。

Q3
平成26年中の相続・贈与の場合における書面の提出期限
 平成26年中に相続・贈与があり旧制度に基づき認定を受ける場合には、いつまでに書面を提出すれば新制度を適用することができますか。
A  経済産業大臣の認定を受けた後、申告期限の翌日から1年3か月後の年次報告の提出期限までに書面を提出すればよいことになります。たとえば、平成26年中の贈与があり認定を受けた場合は、贈与税の申告期限(平成27年3月15日)の翌日から1年3か月を経過する日である平成28年6月15日が提出期限となります。

Q4
新制度の適用時期
 新制度に移行するに際して退任してもらった父親を役員として(有給で)復帰させたいと考えています。この場合、新制度への移行手続の書面を提出した後から適用可能になるのでしょうか。
A  ご質問の場合、平成26年中に移行手続の書面を提出した場合は、平成27年1月1日以後から新制度に移行することになります。平成26年中に書面を提出したとしてもあくまでも書面の受付けであり、当然のことながら適用は平成27年1月1日からとなります。したがって、平成26年中に役員として復帰させた場合には旧制度の適用下にあるため、認定が取り消されることになります。
 逆に、書面の提出が平成27年以降となった場合は、書面の提出が事後になっても認定は取り消されないことになります。たとえば、提出期限内である平成27年3月中に書面を提出した場合には、新制度は遡及して適用されるため、平成27年1月中に役員復帰していても認定は取り消されないこととされています。

Q5
年次報告が平成27年中にある場合の雇用確保要件
 雇用要件については平成27年1月1日から緩和され、5年間の平均で8割以上確保すればよいこととされています。たとえば、相続報告基準日が平成26年中にあり、経済産業局への年次報告が平成27年中となる場合、どのように雇用要件を判定することになりますか。
A  新制度に移行した場合、雇用要件は平成27年1月1日以後の相続報告基準日により従業員数の平均を計算することになります。
 したがって、相続報告基準日が平成26年中の場合は、従来どおり単年で雇用が8割以上確保されているかどうかで判定することになります。

Q6
新制度に移行した場合の注意点①(総収入金額が零になった場合)
 新事業承継税制では大幅な要件が行われることになりますが、新制度に移行した場合に注意すべきことはありますか。
A  認定会社の納税猶予の取消事由の1つに「総収入金額が零となった場合」がありますが、旧制度ではこの総収入金額に「営業外利益」および「特別利益」が含まれています。新制度移行後はこの「営業外収益」と「特別利益」が総収入金額から除外されます。簡単にいえば、本業での売上げを1円でも計上しなければ納税猶予が取り消されることになります。

Q7
新制度に移行した場合の注意点②(資産管理会社の要件)
 新制度では資産管理会社の要件が厳しくなると聞きましたが、事業承継税制が適用できなくなるのはどのようなケースですか。
A  旧制度において、中小企業が資産管理会社に該当する場合には、事業承継税制を適用することができません。しかし、仮に資産管理会社に該当しても、①常時使用する従業員の数が5人以上であること、②常時使用する従業員が勤務している事業所等を自ら所有し、または第三者から賃貸していること、③贈与の日または相続の開始の日の前3年間以上継続して、商品販売等の事業活動をしているという3つの要件を満たす場合には、資産管理会社に該当しないものとみなされています。新制度では、①の要件である従業員数の判定については、経営承継相続人等と生計を一にする親族以外の従業員数で判定することになります。また、③の要件では、経営承継相続人等の同族関係者等に対する貸付けが除外されることになります。通常の事業を行っていることがより厳格に求められることになるといえます。

Q8
新制度に移行した場合のメリット
新制度に移行した場合におけるメリットとしてはどのようなものがありますか。
A  たとえば、納税猶予開始から5年経過後に納税猶予の打ち切りがなされた場合でも5年間分の利子税が免除されるほか、雇用要件の未達成を理由に納税猶予が打ち切られた場合には延納または物納(物納は相続税の納税猶予の場合のみ)の選択が可能です。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索