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解説記事2014年01月13日 【税制改正解説】 平成26年度税制改正解説(2014年1月13日号・№530)

税制改正解説
平成26年度税制改正解説
 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長  阿部泰久

はじめに-アベノミクスと税制改正

 「秋の陣」と年末の税制改正作業を一体としての平成26年度税制改正は、アベノミクス効果による日本経済の好転を、さらに推し進めるための政策手段としての色合いを非常に強めたものとなった。それは、与党税制調査会を基本とする従来の税制改正の手法を離れ、閣議決定された経済対策において税制の具体的内容までをも決定し、与党に追認を求める形での、官邸主導型の税制改正が定着したことでもある。
 秋の陣における大胆な投資減税等に加え、年末の改正では、「景気回復の実感を広く行き渡らせるため」、復興特別法人税の1年前倒し廃止等をはじめとする「引き続き企業の積極的な投資行動を促すための措置、企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、地域経済の活性化のための措置等」(平成26年度税制改正大綱、以下「大綱」)が講じられることとなった。一方で税制抜本改革としての法人実効税率引下げや、消費税の軽減税率等の重要な課題は先送りとなっている。
 本稿では、年末に決定された税制改正の主要項目の中で、特に背景説明が必要と思われるものを中心に、概要を紹介していく。

Ⅰ 法人税関係

1.復興特別法人税の廃止
 復興特別法人税の1年前倒し廃止は、官邸からの法人実効税率引下げ要請に対する事実上の代替措置として、財務省から示されたものである。秋の大綱において明示されていたが、その条件とされた賃金引上げとの関係では、経団連と政府・与党との間で調整を進めていた。
 その結果、11月22日の政労使会合において、経団連より、「経済の好循環実現のためには、アベノミクスによってもたらされた企業収益の改善を、さらなる成長への投資に振り向け、設備投資や雇用の拡大、賃金の引き上げなどにつなげていくことが重要である。加えて、復興特別法人税の前倒し廃止が実現した場合、足下の企業収益が従業員に適切に配分されていくことが必要である。経団連は、賃金の引き上げを通じて一刻も早い経済の好循環が実現するよう貢献していく。」との文書を提示することで官邸の了解を得て、大綱決定に先立ち12月5日に閣議決定された「好循環実現のための経済対策」に明記された。
 なお、賃金引上げについては、大綱において「確実な成果を得るため、引き続き、経済界への徹底した要請などの取組を行うとともに、地方の中小企業等への効果を含め、賃上げの状況についてフォローアップを行い、公表する。」とされている。
 復興特別法人税の廃止に伴い、法人が各事業年度において利子及び配当等に課される復興特別所得税の額は、各事業年度において利子及び配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除し、復興特別所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額があるときは、その金額を還付することとされ、法人住民税においても同様の措置を講ずることとされた。

2.地方法人税の偏在是正  現在、地方財政全体では約13.3兆円の財源不足額があるのに対し、地方交付税不交付団体の留保財源と財源超過額の合計額は1.8兆円を超えている(図表1参照)。
 消費税率引き上げに伴う地方消費税率の引上げと交付税原資の拡大により、地方財政全体の財源不足は改善するとしても、一方で地方消費税収には、人口1人当り最大の東京都と最小の奈良県との間で1.8倍の格差があることから、このままでは東京都をはじめとする一部の富裕団体はますます豊かになり、偏在性が拡大していくことが見込まれている。

 そこで、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率(標準税率)を法人税額の17.3%(都道府県分:5.0%、市町村分:12.3%)から法人税額の12.9%(都道府県分:3.2%、市町村分:9.7%)へ4.4%分引き下げるとともに、これに相当する分を国税に移し「地方法人税(仮称)」を創設して、その税収全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とすることとされた。
 また、地方法人特別税・譲与税についてはその規模を縮小し、法人事業税に復元することとされた。
 法人地方税の創設と地方法人特別税・剰余税から法人事業税への復元は、ともに6,000億円程度とされるが、地方法人特別剰余税は、東京都等の不交付団体にも一定額が配分されるが、法人地方税は交付税財源とされるため不交付団体には配分されないことにより、偏在性の是正は進むことになる(図表2参照)。

 この結果、法人の税負担に変化があるものではないが、今回の措置は、将来の法人実効税率引き下げのためには欠かせない布石であると考える。
 日本の法人実効税率が高い大きな理由は、地方法人二税の存在である。また、地方税において法人所得課税のウエイトが大きいことにより、景気変動に依る税収の不安定性とともに、税源の偏在性を免れない。そこで、地方法人二税をできる限り国税化し、地方共有の財源とすることで、不安定性と偏在性がいくらかでも解消できる。また、地方法人二税をそれぞれの地方自治体固有の財源としていたのでは、税率の引き下げに耐えられない地方自治体が出てくるのに対し、共有財源とすることでその影響を和らげることができる。
 経団連では、今年5月の「地方法人課税のあり方」の提言の中で、地方法人所得課税の国税化を図った上で、地方交付税、地方譲与税等もあわせた一般財源を保障する仕組みを構築すべきことを求めており、今回の改正はその趣旨に沿ったものと評価している。
 なお、消費税率10%引き上げ段階では、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進めるとともに、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行うこととされている。

3.国際戦略総合特別区域  国家戦略特区とは、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革等の施策を総合的・集中的に推進する制度である。このための税制の整備は、年末の税制改正の目玉の一つとされていながら、肝心の特区の具体的案件が未定であることもあり、投資減税や固定資産税の特例等に止まり、法人税率の引下げ等の大胆な措置は講じられていない。具体的な措置の内容は以下の通りである。
(1)特定事業の実施主体として認定区域計画に定められたものが、国家戦略特区内において機械等を取得した場合の特別償却または税額控除の選択適用。(図表3参照)

  今回、先端的技術を活用した医療等医療分野を対象とし、さらに特区の具体的な内容についての検討が進んだ段階において、関係者の合意を得て、必要に応じて追加される。
(2)研究開発税制の特例(法人税)-(1)の即時償却の適用を受ける特定中核事業の用に供された開発研究用資産について、即時償却に加え、特別試験研究費としてその減価償却費の12%を税額控除できる措置を講ずる。
(3)償却資産の特例(固定資産税)-特定中核事業のうち医療分野における一定の研究開発に関する事業の実施主体として区域計画に定められた者が、国家戦略特区内において取得した当該研究開発の用に供する一定の償却資産に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする措置を講ずる。
(4)その他、国家戦略民間都市再生事業に対する課税の特例措置(所得税・法人税・登録免許税等)-国家戦略民間都市再生事業を定めた区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたときは、都市再生特別措置法の認定があったとみなされ、都市再生緊急整備地域において行われる都市再生事業の課税の特例(割増償却及び登録免許税の軽減等)の適用を認める措置を講ずる。

4.交 際 費  交際費の特例については、平成25年度税制改正法附則108条三号において「消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点から、その適用範囲を含め検討すること」とされており、大法人への適用拡大の具体策が検討されていた。途中では、交際費増加分の一定割合を対象とした税額控除も一案とされていたが、飲食のために支出する費用に限りその額の50%の損金算入を認めることとなった。ただし、いわゆる社内接待費は含まれない。中小法人に係る損金算入の特例については、現行の800万円までの全額損金算入制度との選択適用となる。
 なお、1人当たり5000円以下の飲食費を交際費損金不算入制度の対象外とする措置は、当面存続される見込みである。

Ⅱ 所得税関係

1.給与所得控除の見直し
 給与所得控除については、消費税率引上げを定めた税制抜本改革法7条二号ロにおいて、「給与所得者の必要経費に比して過大となっていないかどうか等の観点から、実態を踏まえつつ、今後、そのあり方について検討する」こととされていた。
 与党税制調査会では、役員についてのみ、給与額2,000万円(給与所得控除額245万円)から漸減し、3,000万円以上は125万円とする1案と、すべての給与所得者を対象に、給与額1,200万円(給与所得控除額230万円)で打ち止めとする2案、同じく給与額1,000万円(給与所得控除額220万円)で打ち止めとする3案が示されていたが、2案、3案のいずれをも取り入れることとなった(図表4参照)。

 年間給与収入が1,000万円を超えるのは172万人(給与所得者全体の3.8%)とされているが(平成24年分)、大企業の幹部職員等では24年度改正による245万円打ち止めに続く増税となる。
 なお、大綱では、「現行の水準は、所得税の課税ベースを大きく浸食しており、実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また、主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから、中長期的には主要国並みの控除水準とすべく、漸次適正化のための見直しが必要である」とされており、今後も縮減が続けられることとなろう。 

2.金融証券税制その他  金融証券税制では、26年からスタートする少額投資非課税制度(NISA)について、口座を1年毎に変更できる制度とすること、海外転勤等で口座を廃止した場合も帰国後再開できる制度とすること等の改正がなされる。
 また、企業型確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げられる。

 その他の所得税関係の改正事項では、譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、ゴルフ会員権等の「主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産を加える」こととされ、平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用される。

Ⅲ 車体課税
 車体課税については、平成25年度税制改正に続き、年末でも最大の争点のひとつとなったが、多分に妥協的な解決となり、火種を27年度改正に残すこととなった。

1.自動車取得税  消費税率8%への引上げ時において、自動車取得税の3%引下げを求める関係業界・経済産業省と、事実上ゼロ回答であった総務省との間で紛糾したが、平成22年度燃費基準を満たした自動車等について、自家用自動車については5%から3%、営業用自動車及び軽自動車については3%から2%にそれぞれ引き下げるとともに、平成26年度までの措置であるエコカー減税の軽減率を拡充することで決着となった。
 なお、エコカー減税については、平成27年度税制改正において基準の切替えと重点化を図るとともに、消費税率10%への引上げ時(平成27年10月予定)に自動車取得税は廃止するが、そのための法制上の措置は、他の車体課税に係る措置と併せて講ずることとされ、後述の自動車税における取得時課税が明記されている。

2.自動車税  自動車税については、平成25年度末で期限切れの「グリーン化特例」について、対象車種にクリーンディーゼル車を追加する等の基準の切替えと重点化、拡充を行った上で2年間延長することとされた。 
 また、消費税率10%段階において、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能課税(環境性能割)を、自動車税の取得時の課税として実施することとし、平成27年度税制改正で具体的な結論を得るとされ、その大要までが示されている。 
① 課税標準は取得価額を基本とし、控除及び免税点のあり方等について併せて検討する。税率は、省エネ法に基づく燃費基準値の達成度に応じて、0~3%の間で変動する仕組みとする。具体的な燃費基準値達成度の税率への反映方法等については、省エネ法に基づく平成32年度燃費基準への円滑な移行を視野に入れて検討を行う。 
② 環境性能課税の税収規模は、平均使用年数を考慮した期間において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさない規模を確保するものとする。 
③ 自動車税(排気量割)のグリーン化特例については、環境性能割の導入時に、環境性能割を補完する趣旨を明確化し、環境性能割非課税の自動車に対象を重点化した上で、軽課を強化する。 
④ 環境性能課税及びグリーン化特例の制度設計に当たっては、幅広い関係者の意見を聴取しつつ、技術開発の動向等も踏まえて、一層のグリーン化機能が発揮されるものとなるよう、検討するものとする。

3.軽自動車税  軽自動車税については、2倍程度の増税を求める総務省に対し、与党税制調査会の大勢は「地方の足」として反対であったが、対象を平成27年度以降に新たに取得されるものに限ることとし、四輪車等の税率を、自家用乗用車は1.5倍に、その他は農業者や中小企業者等の負担を考慮し約1.25倍にそれぞれ引き上げることとされた。
 また、軽自動車税においてもグリーン化を進める観点から、最初の新規検査から13年を経過した四輪車等について、平成28年度から約20%の重課を行うこととし、併せて軽課についても検討を行うこととされている。
 二輪車等については、平成27年度分から税率を約1.5倍に引き上げた上で、2,000円未満の税率を2,000円に引き上げることとされている。

4.自動車重量税  自動車重量税については、エコカー減税の基準の見直しを行うとともに、エコカー減税制度の基本構造を恒久化することとされた。また、大綱では「自動車重量税については、道路等の維持管理・更新や防災・減災等の推進に多額の財源が必要となる中で、その原因者負担・受益者負担としての性格を踏まえる。」こと等が明記されている。

Ⅳ 国際課税-総合主義から帰属主義への移行
 国際課税原則の見直しを、OECDモデルに合せ総合主義から帰属主義へ改めることは、平成22年11月の政府税制調査会「国際課税に関する論点整理」において示され、平成24年6月から主税局参事官の私的研究会として「帰属主義研究会」(座長:中里実東京大学教授)が立ち上げられ、本年10月には報告書がとりまとめられている。これと並行して、経団連・主要企業に外国企業団体代表を加えて、経済産業省貿易振興課、主税局参事官補佐等の担当官の三者間で、実務者検討会を一昨年来、断続的に開催して、実務的および執行可能性の観点からの検討を進めていた。
 大綱では、本文の他に付記として13頁にわたる記載があるが、全体の紹介は別の機会に譲るとして、その基本的考え方だけを述べておく。
 従来、わが国の非居住者・外国法人に対する課税原則は、国内に恒久的施設(PE)があれば、PEに帰属しない国内源泉所得についてもすべて課税の対象とするいわゆる「総合主義」に基づいていたが、多くの租税条約では、恒久的施設(PE)に帰せられる所得(国内において行う事業から生ずるか否かを問わない)についてのみ課税を行う「帰属主義」を採用しており、いわば二元体制が並存していた。
 一方、2010年のOECDモデル租税条約の改定により、支店について独立企業としての擬制をより厳格に行った上で、PE帰属所得の計算を行う方法がOECD承認アプローチ(AOA:Authorized OECD Approach)とされ、わが国の国際課税もこれに従ったものに改める必要が生じていた。
 OECD承認アプローチとは具体的には、①PEの機能・事実分析に基づいて、資産の経済的所有権、リスクや資本の帰属を考慮しつつ、同一企業内の内部取引を認識し、②その内部取引が独立企業間価格で行われるものとして計算される所得をPE帰属所得とするものである。これは、単に外国法人のみではなく、現地法人形式ではなく、支店形態等により海外進出をしている日本企業にも大きな影響を与えるものになる。
 この改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用することとされており、さらに実務的には詳細を詰めていくことになる。
 また、大綱では、個人住民税、法人住民税及び事業税について、原則として、帰属主義に変更する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる(適用は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税並びに平成30年度分以後の個人住民税)とされているが、地方税については未だ具体的な検討に入っていない状況である。

Ⅴ 納税環境整備
 納税環境整備としては、納税者の申請に基づき換価の猶予をできることとするなど、国税の猶予制度の見直しを行うこととされている。なお、地方税の猶予制度については、国税の猶予制度の見直しや地方団体における実態等を踏まえ、引き続き検討することとなった。 
 また、行政不服審査制度の抜本的な見直しに合わせて、異議申立て前置主義を排し、国税不服審判所に直接、審査請求をできる等の重要な見直しがなされている。
 税理士制度については、税理士の業務や資格取得のあり方などに関し見直しを行うこととされた。最大の懸案であった公認会計士に対する税理士資格付与については、12月3日に自民党の仲介により、日本税理士連合会と日本公認会計士協会との間で、現行税理士法第3条第1項及び第2項とは別に、公認会計士は、公認会計士法第16条に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を受講することを義務付けるとすることで合意を見ており、その内容がそのまま大綱に盛り込まれている。

Ⅵ 残された課題

1.消費税の軽減税率

 年末の税制改正で、自民党と公明党との間で最も紛糾したのが、消費税の軽減税率であった。11月25日には、公明党から、軽減税率の対象を食料品(酒類、外食を除く)および新聞・書籍とし、インボイスではなく請求書等に適用税率ごとに取引額を分けて記載することで対応するとの案が示され、11月27日には自民党からの反論、11月29日には公明党からの再反論、12月5日には財務省から見解提示、12月9日には中小企業団体等からのヒアリング実施等、大綱とりまとめ当日の未明まで与党間協議が進められたが、結局以下のように結論先送りとなった。
 消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。
 このため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成26年12月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定する。
 なお、「税率10%時」とは、消費税率が10%に引き上げられる時点なのか、10%である段階のどこかでよいのかで自公の間に解釈の違いがあるなど、この文章自体が極めて曖昧なものでしかなく、実質的に軽減税率を導入するのか否かを含めて、1年間議論が蒸し返されることになる。
 なお、11月20日、経団連は、日本商工会議所等の中小企業団体等と連名で、軽減税率導入反対の意見書を公表しているが、大綱後もその立場が不変であることを各団体とともに確認している。

2.法人実効税率  法人実効税率のあり方については、官邸の要請を受けて検討課題とされていたが、復興特別法人税の前倒し廃止以上の議論はなされず、大綱では以下のような記述で終わっている。
 わが国経済の競争力の向上のために様々な対応を行う中で、法人実効税率を引き下げる環境を作り上げることも重要な課題である。その場合、税制の中立性や財政の健全化を勘案し、ヨーロッパ諸国でも行われたように政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や、他税目での増収策による財源確保を図る必要がある。また、産業構造や事業環境の変化の中で、法人実効税率引下げと企業の具体的な行動との関係や、現在の法人課税による企業の税負担の実態も踏まえ、その政策効果を検証することも重要である。こうした点を踏まえつつ、法人実効税率のあり方について、引き続き検討を進める。
 この中身は秋の陣の大綱から前進するものではないが、財務省では政府税制調査会に小委員会を設置して具体的検討に入るとしており、経団連においても、財源策を含めた具体的提案を早期に行うこととしたい。

おわりに-増税時代の到来か
 以上、平成26年度税制改正の主要事項を見てきたが、最後に、大綱冒頭の基本的考え方部分に見逃せない一文があることを指摘しておく。
 今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進める。
 これだけの短い文言であるが、別に「少子高齢化が急速に進む中にあって財政健全化を確保しつつ社会保障分野をはじめとした各種政策遂行に要する財源を確保することや世代間・世代内での格差を是正する」必要も示されており、消費税率引上げにとどまらず、広範な税目について、将来にわたって増税が志向されていくとの宣言であると考えられる。

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