コラム2014年07月07日 【SCOPE】 越境サービスへの消費税、内外判定・課税方式のポイント(2014年7月7日号・№553)
政府税調の制度案をQ&A形式で確認
越境サービスへの消費税、内外判定・課税方式のポイント
政府税制調査会(中里実会長)は6月27日、国境を越えた役務提供(越境サービス)に消費税を課税するための制度案を固めた。国境を越えた役務提供に係る内外判定基準の仕向地主義への見直し、課税方式の見直しによるリバースチャージ方式、国外事業者申告納税方式の導入が制度の主な内容だ。スコープでは、内外判定の見直しに伴い明確化される現行の課税関係が継続される国外取引の具体例やリバースチャージ方式における国外事業者の通知義務等について、Q&A形式で確認する。
越境サービスへの消費税、内外判定・課税方式のポイント
政府税制調査会(中里実会長)は6月27日、国境を越えた役務提供(越境サービス)に消費税を課税するための制度案を固めた。国境を越えた役務提供に係る内外判定基準の仕向地主義への見直し、課税方式の見直しによるリバースチャージ方式、国外事業者申告納税方式の導入が制度の主な内容だ。スコープでは、内外判定の見直しに伴い明確化される現行の課税関係が継続される国外取引の具体例やリバースチャージ方式における国外事業者の通知義務等について、Q&A形式で確認する。
Q 政府税制調査会が大枠を固めた国境を越えた役務提供に対する消費税課税制度の概要を教えてください。 |
A 政府税調の制度案には、(1)内外判定の見直し(仕向地主義への変更)、(2)課税方式の見直しが明記されています。内外判定基準の見直しでは、国外事業者が行う国境を超える電子書籍や音楽配信、広告配信、クラウドサービスなど、役務の提供が行われた場所が明らかでないものついて、「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」から「役務の提供を受ける者の住所・居所または本店・主たる事務所の所在地」に判定基準が変更されます。 課税方式の見直しでは、上記の内外判定基準の変更により、国内取引とさる役務提供について、次の2つの課税方式が導入されます。 ① 国外事業者から役務提供を受ける者が事業者であることが明らかな取引(BtoB) ……リバースチャージ方式 ② 国外事業者から役務提供を受ける者が事業者であることが明らかでない取引(BtoC) ……国外事業者申告納税方式 なお、リバースチャージ方式とは、国外事業者が行う役務提供について、その役務の提供を受ける国内事業者に申告納税義務を課す方式です。一方、国外事業者申告納税方式は、国外事業者に申告納税義務を課すものです。 |
Q 内外判定の見直しに伴い、現行の課税方式を継続する取引が明示されるようですが、具体的にどのような取引が国外取引(不課税)として明確化されるのですか? |
A 政府税調の制度案では、以下のような役務提供については、国外取引(不課税)となることを法令等で明確化するとしています。 ① 国外で行われる当該国外に関する情報の収集、整理若しくは分析等(その結果の提供を含む) ② 国外で行われる当該国外に所在する資産の取得、管理又は譲渡等に係る役務の提供(その結果の報告を含む) 上記①に該当する取引としては、例えば、日本の金融機関が米国でM&Aを行うために米国のローファームなどにメールでの情報提供を依頼するケースなどが該当するようです。 また、②取引として、例えば、米国の株や債券について米国の金融機関に管理・運用を委託し、手数料を支払って、運用報告をメールで受けるといったケースが該当すると考えられます。 なお、上記①②のような取引は、レポート(報告書)の取りまとめなどの実質的な役務提供が国外で完結していると認められ、役務の提供が行われた場所が国外であることが明らかであるため、国外取引(不課税)とされるものです。 |
Q リバースチャージ方式における国外事業者からの通知はどのタイミングで行われるのでしょうか? |
A リバースチャージ方式では、国外事業者に対して、国内事業者(取引の相手方)に、その役務提供がリバースチャージの対象となることを通知する義務が課されます。 この通知のタイミングについて、政府税調の資料では、「国内外の事業者間の取引条件の均衡等に配意しつつ検討する」とされていますが、財務省担当官は、国外事業者が国内事業者に取引条件を提示するタイミングに合わせて通知することを念頭に置いているようです。 |
Q リバースチャージ方式では、国内事業者の事務負担への配慮も行われるようですが、その内容を教えてください。 |
A リバースチャージ方式の導入により、国内事業者に事務負担が発生します。その事務負担への配慮から、課税売上割合が一定以上(例えば95%以上)の事業者等については、リバースチャージ方式による納税額とほぼ同額の仕入控除税額が計上されることを踏まえ、当分の間の措置として、「リバースチャージ税額」と「リバースチャージ税額に係る仕入控除税額」を同額とみなして、申告対象から除外されます。 申告対象から除外される「当分の間」については、現在のところ、具体的な年数が決まっているわけではないようです。国際課税DGの田近座長は、6月26日の会合後の記者会見において、「(当分の間がどのくらいかは)制度が立ち上がってみなければわからない。これ(この措置)に伴ってさらに問題が顕在化すれば当然検討する」とコメントしています。 |
Q 今後の制度設計上、どのような課題が考えられますか? |
A 6月26日の国際課税DGでは、今後の制度設計における課題として、①国外で研究開発した情報の一部を国内で使用する場合など複雑な取引の内外判定、②免税事業者、簡易課税適用事業者にリバースチャージを課すか否か、③法務サービスなど事業者向け役務提供を個人(消費者)が受けた場合の課税方式などが指摘されています。 |
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