解説記事2014年08月04日 【税制改正解説】 平成26年度における法人税関係の改正について(上)(2014年8月4日号・№557)

税制改正解説
平成26年度における法人税関係の改正について(上)
 小埜寺信哉

はじめに

 平成26年度税制改正においては、①消費税率の引上げによる反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するための税制措置、②復興特別法人税の1年前倒しでの廃止、③民間投資と消費の拡大、④地域経済の活性化等のための措置、⑤税制抜本改革を着実に実施するための措置及び⑥震災からの復興を支援するための措置を行うほか、所要の措置を講ずることとされ、関係法令の改正が行われた。
 このうち法人税関係の租税特別措置法の改正では、現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却及び経済再生に向け、経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り持続的な経済成長につなげる等の観点から、生産性向上設備投資促進税制の創設、中小企業投資促進税制の拡充、べンチャー投資を促進するための税制措置の創設、事業再編を促進するための税制措置の創設、設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応としての既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設、所得拡大促進税制の拡充、交際費等の損金不算入制度における接待飲食費の50%を損金算入する措置の創設等が行われる一方で、所要の整理合理化が行われた。
 本稿は、これらの改正の内容を紹介するものである。

法人税法の改正

Ⅰ 復興特別法人税の前倒し廃止

1 改正の内容
 指定期間が平成24年4月1日から平成26年3月31日までの期間とされ、課税事業年度が指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度とされた(復興財確法40十、45①)。また、合併法人及び連結グループを離脱した連結子法人の課税事業年度を判定するための課税対象期間は、指定期間の初日以後最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間とされ(復興財確法45②五)、基準法人の適格合併の日の前日の属する事業年度が指定期間の初日前に開始した事業年度である場合の基準法人課税対象期間は、その適格合併の日から同日以後2年を経過する日までの期間とされた(復興特別法人税政令3)。これにより、復興特別法人税が課税される期間が1年短縮され、前倒しで廃止されることとなった。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用することとされている(改正法附則155②③、改正復興特別法人税政令附則②)。

Ⅱ 復興特別所得税額の法人税額からの控除

1 改正の内容
(1)復興特別所得税の額の法人税の額からの控除及び還付
 法人の復興特別法人税の課税事業年度に該当しない各事業年度又は各連結事業年度において、その法人が利子及び配当等に課される復興特別所得税の額は、所得税の額とみなして、法人税における所得税額控除制度の適用を受けることができることとされた(復興財確法33②)。
 また、法人税の額から控除しても控除しきれない所得税の額及び復興特別所得税の額があるときは、その金額は法人税法の規定により還付される。
 なお、法人税の額から控除される所得税の額及び復興特別所得税の額を計算する場合には、利子及び配当等に対する所得税及び復興特別所得税を一体のものとして区分し、控除すべき金額を計算することとなる(復興特別所得税政令13②)。この場合には、利子及び配当等に係る所得税及び復興特別所得税について簡便な方法による計算を選択することができる。
(2)みなし課税事業年度の廃止  課税事業年度とされる事業年度以外の各事業年度において利子及び配当等につき課される復興特別所得税の額がある場合に、その復興特別所得税を課される各事業年度を課税事業年度とみなす措置(旧復興財確法45③)は、廃止された。

2 適用関係  上記1(2)の改正は、法人の平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用し、法人の同日前に終了した事業年度については従前どおりとされている(改正法附則155②)。

Ⅲ 企業再生関係税制

1 改正の内容
 債務処理に関する計画が準則に従って策定されたものであること等を確認する者について、株式会社地域経済活性化支援機構がその計画に係る再生支援につき債権買取り等をしない旨の決定を行う場合に選任する債務処理に関する3人以上の専門家が追加された(法規8の6①二)。なお、債務処理に関する計画に係る債務者である法人の借入金その他の債務で利子の支払の基因となるものの額が10億円未満である場合には、2人以上の専門家とされている。

2 適用関係  上記1の改正は、平成26年4月1日以後に再生計画認可の決定に準ずる事実が生ずる場合について適用し、同日前に再生計画認可の決定に準ずる事実が生じた場合については従前どおりとされている(改正法規附則②)。

Ⅳ 寄附金の損金不算入

1 改正の内容
(1)特定公益増進法人の範囲
 特定公益増進法人の範囲に、次の法人が追加された。
① 博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人(法令77一の二)
② 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園を設置する学校法人(法令77四)
(2)認定特定公益信託の範囲  認定特定公益信託の範囲に、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園における教育及び保育に対する助成を目的とするものが追加された(法令77の4③十二)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)①の改正は、法人が平成26年4月1日以後に支出する寄附金について適用し、法人が同日前に支出した寄附金については、従前どおりとされている(改正法令附則4①)。
(2)上記1(1)②及び(2)の改正は、法人が就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第66号)の施行の日以後に支出する寄附金又は同日以後に特定公益信託の信託財産とするために支出する金銭の額について適用することとされている(改正法令附則4②、5)。

Ⅴ 特定同族会社の特別税率(留保金課税)

1 改正の内容
(1)留保金額の計算上控除する法人税の額等
① 地方法人税の創設に伴い、法人が課される地方法人税の額は、留保金額の計算上、所得等の金額のうち留保した金額から控除することとされた(法法67③)。この留保金額の計算上控除する地方法人税の額は、法人税の留保金課税がないものとした場合に計算される地方法人税の額とされた。
② 留保金額の計算上道府県民税及び市町村民税の額として控除する金額について、法人税の額に16.3%を乗じて計算することとされた(法令139の10、155の25)。
  また、租税特別措置法の改正に伴う規定の整備が行われている。
(2)所得等の金額  所得等の金額を構成することとされる還付金等の益金不算入額の範囲について、所得の金額の計算上損金の額に算入されない地方法人税の額に係る部分の還付金等の額を含めないこととされた(法法67③五)。

2 適用関係  上記1(1)②(租税特別措置法の改正に伴う規定の整備に係る部分を除く。)の改正は、法人の平成26年10月1日以後に開始する事業年度又は連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度について適用し、法人の同日前に開始した事業年度又は連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度については、従前どおりとされている(改正法令附則8②、9②)。

租税特別措置法(法人税関係)の改正

第一 税額控除関係

Ⅰ 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)

1 改正の内容
(1)試験研究費の増加額に係る措置の改組
 試験研究費の増加額又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度のうち、試験研究費の増加額に係る措置が改組され、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%相当額を超え、かつ、試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、その法人のその事業年度の所得に対する法人税の額から、その増加試験研究費の額に30%(増加試験研究費割合が30%未満である場合には、その増加試験研究費割合)を乗じて計算した金額を控除することができる措置とされた(措法42の4⑨一)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9⑨一)。
(2)適用期限の延長  試験研究費の増加額又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度(上記1(1))の適用期限が、平成29年3月31日まで3年延長された(措法42の4⑨)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9⑨)。

2 適用関係  上記1(1)の改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされており(改正法附則77)、連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成26年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則106)。

Ⅱ エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)

1 改正の内容
 対象資産から12設備が除外された。連結納税制度の場合についても同様である。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成26年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をしたエネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則78、平26.3財務告105前文)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則107)。

Ⅲ 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度(中小企業投資促進税制)

1 改正の内容
 本措置は、中小企業者等が、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等の取得又は製作をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度(平成26年4月1日以後に終了する事業年度に限る。)において、その特定生産性向上設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)と税額控除限度額(その取得価額の7%(特定中小企業者等がその指定事業の用に供したその特定生産性向上設備等については、10%)相当額をいう。)の税額控除との選択適用ができるというものである(措法42の6②⑧)。この税額控除における税額控除限度額は、その指定事業の用に供した日を含む事業年度の法人税額の20%相当額(特定機械装置等の基準取得価額の7%の税額控除により控除される金額がある場合には、その金額を控除した残額)を上限とすることとされている(措法42の6⑧)。
 また、中小企業者等が、平成26年4月1日前に終了した事業年度の産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成26年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等の取得又は製作をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その中小企業者等の平成26年4月1日を含む事業年度において、その特定生産性向上設備等のその事業年度開始の時における帳簿価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の7%(特定中小企業者等がその指定事業の用に供したその特定生産性向上設備等については、10%)相当額を繰越税額控除限度超過額に加算する措置(繰越税額控除)との選択適用ができる措置が講じられている(措法42の6③⑨⑩)。

2 適用関係  上記改正は、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)以後に、特定生産性向上設備等の取得若しくは製作をし、又は特定生産性向上設備等の移転を受ける法人の平成26年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則79①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則108)。

Ⅳ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度(創設)

1 制度の概要
 この制度は、青色申告書を提出する法人で国家戦略特別区域法の一定の特定事業の実施主体として同法の認定区域計画に定められたものが、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、国家戦略特別区域内において、同法の事業実施計画に記載された特定機械装置等の取得又は製作若しくは建設をして、その特定事業の用に供した場合には、その特定機械装置等の取得価額の50%(建物等及び構築物については、25%)相当額の特別償却と15%(建物等及び構築物については、8%)相当額の税額控除(特別控除税額は当期の法人税額の20%相当額を限度とし、税額控除限度超過額は、1年間の繰越しができる。)との選択適用を行うことができるというものである(措法42の10①~④)。
 なお、中核的事業の用に供される機械及び装置並びに開発研究用の器具及び備品のうち一定の規模要件を満たすものについては、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)ができることとされている。
 ただし、この制度は、国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度(措法42の11)又は国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例(措法60の2)との選択適用とされている(措法42の11⑦、60の2②)。
 また、特定中核事業用設備のうち開発研究の用に供されるものについて、特別償却の適用を受ける場合には、その開発研究の用に供した日を含む事業年度のその特定中核事業用設備に係る減価償却費の額は、特別試験研究税制(措法42の4②)における特別試験研究費の額に該当するものとみなして、研究開発税制(措法42の4)及び研究開発税制の特例(措法42の4の2)の適用を受けることができることとされている(措法42の10⑥)。
 連結納税制度の場合についても、概ね同様の措置が講じられている(措法68の14)。

2 適用関係  上記制度は、法人が平成26年4月1日以後に取得等をする特定機械装置等について適用することとされている(改正法附則81①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110①)。

Ⅴ 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
(1)適用除外事業年度の見直し
 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度(措法42の10)の創設に伴い、同制度における特別償却又は税額控除の適用を受ける事業年度については、本制度は適用しないこととされた(措法42の11⑦)。
(2)適用関係  この制度の適用期限が、平成28年3月31日まで2年延長された(措法42の11①)。
 なお、連結納税制度の場合については、上記(1)の改正について連結法人ごとに適用が除外される連結事業年度の見直しが行われた上、上記(2)と同様に適用期限の延長が行われている(措法68の15①⑦)。

Ⅵ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 要件の見直しが行われた上、制度の適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された(措法42の12の4①)。
(1)「雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること」との要件が、事業年度の区分に応じて次のとおりとされた。
① 平成27年4月1日前に開始する事業年度:2%以上であること
② 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度:3%以上であること
③ ①及び②以外の事業年度:5%以上であること
(2)「平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること」との要件が、これらの額の計算の基礎となる給与等の支給額を継続雇用者に対するものに限定した上、比較平均給与等支給額を超えることとされた。
 連結納税制度についても同様の改正が行われている(措法68の15の5①)。

2 適用関係  本改正は、法人の平成26年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了する事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則82①)。連結納税制度については、連結法人の連結親法人事業年度が平成26年4月1日以後に終了する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に終了した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則112①)。
 なお、今般の改正は、より多くの企業がこの制度を活用できるよう見直しを行うことで、企業による早期の賃金の引上げを強力に促すものとするためのものであることから、この制度の適用を前提に、平成26年3月期などの平成26年3月31日以前に終了する事業年度から計画的・段階的に賃上げを実施していく法人を念頭に、経過措置が設けられている。

Ⅶ 生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(生産性向上設備投資促進税制)(創設)

1 制度の概要
 この制度は、青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度(平成26年4月1日以後に終了する事業年度に限る。)において、特別償却限度額(その特定生産性向上設備等の取得価額の50%(建物及び構築物については、25%)相当額をいう。)の特別償却と税額控除限度額(その取得価額の4%(建物及び構築物については、2%)相当額をいう。)の税額控除との選択適用ができるというものである(措法42の12の5①⑦)。この税額控除における税額控除限度額は、その事業の用に供した日を含む事業年度の法人税額の20%相当額を上限とすることとされている(措法42の12の5⑦)。
 なお、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成28年3月31日までの間に、取得等をされ、国内にあるその法人の事業の用に供された特定生産性向上設備等については、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の5%(建物及び構築物については、3%)相当額の税額控除との選択適用ができる措置が講じられている(措法42の12の5①②⑦⑧)。
 また、青色申告書を提出する法人が、平成26年4月1日前に終了した事業年度の産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成26年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その法人の平成26年4月1日を含む事業年度において、その特定生産性向上設備等のその事業年度開始の時における帳簿価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)と税額控除限度額(その取得価額の5%(建物及び構築物については、3%)相当額をいう。)の税額控除との選択適用ができる措置が講じられている(措法42の12の5③⑦~⑨)。この税額控除における税額控除限度額は、その平成26年4月1日を含む事業年度の法人税額の20%相当額を上限とすることとされている(措法42の12の5⑦⑨)。
 連結納税制度の場合についても、概ねこれらと同様の措置が講じられている(措法68の15の6)。

2 適用関係  上記の措置は、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)以後に、特定生産性向上設備等の取得等をし、又は特定生産性向上設備等の移転を受ける法人の平成26年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則83①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則113①)。

Ⅷ 法人税の額から控除される特別控除額の特例

1 改正の内容
 法人税額超過額の計算の基礎となる税額控除可能額の上限が、当期の法人税額の90%(改正前:100%=当期の法人税額)相当額に引き下げられた(措法42の13①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の7①)。

2 適用関係  上記改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされており(改正法附則77)、連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成26年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則114)。

第二 特別償却関係

Ⅰ 耐震基準適合建物等の特別償却制度(創設)

1 制度の概要
(1)耐震基準適合建物等に係る措置
 この措置は、青色申告書を提出する法人で、その有する耐震改修対象建築物につき平成27年3月31日までに、耐震診断を行い、その結果についての報告を行ったものが、平成26年4月1日からその報告を行った日以後5年を経過する日までの間に、耐震基準適合建物等のうちその建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は耐震基準適合建物等を建設して、これをその法人の事業の用に供した場合には、初年度において、その耐震基準適合建物等の取得価額の25%相当額の特別償却ができるというものである(措法43の2①)。
(2)技術基準適合施設に係る措置  この措置は、青色申告書を提出する法人で、港湾隣接地域内において有する特定技術基準対象施設につき平成27年3月31日までに港湾管理者からの求めに対し技術基準のうち地震に対する安全性に係るものに適合するかどうかの点検の結果についての報告を行ったものが、港湾法の一部を改正する法律(平成25年法律第31号)附則第1条第2号に定める日(平成26年6月1日)からその報告を行った日以後3年を経過する日までの間に、技術基準適合施設のうちその建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は技術基準適合施設を建設して、これをその法人の事業の用に供した場合には、初年度において、その技術基準適合施設の取得価額の20%相当額の特別償却ができるというものである(措法43の2②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の措置が講じられている(措法68の17)。

2 適用関係  上記1(1)の措置は、法人が平成26年4月1日以後に取得又は建設をする耐震基準適合建物等について適用することとされている(措法43の2①)。連結納税制度の場合についても同様である(措法68の17①)。
 上記1(2)の措置は、法人が港湾法の一部を改正する法律(平成25年法律第31号)附則第1条第2号に定める日(平成26年6月1日)以後に取得又は建設をする技術基準適合施設について適用することとされている(措法43の2②)。連結納税制度の場合についても同様である(措法68の17②)。

Ⅱ 集積区域における集積産業用資産の特別償却制度

1 改正の内容
 この制度は、適用期限(平成26年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44、旧措令28の5)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の20、旧措令39の49)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成26年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をした集積産業用資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則84②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115②)。

Ⅲ 災害対策用基幹放送設備等の特別償却制度(創設)

1 制度の概要
 この制度は、青色申告書を提出する法人で放送法の基幹放送事業者又は基幹放送局提供事業者に該当するものが、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、災害対策用基幹放送設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は災害対策用基幹放送設備等を製作し、若しくは建設して、これをその法人の事業の用に供した場合には、初年度において、その災害対策用基幹放送設備等の取得価額の15%相当額の特別償却ができるというものである(措法44の5②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の26②)。

2 適用関係  上記1の制度は、法人が平成26年4月1日以後に取得等をする災害対策用基幹放送設備等について適用することとされている(措法44の5②)。連結納税制度の場合についても同様である(措法68の26②)。

Ⅳ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度

1 改正の内容
(1)特定地域における工業用機械等の特別償却制度
 対象資産について、機械及び装置並びに器具及び備品で、一の生産等設備を構成するものの取得価額の合計額の下限要件が100万円超(改正前:500万円超に引き下げられた(措令28の9②二)。
国際物流拠点産業集積地域に係る措置  対象地区が、沖縄振興特別措置法第42条第1項に規定する提出国際物流拠点産業集積計画において同法第41条第2項第2号に規定する国際物流拠点産業集積地域(以下「国際物流拠点産業集積地域」という。)として定められている地区に改組された(措法45①表三)。
 上記対象地区の見直しに伴い、適用期間が、沖縄県知事から主務大臣への沖縄振興特別措置法第41条第1項に規定する国際物流拠点産業集積計画(以下「国際物流拠点産業集積計画」という。)の提出のあった日(国際物流拠点産業集積計画の変更により新たに国際物流拠点産業集積地域に該当することとなった地区については、その変更について提出のあった日)から平成29年3月31日までの期間とされた(措令28の9①三)。なお、その期間内に国際物流拠点産業集積計画の変更により国際物流拠点産業集積地域に該当しないこととなった地区については、その期間の初日からその変更について提出のあった日までの期間とされている(措令28の9①三)。
 また対象資産について、一の生産等設備を構成する有形減価償却資産の取得価額の合計額が1,000万円超であることとする要件に、機械及び装置で一の生産等設備を構成するものの取得価額の合計額が100万円超であることとする要件が追加され、改正前の要件との選択適用とされた(措令28の9②二)。
(2)特定地域における産業振興機械等の割増償却制度  奄美群島に係る措置について、奄美群島振興開発特別措置法の認定産業振興促進計画に記載された区域及び事業に係る措置に改組された(措法45②表三、措令28の9⑫~⑭⑲~
、措規20の16⑤⑦)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成26年4月1日以後に取得等をする工業用機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした工業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則84③、改正措令附則20②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115③、改正措令附則31②)。
 なお、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律附則第3条第3項の規定により平成26年4月1日から同年9月30日(同日までに、改正後の国際物流拠点産業集積計画の提出があった場合には、その提出があった日の前日)までの期間内において改正後の提出国際物流拠点産業集積計画に定められた国際物流拠点産業集積地域とみなされる改正前の国際物流拠点産業集積地域は、本制度においても同期間内において改正後の国際物流拠点産業集積地域とみなして適用することとされている(改正法附則84④、沖振法一部改正法附則3③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115④)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成26年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした産業振興機械等については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則84⑤⑥、改正措令附則20④、改正措規附則9)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115⑤⑥、改正措令附則31④、改正措規附則15)。

Ⅴ 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度

1 改正の内容
 対象資産の範囲から、構築物並びに車両及び運搬具が除外された(措法46①、旧措令29①②)。
 制度の適用期限が、平成28年3月31日まで2年延長された(措法46①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の31①、旧措令39の60①②)。

2 適用関係  上記改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則77)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則77)。

Ⅵ 特定再開発建築物等の割増償却制度

1 改正の内容
(1)都市再生特別措置法に係る措置の見直し
 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、対象となる計画に国家戦略特別区域法第25条第1項の認定を受けた同項に規定する国家戦略民間都市再生事業を定めた同項の区域計画を含めることとされた(措法47の2③二)。
 この区域計画に基づく都市再生事業により整備される建築物については、都市再生特別措置法第20条第1項に規定する都市再生事業により整備される耐火建築物で、かつ、国家戦略特別区域法第25条第1項の規定により都市再生特別措置法第21条第1項の計画の認定があったものとみなされた国家戦略特別区域法第25条第1項の実施主体に該当する法人が取得するものである旨を国土交通大臣が証する書類により証明がされたものとされている(措令29の5④、措規20の21②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の35③二、措令39の64④、措規22の42②)。
(2)適用対象となる措置の追加  本制度の対象に、中心市街地の活性化に関する法律の認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づいて行われる特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される一定の建築物及び構築物について、5年間、その普通償却限度額の30%相当額の割増償却ができる措置が追加された(措法47の2③三、措令29の5⑤、措規20の21③⑤三)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、平成26年4月1日以後に取得又は新築をする特定再開発建築物等について適用することとされている(改正法附則84⑦)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115⑦)。
(2)上記1(2)の改正は、中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第30号)の施行の日以後に取得又は新築をする特定再開発建築物等について適用することとされている(改正法附則84⑧)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115⑧)。

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