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解説記事2014年11月17日 【第2特集】 Q&Aで読み解く27年経過措置通達(2014年11月17日号・№571)

消費税率10%引上げ時の取扱いは?
Q&Aで読み解く27年経過措置通達

 消費税率(地方消費税率を含む)10%引上げ時の経過措置などの規定を定めた「消費税法施行令の一部を改正する政令」(政令第317号)が9月30日に公布されたことなどを踏まえ(本誌566号参照)、国税庁は10月31日、「平成27年10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)」(以下、「27年経過措置通達」という)を公表した(本誌570号参照)。
 同通達の内容は、消費税率8%引上げ時の取扱いである平成25年3月27日公表の「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)」と基本的には同様だが、一部異なる部分もある。本特集では今回の経過措置通達の概要についてQ&A形式でお伝えする。

Q
平成26年4月1日から平成27年10月1日前の契約に基づく取引とは?
A
 平成24年8月22日に公布された改正消費税法は、平成26年4月1日(施行日)から施行され、消費税率が8%となり、原則として平成27年10月1日以後からは10%となる予定となっている(最終的には政府が決定)。別段の定めがあるものを除き、平成27年10月1日(一部施行日)以後の資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる外国貨物に係る消費税については税率が10%となる。一方、施行日から一部施行日前に係る消費税については従前の例によることとされている。
 したがって、一部施行日の前日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、これらが一部施行日以後に行われる場合には、別段の定め(旅客運賃等に関する経過措置、電気料金等に関する経過措置、工事の請負等に関する経過措置、資産の貸付けに関する経過措置、役務の提供に関する経過措置等)がある場合を除き、当該資産の譲渡等及び課税仕入れ等について消費税率10%が適用されることになる(27年経過措置通達2)。

Q
平成26年4月1日から平成27年9月30日までに購入した在庫品の取扱いは?
A
 平成27年9月30日までに仕入れた在庫品を平成27年10月1日(一部施行日)以後に販売する場合には、別段の定めがある場合を除き、販売に関しては27年新消費税法が適用されることになる(27年経過措置通達3)。
 一方、仕入れに関しては改正前の旧消費税法が適用されることになる。

Q
平成26年4月1日から平成27年9月30日までに旅客運賃や入場料金等を「領収している場合」とは?
A
 消費税率8%が適用される旅客運賃等に関する経過措置については、旅客運賃、映画又は演劇を催す場所への入場料金を平成26年4月1日(施行日)から平成27年9月30日までに領収している場合で、その対価の領収に係る課税資産の譲渡等が平成27年10月1日(一部施行日)以後に行われるものが対象となる。例えば、平成27年10月1日以後に搭乗する飛行機の搭乗券で平成27年9月30日までに購入されたものについては現行税率の8%のままとなる。
 具体的には、①一部施行日以後の特定の日に指定されている乗車券、入場券又は利用券等を一部施行日前に販売した場合、②乗車等の日が一部施行日以後の一定の期間または一部施行日前から一部施行日以後にわたる一定の期間の任意の日とされている乗車券等を一部施行日前に販売した場合(回数券等)、③いわゆる定期乗車券等を一部施行日前に販売した場合、④スポーツ等を催す競技場等における年間予約席等が該当する(27年経過措置通達4)。

Q
電気料金等に関する「継続的に供給等することを約する契約」とは?
A
 消費税率8%が適用される電気料金等に関する経過措置については、平成26年4月1日から平成27年9月30日までに継続的に供給又は提供される電気、ガス、水道及び電気通信役務の料金で、平成27年10月1日(一部施行日)から平成27年10月31日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するもの(10月31日後に確定するものは同日までの相当額)のその確定した料金が対象になる。具体的には、①電気の供給、②ガスの供給、③水道水又は工業用水の供給及び下水道を使用させる行為、④電気通信役務の提供、⑤熱供給及び温泉の供給、⑥灯油の供給が該当する(改正新消令附則4条②)。なお、⑥の灯油の供給については新たに加えられたものだ。
 今回の27年経過措置通達では、例えば、プロパンガスの供給契約でボンベに取り付けられた内容量メーターにより使用量を把握し料金が確定される内容のものも含まれることが明記された(27年経過措置通達5)。

Q
電気料金等に関する「支払を受ける権利の確定」とは?
A
 電気・ガス・灯油等の使用量を計量するために設けられた電力量計その他の計量器を定期的に検針することなどの方法により、一定期間における使用量を把握し、これに基づき料金が確定するものとされた(27年経過措置通達6)。

Q
「電気通信役務」の範囲は?
A
 電気料金等の税率等に関する経過措置の規定の適用を受ける電気通信役務とは、平成27年10月1日(一部施行日)から平成27年10月31日までの間に料金が確定するものとなる。具体的には、電気通信事業法2条3号に規定する電気通信役務をいい、電話、インターネット接続に係る役務が該当することになる(27年経過措置通達7)。

Q
平成25年10月1日から平成27年3月31日までに契約を変更した場合の取扱いは?
A
 工事の請負等に関する経過措置、資産の貸付けに関する経過措置、役務の提供に関する経過措置、予約販売に係る書籍等の経過措置、有料老人ホームの介護に係る入居一時金に関する経過措置に関しては、平成27年4月1日(一部指定日)の前日までに契約しておく必要がある。 仮に一部指定日の前日までに契約内容が変更された場合には、変更後の契約内容にしたがって経過措置の適用があるかどうか判定されることになる(27年経過措置通達8)。

Q
平成27年3月31日までに締結した工事の請負等の契約とは?
A
 工事の請負等に関する経過措置については、平成25年10月1日から平成27年4月1日(一部指定日)の前日までの間に締結した工事又は製造の請負に係る契約に基づいて、平成27年10月1日(一部施行日)以後にその契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合について適用される。したがって、一部指定日以後に締結された契約に基づく工事の請負等については適用対象外となる。
 ただし、一部指定日以後に締結された契約であっても、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(消法17条)に規定する長期大規模工事又は工事の請負等に係る契約に基づき、一部施行日以後に目的物の引渡しを行う場合において、当該長期大規模工事等に係る対価の額について同特例の適用を受ける場合には旧税率(8%)が適用できる(27年経過措置通達9)。

Q
「工事の請負に係る契約」の範囲は?
A
 「工事の請負に係る契約」とは、日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げる建設業に係る工事につき、その工事の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいうものとされている(27年経過措置通達10)。日本標準産業分類の大分類に掲げる建設業とは、具体的には中分類の総合工事業、職別工事業、設備工事業が該当する。

Q
「製造の請負に係る契約」の範囲は?
A
 「製造の請負に係る契約」とは、日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げる製造業に係る製造につき、その製造に係る目的物の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいうものとされている(27年経過措置通達11)。日本標準産業分類の大分類に掲げる製造業とは、具体的には中分類の食料品製造業、繊維工業などが該当する。
 なお、製品物品であっても製造の請負に係る契約によって製造されたものでなければ経過措置の対象とはならない。例えば、いわゆる見込み生産による製造物品は適用対象外とされている。

Q
機械設備等の販売に伴う据付工事は経過措置の対象となるか?
A
 機械設備等の販売に係る契約において、据付工事の対価の額を合理的に区分しているときは、当該据付工事については、工事の請負に係る契約に基づく工事に該当するものとして経過措置が適用される(27年経過措置通達12)。
 当然のことながら、機械設備等の販売契約が平成27年4月1日(一部指定日)以後に締結された場合で、据付工事が平成27年10月1日(一部施行日)以後に行われた場合には新税率(10%)となる。また、一部指定日前に契約が締結された場合であっても一部指定日以後に据付工事に係る対価の額が増額された場合には、増額部分は新税率が適用されることになる。

Q
注文に応じて建築される建物の範囲は?
A
 工事の請負等に係る契約に類するものの範囲には「建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るもの」が該当する。これには、注文者が壁の色又はドアの形状等について特別の注文を付すことができるものも含まれる(27年経過措置通達13)。
 具体的には、(1)建物の内装……畳、ふすま、障子、戸、扉、壁面、床面、天井等、(2)建物の外装……玄関、外壁面、屋根等、(3)建物の設備……電気設備、給排水または衛生設備及びガス設備、昇降機設備、冷房、暖房、通風またはボイラー設備等、(4)建物の構造……基礎、柱、壁、はり、階段、窓、床、間仕切り等に付される注文が該当することとされている。
 なお、譲渡を受ける者の注文があったかどうかは、①建物の譲渡に係る契約書等において明らかにする、②取引の前提条件を示す申込約款等において、いわゆるオプションを受け付ける部分を明示して、その部分のオプションを受けたのかを申込書等で明らかにするなどの方法により行い、事後的にも契約書等により明らかにしておく必要がある。

Q
工事の対価等に増額があった場合の取扱いは?
A
 「工事(製造を含む)の請負に係る契約」に係る対価が平成27年4月1日(一部指定日)以後に増額された場合には、増額された部分については新税率(10%)となる。
 増額された部分については、工事に係る目的物の引渡しをする日以前に確定している場合にはその引渡しの日、引渡し後に確定した場合にはその確定をした日を含む課税期間における消費税の課税標準額に算入することになる(27年経過措置通達14)。

Q
転貸の取扱いは?
A
 消費税率8%が適用される資産の貸付けに関する経過措置については、平成26年4月1日から平成27年4月1日(一部指定日)の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、平成27年10月1日(一部施行日)の前日から引き続き行われている資産の貸付けで、その契約の内容が次の①及び②、又は①及び③に掲げる要件に該当する場合が対象になる(ただし、一部指定日以後にその資産の貸付けの対価の額が変更された場合には、その変更後におけるその資産の貸付けについては対象外となる)。
① その契約に係る資産の貸付けの期間及びその期間中の対価の額が定められていること
② 事業者が事情の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
③ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと、その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること
 他の者から資産を借り受け、当該資産の貸付けを行ういわゆる転貸については、転貸を行う者が資産を取得したものではない(27年経過措置通達15)。このため、上記①及び②の要件に該当する場合のみ、経過措置が適用されることになる。

Q
一部施行日以後も消費税率8%が適用される資産の継続貸付けとは?
A
 資産の貸付けに係る賃借人への貸付けの引渡しが平成26年4月1日から平成27年10月1日(一部施行日)の前日までの間に行われ、一部施行日以後も引き続き貸し付けを行っている状態のこととされている(27年経過措置通達16)。

Q
「対価の額の変更を求めることができる旨の定め」とは?
A
 資産の貸付けに係る経過措置については、「事業者が事情の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」が要件の1つとなっている。この点、資産を借り受けた者が支払うべき消費税相当分について「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨を定めている場合については、経過措置の対象外とはならない旨が明らかになっている(27年経過措置通達17)。税抜きの対価の額について変更を求めることができるものでなければよいことになる。一方、同様の定めであっても平成27年4月1日(一部指定日)以後に賃貸料の額を変更した場合については、経過措置の対象外となる。

Q
借地借家法による賃借料の増減は?
A
 建物の賃貸借については借地借家法が適用されるが、土地や建物の価格の上昇などの事情変更があった場合には、賃借料の増減請求をすることが認められている(借地借家法32条)。このため、借地借家法上は、建物の賃貸借に係る契約においてその貸付けに係る対価につき増減することができる旨の定めがない場合であっても、同法32条によりその契約については事実上貸付けに係る対価の額を変更することができる。
 しかし、当事者間の契約において対価の額を変更することができない旨の定めがない場合にまで経過措置が適用できないとするものではないとされている(27年経過措置通達18)

Q
正当な理由による対価の増減とは?
A
 貸付けに係る契約において対価の額について変更することができない旨の定めがない場合であっても、何らかの事情により対価の額が変更された場合には、事実上、新たな貸付契約が締結されたとみなされ、変更後の貸付けに係る対価の額の全額は新税率(10%)の対象となる。
 しかし、対価の額が変更されたとしても、賃貸人が修繕義務を履行しない場合に行われたものであるなど、正当な理由に基づくものであれば、経過措置が不適用とはならず、旧税率(8%)が適用されることになる(27年経過措置通達19)。

Q
指定役務の提供とは?
A
 役務の提供に関する経過措置の対象となる「指定役務の提供」としては、割賦販売法2条6項に規定する前払式特定取引のうちの指定役務の提供をいい、①婚礼(結婚披露を含む)のための施設の提供、衣服の貸与その他の便益の提供及びこれに附随する物品の給付、②葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供及びこれに附随する物品の給付が該当することになる。
 しかし、資産の購入を前提にその購入対価を積み立てるような、例えばデパートの積立会員制度を利用した商品等の購入については対象外となる旨が明らかにされている(27年経過措置通達20)。

Q
役務の提供の対価の額の変更の取扱いは?
A
 消費税率8%が適用される役務の提供に関する経過措置については、平成25年10月1日から平成27年4月1日(一部指定日)の前日までの間に締結した役務の提供に係る契約が対象となる。役務の提供の対価の額が変更された場合には、変更された対価の部分だけでなく、当該変更後においては役務の提供そのものが経過措置の対象とはならず、新税率(10%)が適用されることになる。この対価の額の変更については、契約において定められた対価の額の変更だけでなく、役務の提供の内容の変更に伴う実質的な対価の額の変更も含まれるとされている(27年経過措置通達21)。

Q
工事の請負等に関する経過措置を適用する場合の通知義務とは?
A
 工事の請負等及び資産の貸付けに関する経過措置を適用する場合において、課税資産の譲渡等を行った場合には、その取引の相手方に対してその旨を書面で通知しなければならない。この場合の通知義務については、請求書等に表示することでもよいとされている(27年経過措置通達22)。

Q
リース延払基準の方法で経理しなかった場合の取扱いは?
A
 平成26年4月1日から平成27年10月1日(一部施行日)の前日までにリース延払基準の方法により経理した場合の長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合については、一部施行日以後に資産の譲渡等を行ったものとみなされるリース譲渡延払収益額に係る部分の課税資産の譲渡等に係る消費税については経過措置が適用され、旧税率の8%のままとなる(改正新消令附則6条)。
 この点、延払基準の方法により経理しなかった場合等の処理(消令32条)などの適用がある場合であっても、当該部分については旧税率が適用される(27年経過措置通達23)。なお、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合も同様の取扱いが規定されている(27年経過措置通達24)。

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