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解説記事2015年03月09日 【第2特集】 Q&Aで読み解くガバナンスコード(2015年3月9日号・№585)

新興市場は開示不要!?
Q&Aで読み解くガバナンスコード

 東京証券取引所は2月24日、コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備案を公表した(3月26日まで意見募集)。コーポレートガバナンス・コードが、上場規則により、上場会社に対して“Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)を求めることとされていることによるものだ。本特集では、上場整備案の概要をQ&A形式で解説する。

Q1
社外取締役の複数選任が困難な場合は取組み予定などを開示
 コーポレートガバナンス・コード(以下、「コード」)の策定を受け、上場制度ではどのような見直しが行われますか。
A  企業行動規範の「遵守すべき事項」として、コードを実施しない場合の理由を説明することが規定されます。
 例えば、コードでは、「独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき」(原則4-8)とされていますが、仮に2名以上選任していない場合には、その理由を説明することになります。また、平成27年6月総会で独立社外取締役を2名以上選任することが難しい場合には、今後の取組み予定や実施時期の目途を説明することでも構わないこととされているようです。

Q2
実施しない場合は制裁措置の対象となるが……
 マザーズなどに上場している新興企業も含め、すべての上場企業が対象となると考えてよいですか。
A  市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQに上場する企業が対象となります。コードを実施しない場合には、その理由を説明することが求められるため、上場規則上では、仮に理由を説明しないケースであれば、上場契約違約金などの制裁措置等の対象となります。とはいっても直ちに制裁措置になるわけではなく、まずは“Comply or Explain”を遵守していなければ株主らが正していくということになりそうです。したがって、制裁措置に至るケースは稀であるといえるでしょう。
 なお、外国会社については法制度が異なるため、対象外となっています。

Q3
新興市場には一定の配慮、開示負担を大幅に軽減
 コードでは、本則市場(市場第一部及び市場第二部)以外の市場に上場する企業に対する適用については、会社の規模や特性等を踏まえた一定の考慮が必要となる可能性がある旨が明記されていましたが、実際には何か配慮がされているのでしょうか。
A  マザーズ及びJASDAQに上場している企業については、事務負担を考慮し、コードのうち「基本原則」である5項目について実施しない場合にのみ、その理由を説明することになっています。そのほかの30項目ある「原則」や38項目ある「補充原則」については、コードを実施することが求められていません。
 例えば、独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきというコードについては「原則4-8.独立社外取締役の有効な活用」に記載されているものであり、「基本原則」には該当しません。このため、マザーズ及びJASDAQに上場している企業については、独立社外取締役を2名以上選任しなかったとしても、その理由を開示する必要はありません。もちろん、企業の任意で開示することは可能です。

Q4
コードを実施するための開示は自社のホームページでも可
 「コードを実施しない場合の理由を説明」を行う場合には、コーポレート・ガバナンス報告書に記載することとされています。これ以外にコードでは、政策保有株式として上場株式を保有する場合の方針の開示など、「コードを実施するために行う開示」もいくつか見受けられます(19頁参照)。これらの開示についてもコーポレート・ガバナンス報告書に記載することになりますか。
A  「コードを実施するために行う開示」についても、コーポレート・ガバナンス報告書に記載することとされています。ただし、有価証券報告書や事業報告書など、ほかに開示している書類などがあれば、その記載場所を明示することでもよいこととされています。自社のホームページで開示している場合でも認められます。

Q5
独立役員の開示加重要件が廃止に
 独立役員の独立性に関する情報開示が見直されるとのことですが、開示負担が軽減されることになるのですか。
A  上場会社が独立役員を指定する場合には、当該独立役員と上場会社との間の特定の関係の有無及びその概要を開示することとされています。従来、主要な取引先の元業務執行者など過去において上場会社と特定の関係を有していた独立役員については、それでもなお独立性ありと判断した理由の説明が求められていました。
 今回の見直しでは、説明が必要であった開示加重要件を廃止し、属性情報のみ開示することとされています(次頁参照)。これにより、上場企業の開示負担が軽減されることになります。


Q6
3月決算法人は12月末までに提出すればOK
 実施時期が早いように思います。企業側としては準備期間が必要だと考えますが、なぜ平成27年6月1日からの実施となったのですか。
A  今回の上場規則は平成27年6月1日から実施される予定となっており、平成27年3月決算法人は、定時株主総会後、遅滞なくコーポレート・ガバナンス報告書を提出することになります。「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」の議論では、独立社外取締役に関しては、上場会社に対して少なくとも2名以上選任すべきであると明記されたことから、その確保を図るため、1年程度の経過措置を求めるべきではといった意見も寄せられていました。しかし、閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014では、平成27年6月総会での活用が求められているため、適用時期の延期は難しかったようです。
 ただし、一定の経過措置が設けられており、平成27年6月以後最初に開催する定時株主総会については、準備が出来次第速やかに提出することとし、遅くとも6か月後までに提出すればよいこととされています。したがって、平成27年3月決算法人については、平成27年12月末までに提出することが容認されます。

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