コラム2015年04月13日 【SCOPE】 東京都のみ異なる条例公布日、法定実効税率の算定には要注意(2015年4月13日号・№590)
東京都以外は改正後の税率で算定
東京都のみ異なる条例公布日、法定実効税率の算定には要注意
平成27年度税制改正に伴い法人税率が引き下げられるが、法定実効税率の算定には要注意だ。改正税法が3月31日までに公布されたが、法人事業税の超過課税を行う8団体のうち、東京都の改正条例だけが4月1日に公布されているからだ(そのほかは3月中に公布)。税効果会計適用の法定実効税率の取扱いについては、企業会計基準委員会が3月9日付で議事概要を公表しているが、これに従えば、東京都のみ法定実効税率は「33.10%」となる。3月決算会社における法定実効税率算定には一部混乱も予想され、実務も煩雑になりそうだ。
ASBJの議事概要では法定実効税率の取扱いを示すが……
平成27年度における改正税法が3月31日に公布された。これにより、国・地方を通じた法定実効税率は、現行34.62%(標準税率)から平成27年度に32.11%、平成28年度に31.33%へと引き下げられることになる。
ここで留意しなければならないのは税効果会計に適用される税率だ。同税率は、期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされている(会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第18項)。したがって、平成27年3月期決算会社の場合、3月末までに改正税法が公布されているので、改正後の税率を適用することになる。
この点、地方税法等の改正法が3月末までに公布されていても、各地方団体の改正条例が公布されていないこともあり得る。この場合は、新旧どちらの税率を適用すべきか疑問が生じるため、企業会計基準委員会は、平成27年度地方税制改正に伴う税効果会計の適用における法定実効税率について、実務の参考となる法定実効税率の算定例を示すために、同委員会のホームページ上に議事概要を公表している。
この議事概要によれば、平成27年3月末決算における法定実効税率は地方税法等改正後の事業税率(標準税率)を算定の基礎とすることとしている。また、東京都や大阪府など、法人事業税の超過税率を採用する地方団体の改正条例が公布されていない場合には、決算日現在の地方団体の条例に基づく超過税率が標準税率を超える差分を考慮して、法定実効税率の算定に用いる超過税率を算定することになる。
東京都以外は3月中に改正条例が公布 この超過税率に関する改正条例だが、東京都を除き3月中に公布されている。例えば、大阪府の場合は、法人事業税の所得割の超過税率は3.4%とされているため、法定実効税率は平成27年3月期から「33.02%」として算定することになる。
一方、東京都の場合は改正条例が4月1日に公布されているため、前述の企業会計基準委員会の議事概要に従えば、平成27年度税制改正に係る地方税法等改正後の標準税率(3.1%)に、条例改正前の超過税率(4.66%)が地方税法等改正前の標準税率(4.3%)を超える差分(0.36%)を加えて算定することになる。具体的な法定実効税率は「33.10%」となる。また、第1四半期については、条例改正後の税率で算定するため、「33.06%」となってしまう。
企業においては、実務上煩雑になることも想定されだけに3月決算においては留意しておくべき事項といえそうだ。
東京都のみ異なる条例公布日、法定実効税率の算定には要注意
平成27年度税制改正に伴い法人税率が引き下げられるが、法定実効税率の算定には要注意だ。改正税法が3月31日までに公布されたが、法人事業税の超過課税を行う8団体のうち、東京都の改正条例だけが4月1日に公布されているからだ(そのほかは3月中に公布)。税効果会計適用の法定実効税率の取扱いについては、企業会計基準委員会が3月9日付で議事概要を公表しているが、これに従えば、東京都のみ法定実効税率は「33.10%」となる。3月決算会社における法定実効税率算定には一部混乱も予想され、実務も煩雑になりそうだ。
ASBJの議事概要では法定実効税率の取扱いを示すが……
平成27年度における改正税法が3月31日に公布された。これにより、国・地方を通じた法定実効税率は、現行34.62%(標準税率)から平成27年度に32.11%、平成28年度に31.33%へと引き下げられることになる。
ここで留意しなければならないのは税効果会計に適用される税率だ。同税率は、期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされている(会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第18項)。したがって、平成27年3月期決算会社の場合、3月末までに改正税法が公布されているので、改正後の税率を適用することになる。
この点、地方税法等の改正法が3月末までに公布されていても、各地方団体の改正条例が公布されていないこともあり得る。この場合は、新旧どちらの税率を適用すべきか疑問が生じるため、企業会計基準委員会は、平成27年度地方税制改正に伴う税効果会計の適用における法定実効税率について、実務の参考となる法定実効税率の算定例を示すために、同委員会のホームページ上に議事概要を公表している。
この議事概要によれば、平成27年3月末決算における法定実効税率は地方税法等改正後の事業税率(標準税率)を算定の基礎とすることとしている。また、東京都や大阪府など、法人事業税の超過税率を採用する地方団体の改正条例が公布されていない場合には、決算日現在の地方団体の条例に基づく超過税率が標準税率を超える差分を考慮して、法定実効税率の算定に用いる超過税率を算定することになる。
東京都以外は3月中に改正条例が公布 この超過税率に関する改正条例だが、東京都を除き3月中に公布されている。例えば、大阪府の場合は、法人事業税の所得割の超過税率は3.4%とされているため、法定実効税率は平成27年3月期から「33.02%」として算定することになる。
一方、東京都の場合は改正条例が4月1日に公布されているため、前述の企業会計基準委員会の議事概要に従えば、平成27年度税制改正に係る地方税法等改正後の標準税率(3.1%)に、条例改正前の超過税率(4.66%)が地方税法等改正前の標準税率(4.3%)を超える差分(0.36%)を加えて算定することになる。具体的な法定実効税率は「33.10%」となる。また、第1四半期については、条例改正後の税率で算定するため、「33.06%」となってしまう。
企業においては、実務上煩雑になることも想定されだけに3月決算においては留意しておくべき事項といえそうだ。


税効果会計の適用税率は「公布日」から変更に!? |
企業会計基準委員会が検討を行っている税効果会計に関する適用指針では、適用税率についても論点に挙がっている。日本基準では期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされているが、今回のように改正税法や改正条例が3月末までに公布されるかしないかで取扱いが大きく異なることになってしまう。このため、IFRSと同様、実質的に税法の改正が有効になったと判断される時点で税法が改正されたものとして取り扱うことが検討されている。この場合、改正税法が国会で成立された時点などが想定されている。 |
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